NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ウィッシュ・ルーム」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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  ■■■「ウィッシュ・ルーム」■■■

(65点/サスペンス:結構オススメ)

 

 都会から片田舎の古びた屋敷へと移り住むこととなった画家のマットと妻のケイトは、引っ越し後の荷物の整理中に家の中に巨大な鉄の扉で閉ざされた奇妙な隠し部屋を発見。

 

 その部屋は、名画でも豪華なドレスでもお金でも『欲しい』と口に出した『物』が突如として目の前に現れ、何でも手に入るという驚くべき力を秘めた部屋だった。


 部屋の事を不気味に感じながらも、お金や宝石、高級な料理等の様々なものを欲望のままに出して楽しむ夫妻だったが、虚構の贅沢にずぐに虚しさを覚えるようになっていく。


 やがて、2度の流産で長年子宝に恵まれなかった妻のケイトは、子供を切望するあまり『部屋の力』を使って自分たちの『子供』を作り出してしまうが、部屋で作り出されたものは家から持ち出した瞬間に急激に劣化して消え去ってしまう事が判明し…

 


 町はずれの古びた屋敷に引っ越してきた夫婦が『どんな物でも作り出せる部屋』を発見し、そこで自分たちの『子供』を作り出してしまったことから思いがけない運命に翻弄されていく…という、ダークファンタジー風味のサスペンス映画。


 『どんな物欲でも叶う部屋』を見つけてしまった夫婦が、自らの欲望を満たし続けるうちにたどる運命…という、なんとなくトワイライトゾーン」とか「世にも奇妙な物語」の1エピソードのようなお話ですが、なかなかに面白い設定のサスペンス映画という感じの作品です。


 お話としては、『とある夫婦が「どんなものでも作り出せる部屋」を見つけて贅沢三昧の暮らしを楽しむが、それでは欲望が満ち足りずに自分たちの「子供」を作り出してしまった事から悲劇が始まってしまう…』みたいな感じの展開。


 いわゆる「三つの願い」の寓話等に代表されるようなプロットで、人間の『欲の果てしなさ』や『業の深さ』といったものを風刺しつつ、親子の愛情やら愛憎劇やらを盛り込む事でそれだけでは終わらないお話になっているのは、コテコテな雰囲気ながらもなかなかに面白いですね。


 序盤~中盤までは、いわゆる欲望に対するカリカチュアを題材としたダークファンタジーなのかと思わせつつ、『子供』が登場する中盤以降は『屋敷の過去』に秘められた謎を追っていくサスペンス展開を絡めつつ、全く先の読めない展開へと突入していくのはプロットとして良く出来ています。


 古びた屋敷やら、地下室にあるエイリアンの作った古代遺跡のようなデザインの『謎の装置』も良い雰囲気を出しており、雰囲気映画としても割と良い感じ。


 また家族愛を題材にした物悲しい感じの展開も良い味を出しているのですが、終盤は盛り上げようとして色々詰め込みすぎたせいで逆にちょっとチープな感じになってしまった感があるのは、ちょっと残念なところかなぁ?


 ラストのオチもちょっと蛇足な印象だったので、後半の展開は捻り過ぎずにもうちょっと素直なサスペンス作品としてまとめておいた方が良かったような気がしますよ。

 


 総評としましては、あまり話題になってないものの『意外と良く出来たダークファンタジー風味のサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 「世にも奇妙な物語」的な、ちょっとブラックな感じのダークファンタジー作品が好きな人であれば割と刺さりそうな作品だと思うので、そういうノリが好きであればオススメ出来る内容ではないかと…


 やや物足りなさもあるものの良く出来ている部分も多いので、設定とかが気になるようであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。

映画感想:「ウィジャ・シャーク / 霊界サメ大戦」(15点/モンスター)

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■■■「ウィジャ・シャーク / 霊界サメ大戦」■■■
(15点/モンスター)


 友人たちと休暇でバカンスに訪れたジルは、他のメンバーより先に到着した事から一人で泳いでいる最中にビーチで奇妙な木片を拾う。
 それは、死後の世界から霊を呼び出す儀式に使われる『ヴィジャ・ボード』だった。


 友人たちと合流した彼女は、興味本位で『ヴィジャ・ボード』で霊を呼び出してみるが、ボードからは何故か恐ろしい『幽霊ザメ(ウィジャ・シャーク)』が召喚されてしまう。


 幽霊ザメが彼女の友人や街の人々を次々と襲撃し人々を恐怖に陥れるなか、ジルはなんとかして幽霊ザメを撃退しようと、強い霊感を持ちオカルトに詳しい父親へと助けを求めるが…

 


 バカンスに訪れた女性たちがビーチて拾ったヴィジャ盤で人食いザメの霊を呼び出してしまい、なんとかして幽霊ザメを撃退しようとする…という、オカルト風味のモンスターホラー映画。


 設定だけ聞くと『ヴィジャ盤で幽霊を呼び出す』というオカルト要素と、『人食いザメの襲撃』というモンスター映画要素を合わせた、一粒で二度おいしい的な作品かとも思えるのですが…


 最近、熱心に『超低予算のZ級モンスター映画』ばかりを買い付けてビデオ化している「コンマビジョン」さんによる新作と言えば、なんとなく予想が付いてしまう通りの内容の作品です。(笑)


 というか、そもそもサメ+幽霊というアイデアでは、既に「ゴーストシャーク」という作品があって、そちらの方は『割と普通に観れるレベルのB級作品』としてファンの間では知られていたりするので、一発ネタ的にも出遅れてる感があるのが辛いところ。


 ネタ的な目新しさはさておき、本作のお話としては『とある女性がバカンスの最中にビーチでヴィジャ盤を拾って遊び半分で使ってみたところ、何故か人食いザメの霊が呼び出されて人間を襲いまくる』という、ホントにそれだけの展開。


 ストーリーらしいストーリーもなく、ただ『ひたすら幽霊ザメが暴れ回るだけ』みたいな感じで、まあとにかくグテグテ感が強いです。


 そもそも、何でヴィジャ盤から唐突に『サメの幽霊』が出てくるんだ…という話なんですが、一応これは後で設定らしきものが語られてて、『モンスターのバックボーン』がキチンとしてるという部分に関しては好感触。


 ただ、それ以外の部分がとにかくグテグテすぎで、『なんじゃそりゃ?』って感じなのは困りもの。


 前述のとおり『お姉ちゃんたちが水着で遊んでたら、人食いザメの幽霊が呼び出されて人間を襲い始めました』以外のストーリーらしいストーリーは全くなくて、話の流れも何もなく、ほぼ『水着のお姉ちゃんが遊んでいる姿』か『幽霊ザメが暴れている姿』を漫然と見せられているだけというような状態。


 とはいえ低予算ホラーなんだから、水着の『サービスシーン』とサメの暴れる『恐怖シーン』がキチンと作られてれば、それでも十分に楽しめる気がしそうなものなのですが…


 お姉ちゃんは全員が妙にムチムチのワガママボディで、ややトウの立った感じの人が大半なのでサービスになっているのか微妙な感じですし、サメの方は東急ハンズとかで買ってきたサメのフィギュアを半透明で表示して画面の上で手で持って動かしているだけ』みたいなレベルの特撮で、迫力もヘッタクレも無いレベルなのは困りもの。


 襲撃シーンも、殆どのシーンが『映像を合成して人間を襲う』という努力すら放棄した『イメージ映像』状態で、サメが迫ってきた後に画面外で『ガブッ』って感じの効果音が聞こえるだけなので、登場人物がサメに何人襲わようが面白味も何もありません。


 キャラクターに関しても、主人公以外は無個性で主人公も『霊感がある』という以外は全くの無個性状態で、掘り下げのようなものは一切なし。


 他にも、主人公の父親が特に伏線も無く霊能者だったり、主人公は特に理由もなく車のトランクにショットガンを積んでてサメに応戦してみたりと、いろいろと意味不明でツッコミどころ満載の展開が多すぎです。


 とまあ、ここまで書くと全く観るべきところの無い作品のような感じですが、ラストの『超展開』だけは意外と面白かったりするのは困りもの。


 ここからはややネタバレになってしまいますが…

 幽霊ザメと主人公の父親との、まさにタイトルどおりの『霊界サメ大戦』みたいなバトルは、思わず腹を抱えて笑ってしまいましたよ。


 オチも色々とヤバくて『おいおい大丈夫かよ?』と言いたくなるような終わり方ですし、まさに『ラスト10分』に全てが集約されており、それだけのために見る価値がある映画と言えるかも?


 まあ、そこまでのシーンもネタ映画としてはツッコミどころ満載で楽しいですし、一応は水着のお姉ちゃんもいっぱい観れますし、点数は低いですが個人的には意外と楽しめた作品でした。

 


 総評としましては、色々と酷い出来の『オカルト風味の超低予算モンスターホラー映画』というのが正直な感想かな?


 ただ酷い出来なのですが、ネタ映画として観るのであれば十分に楽しめるレベルの作品にはなっていると思うので、そういう作品を求めているのであれば割とオススメです。


 70分程度と尺も短くて(しかもエンディングが10分弱ある)、そこまで忍耐力を要せずにサクッと楽しめる内容ですので、バカ映画好きの人には普通にオススメ出来る作品ではないかと思いますよ。

映画感想:「レフト -恐怖物件-」(55点/サスペンス)

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■■■「レフト -恐怖物件-」■■■
(55点/サスペンス)


 妻を喪った中年男性のセオは若い女優のスザンナと再婚するが、自分が過去に起こした事件や、若い妻に自分が釣り合わないのではないかというコンプレックスから、いま一つ相手の事を信頼しきれずに居た。


 そんなある日、妻の仕事と休暇も兼ねてウエールズの田舎町に長期滞在する事となった彼らは、閑静な郊外の丘の上の一軒家を借りる事となる。


 しかし、相次ぐ奇妙な現象や、家族全員が屋敷に来て早々に不気味な悪夢を見るようになったのに加えて、村に食料の買い出しに行った際に屋敷にまつわる不気味なウワサを聞かされ…

 


 田舎町の一軒家を借りて逗留することとなった一家が、そこで予想外の奇妙な現象に見舞われる…という、オカルト風味のサスペンスホラー映画。


 ケヴィン・ベーコン主演で、佳作ホラーでおなじみの『ブラムハウス』による新作ですが、設定だけ聞くといわゆる『幽霊屋敷もの』のオカルトホラーっぽいのですが、ブラムハウスの作品だけあって相変わらず一筋縄では行かないノリの作品になっています。


 お話としては『若い妻と再婚した夫が一家で田舎町の一軒家に逗留する事になるんだけど、妻へのコンプレックスと過去の事件のトラウマから妻の行動に疑惑を抱くようになっていき、更には屋敷に隠された恐るべき「秘密」の影響で予想外の事態に突入していく…』みたいな感じの展開。


 中盤ぐらいまでは、『幽霊屋敷もの』というよりも『サイコサスペンス』のようなノリが強くて、妻を疑うあまり疑心暗鬼に陥っていく主人公の姿に加えて、主人公の『過去』にまつわる秘密が徐々に明らかになって行くというような感じで、やや冗長感はあるもののキャラの掘り下げもシッカリしておりサスペンスとしては悪くない印象。


 後半では『屋敷』に隠された秘密が徐々に明らかになっていき、予想外の展開に突入していくのですが、この『屋敷の秘密』が『幽霊屋敷(オカルト)』というよりも『異次元屋敷(コズミックホラー)』的なノリの凝った内容になっており、全く先の読めない展開で一気に面白くなっていくのは良く出来ています。


 ただ先述のとおり中盤あたりまでの展開がやや冗長で。ホラー要素が少なすぎなのに加えて派手な展開も無いので、ハッキリ言ってちょっと退屈なんですよね。


 中盤以降の『屋敷の秘密』が明らかになっていく展開は非常に面白いのですが、『謎解き』で解き明かされた内容が『だから何やねん?』というようなものが多くて妙にアッサリしており、更に加えてオチに関しても中途半端な部分が多くてどうにも物足りない印象。


 プロットやら世界観やらは凄く良い感じだったと思うので、もっとホラー要素をガッツリと描いてくれれば、かなり良い感じの作品になったと思うので、なんとも残念なところですよ。


 あと個人的に本作の方向性敵には、オチに関してはもうちょっとバッドエンドテイストが強いノリの方が良かった気がするんですが、そう感じるのは自分だけですかね?

 


 総評としましては、面白い部分も多いものの『物足りなさの残るオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 ただ物足りないとは言っても、流石は『ブラムハウス』の作品だけあって捻りも効いてるうえに質は高いですし、十分に楽しめる内容という印象。


 設定やら観るべき部分も多いので、気になっているようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「メタモルフォーゼ/変身」(55点/オカルト)

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■■■「メタモルフォーゼ/変身」■■■
(55点/オカルト)


 ソヌ、ヒョンジュらの姉妹の一家は、とある事情から郊外の新居へと引っ越す事となる。


 しかし引っ越し先の燐家の住人が、夜中に異常な騒音を立てたり、窓際にネコの死体を吊るしたり嫌がらせのような異常な行動を繰り返すことから、父親が苦情を申し立てに行くが、そこで家の中に大量の動物の死体が吊るされている異様な光景を目撃。


 更にはそれ以降、彼らの家族が唐突に『別人のような暴力的な態度』を取るようになったりと異常な現象が続発。


 家の中に『家族以外の何者か』が侵入しているのではないかと疑った彼は、神父で悪魔祓いである弟のジュンスに助けを求めるが、ジュンスは過去に悪魔に取り憑かれた少女を助けられなかった事がトラウマとなり神父を引退しようとしていた…

 


 自在に姿を変えて人間を欺く悪魔に狙われた家族の味わう恐怖と、彼らを救おうとする神父と悪魔との戦いを描いた、オカルト風味のモンスターホラー映画。

 変幻自在に姿を変えて人間を欺く悪魔、いわゆるシェイプシフター(ドッペルゲンガー)を題材とした、悪魔と神父との戦いを描いたホラー映画なのですが、悪魔祓いを題材とした映画としては珍しい韓国製の作品だったりします。


 まあ、韓国でもキリスト教の神父は存在するので悪魔祓いもあるのかもしれませんが、映画としてはあまり聞いたことがないシチュエーションという印象。


 ただ、実際の中身の方は悪魔祓いを題材としたオカルト映画というよりもモンスター映画のテイストが強くて、『家族の一員に変身して家族を破滅に導こうとする怪物と家族(+叔父)』との対決を描いたモンスター映画と言った方がシックリくる印象。


 しかし『悪魔祓い映画』としてはさておき『モンスター映画』としては普通に良く出来ている感じで、家族の誰がモンスターによるの『なりすまし』なのかといった「ボディスナッチャー」的なサスペンス要素は面白いですし、見知った肉親が唐突に豹変する不気味さとか怖さなんかもなかなか上手く表現できています。


 演出としても『動物の死体だらけの隣家』の様子等、グロ目のシーンのビジュアル的なインパクトが良いアクセントになっており、全体的にやや地味なお話のなかで見どころになっているのも良い感じ。


 また中盤以降の展開のテンポの良さも悪くなくて、サクサクと観れて楽しめるのは好印象です。


 ただ、全体的なストーリーやらキャラの掘り下げやらが微妙な感じで、やや不満点になってしまっているのは残念なところ。


 主人公の家族と叔父の神父の関係性もいま一つハッキリせず、人間関係の掘り下げが薄すぎるせいで、人間ドラマ的なシーンが蛇足な印象になってしまっているんですよね。


 神父の過去のトラウマに関しても、尺を取って掘り下げた割には特に作中で解決している訳でも無いですし、キャラを掘り下げるならもう少しシッカリとやって欲しかった印象です。


 オチも『某有名作品のリスペクト』と言えばそうなのですが、ちょっと唐突なうえにありきたりな展開に感じてしまったので、もうひと捻りあっても良かったかなぁ?


 あと割とどうでも良い事ですが、神父が悪魔と戦う時に『悪魔の名前を聞き出す』という『お約束』の手番が踏襲されていなかったり、そもそも実際に韓国に『悪魔祓い』の資格を持った神父とか居るのかカトリックの『エクソシスト』は割とキチンとした資格が必要だったはず)とかもちょっと気になったけど、まあ本格的な『悪魔祓い映画』ではなくてライトなノリの作品であれば、こういうノリもアリかなあ?

 


 総評としましては、物足りない部分もあるものの『そこそこ楽しめるレベルのモンスターホラー映画』といった感じの作品ですね。


 『本格的な悪魔祓いもののオカルト映画』として見ると、ちょっとモヤっとしてしまう部分もありますが、そもそも『韓国製の悪魔祓い映画』というジャンル自体が非常にレアなので、それだけでも興味が惹かれる部分ではあると思います。


 ともあれ強く推すには弱いですが、ビジュアルの面白さとか独特のテイストとか観るべき部分もあるので、気になっているならチェックしてみても良いかもしれませんよ。

 

映画感想:「トレマーズ 地獄島」(55点/モンスター)

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■■■「トレマーズ 地獄島」■■■
(55点/モンスター)


 とある大富豪の狩猟マニアの集団が、ハンティングの獲物として南海の孤島にグラボイズを持ち込んで狩りのゲームを企画する。


 近くのバイオ企業の自然保護区で調査を行っていた責任者のジェスは、調査中に仲間の一人が怪物に襲われたことから、島に複数のグラボイズとその幼体が潜伏していることを発見。


 ベテランのグラボイズハンターであるバート・ガンマーを島へと呼び寄せるが、その島に放たれたグラボイズは遺伝子操作によって強化されたことにより、最強のグラボイズへと進化していたのだった…

 


 南海の孤島に解き放たれた、遺伝子操作によって作られた『最強のグラボイズ』とグラボイズハンターのバートが対決する…という、トレマーズ」シリーズの最新作に当たるモンスターパニック映画。


 前作のトレマーズ コールドヘル」の続編で、シリーズ7作目に当たるの正当な最新作ですが、監督もこのところ本シリーズを撮影している監督が続投しており、目新しさは無いものの安定した出来という印象の新作です。


 今回は『熱帯の孤島のジャングル』で、幼体の『シュリーカー』や遺伝子操作で作られた『超巨大グラボイズ』と戦うというのがメインの展開ですね。


 『熱帯のジャングル』で『熱探知能力を持った怪物(シュリーカー)』と戦うというシチュエーションからも分かるように、今回はプレデター」を意識したノリになっていて、作中でも映画の「プレデター」について言及していたり、狙ったような演出やオマージュがあったりするのはちょっと面白いです。


 ストーリーに関しては、相変わらず基本的にはモンスターとのバトルがメイン…というかずっとモンスターと戦っているだけみたいな印象で、ストーリーらしいストーリーは殆どなし。


 ただ登場するキャラクターは、主人公の敵役になる自信家の大富豪とか、弓の名手の女ハンターとか元ゲリラの女兵士とか、矢鱈と濃いキャラが多くて良い感じ。


 怪物も、小型のシュリーカーと大型のグラボイズの両方が別々のシチュエーションで登場することで、シチュエーション的にも飽きないように工夫されているのも好印象です。


 ただ、シチュエーションやプロットは良い感じなのですが、肝心の怪物とのバトルシーンの出来がイマイチなのは困りもの。


 殆どのシーンで、怪物が『ジャングルの中』とか『地中』に潜伏しており殆ど画面に登場しないため、襲撃シーンも戦闘シーンもどうにも盛り上がりません。


 今回は舞台が『熱帯のジャングル』という事で、遠地のロケで予算を使い切ってしまって、『肝心の怪物のCGを作るのに予算が足りなくなってしまったのかしらん?』とか邪推をしたくなってしまいます。


 特に残念な部分として、今回は『遺伝子操作で作られた超巨大グラボイズ』が敵の目玉となっているのに、肝心の『超巨大グラボイズ』が画面に殆ど登場しなくて、巨大感や迫力が殆ど感じられないのは明らかに製作上の失敗じゃないかと…


 あと、前作で登場した『バートの息子』は今回は登場せず、てっきり世代交代的なネタでもやるのかと思いきやそういう訳でもない感じだったのですが、流石にそろそろシリーズを畳むつもりなのかなぁ?


 まあ、シリーズでおなじみの砂漠、前作の極地、今回のジャングルといった具合に、シチュエーションやネタも出尽くした感じがありますし致し方ないところなのかも…

 


 総評としましては、まあまあ『そこそこ楽しめるレベルのシリーズ最新作のモンスターパニック映画』といった感じの作品ですね。


 今までのシリーズが好きならば、キャラの魅力も手伝って普通に楽しめる内容だとは思いますが、逆にシリーズを観てない人の場合は低予算で物足りない印象が強く目についてしまうかも?


 ややネタ切れ感もあるのでそこまで推すような内容でもないですが、シリーズ前作まで観ている人であれば一応『節目』となるような作品になっているので、今作も観ておいて損は無いんじゃないかと思いますよ。

 

映画感想:「ストーカー 3日目の逆襲」(60点/サスペンス)

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■■■「ストーカー 3日目の逆襲」■■■
(60点/サスペンス)


 若くして夫を亡くして未亡人となったジェシカは、人生をやり直すためにアメリカ北西部の郊外へと引っ越す事となる。


 しかし、引っ越し用のコンテナを牽引しつつ森林地帯を走行中に、以上にゆっくり走る黒い車に遭遇。
 強引に車を追い越したところ、それ以降、その黒い車は彼女の事を執拗にパッシングしたり休憩先のガソリンスタンドでも姿を見せたりと、彼女を付け回すような行動を取り始める。


 更に翌日に、その黒い車のドライバーと名乗る男性が『運転中にスマホを観ていて気付かなかった』と謝罪してくるが、男の異様な態度に恐怖を感じた彼女は男を残して逃走。


 しかし、タイヤが何者かにパンクさせられており森の中で立ち往生してしまい、更には不気味な『黒い車』が彼女の元へと出現し…

 


 ある女性が追い抜きをかけた車のドライバーが実はサイコパスの殺人鬼で、理不尽に命を狙われ続ける事となる…というサスペンススリラー映画。


 サイコパス殺人鬼と殺人鬼に狙われた女性の戦いを描いた、いわゆる低予算系のサスペンススリラーなのですが、これが意外となかなか良く出来たスリラー映画になっています。


 お話としては『とある女性が、遠地への引っ越しの途中に車で追い抜きをした相手が実はサイコパスの殺人鬼で、執拗に付け狙われたうえに襲われて拉致監禁されるものの、なんとか監禁から脱出して森の中で殺人鬼との追跡劇を繰り広げる…』みたいな感じの展開。


 タイトルに『ストーカー』と付いていますが、どちらかというと『行きずりで運悪く殺人鬼に目をつけられた』感じなので、あんまりストーカー的な要素は無いかも?


 お話の展開的には、割とオーソドックスな『監禁ものスリラー映画』といった感じなのですが、序盤からあからさまに『不審な黒い車』とそのドライバーの行動とか『不安を煽るような演出』で緊張感を盛り上げつつも、シッカリと主人公である女性のキャラの背景や心情の掘り下げが丁寧に行われており、特に派手な展開は無いものの無駄のない構成で、ストレスを感じる事なく楽しめるようなお話になっているのは良い感じ。


 中盤以降も、『監禁された小屋』から『森の中の追跡劇』へと話を展開させることで、世界観の広がりを持たせつつあまり閉塞感や退屈さ感じさせないような作りになっているのも良く出来ていますし、舞台や状況が二転三転することで先の読めないような作りになっているのも好感触。


 あと、ヒロインのキャラの掘り下げだけじゃなくて、殺人鬼のいかにも『卑劣で下衆な感じの性格』もキャラが良く立っていて、なかなか悪くありません。


 ラストの展開も予想以上に熱い感じで面白かったですし、全体的に低予算ながらもなかなか良く出来たサスペンス映画という印象でした。


 ただ、本作の最大の不満点は『なんで、こんなネタバレみたいなタイトルを付けてしまったのか…』という事。
 タイトルを見ただけで『3日目にヒロインが反撃するのか』とか『3日目までは殺人鬼に追いかけまわされるのか』というのが容易に想像できてしまい、いま一つ展開を素直に楽しむことが出来ませんでしたよ…
 (せめて『最後の反撃』とかならさておき、期日指定でのネタバレはダメだろう?(笑))


 あと中盤に若干山場となる部分が弱くて、ちょっと冗長さを感じたのも残念なところかなぁ。
 お話を盛り上げるために、もう少し殺人鬼の残虐な性格とかの掘り下げがあっても良かったかも?(過去の犠牲者の末路を匂わせるような展開とか…)

 


 総評としましては、低予算でコンパクトながらも『そこそこ良く出来た佳作レベルのサスペンススリラー映画』って感じですね。


 強く推すには弱い気もしますが総じて良くまとまった作品ですので、そういったジャンルが好きであれば普通に楽しめる内容だと思います。


 凡庸すぎる邦題のせいで埋もれそうな作品ですが、設定とかストーリーとかが気になるようであれば、チェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか?

 

映画感想:劇場にて「樹海村」を観てまいりました。

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 幼い頃に母親を亡くした天沢家の鳴と響の姉妹は、亡くなった母のトラウマを抱えたうえにコミュニケーションの苦手な妹のせいで、家族でありながらどこかギスギスとした関係を続けていた。


 ある日、彼女たちは新婚夫婦である幼馴染の輝の新居への引っ越しを手伝う事になるが、引っ越しの最中に建物の隠された地下室のような場所で響が奇妙な古びた木箱を発見する。


 それは、どこか禍々しい雰囲気を漂わせる不気味なものだった…

              *

 劇場にて「樹海村」を観てまいりました。


 清水崇監督の「犬鳴村」に続く『恐怖の村』シリーズの第二弾に当たる作品で、前作は『犬鳴トンネル』と『地図から消えた村』を題材としたネット怪談と伝承ホラーを融合させたようなノリの作品でしたが、今回も『富士の樹海にある自殺者たちが辿りつく呪いの村』と、ネット怪談として有名な『コトリバコ』を融合させたような感じで、同じようなコンセプトを継承したシリーズとなっています。


 ただ前作に比べてテイストの違いとしては、前作はタイトルどおりに『犬鳴村』がメインの題材としてお話が展開していく感じだったのに対して、本作では『樹海村』よりも『コトリバコ』がメインの題材として描かれており、『恐怖の村』の話というよりも『コトリバコの呪いに魅入られた姉妹』のお話になっている感じです。


 この『コトリバコ』が題材になっている事によって、前作よりもオカルト臭が非常に強くなった雰囲気になっており、前作よりも『ホラーらしさ』がパワーアップしているのはなかなかに良い感じ。


 割と序盤からアメリカ映画かよ!』とツッコミたくなるような暴走トラックが登場したり霊の集団が登場したりと、恐怖描写やビックリ描写がだいぶ強めになっていて楽しませてくれます。


 また『怖い絵面』に定評のある清水監督だけあって、霊が大量に出現してもあまり安っぽい感じの絵面にならず、ビジュアル的にはしっかりと怖さを感じさせてくれるのは流石という印象。


 ただ演出やら雰囲気やらはホラーテイストが強くなって良くなったのですが、設定やらキャラやらが全体的に説明不足なうえにゴチャゴチャしすぎてて、お話がちょっと分かり辛いのは困りもの。


 特に、本作では『コトリバコ』がメインの題材となっているのですが、『コトリバコ』に関する説明があまりなくて、元ネタとなるの怪談を知らないとお話がどうにも分かりにくい雰囲気があるんですよね。


 それに加えて、全体的に説明不足なシーンやら唐突な展開のシーンも妙に多くて、どうにもお話にグテグテ感がある印象。


 もともと清水監督の作品は割と説明不足な事が多い印象ではあるのですが、流石に本作は度が過ぎていると思うので序盤にもうちょっと『コトリバコ』や主人公姉妹の過去に絡んだ設定とかの説明があっても良かった気がしますよ…


 まあ説明不足に関しては、ある程度は『狙って難解にしている』ような雰囲気もあるのですが、特に序盤は分かり難いのに加えて主人公の一人(妹)があまりにもコミュ障すぎるせいで話が前に進まなくて、ちょっとイライラさせられてしまいました。


 あと、明らかに『殺される要員』として登場した『ネット配信者とその取り巻き』みたいな人たちは、お話への絡み方があまりにも唐突で無理やり感があったので、もうちょっとマトモな絡ませ方は出来なかったのかと?
 (弱気な主人公の妹があのバカみたいなメンツと合流するとは思えないし、ぶっちゃけウザすぎてちょっとイライラしました。)


 主人公たちの母親も『なんで樹海に子供たちを連れて行ったんだよ!?』とか意味不明の行動が多くて、なんか色々とツッコミどころが多いです。


 まあでもストーリーとかにグテグテ感が強い部分はあったものの、勢いのある残虐描写やホラー演出は悪くありませんでしたし、ラストのトンデモ展開も前作よりもパワーアップしてた感じでしたし、この調子でパワーアップしていってくれるなら、まあまあ『こういう路線もアリ』なシリーズでは無いかと?


 もし次回作があるなら、もっとトンデモテイストを強化して「巨頭オ(村)」辺りを題材にして新作を制作して欲しいところですよ。(笑)

 


 総評としましては、悪くない部分もあるものの『ちょっとグテグテすぎて物足りなさの残るオカルトホラー映画』というのが正直な感想ですね。


 前作の「犬鳴村」のイキオイ重視のバカっぽい部分が好きであればまあまあ本作も楽しめる内容ではあると思うので、気になっているならチェックしてみても良いかもしれません。


 逆に謎解き要素やらシリアスなオカルト要素を求めているのであればいま一つに感じてしまうかもしれませんので、あまりオススメできない内容かも…
 (正直、イキオイはパワーアップしてるけど、ストーリーに関しては前作の方が良かったです。)