NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デストイレ」(10点/オカルト)

■■■「デストイレ」■■■
(10点/オカルト)


 1970年代。
 ベトナム戦争のさなか、第一歩兵師団に従軍していたブレットのもとに弟が亡くなったという訃報が舞い込む。
 それは『トイレで排便中に亡くなった』という奇妙なものだった。


 終戦後に戦場から帰還した彼は、亡くなった弟が遺した家で暮らす事となるが、トイレで異様な気配や不気味な笑い声のような音を聞いた事から、最初はトイレの故障ではないかと疑い配管工に修理を依頼。


 しかし点検しても特に異常は見当たらず、更にトイレで異常な現象が続いたことから、『トイレに悪魔が取り憑いているのではないか』と疑いを抱き、教会のディングルベリー神父に悪魔祓いを依頼する事となるが…

 

 ベトナム戦争帰りの男性が、弟を殺害した『悪魔に取り憑かれた便器』と対峙する事となるという、オカルトホラー映画。


 一部のマニアにはお馴染みの海外からZ級の超低予算ホラー映画を専門に買い付けてくるコンマビジョンからリリースされた新作と言えば、B級ホラー好きの人であればどんな映画なのかなんとなく想像が付くとは思いますが…


 今回もご多聞に漏れないレベルの、なかなかに酷い出来の超低予算のホラー作品です。


 何が酷いって、まあとにかく『全く見どころが無い作品』なのが辛いところ…


 まず『悪魔の便器』を題材としたモンスター映画という設定なのに、作中でマトモに『悪魔の便器』の犠牲者になるのは、冒頭で襲われる主人公の弟ぐらい。


 便器による襲撃シーン(変な日本語だな…)も、『便器からナイフが飛び出してきて股間を切られる』というもののみで、ビジュアル的にもたいして面白くもありません。


 そして最初に弟が殺された以降のシーンは、主人公が不気味な音を出すトイレにひたすらビビリ散らかして、トイレを威嚇しているようなシーンを延々と見せられるだけという内容。


 時々思い出したように、ベトナム戦争のトラウマがフラッシュバックしたり、ナイフ(オモチャのナイフ)を持って暴れまわったりしますが、その辺は本編の流れ殆ど関係が無くて何をやりたいのか意味不明。


 ちなみに本作は60分程度の尺の映画なのですが、その半分以上がダラダラしたシーンで占められているため、観ていてとにかくテンポが悪いです。


 ただ、後半の悪魔祓いの流れに入ってからはそこそこ観れる要素もあって、悪魔祓いをしようとする神父に対して便器が炎を吹き出したり爆発を起こしたりといった、ハチャメチャな攻撃を繰り出して対抗してくるのはなかなか笑わせてくれます。


 便器が炎や爆発を起こすのは、恐らく主人公の『ベトナム戦争のトラウマ』に由来している感じなのでしょうが、便器の中に戦場のような光景が再現される絵面はどうにもシュール。
 (そういえば、ベトナム戦争時代にアメリカ兵が冗談で『トイレに爆薬を詰め込んで爆撃機から投下した』とかってエピソードがあるらしいので、その辺の故事にちなんだネタなのかしらん?(←多分関係ない))


 しかし、この合成が適当すぎて炎や爆発の位置がズレまくりなのは、流石に『もうちょっと頑張れよ』という印象。


 逆に神父の役者さんの『便器に向かって大真面目に悪魔祓いの儀式を行っている姿』は、なかなかにインパクトがあって笑わせてくれるのは良い感じ。


 ただ、全体を通して『便器に向かって悪魔祓い』という部分以外に面白い要素もなく、とにかくダラダラとしたシーンが多すぎ。


 『便器に悪魔が取り憑いてた原因』とかも一切不明のままで、オチもこの手のZ級ホラーにありがちな『投げっぱなしオチ』で特に面白味もありません。


 ところどころで、ネタのつもりなのか矢鱈と何度も挿入される『異常にリアルなおならの音や排便音』も不快なだけですし、色んな意味で観ていて辛い映画でしたよ…

 


 総評としましては、多方面に渡って酷い内容の『超低予算オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪魔の取り憑いた便器』というワンシチュエーションで勝負するのは良いのですが、それならそれで『悪魔の便器』をもっと大暴れさせていただきたかったところ…


 トイレだけに最初から『クソ映画』なのを覚悟して観るというのであれば止める事はしませんが、ネタ映画としても弱い内容なので、あまりオススメは出来ない作品というのが正直なところですよ。

映画感想:「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」(55点/オカルト)

■■■「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」■■■
(55点/オカルト)


 1918年のハンガリー
 戦場で瀕死の重傷を負い生死の境をさまよいながらも帰還したトーマスは、遺体と一緒に遺族を撮影しポートレートを作る『遺体写真家』として生計を立てて暮らしていた。


 そんなある日、アナという少女から仕事の依頼を受けた彼は、彼女の暮らすという山間の寒村へと訪れるが、その場所は戦災とスペイン風邪によって多くの死者を出し、未だにその死体が放置されたままになっているという凄惨な場所だった。


 村の遺族たちの依頼を受け遺体のポートレートの撮影を開始した彼だったが、撮影した写真にも存在しないはずの人影が写ったり、奇妙な物音や不気味な影を目撃したりと次々と奇妙な現象が発生。


 アナも自分と同じように過去に臨死体験をした事がある事から『霊の姿が見える』と聞かされたトーマスは、霊たちが自分とアナに何かを伝えようとしているのではないかと考え、霊の目的を探るために調査を開始するが…

 


 第一次世界大戦直後のハンガリーの寒村で、遺体写真家の男性と少女を謎の霊現象が襲う…という、オカルトサスペンス映画。


 『死んだばかりの遺体を遺族と一緒に撮影し記念のポートレートを作るという「遺体写真家」の若者が、山間の寒村に続発する心霊現象の謎を追う』という感じの、サスペンス風味のオカルトホラーです。


 なんでも、亡くなった方の遺体を着飾らせて『遺体のボートレート』を撮影するというのは19世紀ごろの欧州で流行った風習らしいのですが、現代ではあまり考えられない奇異な風習である『遺体写真家』を題材として主人公に据えるという構成は、『独自の世界観』や『ゴシックホラー的なテイスト』が感じられてなかなか面白いですね。


 特に主人公が村人たちの依頼を受けて、遺体のポートレートを次々と撮影していくという序盤の展開は、雰囲気ホラーっぽい独特の空気感があって良い感じ。


 ただ序盤は結構ゴシックホラー的なテイストなのですが、中盤以降は『村に出現する霊たちの目的を突き止める』のがメインになっていき、割と普通のオカルトサスペンス的な展開になっていく印象。


 とまあ、ここまで聞くとごく普通の『ゴシックテイストのあるオカルトサスペンス映画』っぽいのですが、本作の特徴はとにかく『幽霊たちが異常なまでに狂暴』だという事。


 お話の中盤あたりから、霊たちの住民への本格的な『攻撃』が始まるのですが、これが幽霊のクセに能力を物理攻撃力に全振りみたいな状態で、住民を引きずり回すわ吹っ飛ばすわと矢鱈とバイオレンス。


 終盤では何十人も居る村人たちを次々と投げ飛ばしたり、しまいには建物まで崩壊させてみたりと、もはやモンスターパニック映画のようなムチャクチャなノリで予想外に楽しませてくれます。


 そんな狂暴な幽霊軍団に対して、単なる『遺体写真家』の主人公がどうやって対抗するのかというと…特に有効な対抗手段を持ってる訳でもないので、お話が全体的にちょっとグテグテ気味なのは困ったところ。


 主人公の『遺体写真家』という特異な職業の設定も作中でそこまで効果的に使われている感じでも無いですし、そういう部分も含めてどうにも設定が活かしきれていない感があります。


 ラストも結局は『幽霊たちが何をしたかったのか』も釈然としないままですし、オチも結構な『投げっぱなしっぽいオチ』なので、どうにも物足りなさが残ってしまう映画でしたよ。


 というか派手な方向に振るのであれば、良い方向でも悪い方向でも良いので『もうちょっとスッキリと分かりやすいオチ』にして欲しかったなぁ…

 


 総評としましては、『独特のテイストが意外と楽しめるオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 全体として見ると割と不満点もありますが、世界観や雰囲気、ビジュアルも含めるとそこそこ楽しめる要素のある映画という印象。


 予告やら設定やらを見て刺さりそうな要素があるようであれば、とりあえずチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ロスト・ボディ~消失~」(60点/サスペンス)

■■■「ロスト・ボディ~消失~」■■■
(60点/サスペンス)


 完璧主義者で著名な建築家であるジェレミーは、ある日、公演の帰りの空港に向かう途中でテセルと名乗る若い女性を、ヒッチハイクに応じて車に乗せる。


 しかしトラブルから飛行機に乗り損ねてしまった彼は、テセルと共に次の便までの時間を空港のラウンジで過ごす事となる。


 彼女が『過去に人を殺した事がある』という不穏な打ち明け話を始めた事から、彼女の事を変人だと感じたジェレミーは彼女を避けようとするが、彼女は執拗にジェレミーへと付きまとい話を続けようとし…

 


 空港で『過去に人を殺した事がある』という奇妙な発言をする女性に絡まれた建築家が、彼女の話を聞くうちに予想外の事態に巻き込まれていき…という感じの、サイコスリラー風味のサスペンス映画。


 お話としては『著名な建築家が空港への道すがらにヒッチハイカーの女性を車に乗せたところ、女性は「過去に人を殺した事がある」という奇妙な発言を繰り返す変人で、彼女と会話を続けていくうちに建築家自身の心の闇が明かされていく…』みたいな感じのストーリー。


 最初は『謎の女性』が、単純に『ちょっとメンヘラっぽい性格でストーカー気質のある変人なのかな?』みたいな感じで物語が展開していくのですが、お話が進むうちに実は一筋縄では行かない相手だという事が分かっていき…みたいな感じで、サイコスリラー的なノリが強めの作品です。


 お話の舞台となる空港が、実は『過去に主人公が設計し建築に関わった空港』で、幕間ごとに『空港の模型』に重ね合わせるように主人公たちの姿のが何かの象徴のように提示されたりと、作中で暗喩や暗示的な描写が多用されており全体的に雰囲気映画のテイストが強めの内容。


 謎の女性も、最初は『ちょっと世間知らずで無礼な若者』みたいな雰囲気なのですが、話が進んでいくうちにその異様さが浮き彫りになっていく感じで、お話の盛り上げ方はなかなか上手いです。


 お話は会話劇が中心で、基本的には主人公と『謎の女性』が空港のロビーやらラウンジで会話しているだけ(一応、要所要所で過去の『回想シーン』みたいなのは出てくる)なのですが、『謎の女性の話の内容が徐々に主人公自身と何らかの関りがありそうな事が判明していく』みたいな感じの謎解きのプロセスが面白いです。


 また『謎の女性』の濃いキャラと変人っぷりもなかなかに強烈で、会話劇が中心なのに退屈せずに観れるような作りになっているのは良い感じ。
 (この変人っぷりが結構下品でちょっとイラつかされるような部分もあって、人によっては不快に感じる内容かも?)


 ただお話のプロットは面白いのですが、中盤辺りで『謎の女性』の秘密になんとなく見当が付いてしまうため、お話の意外性と言う点ではちょっと弱い部分があるのは残念なところ。


 雰囲気映画らしく、ラストの展開も『分かったような分からないようなスッキリしない終わり方』ですので、この辺も賛否両論ありそうな印象でしたよ。

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『独特のテイストとプロットが面白いサイコスリラー映画』という感じの作品ですね。


 『サイコな変人に振り回される主人公』的なスリラーやら、過去の秘密が徐々に紐解かれていく感じの謎解きサスペンス的なノリが好きであれば、そこそこ楽しめる映画ではないかと…


 やや雰囲気映画のテイストが強めなのでちょっと人を選ぶ内容ですが、設定とかが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」(45点/サスペンス)

■■■「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」■■■
(45点/サスペンス)


 若い女性教師であるミラは、ある日突然に自宅へと侵入してきた何者かによって拉致され、倉庫の一室のような狭い部屋の中で目を覚ます。


 混乱する彼女だったが、スピーカーから聞こえる声によって『これから絶対に眠ってはならない』という奇妙な説明を受けたあとに、謎の声の指示によって奇妙な『ゲーム』と称した実験を受けさせらる事となる。


 被験者の精神を傷つけるような行為や、肉体への暴行、他の被験者を目の前で殺されるといったような内容の拷問じみた実験を繰り返されるのに加え、VRゴーグルで不気味で暴力的な映像を強制的に延々と見せられる事で、彼女の精神は徐々に崩壊していき…

 


 謎の組織によって監禁された若い女性が睡眠を奪われたうえに拷問じみた実験を延々と繰り返され徐々に精神が崩壊していく…という、ロシア製のサイコサスペンス映画。


 『被験者が監禁されて社会実験みたいなものに強制参加させられる』というのは、サイコサスペンス映画では割とありがちなプロットではありますが、良くあるタイプの『目的不明の実験』みたいな設定じゃなくて『ただただ精神を崩壊させるために肉体的・精神的な拷問を繰り返し続ける』というのは、なかなかに悪趣味な設定という感じ。


 加えてVRヘッドセットでサイケで暴力的な映像を強制的に見せ続けられる』という設定もあったりして、どことなく「時計仕掛けのオレンジ」的なテイストが感じられる内容ですね。


 主人公が倉庫の小部屋に閉じ込められたジャンル的には『シチュエーションスリラー』という感じなのですが、シチュエーションスリラーの割には主人公を監禁した『謎の組織』は『政府の諜報機関(もしくは『敵対組織の反社会勢力?』)っぽい説明が最初に為されており、あまり謎めいた設定になっていないので謎解き的な要素は薄め。


 シチュエーションスリラーのお約束ではありますが、舞台がほぼ『倉庫の一室』から動かないためお話にあまり広がりが無いのは辛いところです。


 主人公に繰り返される『実験』は、心の古傷をえぐるようなものや、目の前で他人を殺したり自分で他の生き物を殺させられたり…といった感じで精神的にダメージを与えるものが中心なのですが…
 内容的にもそこまで目新しさがなくビジュアルにも派手さが無いため観ていてどうにも退屈です。


 また、表題にもなっている『主人公を眠らせない』という設定ですが、眠るのを妨害するような描写もなく『睡眠不足で精神が病んでいる』みたいなテイストも殆ど感じられないため、あまり作品に効果的に使われてない印象なのは困りもの。


 ちなみに本編の最大のみどころは、女性が定期的にVRゴーグルで見せられるという『洗脳ビデオ』みたいな映像で、監督が元々がミュージックビデオとかの畑の出身だけあってか、なかなかにサイケで不気味なうえに電波っぽい『ビジュアルドラッグ』のような内容になっており、非常に見ごたえのある映像になっているのは良い感じ。


 ただ、この洗脳ビデオも尺が数分程度とそこまで長くないため、どうせならこのビデオだけじゃなくて、もっと映画全体が『狂った感じのビジュアル』みたいなノリで攻めて欲しかったかも?


 ちなみに途中である程度の予想は付くのですが、オチもなかなかに救いの無い感じの内容で、最初から最後までいかにも『悪趣味映画』ってのを徹底しているあたりは個人的には嫌いじゃなかったです。

 


 総評としましては、地味な内容ながらも『色々と悪趣味なノリの監禁系サイコスリラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪趣味もの』としてはやや物足りない部分もありますが、電波系の洗脳ビデオとか少し面白い要素もあるので、そういうノリが好きな人ならばチェックしてみても良いかもしれません。


 逆にワンシチュエーションスリラーの『サスペンス要素』が好きな場合は、ちょっと物足りなさの残る内容になってしまうかもしれないので、その辺も含めて好みの分かれる作品という印象かも?

 

映画感想:「スクリーム (2022) 」(55点/スラッシャー)

■■■「スクリーム (2022) 」■■■
(55点/スラッシャー)


 25年前に幽霊マスクの殺人鬼『ゴーストフェイス』による連続殺人のあったウッズボローの町に住むティーンエイジャーのタラは、深夜にかかってきた謎の電話でゲームをする事を要求された後に、『ゴーストフェイス』の仮面を付けた何者かによって襲撃を受ける。


 タラは辛うじて一命をとりとめるが、タラの姉のサムは『何者かがかつての連続殺人事件を模倣してウッズボローの若者たちを狙っている』と考えた事から、妹の命を守るためにかつての事件の生き残りである元保安官のデューイに助けを求める事となる。


 事件の知らせを受けたデューイは、同じように過去の事件の生き残りであるシドニーとゲイルに町に来ないように告げ、過去の確執を断ち切るべく事件の調査へと向かうのだった…

 


 ゴーストフェイス』による連続殺人事件から25年後に同じ町でかつての事件を模倣した殺人事件が発生し、かつての当事者であるデューイやゲイルたちが犠牲者と共に事件の謎を追う…というスラッシャーホラー映画。


 ウェス・クレイヴンによる傑作サスペンス系スラッシャーホラーである、「スクリーム」シリーズの最新作に当たる作品で、最近流行っている過去の人気作の『リブートもの』のシリーズの一本ですね。


 お話的にも過去作と繋がった作品となっており、かつてのシリーズのヒロインやら生き残りやらが再び登場したりする辺りからし「ハロウィン」のリブート版に近いイメージの作品かも?


 作風的にも、割とシッカリと過去のシリーズのパターンやらお約束を踏襲した作りになっており、『果たして殺人鬼は誰なのか?』を主人公たちが調査しながらお話が進んでいくという構成に加えて、『ホラー映画のお約束』の解説なんかもシッカリと作中で語られる辺り、予想以上にキチンとした続編という印象。


 また『ホラー映画のお約束』の部分が、シッカリと『リブートものや長期シリーズホラー映画のお約束』になっていたのは、ちょっと笑ってしまいました。
 この辺は『「スクリーム」のシリーズの事を良く研究してるな』という印象。(旧シリーズの2や3でも、主人公たちはシッカリと『続編のお約束』に従って行動していた。)


 あとリブートらしく、ちょっと残虐描写なんかが強めになっている印象ですが、まあこの辺は時代の流れかな…という感じ。


 気になった部分としては、作中で過去シリーズの主人公たちの役割として占めるウェイトが非常に高くて、ほぼ主役のような扱いになっていた事。


 「ハロウィン」のリブートのように『過去の確執を断ち切るため』みたいな目的があるのなら良いのですが、そこまで強い動機がある訳でも無い割にはちょっと目立ちすぎな感じで、本作の主人公の影が薄くなってしまっているんですよね。


 過去シリーズのファンとしては嬉しいのですが、作中でも言われてたとおりに旧作の主人公たちが目立ちすぎているせいでちょっと『マンネリ』な部分を感じてしまったので、もうちょっと新しい主人公をシッカリと掘り下げて欲しかったところです。


 また犯人や事件の真相に関しても、ちょっと唐突で弱い印象があったので、もうちょっと伏線とか凝った設定があっても良かったかも?


 あと割とどうでも良い事ですが、今回の殺人鬼は妙にヘタレで『反撃されてピンチに陥る』ようなシーンが妙に多くて、見ていて『大丈夫かよ、もっと頑張れよ』と逆に心配になってしまったのは自分だけですかね?(笑)
 (まあ、新しい犯人の『未熟さ』を表現した演出なのかもしれませんが…)

 


 総評としましては、『そこそこ良く出来た過去の名作のリブート系のスラッシャーホラー映画』という感じの作品ですね。


 過去作のキャラがメインを張っていたりシリーズのオマージュ的なネタが多めだったりするあたり、基本的には『過去作のファンだった人向けの映画』という印象があるので、新規の人は過去作を観てからの方が楽しめる内容かも?


 でもまあ、シリーズを好きだった人であれば『お祭り企画』的なノリで普通に楽しめる映画だと思うので、気になっているのであればチェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか。

 

映画感想:「呪術召喚/カンディシャ」(55点/オカルト)

■■■「呪術召喚/カンディシャ」■■■
(55点/オカルト)


 フランスの下町に住む高校生のアメリは、幼なじみのビントゥ、モルジャナと遊んでいる時に、モロッコの伝説に伝わる『復讐の悪霊カンディシャ』の噂を聞かされる。


 DV気質でストーカーの元カレのファリドに暴力を奮われたアメリは、怒りからカンディシャの召喚の儀式を行うが、その翌日に元カレが事故で急死したとの知らせを受ける。


 更に彼らの周りで、身内の男性たちが立て続けに変死を遂げるという事件が発生。
 事件がカディンシャの仕業であると知った3人は、なんとかして悪霊の暴走を止めようとするが…

 


 少女がDVな元カレに復讐するために悪霊を召喚する儀式を行ったところ、悪霊が暴走して次々と人々を襲うようになってしまい…という感じの、オカルトサスペンス映画。


 パッケージとかタイトルロゴを見ると、どこか『某呪術アニメ』を連想させるような雰囲気ですが、特に関連するような要素もないフランス製のオカルト映画で、ノリとしては『都市伝説ホラー』にイメージが強い作品です。


 お話としては、『とある少女がDVな元カレに復讐するために伝説の「復讐の悪霊」を呼び出す儀式をするんだけど、その悪霊は実は「復讐のために6人の男性を殺す」まで暴走を止める事が出来ない事が判明し、なんとかしてその殺戮を阻止しようとするが…』みたいな感じのストーリー。


 悪霊召喚の儀式が矢鱈と簡単(血で魔法陣を書いて5回名前を呼ぶだけ)だったり、呼び出した悪霊をなんとかして止めるために伝説を調査したり…といった感じで、お話的には『都市伝説ホラー』のテンプレートに則った感じの作りになっています。


 暴走した悪霊が、その呪いのせいで『主人公たちの身内の男性を次々と殺害していく』という展開なのですが、序盤~中盤にかけては悪霊の姿が割と出し惜しみされており、殺し方もあまり工夫が無いせいでちょっと盛り上がりに欠ける印象。


 また、主人公たちが割と『悪ガキの不良グループ』的な描かれ方をしてるのも、感情移入の妨げになってしまっている感があるんですよね。(B級ホラーでは、『不良は多少ひどい目にあっても自業自得』みたいな空気があるので…)


 ただ、主人公たち3人のキャラの掘り下げは意外と丁寧に行われているので、終盤にはシッカリと感情移入できるようになっているのは良い感じです、


 序盤~中盤の地味な印象に反して、後半で悪霊が本格的に姿を現してからの展開はなかなか派手で面白いのは良い感じ。


 悪霊の姿は『上半身が美女で下半身が山羊(牧神のパンみたいなデザイン)』という姿なのですが、『上半身はめっちゃ美人の見た目なのに身長が3m弱ぐらいあって下半身が獣』というデザインのお陰で、ギャップによるインパクトが凄くてなかなか迫力があります。


 人間を襲う際の過剰なまでのパワープレイによる容赦ない残虐ファイトも良い感じで、モンスターとしてなかなか魅力的に仕上がっているんですよね。


 惜しむらくは暴れ回るシーンがほぼ終盤に集中しており、序盤の殺害シーンが淡泊すぎる感じになってしまっているので、出来れば序盤からもう少し残虐ファイトの片鱗を見せて欲しかったところ。


 あと終盤で盛り上がる割には、オチは矢鱈とアッサリしてて『えっ、今ので終わり?』みたいな感じだったので、最後はもうひと捻りぐらいあっても良かった気がしますよ。

 


 総評としましては、『まあまあ観れるレベルの都市伝説ホラー系オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 強く推す程では無いですが、都市伝説ホラーとかが好きであれば普通に観れるレベルの映画だと思います。


 モンスターのデザインやらがなかなか秀逸で観るべき部分もあるので、そういう部分が気になっているようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。

映画感想:「怨霊屋敷/シークレット・マツシタ」(55点/オカルト)

■■■「怨霊屋敷/シークレット・マツシタ」■■■
(55点/オカルト)


 2013年のペルーの首都リマ。
 ヒメナ、ファビアン、ルイスたちの撮影チームは、オカルトのドキュメンタリー映画を撮影するために、地元で幽霊屋敷とウワサされる『マツシタ邸』へと入り込んで、幽霊屋敷の調査の様子の撮影を行う事となる。


 その場所は、かつて日本人の一家が住んでいたが父親が発狂し妻と子供たちの家族全員を惨殺したという事件や、その他にも様々な言い伝えがあり、数々の、心霊現象の目撃が報告されている場所だった。


 彼らは霊媒師のオスカルと共に幽霊屋敷の調査を開始するが、屋敷へと侵入した彼らを想像を上回る様々な現象が襲い始め…

 


 南米のペルーにある幽霊屋敷『マツシタ邸』に調査に訪れた撮影チームが、屋敷の中で様々な恐るべき現象に遭遇する…という、ファウンドフッテージもののオカルトホラー映画。


 いわゆる『撮影者が行方不明になった後に発見されたフィルム』という設定のファウンドフッテージ』タイプのPOVホラー映画で、手っ取り早く説明するなら「グレイヴ・エンカウターズ」のペルー版みたいな感じの作品ですね。


 ファウンドフッテージもの』の作品自体は既に各所で大量に作られているので特に目新しさも無いのですが、ペルー製というのはちょっと珍しいのに加えて映画そのものは『意外とシッカリと作り込まれたオカルトホラー映画』という感じで、なかなか悪くない印象の作品です。


 舞台となる『マツシタ邸』の長年に渡って人が踏み入っていない廃墟という感じも良く出ていますし、人里離れた山中みたいな場所じゃなくて『街中にあるいわく付きの建物』みたいなロケーションも妙なリアリティを感じさせてくれます。

 

 オカルト演出や雰囲気作りも派手さは無いものの要所要所はシッカリと押さえている感じで、退屈しない程度にはお話を盛り上げてくれて悪くありません。


 序盤~中盤はあまり事件とかも起こらずにやや冗長な感じではありますが、終盤にかけての『怒涛の展開』みたいな流れはなかなか面白くて、予想以上に楽しませてくれるのは良い感じ。


 短い尺の中で幽霊屋敷のバックボーンとかも割とシッカリと語られており、ちょっとした謎解き要素なんかも仕込まれていたりと、お話の構成も上手くてなかなか良く出来ている印象。


 POV(主観カメラ映像)が中心の割には見せ方も工夫されており、画面酔いするような見辛い感じになっていないのも良く作られていますし、低予算ながらも全体的にシッカリと作られているのを感じさせてくれます。


 ただ、日本人屋敷が舞台になってる割には日本要素は意外と薄め。


 むしろ、ちょっと『勘違いした日本テイスト』がところどころに感じられて、日本人から見ると違和感がある…というか、ちょっと笑えるような要素になってしまっているのは困ったところ。


 オチの落としどころとかも上手かったのに、エンディングで唐突に『謎の日本語ソング』が流れてみたりとかヘンテコな部分もあったりするので、現地メンバーにもうちょっとJホラーに詳しい人とかは居れば良かったのになあ…と(笑)

 


 総評としましては、低予算ながらも『なかなか良く出来たファウンドフッテージもののオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 ファウンドフッテージ作品やPOV作品が好きな人であれば、そこそこ楽しめる内容だと思いますし、自分的にはペルー製のホラー映画自体があまり観た記憶が無いので、目新しさ的にもオススメできる部分はあるかと…


 まあ強くオススメするには弱いですが、気になるようであればチェックしておいても損は無いタイプのオカルトホラー映画だと思いますよ。