NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ダーク・ウォーター」(60点/心霊サスペンス)

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■■■「ダーク・ウォーター」■■■
(心霊サスペンス/60点)

 別れた夫と娘の親権を争って離婚調停中のダリアは、娘の養育に適した新たな住居を求めて、娘のシンシアと一緒にニューヨークの下町にある古びたアパートへと引越しをしてくる。

 しかし、天井裏から常に雨漏りが続く陰気な新居での生活や、水道やコインランドリーでの異変、誰も居ない筈の上階から聞こえる物音…といった不気味な現象と、一人で娘の養育を行っていかないとならない事に対するプレッシャーから、彼女は徐々に精神に変調をきたしていく事となる。

 そしてそんなある日、彼女は娘を通わせている学校の教師から、シンシアが存在しない筈の『想像上の友達』と親しげに話をしているという事を知らされるが…


 「リング」鈴木光司氏原作で、日本で中田秀夫監督によって仄暗い水の底からとして映画化されたサスペンスホラー映画のハリウッド版リメイク作品。

 日本版は、「リング」同じ原作者と監督の作品とは思えない程に微妙な出来栄えとラストのやたらと意味不明のオチから、物凄く『微妙な映画』と言う事で有名になったという不名誉な作品だったのですが…

 基本的には、日本版のストーリーを殆どそのままなぞるような展開でありながらも、なかなかどうして…随所の演出やキャラクターの心理描写の描き込みが良く作られており、舞台が海外に移った事にも全く違和感も無く、非常に良質のサスペンスホラーとして生まれ変わって居ると言えるでしょう。

 特にストーリー展開に関して、主人公のダリアの過去に関するトラウマと自分の娘との養育問題と、女の子の幽霊の過去とがシンクロして描かれる事で、主人公が娘への愛の強さを再認識させられるというお話の描かれ方は非常に秀逸で…
 主演のジェニファー・コネリーの熱演もあって、全てを投げ打ってでも娘を救おうとした母親像が非常に良く描かれていると感じました。

 ただ逆に、日本版では心霊ホラー的な見せ方の部分が強かったと思うのですが、本作ではアクマで主人公の心理描写を主眼に置いた展開となっている事から、『サスペンス色』は強くなった代わりに『ホラー色』は薄くなっており、心霊映画的な恐さは殆ど感じられない作品になって居るのは賛否両論ありそうですね…

 全体的に人物描写に時間を割く余りに作品のテンポが非常にスローペースで、一概にそれが悪いという事では無いながらも、『ちょっと盛り上がるまでの展開が遅いかな?』という気はしました。
 出来れば、もうちょっと中盤に盛り上がるような見せ場があっても良かったかも?

 あと、基本的には日本版と同じようなオチではありながらも、日本版の『何ソレ、訳分からんわ…?』というノリだった例のラストシーンに比べて、ハリウッド版は非常にオチが分かりやすく主題が明確になっており、素直に母性愛に心打たれる良い終わり方になっていると感じました。
 日本版のラストの見せ方に不満があった人は、是非ともこちらを見直していただきたい所でしょう。

 総評としましては、『オススメ!!』という程に強くプッシュする作品では無いながらも、ごく普通に楽しめるレベルの心霊サスペンスホラーになっていると思います。

 私も日本版はハッキリ言って駄作だったと思うのですが、日本版が納得行かなかった人程、逆に本作を見直す価値があるかもしれません。
 まあ、どっちも原作無視な内容ではあるんですが、日本版のリメイクとして考えると非常に良く出来ている作品だと言えるでしょう。

 あと、個人的に日本版との違いとして『おっ!!』と思ったのは…

 原作でも劇中で重要なアイテムとして登場するハローキティのバッグ』が、日本版では版権の都合上で何だか良く分からないネコのキャラクターになっていたのですが、ハリウッド版ではキチンと『ハローキティのバッグ』として登場していた事ですね。
 こんな細かい事ながらモロに制作費の違いを感じさせられる辺りが、なんともはや切ないですな。(笑)