NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード」(50点/モンスター)

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■■■「アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード」■■■
(50点/モンスター)


 ゾンビウイルスによって文明が崩壊した近未来。
 わずかに生き残った人々は『コミューン』を形成し、ゾンビの襲撃から逃れて息をひそめながら生活していた。


 元ギャングの殺し屋で、コミューンの治安維持を担当する『ザ・ドライバー』は、裏切者や犯罪者の粛清といった汚れ仕事をこなしながら、妻と幼い娘と共に静かに暮らしていたが、そんなある日、コミューンの内部で反乱が発生。
 激しい銃撃戦と混乱に乗じて侵入してきたゾンビの群れによって、コミューンは崩壊してしまう。


 混乱のさなかで妻を失った『ザ・ドライバー』は、残された娘と共に愛車に乗っての脱出に成功するが、彼自身が襲撃の際に傷を負ってしまいゾンビウイルスに感染している事が判明。


 人間としての意識のあるうちに娘に『ゾンビと戦うための技術』を仕込みながら、北にあると言われている生き残った人間たちのコミュニティである『安息地』を目指して旅を開始するが…

 


 ゾンビのパンデミックによって崩壊した世界で、元殺し屋の男が『安息地』を求めて娘と共に車で旅をする…という、ゾンビものサバイバルホラー映画。


 『元殺し屋の父が、ゾンビに噛まれて残り少ない時間を用いて娘に戦闘技術を教えながら旅をする』という、ロードムービー風味のモンスターホラー映画です。


 なんとなくどこかで聞いたようなプロット…というか、なんとなく「ステイク・ランド 戦いの旅路」を髣髴(ほうふつ)とさせるような設定のお話ですが、実際の中身の方もそういう方向性を意識して作られたような作品という印象。


 お話としては、序盤の『内部分裂とゾンビ襲撃によるコミュニティ崩壊』を描くパニック映画的なノリの話から、中盤以降の『親子の絆を描いたロードムービー的な展開』へと物語が展開して行くのですが、なんというか全体的に地味な作りで『いかにもな感じの低予算ホラー映画』というのが正直な感想。


 パニックシーンも銃撃戦シーンもゾンビ襲撃シーンも全体的に妙にモッサリした感じで、特撮も地味なためどうにも迫力がありません。


 また地味なのに加えて、襲撃シーンもアクションシーンも『どこかで観たようなシーン』の連続で矢鱈と既視感を感じてしまうようなノリのうえに、主人公の見た目も『ジェイソン・ステイサムをショボくしたような感じ』(ドライバー繋がりでステイサムなのか?)なせいで、元ネタよりもショボい部分ばかりがどうにも目についてしまいます。


 他の作品をインスパイアするのは良いのですが、キャラクターとか世界観にはもう少しオリジナリティを持たせた方が良かったんじゃないかなぁ?


 ただ、中盤以降のロードムービー部分はテンポは遅めなものの、なんとかして今まで娘のために何もしてやれなかった殺し屋の父が『娘に自分の持てるものを残そう』と努力する姿や家族愛的なものが丁寧に描かれており、意外と悪くありません。


 終盤の展開も思ったよりも盛り上がりますし、ラストも良い話的な感じの締めで悪くないですし、オチの落としどころなんかは意外と良く出来ている印象。


 全体的に『もうちょっと予算があって、派手にテンポ良く作る事が出来てればなぁ』と感じる部分が多い、ちょっと残念な作品でしたよ。

 


 総評としましては、悪くは無いんだけど『どうにも盛り上がりに欠けるロードムービー風味のソンビパニック映画』って感じの作品ですね。


 ロードムービーもののソンビ映画とかが好きであれば、まあまあ楽しめる内容ではあると思いますので、そういうジャンルが好きであればチェックしてみても良いかもしれません。


 強く推すほどではないですが割とスッキリと楽しめる作品ではあるので、気になるようであれば暇つぶし程度に観ておいても損の無い一本だと思いますよ。

 

 

映画感想:「ブラック・クローラー」(40点/モンスター)

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■■■「ブラック・クローラー」■■■
(40点/モンスター)


 冒険マニアのカップルであるエリックとジェンは、地元ガイドであるキャッシュのツテでオーストラリア北部のジャングルで新発見された洞窟へと、友人たちと共にケイビングに出かける事となる。


 前人未到の洞窟の探検に胸を躍らせる彼らだったが、彼らが地底湖に到達した頃に折り悪くその地域に嵐が襲来。
 地下へと流れ込んできた濁流によって地底湖は増水し、彼らが侵入してきた通路が水没してしまう。


 更に水の勢いは止まず、洞窟が完全に水没する危険性を察知した彼らは何とかして洞窟から脱出しようとするが、その地底湖には巨大な人食いアリゲーターが潜んでいる事が判明し…

 


 地底洞窟に探検中に嵐に遭い水没の危機にさらされた若者たちが、更には洞窟の地底湖に潜む巨大ワニによって命を狙われる…という、サバイバル風味の生物パニック映画。


 なんとなく『どこかで聞いたようなタイトルだな』と思って調べてみたところ、原題は「BLACK WARTER:ABYSS」となっており、どうやら2007年に作られたオーストラリア製のワニ映画である「ブラック・ウォーター」の続編に当たる作品のようです。
 (監督も「ブラック・ウォーター」と同じ人が撮っているので間違いないかと…)


 わざわざ前作から邦題のタイトルを変えなくても、原題どおり「ブラック・ウォーター:アビス」でいいやん…って気がするのですが、まあその辺は販売会社の関係とかの『大人の事情』という奴でしょうか?


 前作は『ツアー中にボートが沈没して木の上に取り残された女性が巨大ワニの脅威に晒される』みたいな感じの内容でしたが、今回は『洞窟探検に来た若者たちが巨大ワニの脅威に晒される』という感じの内容で、狙った訳では無いのでしょうが海底47m」と続編である「海底47m 古代マヤの死の迷宮」の関係性と同じようなプロットになっています。


 そんな訳で、どうしてもそちらと比較してしまいたくなるのですが、本作に関して率直な感想を述べるなら『とにかく地味な生物パニック映画』というのが正直な印象です。


 前作も割と地味な内容ではあったのですが、前作は『実話を元にしたストーリー』みたいな設定のため、『地味であること』に対しての説得力があったのですが、本作はそういうハッタリ的な設定もないうえに、むしろ前作よりも低予算になっている雰囲気すらあるため、単純に『地味な映画』という部分が際立つ感じになってしまっているのは困りもの。


 お話の流れとしては、序盤の『洞窟探検パート』から、中盤以降は人食いワニの出現する『生物パニック映画』へとストーリーが展開していくのですが、『洞窟探検パート』の辺りから洞窟探検がモチーフの割にはあまり閉塞感やら緊張感が無くて、この時点から既にどうにも盛り上がりません。


 前作は『オーストラリアの広大な自然』やら『不気味に静まり返る湿地帯』の様子が美しく描かれていたのに、今回の映画では『特に見どころの無い小さい洞窟』ぐらいの感じになってしまっており、ロケーションの時点で既にスケールダウンしてしまっている印象。


 加えて主人公たちを襲う巨大ワニも、そもそもの出番があまり無いうえに出てくるシーンも大半が『水中にチラっと姿が見える程度』で、全く迫力が無いんですよね。

 そのせいで、映画を観ていて『ロケーションも特撮も、今回は予算が足りなかったのかな…』という気の毒な感じの気持ちしか湧いてこないのは困りものという感じ。


 ホラーやパニック部分が地味なのに対して、主人公たちのキャラの掘り下げなんかは割とシッカリとされており、ドラマとしてそこそこ面白い内容になっているのは悪くありません。


 ただ、ドラマとして『主人公カップルの痴情のもつれ』的なものを描くのは良いのですが、その内容が本編の流れに特に活かされている訳でも無く、ただ単に『カップルの破局の様子を見せられて微妙な気分になるだけ』みたいな構成なのはいかがなものかと…


 一番盛り上がるべき終盤の脱出シーンもやけにアッサリしてますし、ラストの展開もちょっと蛇足な感じでしたし、どうにも全体的にイマイチ感の漂う作品でしたよ…

 


 総評としましては、『地味で盛り上がりに欠ける生物パニック映画』としか言いようが無いような作品です。


 『生物パニック映画』と洞窟探検を描いた『冒険サパイパル映画』のハイブリッドとしては、どちらで観ても盛り上がりに欠ける内容ですので、プロットを観て期待して鑑賞すると肩透かしを食らわされるかも?


 ただ、とんでもない駄作というレベルでもなくて、観れるレベルなんだけど『全体的にイマひとつ』というのが最もシックリ来る評価の作品ですので、気になるようであれば片手間程度にはチェックしておいても良い作品かもしれませんよ。

 

映画感想:「ウィッチサマー」(65点/モンスター:オススメ)

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■■■「ウィッチサマー」■■■
(65点/モンスター:オススメ)


 高校生のベンは、夏休みを利用して離婚して別居中の父に会うために湖畔の田舎町を訪れる。


 そこで隣家の少年であるディロンと知り合うが、彼は『母親のアビーの様子が突然おかしくなった』と異様に怯えており、ベン自身もディロンの母親の異様な行動を目撃したことから、アビーに疑いを抱くようになっていく。


 更に数日後、ディロンが唐突に行方不明になるが、彼の父親は『ディロンの存在自体を全く覚えていない』という異様な事件が発生。


 ディロンを探すために隣家に侵入した彼は、『アビー』が魔女によって身体を乗っ取られている事に気付くが…

 


 夏休みに湖畔の田舎町に訪れた少年が、隣家の母親が魔女だと気づきその家の子供を救うために奮闘する…という、オカルト風味のモンスターホラー映画。


 特に注目作といった感じでも無かった作品ですが、なかなかどうして非常に良く出来た佳作モンスター映画って感じの作品です。


 いわゆる『魔女』を題材としたオカルトホラー映画なのですが、どちらかというと『魔女』というより『妖怪』とか『邪悪な妖精』みたいなのが題材となった、モンスターホラー映画といった感じの印象。

 (欧米は『魔女』とか『悪魔』のカテゴリーに含まれる存在が異常に広いので…)


 お話としては『とある男子高校生が夏休みを過ごすために湖畔の田舎町に訪れるんだけど、隣家の少年の母親が異様な行動を取っていることに気づき、更には少年が行方不明になるも「自分以外は少年の存在を覚えていない」という異常な事態が発生し…』みたいな感じの展開。


 実は隣人が怪物でその正体に一人の少年だけが気付くんだけど、周りの大人たちからは誰からも信じて貰えない…という、割と『青春モンスターホラー』のテンプレート的な流れのお話ですね。


 作中に登場する『魔女』の異様さがなかなか際立っており、魔女のビジュアルがもうハチャメチャに不気味で怖いのがなかなか良い感じ。


 ストーリー的には『少年がいかにして魔女と戦っていくか』といった部分がメインの展開となっているのですが、更にこの魔女が他人の『記憶』や『精神』を操作する能力まで持っており、『絡め手』まで使って攻めてくるため全く先の展開が読めないのも面白いです。


 序盤はちょっと地味な展開が続くのですが、この魔女のビジュアルの怖さやら、森に囲まれた湖畔の町の雰囲気やらが良い味を出しているため、特に退屈せずに観れる雰囲気なのも悪くありません。


 主人公や周辺のキャラの掘り下げも良く出来ており、主人公が確執を抱く別居中の父との関係やら、終盤でお話に絡んでくるヒロインとの関係性がシッカリと描かれてるのも良く出来ています。
 (まあ青春ドラマ的な要素のシーンは、若干中だるみする雰囲気もありましたが…)


 終盤の展開もなかなか熱いですし、『キレイなオチなんだけど不気味さが後を引く』ようなオチの落としどころも上手いですし、全体を通してかなりお手本的なレベルのモンスターホラー映画という感じ。


 ただ不満点を挙げるとしたら、中盤で主人公が『魔女の正体』を探る流れが『ネットでなんとなく調べる』程度で、矢鱈とアッサリしてるのは気になったところかなあ…
 もうちょっとシッカリとしたバックボーンのようなものがあった方が、怪物の存在に箔がついて良かったと思います。


 あと、終盤のちょっとした『ドンデン返し的な展開』は矢鱈と唐突な印象があったので、もうちょっとシッカリとした伏線があっても良かったかも?

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのオカルト風味のモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 派手な要素は少ないのでやや物足りなさもあるものの、ティーンエイジャーが主人公のモンスターホラー映画とかが好きであれば、割とハマれる要素の多い映画だと思います。


 普通に良く出来た作品でしたので、良作オカルト映画やらモンスター映画を求めているのであればチェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか?

 

映画感想:「スリー・フロム・ヘル」(45点/アクション)

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■■■「スリー・フロム・ヘル」■■■
(45点/アクション)


 連続殺人鬼として知られる殺戮一家のスポールディング、オーティス、ベイビーらの3人は、包囲された警官隊から何十発もの弾丸を浴びせられながらも奇跡的に生存。


 傷から回復した彼らは裁判で死刑を求刑されて、死刑囚として刑務所に捕らえられていた。


 3人のうち、長男のスポールディングは予定通りに死刑が執行されるが、オーティスとベイビーは、腹違いの兄弟であるフォクシーの手引きによって刑務所長らを殺害して脱獄。


 メキシコへと向かって警察の追跡から逃れた彼らだったが、彼らに恨みを持つ地元のギャングが3人が町に訪れた事に気づき…

 


 マーダー・ライド・ショー」の殺人一家が、刑務所から脱獄しメキシコへと逃走して大騒動と殺戮ショーを繰り広げる…という、バイオレンスホラー映画。


 ロブ・ゾンビ監督のマーダー・ライド・ショー」、「デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2」に続く、シリーズ第三弾となる新作ですね。


 ロブ・ゾンビといえば、割と基本を押さえた感じのスラッシャーホラー映画を撮る監督という印象だったので、本作も今までのシリーズと同様に『殺戮一家』の暴れ回る基本に忠実なスラッシャーホラーになるかと思いきや、今までとは結構毛色が違う感じのノリになっています。


 お話としては、『死刑を求刑されて刑務所に入れられた「殺戮一家」の3人が刑務官の隙をついて刑務所から脱走し、メキシコへと逃亡して逃亡先でも新たなトラブルを繰り広げる…』みたいな感じの展開。


 序盤はいつもどおりの『サスペンス風味のスラッシャーホラー』みたいなノリなのですが、中盤のメキシコへと向かってからはバイオレンスアクション…というか、悪趣味系のマカロニウエスタンみたいなノリになっています。


 まあ、タイトルからし「スリー・フロム・ヘル(地獄から来た三人衆)という、マカロニウエスタンを意識したみたいなタイトルが付いているので、そういう方向性を狙って作られたのだとは思いますが、今までのシリーズのファンとしては今までと方向性が変わってしまって、なんか『拍子抜け』というのが正直なところ。


 今回は、バイオレンスアクションの方向性に舵を切るために、主人公たち3人のキャラがかなりシッカリと掘り下げられているのですが、今までのシリーズでスラッシャーホラーで人間性の感じられない『冷酷な殺人鬼』をやっていた面々なのに、本作ではあまりに喋り過ぎるせいで『人間味が強くなりすぎてしまい、怖くなくなってしまっている』のは弊害と言えるかも?


 肝心の中身の方は、前半の『サスペンスホラー』部分後半の『バイオレンスアクション』部分もそこそこ良く出来ており、どちらの残虐ファイトっぷりも悪くは無い感じではあるのですが、ややどっち付かずになってしまった印象があるんですよね。


 特に、主人公たちがメキシコに到着した中盤あたりの展開が少しダルくて、尺も全体的に長めになってしまっているせいで、どうにも冗長さを感じてしまうのは残念なところ。


 ここまでマカロニウエスタン的なノリを推すのであれば、前半の脱走部分はもっと簡潔に短くまとめてしまっても良かったかも?


 ダニー・トレホがチョイ役…と思わせて割と重要な役で出てたりと、ネタの仕込みなんかは悪くない部分も多いんですけどね…

 


 総評としましては、ややテンポの悪さが気になる『ウエスタン風味のバイオレンスアクション映画』って感じの一本ですね。


 純粋にバイオレンス映画として観るならそこまで悪くは無いのですが、「マーダー・ライド・ショー」シリーズの新作として観ようとすると、ちょっと肩透かしを食らってしまうような内容かも?


 まあ出来が悪い作品ではないので、ロブ・ゾンビ監督のファンで気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「新感染半島 ファイナル・ステージ」(70点/モンスター:オススメ)

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■■■「新感染半島 ファイナル・ステージ」■■■
(70点/モンスター:オススメ)


 謎のゾンビウイルスのパンデミックにより韓国が壊滅してから4年。


 なんとか脱出に成功したもののパンデミックのパニックで家族を死なせてしまった元軍人のジョンソクは、亡命先の香港で荒れに荒れて廃人のような生活を送っていた。


 そんなある日、彼の元に地元のマフィアから『韓国でパンデミックの際に放棄された現金輸送車から2000万ドルを持ち帰る』という仕事の依頼が舞い込む。


 彼はチームとともに、文明が崩壊し封鎖された韓国へと再び訪れるが、そこはゾンビの群れが徘徊し、ゾンビだろうと人間だろうと見境なく襲う、狂気に囚われた民兵集団『631部隊』によって支配された地獄のような場所と化してしたのだった…

 


 ゾンビパンデミックによって崩壊した韓国で、放棄された現金輸送車を盗もうとした男たちがゾンビや狂気の民兵集団と戦う事になる…という、韓国製のゾンビものモンスターホラー映画。


 一応、前作である新感染 ファイナル・エクスプレスの正当な続編となっていますが、あまり前作とのストーリー的な繋がりとかは無いので、特に前作を観ていなくても問題のない内容となっています。


 お話としては、『韓国がゾンビウイルスのパンデミックで崩壊してから4年後、パンデミックを生き残り香港に亡命した元兵士の男が地元のギャングの依頼で「放棄された現金輸送車」から現金を盗み出すために再び韓国を訪れるが、ゾンビの群れと謎の武装集団に襲われて危機一髪のところを生き残りと思しき母娘によって命を救われ…』みたいな感じの展開。


 『災害やパニックによって放棄された場所から現金を盗み出す』という、どこかで聞いたような設定の、ある意味で『パニック映画の続編』のテンプレート的な作品ですが、実際の中身の方も『どこかで観たようなシーンの連発』である意味で『めちゃくちゃ既視感のあるアクションホラー映画』って感じの作品に仕上がっています。


 ただ、『どこかで観たようなノリ』だからツマんないかというとそういう訳ではなく、むしろ『お手本的なレベル』で良く出来た続編に仕上がっている印象。


 『正統派パニックホラー』という感じだった前作に対して、続編はアクション重視の内容になっており、ゾンビ軍団を相手にアクションを繰り広げる主人公たちの様子が非常にテンポ良く軽快に描かれています。


 とにかく、制作者の『とにかく視聴者を楽しませよう』という気概が明確に感じられるアクション作品で、登場する要素も『ゾンビ軍団』に加えて『狂気に駆られて街を支配する武装集団』やらが登場。


 ゾンビとの戦闘シーンに加えて、銃撃戦やらカーチェイスやらとひたすらに盛りだくさんの内容で、更にはストーリーの動きの少ない場面では武装集団が捕虜をゾンビに襲わせる殺戮ショー』みたいなシーンも導入されたりして、一時も絶やさず視聴者を楽しませ続けようとして作られてるのが感じられるのは良い感じ。


 他のゾンビ映画やらゾンビゲーム、アクション映画等へのオマージュやらリスペクトの具合も凄まじくて、特にゲームのLEFT 4 DEADを意識したと思われるシーン(照明弾やら車のアラームでゾンビを集めるシーンやらラストの脱出シーン等)は、『この監督はL4Dが大好きなんだな』という事が如実に感じられて、ゲーム好きならちょっと嬉しくなってしまいます。


 アクションホラー映画としてのバカ度(誉め地言葉)もなかなか高めで、ジョン・ウィックかよ?』とツッコミを入れたくなるような主人公の超人っぷりや、ワイルド・スピード」ばりのカーチェイスを繰り広げる小学生といった無駄に濃いキャラたちも良い味を出しています。


 特に終盤の、武装集団とゾンビの大軍を巻き込んだ『ゾンビカーチェイスのシーンに関しては、『このシーンのためだけに本作を観ても良いかも?』というレベルのバカさ加減と迫力で一見の価値アリ。


 ただ、全体的に『非常に良く出来たアクションホラー映画』なのですが、やや不満点を挙げるとしたら『オマージュ的なノリのシーン』が多すぎるせいで、ほぼ全てのシーンが『どこかで観たようなシーン』の連発で、いま一つ目新しさが感じられないのは残念なところかも?


 もう少し『本作ならではの個性』みたいなものがあっても良かったんじゃないかなぁ…


 あと『前作から4年後』という設定の割には、街の荒廃度がどう見ても『文明崩壊から50年ぐらい経過してそう』な感じなのはいかがなものかと?(笑)
 (まあ、文明の荒廃した「マッドマックス」的なノリを出したかったんでしょうけど…)

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『派手で見ごたえのあるゾンビものアクションホラー映画』って感じの作品ですね。


 ゾンビもののアクション映画としては結構予算もかかってそうな内容ですし、主人公たちが『ゾンビ相手に大暴れ』するタイプの頭の悪い(誉め言葉)系の作品が観たいのであれば、普通にオススメできる一本ではないかと思います。


 逆に、前作のような『正統派パニックホラー』的なノリに期待していた場合は、本作では『怖い要素は殆ど無いレベル』なので、肩透かしを食らわされてしまいそうなのは注意が必要かもしれませんよ。

 

映画感想:「アース・フォール JIU JITSU」(55点/アクション)

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■■■「アース・フォール JIU JITSU」■■■
(55点/アクション)


 ビルマの近海で、記憶を失ったまま漂流していたところを回収された米兵のジェイクは、スパイの容疑をかけられて米兵に拘束されていたところを、同じ『使命』を持つという仲間たちによって救出される。


 仲間たちによると、彼は地元の伝説で6年に1度、彗星と共に現れるという『死の戦士』と呼ばれる、凶悪で異常なまでに好戦的なエイリアンと戦うという驚くべきものだった。


 カンフー、ムエタイ柔術…等、それぞれの武術を極めた戦士たちは、エイリアンに力を示して撃退すべく戦いを挑み、やがてジェイクは失われていた記憶を取り戻していくが…

 


 6年に一度、ビルマのジャングルに彗星と共に出現するエイリアンの戦士と選ばれし人間の戦士たちとの戦いを描いた、バトルアクション映画。


 数年前に「アース・フォール」という同じようなタイトルの作品が発売されていたようですが、当然のごとくそちらの作品とは何の繋がりも無くて、原題の方は「JUI JITSU(柔術)」という直球ストレートなタイトルの付いたなんとも分かりやすい方向性の作品です。


 一応はニコラス・ケイジトニー・ジャーがキャストとして共演しており、B級作品としては割とビッグネームの出演しているタイトルなのですが、内容の方はいかにもな低予算全開のアクション映画という印象。
 (というか『柔術』が題材なのに、セガールではなくてニコラス・ケイジが出演しているという辺りに微妙な違和感が…(笑))


 お話に関しては『交戦的な宇宙人の戦士と選ばれし人間の戦士が、ジャングルの奥地で命がけで戦う』という、まあどこかで効いたような設定…というか『まんま「プレデター」のオマージュ(というかパクリ)やんけ!!』としか言いようが無いようなプロットですし、登場するエイリアンも最初はステルス能力で姿を隠していたり、熱源感知で相手の位置を探したり、手裏剣状の飛び道具を投げて攻撃してきたりと、あんまりにも『まんまプレデター』な部分が多すぎて『おいおい大丈夫かよ!?』とツッコミを入れたくなるレベル。


 というかここまでやるるなら、いっそ20世紀フォックスからプレデターの版権を使わせて貰って、普通に『外伝』とかにして製作した方が良かったんじゃ…


 まあプレデター」のパクリ要素に関してはさておき、実際の映画の中身に関してですが、こちらの方も本家に負けないレベルでビックリするほど内容の無い作品で、一言で言ってしまうなら『90分間格闘ショー』みたいなノリの映画という感じ。


 ストーリーらしいストーリーは殆ど無くて、映画の大半のシーンが主人公たちが『米兵と戦っている』か『エイリアンの戦士と戦っている』かのどちらかという塩梅。


 ただ、それだけにアクションシーンにはなかなか力が入っていて、カンフー、ムエタイ柔術、剣術、棒術、ナイフ格闘術、ヌンチャク、トンファー…といった、素手から武器まで各種要素を取り揃えたガチンコ近接バトルの連続で、様々な武器や武術を使いこなす謎の宇宙人と主人公たちの戦闘シーンは、なかなかに見ごたえがあります。
 (なんで宇宙人がそんなもの使いこなせるかというと、一応『宇宙人が地球に格闘技を伝えた』みたいな設定らしい。)


 ただ、ストーリーがあまりにも無さすぎるせいで主人公たちが戦ってるシーン以外はぶっちゃけ退屈で、映画の殆どが格闘シーンなのに『それでもちょっと冗長に感じてしまう』という雰囲気なのは困りもの。


 また設定に関しても無理のある部分が多すぎで、まず宇宙人の地球を訪れるサイクルが『6年に一回』って、『いくらなんでも地球に来すぎだろ、オリンピックかよ!?』ってレベルですし、6年に一回接近する彗星って『どんだけ地球に近い軌道を回ってるんだよ?』ってレベル。(というか、それたぶん彗星じゃないよね?)


 他にも『宇宙人と地球の戦士が戦って力を示せないと人類が滅亡させられる』みたいな設定もあるみたいなのですが、ホントに6年サイクルで来てたのなら今まで何度も地球が滅亡させられてるだろ?って感じですし、こんなに内容の無い話なのにツッコミどころが多すぎ…


 アクションシーンの見せ方に関しても、妙にブツ切り的でテンポがあまり良くないですし、ラストもいま一つ盛り上がらない感じでしたし、アクションシーン以外の演出やらストーリーにももう少しぐらい力を入れた方が良かったのでは…と言いたくなってしまうような作品でしたよ。

 


 総評としましては、『いま一つ退屈で盛り上がりに欠けるバトルアクション映画』というのが正直な感想です。


 アクションシーンとしてはそこそこ見どころがある内容なのですが、それ以外の部分がダメダメすぎでどうにも微妙な印象を抱いてしまうような作品でしたよ。


 まあ、格闘シーンやアクションシーンのみを観る分にはそこそこ楽しめるレベルではありますので、『エイリアンの戦士と人間戦士のガチンコ格闘バトル』といった部分が気になるようであれば、それなりにオススメできる一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ズーム/見えない参加者」(60点/オカルト;結構オススメ)

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■■■「ズーム/見えない参加者」■■■
(60点/オカルト;結構オススメ)


 コロナウイルスの影響でロックダウン中のイギリス。


 いつもZoomでやり取りしている5人の仲良しの少女たちは、メンバーの一人であるヘイリーの提案で、霊媒師を招待してオンラインでの「Zoom交霊会」を開催する事となる。


 霊媒師の女性をチャットルームに招き、いつものオンライン飲み会のノリで降霊会を始めた彼女たちだったが、霊媒師の指示に従って降霊を進めるうちに、奇妙な物音がしたり、家具が勝手に動いたりと各々の部屋で奇妙な現象が起こり始め、更には霊媒師との回線の接続が途切れてしまい…

 


 5人の少女たちが興味本位からZoomで霊媒師を招いて『オンライン降霊会』を開いたところ、予想外の『何者か』が呼び出されてしまい…といった感じの、オカルトホラー映画。


 最近、低予算映画の手法としてちょこちょこと見かけるようになった、オンライン通話等の『PCの画面のみ』を映して作られたタイプのオカルトホラー映画ですね。


 この手の作品って特別な技術とか撮影機材が殆ど必要ないため、お手軽に低予算で作れるのが制作者側からしたら魅力なのだと思いますが、映像の見せ方とか脚本の組み立てとかによっては恐ろしく退屈な映画にもなってしまうので、監督や製作者のセンスが問われる部分の多いジャンルだと思うのですが…


 本作は、低予算の割にはなかなかどうして意外に良く出来た良作オカルト映画って感じの作品でした。


 お話としては、『とある少女たちのグループが興味本位で霊媒師を招いてオンライン降霊会を開くんだけど、メンバーの一人がふざけて儀式を行ってしまった事から予定外の悪霊が呼び出されてしまい恐るべき事態に発展していく…』みたいな感じの展開。


 プロットそのものはありふれた感じなんだけど、演出やら怖がらせ方が上手くて非常に丁寧に作られている印象で、とにかく各シーンの『間の取り方』やら『見せ方』が上手いんですよね。


 恐怖シーンの、『さあ来るぞ来るぞ…』といった具合に盛り上げる『溜め』の作り方が良く出来ていて、予定調和的な恐怖シーンなんだけど普通に怖がらせて楽しませてくれます。


 恐怖演出も『チラっと何かが映り込む』とか『物が動く』といったお約束的な物に加えて、『見えない足跡が追いかけてきたり』とかシーンごとに色々と凝った演出が用いられており、加えて後半では意外と派手な演出なんかもあったりして観ていて飽きない作りなのも良い感じ。


 基本的には『ショッカー演出』的な驚かせ方や怖がらせ方のシーンが多いのですが、このビックリ演出もそこまで過剰じゃなくて『静と動』のバランスが取れており、非常にバランス感覚が優れたスタッフによって作られた映画という印象です。


 また、オンラインチャットらしく、唐突に画面が固まって静かになったり、メンバーの一人が離籍してる間に何かが起こったり…といった具合に『ネット通話っぽいリアルさ』があるのもなかなか良く出来ていますし、盛り上がるシーンでは犠牲者の画面がアップになったりと、なかなかにソツのない見せ方を意識した作りなのも好感触。


 ただ良く出来ているとはいっても、やはり低予算映画ですのでZoomの画面を使った特撮なんかはやっぱりショボ目でちょっと迫力不足。
 『オンラインチャットの画面』なので画像が荒くても許されるというのを上手く逆手には取っているものの、映像的には少し物足りない部分があります。


 また、ストーリーも終盤はちょっとグダグダ気味で、オチもいわゆる『投げっぱなしオチ』なので、シッカリとしたオチの無い作品が嫌いな人には不満点かも?


 あと、ラストの『ドキュメンタリー風の映像』は、アイデアは悪くないと思うのですが妙に尺が長くて間延びした印象だったので、オマケ映像を入れるならもうちょっとコンパクトにまとめた方が良かったかも…

 


 総評としましては、低予算ながらも『なかなか良く出来た良作オカルトホラー映画』といった感じの作品ですね。


 Zoomのチャット画面を使った『一発ネタ』的な印象の作品ではありますが、そういったアイデア作品的なノリが嫌いじゃなければ普通に楽しめる内容だと言えるでしょう。


 とりあえず、オカルトホラーが好きで設定とか気になるようであれば割とオススメできるレベルの、チェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。