■■■「ブラッド・ブレイド」■■■
(40点/モンスター)
1981年、人間をゾンビ化する謎の感染症のパンデミックが発生。
文明は崩壊し、世界は滅亡の危機に瀕してしまう。
それから6カ月後。
奇跡的にウイルスへの免疫を持っていた、レッド・クローという港町の居留地に暮らすネイティブアメリカンたちは、唯一の町からの入り口である橋にバリケードを設置し、警察署長であるトレイラーを中心にコミュニティを結成しゾンビからの襲撃を生き延びていた。
リーダーであるトレイラーは、免疫を持たない『街からの避難者』をウイルスが侵入しないように慎重に受け入れつつ保護を行っていたが、かねてからトレイラーに恨みを抱いていた息子のライソールはこれに反発。
よそ者の受け入れに反対するメンバーたちと共謀して、街からの避難民の避難所にゾンビを解き放ってしまい…
ソンビウイルスによって文明が崩壊した世界で、なんとか生き延びていたウイルスに免疫を持つネイティブアメリカンのコミュニティが、恐るべきトラブルに巻き込まれる…という、ゾンビもののモンスターパニック映画。
「ブラッド・ブレイド」なんて、いかにもアクションもののゾンビ映画っぽいタイトルが付いていますが、実際の中身の方は言うほどアクションものという感じでもなく、どちらかというとドロドロとした内容の辛気臭い感じのゾンビ映画です。
お話としては『ソンビパンデミックで文明が崩壊した世界で、運よくソンビウイルスへの免疫を持っていたネイティブアメリカンたちが居留地にコミュニティを形成。バリケードを築いてゾンビの襲撃から町を守ることに成功するが、町への生存者の受け入れに反対するリーダーの息子との対立によってコミュニティに壊滅的なトラブルが発生してしまい…』といった感じのストーリー。
確かにゾンビと戦うアクションシーンとかもあるのですが、むしろ複雑な家庭環境を持った親子の愛憎劇やら、コミュニティ内での内ゲバ的なきな臭い内容がメインといった感じ。
それなりにゾンビの襲撃シーンもあり残虐描写なんかも強めで、割と派手な内容ではあるのですが、ただでさえ息苦しさのある『閉鎖環境』を舞台としたゾンビ映画で、コミュニティ内部での対立やら親子の確執やらがメインで描かれているせいで、非常に閉塞感が強くて観ていて疲れてしまうのは困りものです。
また、『白人たちによって居留地に追いやられたネイティブアメリカンたちが、逆に白人たちを救うために受け入れるようになった世界』という皮肉を感じさせる独特の世界観やらの設定は面白いのですが、この独特の設定やら主人公一家の『妙に複雑な家庭環境で育った親子の確執』やらを描くのに多くの尺を割いているせいで、お話の展開が非常に遅くてマトモにお話が動き出すのがかなり終盤に突入してからなのも、テンポの悪さを感じさせられてしまうんですよね…
ネイティブアメリカンの居留地を舞台とした設定やら世界観やらは面白いですし、ゾンビとの戦いに駆り出されることを宿命づけられたような主人公とその家族のキャラとかも割と良く立っており悪くない部分もあるのですが、とにかく内容が泥臭すぎて盛り上がりを損なわせてしまっているきらいがあるので、もうちょっと明るめのノリでも良かったんかないかなぁ?
オチも救いがあるんだか無いんだか良く分からないような終わり方でしたし、観ていてどうにもスッキリしないゾンビ映画でしたよ。
総評としましては、どうにも息苦しさばかり感じてしまう『辛気臭いゾンビ映画』というのが正直なところ。
ソンビ映画でも、特に『閉塞感のある救いの無さげな話』とかが好きであれば割と楽しめる内容かもしれませんが、自分のようにタイトルやらパッケージやらから派手な内容に期待していると、かなり肩透かしを食らわされてしまうので要注意です。
まあ、ゾンビ映画で『ネイティブアメリカンのみが生き延びた世界』という独自の世界設定やらが気になるようであれば、チェックしてみても良いかもしれませんよ。