NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「トールマン」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「トールマン」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)

 6年前に鉱山が閉鎖した事によって、すっかり寂れてしまったコールドロックという田舎町で、幼い子供が突如として失踪するという怪事件が相継いで発生する。

 町の人々は『トールマン』という子供を攫う(さらう)怪人の都市伝説を作りだして、その影に怯えながら暮らしていた。

 そんなある日、医師のジュリアは子供のデビッドが何者かによって誘拐される現場を目撃。
 車で逃走する犯人の後を追った彼女は、酷い怪我を負いつつも町外れのダイナーのような場所へとたどり着くが…



 子供を攫う正体不明の怪人の都市伝説をモチーフとした、「マーターズ」のパスカル・ロジェ監督によるサスペンスホラー映画。

 いわゆるファンタジー系の映画祭とかで高い評価を得た作品だという事ですが、同監督の「マーターズ」はちょっとキワモノ過ぎて理解不能な感じの部分もあったので期待半分程度で観てみたのですが、コレは良い意味で予想を裏切られた作品でした。

 序盤は、ちょっとスローペースなものの『陰鬱な森の中の光景』や『怪しげな町の住人』や『全く動機の分からない犯人像』といった雰囲気は良い感じなので、いわゆる『雰囲気映画』で『追い詰められた母親の強さみたいなのが描かれるようなお話なのかな?』と思って『まあ悪くない程度の出来かな…』とか思いながら観てたのですが…

 中盤以降の話の流れがガラっと変わる程の急展開と、二転三転していくストーリーの仕込みには完全にヤラれました!!

 ネタバレになってしまうのであまり詳しくは言いませんが、中盤からの頭の中が『???』で埋め尽くされそうになるような怒涛の展開と、ストーリーの先の読め無さには感心させられましたよ。

 それだけ二転三転するシナリオを書いておきながら投げっぱなしにならずに、最後までキチっと謎解きを終わらせて伏線をほぼ回収しきるという構成は、純粋に上手いと思います。

 お話の流れも、最後の最後までオチがどうなるのか全く読めなかったですし、久々に見事に騙された感じ…
 (ヒロインと絡む『失語症の少女』が、ああいう形で話に関わってくるとは完全に予想外でした。)

 単純に『意外性』を詰め込んだだけの内容じゃなくて、凄く不気味で『怖い』と感じる部分があったり、ラストは『ちょっと物悲しい感じ』の展開があったりするのも、なかなか良い感じで観終わった後に色んな意味で非常に高い満足度の得られる作品でしたよ。


 総評としましては、久々に純粋に『構成の上手さ』を楽しむ事の出来たサスペンス映画といった感じでした。

 『意外性のある話』と分かっていても、この展開を予想できる人はなかなか居ないと思うので、そういうノリが好きな人ならば観ておいて損は無い一本だと思いますよ。

 ただフランスの監督だけあって若干『雰囲気映画』的なノリが強い部分もあり、全体的に話の流れスローペースなので『テンポが良い緊張感のあるサスペンスを味わいたい』とかって人には、ちょっと向かない作品かもしれませんので、そういう向きを求められている方はご注意ください。