■■■「ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~」■■■
(60点/オカルト)
夫に先立たれ、2人の娘と協力してトリックで客をだまして霊媒師の仕事をしているアリス。
しかし金儲けのためではなく、アクマで『客の心を癒す事』を目的として仕事をしていたため、その生活は困窮を極めていた。
そんなある日、降霊術の小道具として『ヴィジャボード』を使うようになった彼女は、それ以来、末娘のドリスに『普通の人間には見えない何者かの霊と交信する能力』が目覚めた事に気づく。
彼女の能力を用い、本当の霊媒師として客の心をケアしていくアリスだったが、ドリスに近づいてきた霊の正体は彼らの考えていたものとは違う恐ろしい存在だった…
インチキ霊媒師の親子がヴィジャボードを使う事で本当の霊と交信する能力を得るが、実はその霊は彼女たちの考えている以上に恐ろしい存在だった…という設定のオカルトホラー映画。
以前にうちのサイトでも感想を書いた「呪い襲い殺す」の続編でストーリー的には前日譚に当たるお話なのですが、前作に「呪い襲い殺す」なんてトンチキな邦題を付けてしまったせいで、続編だかなんだか良く分からないタイトルになってしまっているという困った作品です。
(三作目が作られたらタイトルはどうするんだろう?)
映画感想:「呪い襲い殺す」(65点/オカルト:結構オススメ)
https://blogs.yahoo.co.jp/uei_nanigashi/67800524.html
お話としては『インチキ霊媒師の親子がヴィジャボードを使うようになったところ幼い末娘が本物の霊と交信できるようになり、その力を用いて本物の霊媒師として働くようになるんだけど、末娘の交信していた霊は彼らの想定とは異なる恐ろしい存在で…』というような感じの展開。
『母親が霊媒師をやっていたら幼い娘が邪悪な霊に取り憑かれてしまった』という、割とオーソドックスな展開のお話なのですが、このお話のプロットやら導入の仕方やらがなかなかに秀逸で…
『死んだ父親の霊だと思って呼び出していたものが何か別の存在だった』という謎解き要素にはじまり、では『彼女たちが呼び出していたものは何者なのか?』という事を皮切りに恐るべき秘密が次々と明らかになっていく…というストーリーの流れが非常に良く出来ていて面白いです。
終盤の謎が解明されてからの、悪霊に取り憑かれた少女の「エクソシスト」ばりの豹変っぷりもなかなか派手で面白くて、謎解きメインのオカルト映画としては普通に良く出来ている印象。
主人公たちのキャラクターやら、謎解きに絡んでくる神学校の神父さんなんかの脇役のキャラも良い味を出しているのは良い感じです。
ただキャラの立て方もプロットも良く出来ていて終盤までの展開は物凄く面白いのに、終盤の展開が矢鱈とグテグテすぎるのはちょっと困りもの。
事件を解決するための手段が見いだせ無いままダラダラと話が進むのでいま一つメリハリに欠けて、霊の正体も割と派手な設定の割には演出にそこまで活かされておらず、悪役のキャラクターとして魅力が薄いために、観ていていま一つ物足りなさを感じるのが残念なところ。
特にラストは何がどうなったんだか良く分からなくて、非常にモヤモヤしてしまったので、どういう終わり方にせよもうちょっとスッキリするようなオチにして欲しかったですよ。
あと謎解きに関しても、前作とネタが被っているところがあるせいである程度の先の展開が読めてしまうのは残念なところだったかなぁ…
この辺りは、もうひと捻り何かの仕込みがあっても良かった気がしますよ。
総評としましては、全体的に良く出来た『そこそこ観れるレベルのオカルトホラー映画』という感じの作品です。
前作と比べるとちょっと物足りない印象はあるのですが、前作が楽しめた人であれば本作も普通に楽しめるんじゃないかと思います。
ともあれ不満の残る部分もありますが悪くは無い出来の作品ですので、気になっているのであればチェックしておいても損は無いんじゃないでしょうか。