NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザラタン 大海の怪物」(45点/モンスター)

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■■■「ザラタン 大海の怪物」■■■
(45点/モンスター)


 元レスキュー隊員のジエは、過去に自分の判断ミスで隊長を死なせてしまった事と、時を同じくして妻がお産の際に娘を生んだ直後に亡くなってしまった事が重なり、自暴自棄となり酒やギャンブルに溺れる生活を送っていた。


 しかし、ひとり娘が5歳を迎えて養育費が必要となった事から、一念発起して再び働くことを決意。
 遠洋漁船の船長である元妻の父に頼み込み、漁師として働かせて貰う事となる。


 船員たちは特別優遇されるジエの扱いに不満を抱き、彼とたびたびトラブルを起こす事となるが、そんな最中に嵐の影響でかつての『海難事故による汚染区域』に近づいた彼らは、そこで見た事もないような巨大なクモのような生物が漁網にかかっているのを発見し…

 


 遠洋漁業の漁船の船員たちが、かつての事故による放射能汚染海域で巨大なクモのような怪物に遭遇する…というモンスターパニック映画。


 最近、矢鱈と増えてる傾向のある中国製のモンスター映画の新作ですが、どうにも中国映画でこのジャンルでは当たりに恵まれない印象の作品が続いておりで、本作も他の映画と同様に何だか微妙な印象の作品です。


 お話としては『人生に挫折した元レスキュー隊員の主人公が遠洋漁船に乗り込むことになるんだけど、運悪く船上での反乱現場に遭遇したうえに正体不明の巨大なクモのような怪物にまで襲われることになってしまい…』みたいな感じの展開。


 タイトルやパッケージだけ見ると、いかにも『巨大生物もののモンスターパニック映画』っぽいのですが、実際の中身の方はそこまでモンスター映画要素は強くなくて、船員同士の反乱とか内ゲバとかを題材にしたサスペンス映画的なノリが強い印象。


 作品の最大の難点としては、やはり『怪物の出番が少ない』ということ。


 巨大グモっぽい怪物のデザインとかは悪くないですし、獲物を引きずって連れ去ろうとする『妙にリアルな生物っぽい動さ』とかも不気味でそこそこ怖さを出せていると思うのですが、いかんせん出番があまり多くありません。


 そして怪物の出番が少ない代わりに、人間関係のゴタゴタやら内ゲバネタやらが矢鱈と多いんですよね。


 給与が少ない事に不満を持つ船員たちが密輸に手を出して船長への反乱を目論んでいたり、主人公が過去のしがらみから他の船員とモメてみたり…といった感じのシーンがお話の大半を占めており、それが怪物の話と並行して進んでいくので、お話がなかなか前に進まないうえに怪物がなかなかマトモに登場してくれません。


 というか船員同士のゴタゴタに尺を割かれても、『得体のしれない怪物が船内に侵入して船員が殺されてるのに、密輸とか反乱とかやってる場合じゃないだろ?』という、至極当たり前なツッコミを入れたい気分になったのは自分だけ?


 他にもメインの登場人物たちに、やたらと色々な事情があってそれが絡み合って話をややこしくされてている感じで、監督としては『群像劇』的なノリの作品を描きたかったのかもしれませんが、『船上という閉鎖環境』と『巨大グモものの生物パニック』という設定があまり群像劇や人間ドラマと噛み合っておらず、キャラの掘り下げも薄いせいで、どうにも空回りしている印象しか受けられませんでした。
 (ラストで死んだ仲間たちを、主人公が『美しい想い出』的に勝手に美化してるのも意味不明だし。)


 船員の反乱サスペンス要素が面白ければまだ良いと思うのですが、そっちもたいして面白いわけでも無く、肝心のモンスターの出番も少なくてそちらも物足りなさの残る内容となっており、結果としてどっちつかずの中途半端な映画になってしまった感じかなぁ?


 というか、『途中で救助されたお姉ちゃんは密輸にどう関わってたの?』とか『密輸しようとしていた品物は結局なんだったの?』とか、微妙に説明されておらず気になってしまったのは自分だけ?
 (いっそ『重火器を密輸しようとしていて、その武器を使って怪物を倒す』とかって流れなら無駄がなかったろうに…)

 

 総評としましては、『どうにも微妙で物足りなさの残るモンスターホラー映画』というのが正直な感想です。


 最初からモンスター要素に期待せずに観てれば、そこそこ楽しめる内容になったのかもしれませんが、それを差し引いてもどっちを向いても中途半端な印象を受けるような映画でしたよ。


 壊滅的にツマンない訳でもないのですが、オススメするほどの要素もあまりないので、よほど気になるのでも無ければ『サブスク系サービスとかに入った際にでもチェックしれみれば良いかも?』って感じの一本だと思いますよ。

映画感想:「ラン・ハイド・ファイト」(60点/アクション)

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■■■「ラン・ハイド・ファイト」■■■
(60点/アクション)


 17歳の女子高生のゾーイは、軍人の父と幼い頃からキャンプや狩りに出かけて銃の扱いやサバイバル技術を学び、今でも一緒に狩りに出かけるような関係だったが、母親の死を契機に家族の関係に溝が出来つつあった。


 高校がプロムの準備で浮かれるある日、唐突に武装したバンが校舎に突入。
 テロリストの集団が生徒たちを殺戮しながら、カフェテリアを占拠してしまう。


 襲撃時にたまたまトイレに居たゾーイは、難を逃れて校舎から脱出に成功するが、生徒たちの多くがまだ校舎内に取り残されて居る事を知った彼女は、生徒たちを脱出させるために校舎に戻り単身でテロリストたちへと立ち向かっていくのだった…

 


 父親からサバイバル技術を学んだ女子高生が、人質となった生徒たちを救うために学園を占拠するテロリストたちに単身で立ち向かっていく…という、学園パニックものサバイバルアクション映画。


 いわゆる中二病の男子なら誰もが一度は考えた事があると思われる、『学校を占拠したテロリストたちに戦いを挑む』という、妄想シチュエーションをそのまんま映像化したようなお話です。


 ただ『妄想を具現化したようなプロット』の作品の割には、設定やら舞台背景やらがシッカリと作られているのが特徴で、主人公が父親の趣味に付き合って『狩猟やサバイバルの経験』があり銃の扱いに慣れていたり、主人公が対峙するテロリストもガチのプロフェッショナルとかではなくて『学校に不満を持つ生徒たちによるテロリストもどき』みたいな存在で、『これなら戦いが成り立つかな?』という感じの現実味の感じられる設定で作品を描いているのは、なかなか上手いです。


 他にもテロリストが学校の生徒だけあって、学校の緊急通報の仕組みやら建物の構造やらを把握していて『効率的に学校を占拠していく』という流れもなかなか面白いですし、警察や教職員の対応なんかも矢鱈とリアル寄りで現実味があったり、主人公も『銃が扱える』というだけでそこまで強いわけでも無かったりと、妙な部分でリアリティを追求している感があるのは悪くない印象。


 ただ『現実味が強めな設定』だけあって全体的にアクション要素が弱めで、アクション映画として見るとやや見ごたえに乏しいのは残念なところ。


 アクション要素が弱めな代わりにドラマ部分は割と作り込まれており、キャラの掘り下げとかはシッカリとしているのですが…
 母を失った父と娘がその死を乗り越える『家族再生のドラマ』的な内容の割には、意外と親子の関係性とかの人間ドラマの要素が薄くて中途半端な感じになっているんですよね…


 『娘を救うために自らの危険を顧みずに立ち上がる父親』とかの姿はカッコ良かったので、もうちょっとその辺は掘り下げがあっても良かったかも?


 あと、敵役であるテロリストたちにいま一つ魅力が感じられなかったのも、やや残念な部分かなぁ?

 


 総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルの学園パニックものサバイバルアクション映画』っていう感じの作品ですね。


 『もし学校がテロリストに占拠されて戦うことになったら?』みたいなシチュエーションに憧れる人であれば、まさにそのシチュエーションをそのまま描いたような作品ですので、観てみても良いかもしれません。


 ただ、アクション映画としてはちょっと派手さに欠ける内容ですし、そこまで強く推すほどではないので気になるようであれば『まあお好みで』って感じでしょうか?

 

映画感想:「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(55点/モンスター)

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■■■「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」■■■
(55点/モンスター)


 『音を出した相手を無差別に襲う』という正体不明のエイリアンの襲撃によって、人類文明が崩壊してから474日後の世界。


 怪物の大規模な襲撃を生き延びたものの愛する夫と我が家を失ったエヴリンは、安全な場所を探すために2人の子供と幼い赤ちゃんを連れて、探索の旅へと出発する事となる。


 旅の途中で旧友のエメットと出会った彼女は、いったん彼の隠れ家で身を隠す事となるが、そこでラジオが「ビヨンド・ザ・シー」という曲を定期的に受信している事を発見。


 沖合の離島に避難している人たちからのメッセージではないかと考えた彼らは、生存者の存在を確認するために島へと向かおうとするが…

 


 『音を立てたら即死』という設定で話題となった、新機軸の『静かなホラー映画』である「クワイエット・プレイス」の続編に当たる、モンスターホラー映画。


 内容的にはほぼ前作のラストの直後のお話という感じで、『夫を失い、幼い赤ん坊と2人の子供と共に残された前作の主人公が、怪物の徘徊する世界でなんとかして生き延びようとする』という感じのストーリー。


 前作と同様に作品の雰囲気や世界観は非常に良い作品で、全編を通して殆ど音のしない『静』の場面の緊張感と、怪物が暴れ回り迫力と恐怖を感じさせる『動』の場面の緩急のバランスも良く、独特の空気感を持ったモンスターホラー映画に仕上がっています。


 また怪物のデザインも不気味で秀逸ですが、ちょっと見慣れてしまったせいもあって1作目に比べるとちょっとインパクトが薄くなった印象。
 せっかくの続編なんだから、より恐ろしい『新種の怪物』とかも登場させて欲しかったです。


 ただ1作目同様に雰囲気は良いのですが、あいかわらず『怪物の襲撃によって何で人類がここまでピンチに晒されているか』とか『世界の他の地域はどうなっているか』とか『怪物の正体』とかの世界設定の補足みたいなものは殆ど無くて、設定に関してはゆるゆるの部分が多いですね。


 やはり、たいして強くも無いこの怪物(戦車やヘリに勝てる気がしない)に人類が制圧されているのは不自然だし、本作で『海を泳げない』という新たな弱点も判明したので、いよいよ『何で人類が反撃できてないんだろう?』という疑問が…


 まあ、あまり細かい事を気にせずに『世界観や雰囲気を楽しむ映画』だということなのでしょうが、後付け設定でも良いのでもうちょっと何らかのの補足はあっても良かった気がします。


 また、お話的には1作目は『妻が出産を控えた一家が生き残りを賭けて戦う』みたいな展開でしたが、2作目の本作は『主人公たちが新天地を求めて旅立つ』という感じの展開になっており、ロードムービー的な雰囲気』が加わった事で閉塞感があまり無くなって、逆に世界観の広がりを感じさせる内容になっているのは、作風に変化が感じられて面白いです。


 ただ、文明崩壊後の世界が『酷い世界になっている』みたいなセリフが出てくるものの、そこまで『酷い世界』という雰囲気は感じられずにいま一つ悲壮感が無かった(一応、略奪者っぽい連中に襲われるシーンはあるけど)ので、もうちょっと世紀末っぽい無法地帯的な雰囲気はあっても良かったかも?


 また、主人公の子供たちの『成長』をテーマとして描くシナリオやら、終盤の展開なんかはなかなか熱かったですが、ラストが矢鱈と唐突でブツ切り感があったのは何か気になるところ。


 なんとなく続編に続きそうな雰囲気があったので、実は既に続編が計画されていたりするのかしらん?

 


 総評としましては、相変わらず『独特の世界観と雰囲気の良く出来たモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 前作が好きだった人であれば本作も問題なく楽しめると思いますし、世界観の広がりを感じさせる内容で普通に良作という印象。
 ただし前作でツッコミどころだった部分は、本作でもツッコミどころのまま(「畑の管理どうしてるんだ?」みたいなのは無くなったので、少しだけツッコミどころが減った)なので、その辺が気になる人は今回も気になるかも?


 まあ普通に面白い新機軸のモンスター映画のシリーズですので、モンスター映画好きならばオススメできますし、今後もシリーズ化していって欲しい一本ではありますよ。

 

映画感想:「エイリアンVSジョーズ」(3点/モンスター)

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■■■「エイリアンVSジョーズ」■■■
(3点/モンスター)


 アメリカの南カリフォルニアの海岸で、バラバラになったダイバーの死体が打ち上げられる。
 警察は、地元でウワサされる『Uボートの財宝』を狙うダイバーがサメに襲われたものと考えるが、その死体の傷口にサメの仕業とは思えない奇妙な焼け焦げたような跡を発見。


 その頃、遥か宇宙の彼方からUFOで宇宙人が来襲。
 サメが人間を襲う現場を目撃した彼らは、サメを洗脳して人間を襲うための兵器として利用できなかと画策しサメの洗脳を目論む。


 時を同じくして死体の発見者でもある精神科医のケイは、近隣の患者の間で『宇宙人とコンタクトした』という証言が異常に増えている事を知り、実際に宇宙人が地球に訪れているのではないかと疑いを抱くようになるが…

 


 サメを操って地球を侵略しようとする宇宙人と人類とサメの三つ巴の戦いを描いた、モンスターパニック映画。


 「フランケンジョーズ「ランドシャーク/丘ジョーズの逆襲」を手掛けた、Z級のトホホなクソ映画で名を知られるマーク・ポロニア監督による新作のサメ映画です。(といっても作られた時期的には旧作?)


 なんというかコレは、いつも酷い作品を撮る事で有名なポロニア監督ですが、同監督の酷い作品群を以てしても『抜群に酷い』としか言いようが無いような作品ですね。


 何が酷いって、まあとにかく内容がダルい事。


 マーク・ポロニア監督の作品って、酷い特撮映像を隠そうともせず恥ずかしげもなく全面に押し出して、かつ『物凄い分かりやすい脚本』のお陰で、『酷い出来なんだけど無駄にテンポが良い』って辺りが持ち味だったと思うのですが、本作はとにかくテンポが悪いんですよ。


 本作は『サメ映画』と言いつつも、タイトルにもあるとおりに宇宙人も登場し、どちらかというと『宇宙人が主役』みたいな扱いなのですが、宇宙人の侵略が無駄にサスペンスタッチで描かれているため、全体的に展開がちょっと遅め。


 更に、宇宙人だけならともかく『沈没したUボートの財宝を狙う無法者』みたいな連中も登場してサスペンス的な展開に絡んでくるのですが、これらのお話が非常にダラダラしてるうえに意味不明すぎて、本筋となるサメの部分がなかなか前に進まなくてイライラさせられます。


 サスペンス要素にしても、侵略SFっぽいノリの割には『宇宙人が結局なにがやりたいのか釈然としないせい』うえに肝心のサメの出番も少ないせいで、とにかく観ていてひたすらダルい


 ポロニア監督の作品って、お馬鹿ながらも直球ストレートな雰囲気の作風だから『酷い出来でも笑って楽しめた』みたいなノリだったのに、テンポが悪くて笑える部分が大幅にオミットされてしまった本作は、ホントに『もう結果だけ教えろ!』というメーカーのキャッチコピーが全てを現している映画という印象。


 ちなみに、主体が宇宙人であっても特撮やらがトホホな出来という部分は変わらず、色々とツッコミどころは満載ですのでツッコミ映画としては楽しめなくはないのですが…

 『宇宙人』は『サメ』や『モンスター』に比べると『被り物でもそれっぽく見れてしまう』せいで、特撮の酷さが目立ちにくくて『逆にインパクトが弱くなってしまっている』という、良く分からない意味でのマイナス要素になってしまっているのは困りものでした。(笑)


 マーク・ポロニア監督には、今後もZ級映画を撮る際には『視聴者から求められる要素』を正しく理解して、もっと尖った分かりやすいクソ映画を撮るように心がけていただきたいものですよ…

 


 総評としましては、いつも以上に『とにかく酷い出来のZ級モンスターホラー映画』という感じの作品ですね。


 この監督の新作を敢えて観ようとするような人に、『オススメ』も『オススメしない』も無いと思うのですが、今までの他の作品を楽しめた人であっても、ちょっと微妙な評価を付けざるを得ない作品というのが正直なところかなぁ?


 ネタ映画としても弱い内容ですので、Z級映画好きだとしても『よほどの物好き以外はスルーしてしまっても問題のない一本』かもしれませんよ…

 

 

 

 

 

■■■「アオラレ」■■■
(60点/サスペンス)

 不景気や情勢の不安から人々のストレスが増加し、煽り運転危険運転が問題となりつつあるアメリカ。

 美容師のレイチェルは、息子を学校へと送ろうと車で家を出るが大渋滞に巻き込まれて仕事にも遅刻し、大切な贔屓の顧客も失ってしまう。

 彼女は事態に狼狽しつつも渋滞を逃れるために下道に入るが、そんな矢先に信号待ちで青になっても発信しないトラックに遭遇。
 イラついた余り、前の車をクラクションを鳴らしながら乱暴に追い抜いてしまう。

 しかし更なる渋滞で追い抜いた男に追いつかれた彼女は、男から『運転マナーがなっていない』と指摘されて口論になりつつもいったんその場を離れるが、給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで男のトラックが彼女を追跡して来ている事に気づき…


 ある女性が車に追い抜きをかけたところ、乗っていた男が思いがけずにストーカーの殺人鬼で執拗に追跡されて命を狙われる事になる…という、サスペンススリラー映画。

 「アオラレ」ってタイトルを聞くと、なんか「アオハル」的な青春映画っぽいものを連想してしまいますが、こちらの方は青春要素とかは一切ない『煽り運転』を題材としたスリラー映画となっています。

 お話としては『とある女性が信号待ちの車に無理な追い抜きを仕掛けたところ、車に乗っていた男が実は狂気の殺人鬼で執拗に付きまとわれて命を狙われることになっていく』みたいな感じの展開。

 日本でも、最近は『煽り運転』による事故とかが各所で問題になっていますが、こんな映画が作られる辺りからして、同じような問題は日本以外でも取り上げられているという感じでしょうか?(まあプロットとしては、スピルバーグの「激突!」なんかも同じテーマなので、割と使い古されたネタではあるのですが…)

 しかし「アオラレ」というタイトルを聞いて、『煽り運転のみを題材にして90分も尺がもつんだろうか?』と思いつつ鑑賞したのですが…

 実際の中身の方は『煽り運転ネタ』は2割程度で、『主人公がスマホを殺人鬼に奪われて、自分や周囲の人間が殺人鬼から狙われるのを防ぐために奔走する』みたいなのがメインのストーリーとなっており、どちらかというと『殺人ストーカーものスリラー映画』っぽいノリの作品という感じです。

 事件の契機となる『煽り運転』を切っ掛けとして、お話全体が非常に目ぐるましくジェットコースターのようにハイテンションで進行していくのが特徴で、内容的にはとにかくテンポの速いサスペンススリラー映画という印象。

 ラッセル・クロウが怪演するストーカー殺人鬼も、メチャクチャにパワフル&不気味でインパクトがあり、『こいつが本気で殺しに来たら、そりゃ勝てないよな…』という説得力がありますし、この手の映画でありがちな『完全に動機不明の殺人鬼』じゃなくて『殺人鬼が主人公を執拗に狙う理由』もそれなりに納得できる形で描かれているのは好印象。

 また、タイトルにもなっている『煽り運転』の要素は、そこまで多くないながらも、上手い具合にカーチェイス的なシーンとしてお話の中に組み込まれており、お話にアクション映画的なスピード感を出すのに成功しているのも良い感じです。

 ただ、殺人鬼の暴れ回るシーンはボリューム的に少し物足りなさがあったので、欲を言えば『殺人鬼にはもうちょっと大暴れして欲しかったかな?』というのと、ラストはちょっとアッサリしすぎな感じだったので『もうちょっと分かりやすいテーマ性とかがあった方が良かったかも?』というのが気になったところかなぁ…


 総評としましては、『なかなか良く出来たジェットコースター的ハイテンションスリラー映画』って感じの作品ですね。

 「アオラレ」という題材が気になる人やら、ハイテンポなストーカー殺人鬼的なノリの作品が好きな人であれば観ておいて損は無いかも?

 強く推すかと言われると悩ましいところですが、普通にテンポも良くて面白い内容ですので、気になる人はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「アオラレ」(60点/サスペンス)

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■■■「アオラレ」■■■
(60点/サスペンス)


 不景気や情勢の不安から人々のストレスが増加し、煽り運転危険運転が問題となりつつあるアメリカ。


 美容師のレイチェルは、息子を学校へと送ろうと車で家を出るが大渋滞に巻き込まれて仕事にも遅刻し、大切な贔屓の顧客も失ってしまう。


 彼女は事態に狼狽しつつも渋滞を逃れるために下道に入るが、そんな矢先に信号待ちで青になっても発信しないトラックに遭遇。
 イラついた余り、前の車をクラクションを鳴らしながら乱暴に追い抜いてしまう。


 しかし更なる渋滞で追い抜いた男に追いつかれた彼女は、男から『運転マナーがなっていない』と指摘されて口論になりつつもいったんその場を離れるが、給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで男のトラックが彼女を追跡して来ている事に気づき…

 


 ある女性が車に追い抜きをかけたところ、乗っていた男が思いがけずにストーカーの殺人鬼で執拗に追跡されて命を狙われる事になる…という、サスペンススリラー映画。


 「アオラレ」ってタイトルを聞くと、なんか「アオハル」的な青春映画っぽいものを連想してしまいますが、こちらの方は青春要素とかは一切ない『煽り運転』を題材としたスリラー映画となっています。


 お話としては『とある女性が信号待ちの車に無理な追い抜きを仕掛けたところ、車に乗っていた男が実は狂気の殺人鬼で執拗に付きまとわれて命を狙われることになっていく』みたいな感じの展開。


 日本でも、最近は煽り運転』による事故とかが各所で問題になっていますが、こんな映画が作られる辺りからして、同じような問題は日本以外でも取り上げられているという感じでしょうか?(まあプロットとしては、スピルバーグの「激突!」なんかも同じテーマなので、割と使い古されたネタではあるのですが…)


 しかし「アオラレ」というタイトルを聞いて、煽り運転のみを題材にして90分も尺がもつんだろうか?』と思いつつ鑑賞したのですが…


 実際の中身の方は煽り運転ネタ』は2割程度で、『主人公がスマホを殺人鬼に奪われて、自分や周囲の人間が殺人鬼から狙われるのを防ぐために奔走する』みたいなのがメインのストーリーとなっており、どちらかというと『殺人ストーカーものスリラー映画』っぽいノリの作品という感じです。


 事件の契機となる『煽り運転』を切っ掛けとして、お話全体が非常に目ぐるましくジェットコースターのようにハイテンションで進行していくのが特徴で、内容的にはとにかくテンポの速いサスペンススリラー映画という印象。


 ラッセル・クロウが怪演するストーカー殺人鬼も、メチャクチャにパワフル&不気味インパクトがあり、『こいつが本気で殺しに来たら、そりゃ勝てないよな…』という説得力がありますし、この手の映画でありがちな『完全に動機不明の殺人鬼』じゃなくて『殺人鬼が主人公を執拗に狙う理由』もそれなりに納得できる形で描かれているのは好印象。


 また、タイトルにもなっている煽り運転』の要素は、そこまで多くないながらも、上手い具合にカーチェイス的なシーンとしてお話の中に組み込まれており、お話にアクション映画的なスピード感を出すのに成功しているのも良い感じです。


 ただ、殺人鬼の暴れ回るシーンはボリューム的に少し物足りなさがあったので、欲を言えば『殺人鬼にはもうちょっと大暴れして欲しかったかな?』というのと、ラストはちょっとアッサリしすぎな感じだったので『もうちょっと分かりやすいテーマ性とかがあった方が良かったかも?』というのが気になったところかなぁ…

 


 総評としましては、『なかなか良く出来たジェットコースター的ハイテンションスリラー映画』って感じの作品ですね。


 「アオラレ」という題材が気になる人やら、ハイテンポなストーカー殺人鬼的なノリの作品が好きな人であれば観ておいて損は無いかも?


 強く推すかと言われると悩ましいところですが、普通にテンポも良くて面白い内容ですので、気になる人はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」(60点/コメディ)

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■■■「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」■■■
(60点/コメディ)


 1974年のハリウッド。
 B級映画プロデューサーであるマックスは、社運をかけて製作した映画の「尼さんは殺し屋」が大コケし、その多額の借金から彼の会社であるミラクル映画社は存続の危機を迎えていた。


 更には、借金の相手であるギャングのボス・レジーから、『借金の35万ドルをすぐに返さないと殺す』と脅迫された彼は、かつての弟子で今は売れっ子プロデューサーとなったジミーに金を無心するも交渉は決裂。


 そんな折、偶然にも人気スター俳優の事故死の現場に遭遇し『撮影中の事故で俳優が無くなれば多額の保険金が貰える』と気づいた彼は、往年の西部劇スターであるデューク・モンタナを老人ホームから引っ張り出し、保険金を得るために撮影中の『事故』で殺害を企てるが…

 


 売れない映画プロデューサーが保険金で借金返済するためにロートル俳優を撮影中の事故に見せかけて殺害しようとするが、その企みが思いがけない事態へと発展していき…という感じの、コメディ風味のサスペンス映画。


 ロバート・デ・ニーロトミー・リー・ジョーンズモーガン・フリーマンといった超大物のシルバー俳優たちが出演した事で話題となった作品ですが、流石にベテランが揃っているだけあって俳優陣は個性の光る良い仕事をしています。


 お話としては、『B級映画専門の売れない映画プロデューサーが、ギャングからの借金返済のために過去のスター俳優を『撮影中の事故』で殺害して保険金を得ようとするも、彼の目論見は次々と失敗してしまい…』みたいな感じのストーリー。


 ストーリー的には、『映画への夢を諦めきれない老人たちが、ドタバタを繰り広げつつも夢を叶えていく』みたいな、いわゆるステレオタイプのコメディ系サクセスストーリーという感じの内容ですね。


 『主人公が悪だくみをして、ロートル俳優を不慮の事故で死なせようとするするんだけど、企みがことごとく裏目に出て逆に映画の完成度が上がっていく』という展開は、あまりにもお約束ながらもなかなか楽しく見れる感じ。


 また、夢を失いつつあった老人たちが『再び生きる目標を見出していく』みたいなお話の流れについても、こちらもお約束ながらもなかなか良く出来ている印象。


 大物俳優とお約束的な展開で、まさに『こういうので良いんだよ』って感じのノリとお約束に従って作られた、紋切型の人間ドラマ系のコメディという感じですね。


 全体的にお約束的なノリは良く出来ていますし、いぶし銀俳優たちの演じるキャラも良く立っているのですが、やや気になったところがあるとしたら『主人公の性格』がちょっと好きになれないところかなぁ?


 主人公が、序盤で『夢を諦めきれない老人』というよりは『単なる性格の歪んだ頑固ジジイ』みたいな描き方をされており、そのキャラが結構ウザい感じの描かれ方をしてるせいで、終盤で改心するっぽい展開になってもいま一つ感情移入しきれない部分がありました。


 主人公は、もうちょっと『仕方なしに悪事に加担してる』みたいな設定でも良かった気がしますよ。


 またオチも良い感じのまとめ方だったと思うのですが、ちょっとアッサリしてる感があったのでラストはもうちょっと余韻のある感じのノリでも良かったかも?


 あとB級マニア的には、オマケで予告映像の入ってた「尼さんは殺し屋」の方の本編が凄く観てみたいのですが、いっそこっちも映画化してくれませんかね?(笑)

 


 総評としましては、そこそこ良く出来た『サスペンス風味のコメディ映画』って感じの作品ですね。


 お笑い要素とか人間ドラマ要素とかを、必要十分に満たした感じの内容ですので、そういうノリの作品が好きであればチェックみても良いかもしれません。


 強く推す程ではないですが悪くない出来の作品ですし、ひとまず主演俳優陣とかに興味があれば観ておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ウィリーズ・ワンダーランド」(60点/モンスター)

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■■■「ウィリーズ・ワンダーランド」■■■
(60点/モンスター)


 とある男が、人里離れた森の中を車で走行中にタイヤがバーストするという事故に遭遇。
 途方に暮れていたところ、たまたま通りかかった修理工のジェドという男に案内されて、ヘイズビルという辺鄙な田舎町へと招待される。


  車の修理費が現金しか使えないような田舎で、彼が支払いに困っていたところ、待ちの有力者であり遊園地のオーナーのテックスから『一晩かけて閉鎖中の遊園地の掃除と片付けをしてくれれば、修理費を無料にする』という奇妙な申し出を受ける。


 彼は、言われるがままにほぼ廃墟と化した遊園地の清掃を開始するが、その遊園地はかつて殺人鬼によって大量虐殺が行われた曰くつきの場所で、その呪いによってマスコットキャラであるイタチのウィリーを始めとした『殺人鬼と化したアニマルロボットたち』の徘徊する地獄と化していたのだった…

 


 とある男がなりゆきで閉鎖中の遊園地の掃除を引き受けることになるんだけど、実はその場所は『殺人マスコットロボット』の徘徊する恐るべき場所だった…みたいな感じの設定の、オカルト風味のモンスターホラー映画。


 遊園地のマスコットキャラである機械仕掛けのアニマルロボットたちが殺人鬼と化してが人間を襲う』という設定で、映画の雰囲気とかから「Five Nights at Freddy's」ってゲームっぽい印象を受けてしまう部分があるのですが、ストーリーとかは特に似てる訳でもないんだけど、もしかしたらリスペクトしてる感じの作品なのかな?


 ノリとしては全体的に終始明るめの雰囲気で、コメディタッチのモンスターホラー映画という感じの作品という印象なのですが、明るい内容の割にはグロ描写はやや強め。


 作中で登場する『アニマルロボット』たちが何で殺人鬼になったのかというと、実は『殺人鬼の魂が乗り移っている』というチャッキーみたいな感じの設定なのですが、イタチやワニやゴリラや妖精…といったものをモチーフとした『微妙に可愛くないシュールなデザインの着ぐるみのようなキャラたち』が襲い掛かってくる様子は、なかなかコミカルで怖くて良い感じですし、各人の殺人鬼っぽい狂ったキャラも良く立っています。


 そして殺人アニマルロボット以上に矢鱈とキャラが立っているのが、ニコラス・ケイジの演じる『主人公』。


 ここからは結構なネタバレになってしまいますが…


 主人公は、何故か『名前すら設定されていないうえに作中で一言も喋らない』という異常に寡黙なキャラなのですが、エナジードリンク(?)をガブ飲みしながらムキムキのマッチョボディを武器に『襲い掛かってくる殺人アニマルロボットたちを無言でボコボコにして返り討ちにしていく』という無茶苦茶なタフガイっぷり。


 無敵主人公の殺人アニマルと戦うシーン、あまりのタフガイっぷりにもはや痛快を通り越してギャグになっており、ホラーの筈なのに異常なまで安心感が感じられる内容で逆に笑ってしまうレベルでしたよ。
 (主人公が無敵すぎて、お話の後半では殺人アニマルロボットたちがあまりに気の毒で、逆にアニマルロボットたちの応援をしてしまっていました。(笑))


 主人公が無敵キャラすぎるので『ホラーとして楽しめないか』というとそうでもなく、お約束のように無計画に遊園地に侵入してきて襲われる学生たちとかもキチンと登場するのでホラーとしての見せ場もそれなりにはある印象。


 ただお話のテンポも良くて、コメディ的な要素もあるお陰で軽快に楽しめる内容ではあるのですが、主人公があまり積極的に殺人アニマルロボットとも犠牲者とも絡まないせいで、お話がなかなか先に進まずに観ていてややモヤモヤする部分があるのは気になるところ。


 あとラストバトルとかオチに関しても、ちょっと盛り上がりに欠ける印象があったので、もうひと捻りぐらい何かあっても良かったかも?

 


 総評としましては、『割と良く出来たコメディタッチのモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 全体的にちょっと地味な部分はあるものの、コメディ系のホラー映画としては悪くない出来ですので、そういうジャンルが好きであれば割とオススメです。


 『遊園地のマスコットであるアニマルロボットが人間を襲う』という設定やら、『ムキムキマッチョで無敵のニコラス・ケイジ主演のホラー映画』というキーワードに興味が湧くようでしたら、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。(笑)