■■■「ブラック・ボックス ~記憶の罠~」■■■
(55点/サスペンス)
アルチュール・セリグマンは、ある日、自動車で運転中に事故を起こしシェルブールの病院へと終了される。
病院で目覚めた彼は、事故の直前に自分が跳ねた自転車の少年の事を心配するが、医師から『そんな少年は居なかった』と言われたうえに、自分が何故にシェルブールに居たのかを思い出すことが出来ないという奇妙な状況に陥る。
記憶が混乱する彼は、自分の治療に当たっていた看護士が『昏睡状態の最中に呟いていたうわごと』をメモしていた事を知り、そのメモを元に自分の記憶を探り始めるが、『シルヴァン・ガネムに殺される』という謎の言葉の意味が分からずに不安に陥りだす。
更に、事故の直前から自分の兄のイヴァンが行方不明になっているという事実を知った彼は、兄の行方不明が自分の現状と何らかの関連があるのでは無いかと疑いを抱くが…
交通事故の影響で一時的な記憶喪失に陥った男が体験する奇妙な出来事を描いた、フランス製のサスペンス映画。
『記憶喪失もの』というのは、ある意味でサスペンスの定番的なジャンルですが、大方の予想どおりにいわゆる『どんでん返し』系のサスペンス映画です。
いかんせん謎解きもののサスペンスですので詳しい内容に触れる事は出来ませんが、キーワードを使った『謎の提示の仕方』や、序盤の『先の読めない展開』は面白くて、謎が紐解かれるに従って主人公の過去のみならず、キャラクターなどもシッカリと描かれて行くという構成は、なかなか上手いと思います。
ただ、中盤からの展開がやや唐突すぎて『じゃあ、序盤の展開はいったい何だったの?』って感じのノリになってしまうのは、ちょっと違和感があるかも?
序盤の展開がなかなか面白いだけに、ちょっと勿体無い気がしました…
謎を投げっぱなしにせずに『シッカリとオチを付けている』のはなかなか好感触ですが、ラストの展開は少々ご都合主義的すぎる気も…
あと余談ですが、序盤で登場した『主人公の恋人』が、後半の展開とどう関係しているのかイマイチ把握出来なかったのは私だけですかね?
総評としましては、記憶喪失ものとしては小粒ながらも良くまとまった内容の『佳作レベルのサスペンス映画』だと思います。
ただ、『全てを疑え!』とかって大げさな煽り文句の割には、そこまで驚きや意外性は無い作品なので、あっと驚くような『衝撃の展開』みたいのを期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?
作品の雰囲気やノリは悪くないですので、フランス風のアンニュイなノリのサスペンス映画が好きな人なら、そこそこ楽しめると思いますので、そういうノリが好きな人ならどうぞ…って感じの一本でしょう。