NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブラック・クローラー」(40点/モンスター)

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■■■「ブラック・クローラー」■■■
(40点/モンスター)


 冒険マニアのカップルであるエリックとジェンは、地元ガイドであるキャッシュのツテでオーストラリア北部のジャングルで新発見された洞窟へと、友人たちと共にケイビングに出かける事となる。


 前人未到の洞窟の探検に胸を躍らせる彼らだったが、彼らが地底湖に到達した頃に折り悪くその地域に嵐が襲来。
 地下へと流れ込んできた濁流によって地底湖は増水し、彼らが侵入してきた通路が水没してしまう。


 更に水の勢いは止まず、洞窟が完全に水没する危険性を察知した彼らは何とかして洞窟から脱出しようとするが、その地底湖には巨大な人食いアリゲーターが潜んでいる事が判明し…

 


 地底洞窟に探検中に嵐に遭い水没の危機にさらされた若者たちが、更には洞窟の地底湖に潜む巨大ワニによって命を狙われる…という、サバイバル風味の生物パニック映画。


 なんとなく『どこかで聞いたようなタイトルだな』と思って調べてみたところ、原題は「BLACK WARTER:ABYSS」となっており、どうやら2007年に作られたオーストラリア製のワニ映画である「ブラック・ウォーター」の続編に当たる作品のようです。
 (監督も「ブラック・ウォーター」と同じ人が撮っているので間違いないかと…)


 わざわざ前作から邦題のタイトルを変えなくても、原題どおり「ブラック・ウォーター:アビス」でいいやん…って気がするのですが、まあその辺は販売会社の関係とかの『大人の事情』という奴でしょうか?


 前作は『ツアー中にボートが沈没して木の上に取り残された女性が巨大ワニの脅威に晒される』みたいな感じの内容でしたが、今回は『洞窟探検に来た若者たちが巨大ワニの脅威に晒される』という感じの内容で、狙った訳では無いのでしょうが海底47m」と続編である「海底47m 古代マヤの死の迷宮」の関係性と同じようなプロットになっています。


 そんな訳で、どうしてもそちらと比較してしまいたくなるのですが、本作に関して率直な感想を述べるなら『とにかく地味な生物パニック映画』というのが正直な印象です。


 前作も割と地味な内容ではあったのですが、前作は『実話を元にしたストーリー』みたいな設定のため、『地味であること』に対しての説得力があったのですが、本作はそういうハッタリ的な設定もないうえに、むしろ前作よりも低予算になっている雰囲気すらあるため、単純に『地味な映画』という部分が際立つ感じになってしまっているのは困りもの。


 お話の流れとしては、序盤の『洞窟探検パート』から、中盤以降は人食いワニの出現する『生物パニック映画』へとストーリーが展開していくのですが、『洞窟探検パート』の辺りから洞窟探検がモチーフの割にはあまり閉塞感やら緊張感が無くて、この時点から既にどうにも盛り上がりません。


 前作は『オーストラリアの広大な自然』やら『不気味に静まり返る湿地帯』の様子が美しく描かれていたのに、今回の映画では『特に見どころの無い小さい洞窟』ぐらいの感じになってしまっており、ロケーションの時点で既にスケールダウンしてしまっている印象。


 加えて主人公たちを襲う巨大ワニも、そもそもの出番があまり無いうえに出てくるシーンも大半が『水中にチラっと姿が見える程度』で、全く迫力が無いんですよね。

 そのせいで、映画を観ていて『ロケーションも特撮も、今回は予算が足りなかったのかな…』という気の毒な感じの気持ちしか湧いてこないのは困りものという感じ。


 ホラーやパニック部分が地味なのに対して、主人公たちのキャラの掘り下げなんかは割とシッカリとされており、ドラマとしてそこそこ面白い内容になっているのは悪くありません。


 ただ、ドラマとして『主人公カップルの痴情のもつれ』的なものを描くのは良いのですが、その内容が本編の流れに特に活かされている訳でも無く、ただ単に『カップルの破局の様子を見せられて微妙な気分になるだけ』みたいな構成なのはいかがなものかと…


 一番盛り上がるべき終盤の脱出シーンもやけにアッサリしてますし、ラストの展開もちょっと蛇足な感じでしたし、どうにも全体的にイマイチ感の漂う作品でしたよ…

 


 総評としましては、『地味で盛り上がりに欠ける生物パニック映画』としか言いようが無いような作品です。


 『生物パニック映画』と洞窟探検を描いた『冒険サパイパル映画』のハイブリッドとしては、どちらで観ても盛り上がりに欠ける内容ですので、プロットを観て期待して鑑賞すると肩透かしを食らわされるかも?


 ただ、とんでもない駄作というレベルでもなくて、観れるレベルなんだけど『全体的にイマひとつ』というのが最もシックリ来る評価の作品ですので、気になるようであれば片手間程度にはチェックしておいても良い作品かもしれませんよ。