NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パッション」(65点/サスペンス)

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■■■「パッション」■■■
(65点/サスペンス)

 広告業務を担当するキャリアウーマンのイザベルは、上司のクリスティーンと共に素晴らしい成果を上げてきて、肉体関係を持つほどの親密な間柄だった。

 しかしある日、クリスティーンに自分の手柄を横取りされたうえに、今まで利用されていただけだと知ったイザベルは、社内で対立関係を築きお互いに相手を陥れようと画策するようになっていく。

 そして『やられたらやり返す』という形で対立を続けてきた彼女たちの関係は、徐々にエスカレートしていき…



 ただれた関係を持つ2人のキャリアウーマンの頭脳戦と愛憎劇とその行き付く先を描いた、クライムサスペンス映画。

 「キャリー」や「殺しのドレス」のブライアン・デ・パルマ監督による新作で、何でも「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」というフランスのサスペンス映画のリメイクに当たる作品のようです。

 ノリ的には初期のデ・パルマ監督作品に近いタイプの内容で、2人の女性の人間ドラマを中心にお話が進んでいくサスペンス映画という感じですが、最近のデ・パルマ監督の迷走っぷりからすると物凄く全うな『デ・パルマ監督らしさ』を感じられる内容です。

 お話としては『女同士のドロドロとした愛憎劇』という感じのストーリーなのですが、2人のヒロインがレズビアンのような関係だったり恋人をシェアしてたりと妙に設定が複雑なうえに、人間関係や社会的な立場とかもストーリーに絡んでくるせいで序盤はかなり詰め込み過ぎな印象。

 でもそんな盛りだくさんな設定の割には、普通に観てるだけでお話が頭に入って来るように描かれており、なかなか分かりやすく消化できるようになってるのは流石はデ・パルマ監督という感じ。

 かなりドロドロした感じの内容で、まさに『やられたらやり返す』みたいなノリでお話が展開していくため、愛憎劇を描いたドロ臭い人間ドラマとかが好きな人ならなかなか楽しめそうな印象。
 序盤~中盤は、どうなっていくのか全く先が読めない構成なのも面白いです。

 ただ中盤以降はちょっと予想外な急展開という感じで、この辺は賛否ありそうなかも?
 (まあ、中盤以降の展開こそが『いつものデ・パルマ監督らしい展開』とも言えるんですけど…)
 個人的には、中盤以降の正統派サスペンス的な非常にスピーディな展開もなかなか楽しめましたよ。

 またデ・パルマ監督のファンなら気になる『デ・パルマ節』が堪能できる演出部分に関してですが、本作でもデ・パルマ監督らしい演出が随所に見られるものの過去作ほどのネチっこい演出とかは無くなっており、全体的に淡白な感じなのはちょっと物足りなかったかなぁ?


 総評としましては、普通に良く出来た『佳作レベルの愛憎もののサスペンス映画』といった感じの内容です。

 ドロドロした人間関係とかのお話が苦手で無ければ、割と普通に楽しめる映画だと思いますので、サスペンスとかが好きならば観ておいても損は無いでしょう。

 また近年のデ・パルマ監督の作品の中では、最も『デ・パルマ節』が強く感じられた作品ではありますので、完全復活とは行かないものの旧来からのデ・パルマ監督のファンであれば、とりあえずチェックしておいても良い一本では無いでしょうか…