■■■「アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード」■■■
(50点/モンスター)
ゾンビウイルスによって文明が崩壊した近未来。
わずかに生き残った人々は『コミューン』を形成し、ゾンビの襲撃から逃れて息をひそめながら生活していた。
元ギャングの殺し屋で、コミューンの治安維持を担当する『ザ・ドライバー』は、裏切者や犯罪者の粛清といった汚れ仕事をこなしながら、妻と幼い娘と共に静かに暮らしていたが、そんなある日、コミューンの内部で反乱が発生。
激しい銃撃戦と混乱に乗じて侵入してきたゾンビの群れによって、コミューンは崩壊してしまう。
混乱のさなかで妻を失った『ザ・ドライバー』は、残された娘と共に愛車に乗っての脱出に成功するが、彼自身が襲撃の際に傷を負ってしまいゾンビウイルスに感染している事が判明。
人間としての意識のあるうちに娘に『ゾンビと戦うための技術』を仕込みながら、北にあると言われている生き残った人間たちのコミュニティである『安息地』を目指して旅を開始するが…
ゾンビのパンデミックによって崩壊した世界で、元殺し屋の男が『安息地』を求めて娘と共に車で旅をする…という、ゾンビものサバイバルホラー映画。
『元殺し屋の父が、ゾンビに噛まれて残り少ない時間を用いて娘に戦闘技術を教えながら旅をする』という、ロードムービー風味のモンスターホラー映画です。
なんとなくどこかで聞いたようなプロット…というか、なんとなく「ステイク・ランド 戦いの旅路」を髣髴(ほうふつ)とさせるような設定のお話ですが、実際の中身の方もそういう方向性を意識して作られたような作品という印象。
お話としては、序盤の『内部分裂とゾンビ襲撃によるコミュニティ崩壊』を描くパニック映画的なノリの話から、中盤以降の『親子の絆を描いたロードムービー的な展開』へと物語が展開して行くのですが、なんというか全体的に地味な作りで『いかにもな感じの低予算ホラー映画』というのが正直な感想。
パニックシーンも銃撃戦シーンもゾンビ襲撃シーンも全体的に妙にモッサリした感じで、特撮も地味なためどうにも迫力がありません。
また地味なのに加えて、襲撃シーンもアクションシーンも『どこかで観たようなシーン』の連続で矢鱈と既視感を感じてしまうようなノリのうえに、主人公の見た目も『ジェイソン・ステイサムをショボくしたような感じ』(ドライバー繋がりでステイサムなのか?)なせいで、元ネタよりもショボい部分ばかりがどうにも目についてしまいます。
他の作品をインスパイアするのは良いのですが、キャラクターとか世界観にはもう少しオリジナリティを持たせた方が良かったんじゃないかなぁ?
ただ、中盤以降のロードムービー部分はテンポは遅めなものの、なんとかして今まで娘のために何もしてやれなかった殺し屋の父が『娘に自分の持てるものを残そう』と努力する姿や家族愛的なものが丁寧に描かれており、意外と悪くありません。
終盤の展開も思ったよりも盛り上がりますし、ラストも良い話的な感じの締めで悪くないですし、オチの落としどころなんかは意外と良く出来ている印象。
全体的に『もうちょっと予算があって、派手にテンポ良く作る事が出来てればなぁ』と感じる部分が多い、ちょっと残念な作品でしたよ。
総評としましては、悪くは無いんだけど『どうにも盛り上がりに欠けるロードムービー風味のソンビパニック映画』って感じの作品ですね。
ロードムービーもののソンビ映画とかが好きであれば、まあまあ楽しめる内容ではあると思いますので、そういうジャンルが好きであればチェックしてみても良いかもしれません。
強く推すほどではないですが割とスッキリと楽しめる作品ではあるので、気になるようであれば暇つぶし程度に観ておいても損の無い一本だと思いますよ。