NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シン・オクトパス」(45点/モンスター)

■■■「シン・オクトパス」■■■
(45点/モンスター)


 海辺で食堂を経営するフォンは、ある日、海で珍しいタコの捕獲に成功する。


 この『謎のタコ』を、元恋人で海洋生物学者であるズーモーとよりを戻すのに利用しようと画策する彼だったが、沿岸で『海水浴客が謎の巨大生物に襲われて行方不明になる』という事件が発生していた事から、『謎のタコ』が関連しているのではないかと考えたズーモーはタコを海に帰す事を提案。


 しかし、そんな矢先に彼の食堂を全長20メートルを越えるような巨大なタコが襲撃。


 タコによって店を破壊されたフォンは、店を建て直す費用を手に入れるために、ズーモーの勤めるグリード社の変異遺伝子研究の急進派であるリンへと『謎のタコ』を売り払ってしまうのだった…

 


 人間によって子供を奪われた巨大な母タコが、子供を取り戻すために人間を襲撃する…という、巨大タコもののモンスターパニック映画。


 最近流行っている中国製の巨大生物映画の新作の一つで、ありそうで意外と少ない『巨大タコ』を題材としたモンスター映画ですね。


 基本的なプロットとしては、『人間に子供を捕らえられた巨大タコが、人間に復讐しようとする』みたいなお話がメインとなっているのですが、巨大タコという設定やらストーリーからし「ザ・ビースト 巨大イカの逆襲」辺りに着想を得た作品なのかも?


 ただ、お話の中心は『巨大タコ』ではあるものの、実際の作品の中身の方は『とにかく色々と詰め込みまくったお話』という印象。


 巨大タコを捕獲した主人公と科学者のヒロインを中心とした恋愛やら人間模様のアレコレに加えて、巨大タコを巡っての遺伝子操作に関する陰謀やら、ナチスの実験やら秘密基地やら…とにかく色んな要素がテンコ盛り。


 そのお陰でお話の展開が物凄く早くて、退屈しない作りになっているのは良い感じなのですが…
 いかんせん『詰め込み過ぎ』な印象もあり、ぼんやり見ているとキャラクターどうしの人間関係とかがゴチャゴチャしすぎてて訳が分からなくなって来ます。


 ぶっちゃけ、『悪役の祖父のナチス絡みのエピソードとか、無理に必要なかったやろ?』というのが正直なところ。


 また、ストーリーをゴチャゴチャと詰め込みすぎた弊害なのか、肝心の『巨大タコ』の出番がやや少な目なのは残念なところ。(『巨大タコ』のCGにお金をかけれなかったので、ストーリーを詰め込みまくったという説もありますが…)


 肝心の巨大タコの出番も、ほとんどが『水中から触手が伸びて来るだけ』というシーンの連発で、観ていてもビジュアル的にあまり面白味が無いんですよね。


 せっかく『船を沈める程の巨大なタコ』を登場させてるんだから、もうちょっと暴れまくって見せ場を作って欲しかった。


 ラストのオチもなんか『いい感じの話』にまとめてるけど微妙にスッキリしない終わり方特に捻りも無くそれほど爽快感も無いですし、どうにも全体的に面白味に欠ける映画でしたよ。

 


 総評としましては、ゴチャゴチャと詰め込まれてる割には『物足りなさの残るモンスターパニック映画』って感じの作品です。


 主人公を含めた『矢鱈と濃いキャラたちの掘り下げ』とか悪くない部分もあるのですが、それがモンスター映画としての魅力に繋がっているのかと言われると微妙なところ。


 とはいえ『巨大タコもの』というのは多そうで意外と少ないジャンルの作品ですし、全体的に退屈しないレベルには仕上がっていますので、どうしても気になるようであればチェックしてみても良い作品かもしれませんよ。

 

映画感想:「スパイ・コード:CICADA 3301」(55点/サスペンス)

■■■「スパイ・コード:CICADA 3301」■■■
(55点/サスペンス)


 天才的な頭脳を持つハッカーであるコナーは、ある日、ネット上で伝説となっている謎の秘密結社『CICADA3301』の秘密のコードを発見し、解読に挑戦するが失敗に終わってしまう。


 しかし、その翌日に唐突にNSA(国家安全保障局)に逮捕された彼は、取引として彼の罪を見逃した上に大金を支払う代わりに『CICADA3301』の調査に協力して欲しいとの依頼を受ける。


 金策に困っていた彼はNSAの依頼を受け、豊富な知識を持つ友人のグウェンとアヴィと共に『CICADA3301』の暗号や謎かけを次々と解読していくが、そんな彼らを動物のマスクを被った奇妙な集団が襲撃し…

 


 天才的ハッカー集団の若者3人が、謎の秘密結社『CICADA3301』によって作り出された恐ろしく難解な暗号の解読に挑む…という、サスペンススリラー映画。


 いわゆるダ・ヴィンチ・コード」的な『暗号謎解き系のサスペンス映画』なのですが、別に宗教的な背景やドラマ的な要素はあんまりなくて、主人公たちが何者かによって出題された矢鱈と難解な『謎解きゲーム』に挑戦するみたいなお話ですね。


 物語の構成がやや独特な感じの作りの作品で、『ラストシーンから時間を遡っていく』みたいな感じでお話が語られていくのですが、主人公が虚言癖を持っており、ところどころで訳の分からない下ネタ系のシーンが挟まれたり、NSA職員が赤ちゃんマスクのコスプレをして登場したりとか、良く分からない独自テイストを持つシーンがあるのはブラックユーモア的なセンスでちょっと面白いです。


 お話のテンポも良く、独特のセンスで新しいシーンやらカットやらが描かれていくのの観ていて楽しくて良い感じ。


 ただ映像センスの良さに光るものはあるのですが、メインとなる部分である肝心の『謎解きドラマ』がいま一つ面白くないのは困りもの。


 主人公たちの挑戦する『秘密結社によって仕込まれた謎解き』が、『そんなのヒント無しじゃ解けないだろ』みたいな内容のものが大半なのですが、それを主人公たちが物凄い知識量とひらめきでスラスラと解いていくという展開が、いまひとつ非現実的すぎてどうにもすんなりと楽しめません。


 また主人公のキャラもいまいち立っておらず、『状況に流されて謎解きを続けている』みたいな感じで行動に主体性が感じられないため、お話に入り込めない部分が多いのは厳しいところ。


 壮大そうな設定の『謎の秘密結社』が登場する割には、ラストのオチも意外としょうもない内容ですし、ストーリー全体としてもうちょっと上手く作れなかったたもんかなぁ…というのが正直な感じでしたよ。

 


 総評としましては、独特のテイストはあるものの『いま一つ盛り上がりに欠ける謎解きゲーム系サスペンス映画』って感じですね。


 映像とか演出とかが面白いセンスなので、観るべき要素はそれなりにあるのですが映画の中身が希薄すぎてあまり記憶に残らない作品という印象。


 予告とかを見て、映像センスとか独特のテイストとかに惹かれたのであればチェックしてみても良いかもしれませんが、個人的には『謎解きゲーム』系の作品としてはちょっと物足りなさの残る内容でしたよ。

映画感想:「KKKをぶっ飛ばせ!」(50点/アクション)

■■■「KKKをぶっ飛ばせ!」■■■
(50点/アクション)


 1971年テネシー州
 無実の罪で刑務所に入れられた黒人男性のブランドンは、刑務所からの脱獄に成功して姉のアンジェラに助けを求める。
 姉のアンジェラと兄のクラレンスの手引きによって、かつて祖父が保有していた人里離れた廃牧場にかくまわれる事となる。


 しかし、その日の夜に近所で奇妙な女性の悲鳴を聞きその場所へと訪れたところ、黒人の女性が白い三角頭巾の集団によって処刑されそうになっている現場に遭遇。


 その地域は、非道の白人至上主義結社であるKKKの支配する場所で、黒人の肉を食う狂気のカニバリスト団員のたちの縄張りだったのだ。


 とっさに白人たちを奇襲して女性の救出に成功した彼だったが、逆に彼と兄弟たちの3人がKKKによって捕らえられる事となってしまい…

 


 狂気の人食いKKK団員たちと黒人の兄弟たちが壮絶なバトルを繰り広げる…という、バイオレンスアクション映画。


 まあ、なんというか『タイトルそのまんまの内容』とでも言いたくなるような、直球ストレートなバイオレンス作品ですね。


 お話としては、『頭のおかしいKKK団員たちに捕まった黒人兄弟たちが、なんとかして拘束を逃れて血みどろのリベンジバトルを繰り広げる』という、ホントにそれだけの展開。


 登場人物の軒並みが頭がおかしい連中ばかりで、『黒人の身体を解体して肉を食べるカニバリストのKKK団員』という設定も相当にヤバイのですが、それに対抗する主人公たちも同じぐらいヤバい連中で、『そこまで念入りにボコらんでもええやろ?』ってレベルの残虐ファイトでKKK団員たちをボコボコにしてくれて、なかなかに痛快です。


 ネタの大半はブラックジョークのようななネタなのに加えて、アクションシーンの大半が『血みどろのバトルシーン』という塩梅で、とにかく『不謹慎なシーン』と『血しぶき』と『痛そうなシーン』のつるべ打ちという感じで、退屈する暇もないレベルの血みどろ具合で楽しませてくれるのは良い感じ。


 ただバイオレンス描写は凄いのですがそれ以外の要素はほぼ皆無で、ストーリーらしいストーリーもなければキャラの掘り下げのような要素も殆どなし。


 ただただひたすらに『KKK団員と黒人兄弟とが一触即発の血みどろバトルを繰り広げている』というだけの内容で、『全てが見せ場』とも言えるし『全く見せ場が無い映画』とも言えるような作りなのは困ったところ。


 一応は山場みたいな物はあるのですが、山場も結局は残虐ファイトのシーンなので、ちょっとメリハリに欠けるんですよね。


 血みどろシーンがウリのバイオレンスアクションとしては悪くは無いのですが、主人公・敵キャラを含めてもうちょっとキャラの掘り下げやらがあっても良かったんじゃないかなぁ…というのが正直なところですよ。(キャラがもっと魅力的に描かれてれば、もっと良い作品になってたと思うので…)

 


 総評としましては、『イキオイだけで作られたようなバイオレンスアクション映画』という感じの作品です。


 細かいことを考えずに、ひたすらブラックなノリの血みどろバトルを楽しみたいというのであればまあまあ楽しめる作品だと思いますが、それ以外のものを求めるとちょっと厳しい作品という印象。


 そういう映画だと割り切って楽しむぶんには良い作品だと思いますので、とにかくひたすらに血しぶきとバイオレンス描写を観たいような気分の時にはオススメの一本かと…

劇場にて「NOPE/ノープ」を観てまいりました。

 不慮の事故で亡くなった父から牧場を引き継ぐこととなったOJは、妹のエメラルドと共に牧場を経営するものの、妹は牧場に興味が無いうえに、彼自身も口下手な性格と父に劣る調教の技術の無さから、牧場の経営が傾き父から相続した馬たちを手放さなければならなくなっていた。


 そんなある日、牧場から逃げ出した馬を追って荒野をさまよっていた彼は、雲の合間を隠れるように飛ぶ巨大なUFOのようなものを目撃。


 妹にそれを話したところ、牧場を立て直すために『UFOを撮影してその映像で一攫千金を得る事』を提案されるが…

 


 劇場にて「NOPE/ノープ」を観てまいりました。


 「ゲットアウト」のジョーダン・ピール監督の新作ということに加えて、観てきた人たちの評価も高い人が多くて一部界隈で話題となっている本作ですが…


 思った以上にパンチの効いた内容ちょっと観る人を選ぶ映画だとは思いますが、確かにこれは評判が良いのも納得の良作という印象でしたよ。


 ただ、ネタバレが致命的になるような作品とまでは行かないものの、可能であれば『何も知らない状態』で観た方が楽しい映画だと思うので、観に行く予定の人はここから先の感想は読まない方が良いと思います。


 一応、大きなネタバレは無いようにレビューを書きますが…

 


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 予告を観ると『UFOによるアブダクションを題材とした不思議系SFサスペンス映画みたいな印象を受けますが、その実態は予想以上にねっとりとして不気味な『怖い映画』というのが正直な感想。


 けっこうエグいシーンもあったりするので、予告のヌルそうなノリに騙されて観に行った人が居たらトラウマになっちゃうんじゃないかと、ちょっと心配になるレベル。


 序盤から、過去のホームドラマの撮影中に起きた悲惨な事故』やら、主人公の父親が亡くなった『不可解な不慮の事故』のシーンやら、印象的な不気味なシーンの連発に加えて、IMAX上映に向けて作られたという観る者の不安を煽るような『観客を包み込むような音の演出』が要所要所に仕込まれており、観ているだけでどんどん『嫌な気分』になっていくような構成が上手いです。


 また序盤は雰囲気映画っぽい感じで、ひたすら『不穏な空気』を盛り上げつつ『UFOに隠された秘密』という謎を提示していくという割とスローテンポな感じなのですが、序盤のテンポに反して中盤からは予想外の展開の連発で恐ろしくスピーディで迫力のある怒涛の展開に突入していくという作りなのも面白いです。


 ラスト辺りとか本気で全く先の読めない作りになっていて、かなり手に汗握る内容でしたよ。


 また全体的な構成の上手さに加えて、細かい伏線の仕込みの上手さも割と感心させられたところ。


 序盤から何度も印象的に挿入されるホームドラマの撮影中の事故』が、お約束的に後半の展開の伏線になっていたり、『そんなしょうもないシーンが実は伏線だったの!?』というようなトンデモ系の伏線が大量に仕込まれていたりしたのは、ちょっと笑ってしまいました。
 (普通は『空気圧で踊る人形のディスプレイ』が、後半のキーアイテムになってるとか思わんだろ(笑))


 主要登場人物たちのキャラの掘り下げもシッカリしていますし、メインキャラ各位にキチンと見せ場が用意されてるのも良い感じですし、とにかく丁寧に作られた作品という印象。


 難点を上げるとすれば、ちょっと尺が長めなせいもあって序盤で少しダレる印象があったので、仕込みの部分はもうちょっと短めでも良かったかも…ってぐらいかなあ?

 


 総評としましては、『なかなか良く出来た佳作レベルのSF風味のサスペンスホラー映画』という感じの作品ですね。


 かなりケレン味の強い内容なので好みの割れそうな映画ではありますが、個人的には『今まで観た中で一番怖かったUFO映画』と言う印象の映画でしたよ。


 SF系ホラーとかが好きで気になっているのであれば、間違いなく観ておいて損は無い作品だと思うので、出来る限りネタバレを踏まないうちに観ておく方が良い一本かもしれませんよ。

 

 

映画感想:「シャドウ・イン・クラウド」(60点/モンスター)

■■■「シャドウ・イン・クラウド」■■■
(60点/モンスター)


 1943年、第二次大戦下のニュージーランド
 女性士官のギャレットは密命を受けて極秘の荷物をサモアまで運ぶため、B-17爆撃機に搭乗する事となる。


 乗員の男性クルーたちから不審な目で見られ、後部銃座に隔離されるような形で機内に乗り込む事となった彼女だったが、嵐の中を飛行中に飛行機の翼の上に奇妙な生き物の影のようなものを目撃。


 それ以来、飛行機には原因不明のトラブルが相次ぐようになっていき、やがて彼女は飛行機を破壊しようと暴れる怪物の姿を目にするが、クルーの面々は彼女の言葉を信じようとせず…

 


 戦時中にB-17爆撃機に乗る事になった女性士官が、機械を故障させる謎の怪物『グレムリン』と戦うこととなる…という、戦争アクション風味のモンスターホラー映画。


 飛行機にいたずらをする邪悪な妖精『グレムリンを題材とした作品と言えば、映画版トワイライトゾーン/超次元の体験」の1エピソードが有名ですね。
 本作も、『怪物が嵐の中の翼の上に出現してエンジンを破壊』したりと、割とその辺をリスペクトしてるみたいな印象。


 お話の前半部分が、主人公の女性が爆撃機の後部銃座に閉じ込められて『女性の姿だけが画面に映った状態の会話劇(他のクルーは無線の声のみで出演)』で進んでいくみたいな感じの特殊な構成なのですが、てっきりラストまで同じような構成のワンシチュエーションスリラーでお話が続くのかと思いきや…


 中盤辺りからガラリと展開がかわって、なかなか激しい内容の戦争アクション風味のモンスターホラー映画に突入していくという構成は面白いですね。


 単に主人公たちが『機内(もしくは機上)でグレムリンと戦う』ってだけの映画なのかと思っていたのですが、戦争アクションの要素が思った以上に濃くて、予想以上に派手で迫力のあるアクションシーンがガッツリと観れるのは良い感じ。


 ただ、それでも序盤のシチュエーションスリラーっぽい部分はやはりちょっと退屈で、他の男性クルーたちが『無線の声』だけでしか登場しないこともあって、キャラクターの関係性やら誰が喋っているのかとかが分かり辛く、ちょっとグテグテ感があるのは困りもの。


 同じような展開でも、もうちょっと主要キャラの人間関係や個性が分かりやすいような作りにして欲しかったです。


 逆にヒロインのキャラの掘り下げはシッカリしていますし、『極秘の荷物』にちょっとした秘密があったりと、なかなか捻りの効いた構成になっているのは悪くない印象。


 ただ怪物である『グレムリン』は、コウモリ人間っぽい感じなのですが、ちょっと面白味が少なくて迫力の無いデザインなので、もうちょっと個性があっても良かったかも?


 色々とツッコミどころはある内容ながらも、ラストの想像以上にシュールな展開なんかも含めてなかなか面白くて楽しめた映画でしたよ。

 


 総評としましては、意外と良く出来た『戦争アクション風味のモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 グレムリン』を題材とした作品自体が少ないですし、第二次世界大戦を舞台とした戦争アクションものとしても悪くない出来ですので、その辺の興味があればチェックしておいても損は無い一本だと思います。


 いかんせん序盤の展開がダルいのは難点ですし、そこそこシッカリ作られているとはいえ低予算風味は隠せないレベルの内容でもあるので、過剰な期待は禁物ですが趣味に合えばそこそこ楽しめる作品ではないかと…

映画感想:「ジュラシック・アース 新たなる覇者」60点/モンスター:結構オススメ)

■■■「ジュラシック・アース 新たなる覇者」■■■
(60点/モンスター:結構オススメ)


 中国の沖合に数々の恐竜の化石や古代からの自然の残る『亡骨島』という無人島が発見され、その場所に古代生物を題材としたテーマパークである『荒島パーク』の建設が計画される。


 しかし、建設予定地に巨大な岩盤があった事から岩盤を爆破したところ、地下から恐ろしく巨大な大蛇が出現。
 更に他の恐竜や古代生物も休眠から目を覚まし、工事現場は壊滅させられてしまう。


 更にそんな状況を露知らず、見学ツアーの客たちが工事現場を訪れようとしていたのだった…

 


 古代生物のテーマパーク建設予定地に大蛇や古代生物が復活し、見学に訪れた人々が脅威にさらされる事となる…という、怪獣映画風味のモンスターパニック映画。


 最近流行っている中国製の巨大生物映画の新作の一つで、『超巨大な大蛇が出現する』というモンスターパニック映画ですね。


 巨大な大蛇のサイズが全長20mぐらいあるような超スケールだったり、大蛇とライバル関係の超巨大なギガノトサウルスみたいのが出現してみてバトルを繰り広げたりと、もはや『生物パニック映画』というよりは『怪獣映画』に近いような印象の作品です。


 タイトルや設定だけ見ると「ジュラシック・パーク」のパクリっぽいのですが、島を訪れた見学客たちが在住の古代生物に襲われたり、大蛇が人間の味方っぽい存在だったりと、どちらかと言うとキングコング 髑髏島の巨神」に影響を受けてる部分が多い内容で、実際ところどころにキングコングをリスペクトしたっぽいシーンも見られる感じ。


 まあノリ的には二番煎じっぽい巨大生物映画ではあるのですが、肝心の内容の方は意外とシッカリと作られた良作という印象。


 とにかく非常にテンポの速い作りで、全体の尺は70分強と短いものの映画の開幕5分ぐらいから大蛇や恐竜が出し惜しみなく画面に姿を現して大暴れを開始し、その後も『ほぼ10分置きぐらいに新たな脅威や古代生物が次々と人間を襲う』という展開で、とにかく見せ場が山盛りで退屈しない作りとなっています。


 登場する古代生物も、メインの超巨大な大蛇に加えて、ギガノトサウルスっぽい肉食恐竜、人間を丸呑みにする巨大ガエルやら人食い植物なんかも出現して、とにかく盛り沢山な内容。


 襲撃シーンのCGもかなり気合が入っているうえに、人間との絡みも多くて建物や乗り物の破壊シーンなんかもあったりして、全体的に割と見ごたえのある作りになっているのは良い感じ。


 『大蛇が人間に味方する』という設定も割と無理が無い理由付け(恐竜に襲われた少年を自分の子供と勘違いしている)がされており、全体的に意外とシッカリとプロットが練られている印象です。(まあ、古代生物の生体とか辺りの設定はムチャクチャですが…(笑))


 派手な巨大生物の暴れるシーンやらバトルだけでなく、終盤の少年がトラウマを乗り越えるシーンなんかも地味に熱いですし、とにかく見どころの多い作品という印象でしたよ。


 ただ短すぎてちょっと物足りない部分はあったので、『もうちょっと映画全体のボリュームがあればなぁ…』というのも正直な感想でした。

 


 総評としましては、『意外と良く出来た巨大生物ものパニック映画(というか怪獣映画)』って感じの作品ですね。


 キングコング 髑髏島の巨神」のような、ハチャメチャ巨大生物バトル的なノリが好きであれば、ごく普通に楽しめる映画だと思います。


 その手の作品が好きであれば、普通にチェックしておいても損は無い一本という感じですし、『続編を作る気まんまん』みたいな終わり方だったので、続編にも期待していきたいシリーズでしたよ。

 

映画感想:「ジュラシック・ウッズ」(35点/モンスター)

■■■「ジュラシック・ウッズ」■■■
(35点/モンスター)


 生物学者のサイモンは、亡くなった息子をこの世に蘇らせるDNAの操作実験の副産物として、恐竜を現代に蘇らせることに成功する。


 しかし恐竜たちは彼の予想を越える勢いで急激に成長し、制御不能となってしまい、彼と彼の妻を食い殺して森の中に逃亡してしまう。


 そんな事情は露知らず、彼の住む森の奥の農場を訪れたサイモンの家族たち4人は、そこで狂暴な肉食恐竜と死んだ筈のサイモンの息子であるマークに遭遇。


 なんとかしてマークと共に、恐竜の徘徊する農場から脱出しようと試みるが…

 


 ある生物学者の遺伝子操作の実験により現代に恐竜を復活させる事に成功するが、恐竜に食われて亡くなってしまい、その屋敷を訪れた家族たちが恐竜に襲われる事となる…という、モンスターパニック映画。


 お話としては、森の奥の一軒家を舞台とした割とありがちな『低予算の閉鎖環境型モンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 作中でジュラシック・パーク」のオマージュ的なシーンが散見されたりと狙ってる方向は良く分かるのですが、肝心の内容の方は『ビックリするほどスケールが小さくなった「ジュラシック・パーク」』みたいなお話です。


 単純にスケールが小さくなっただけならば良いのですが、まあとにかく『観ていて全く楽しくない映画』なのが困りもの。


 登場する恐竜は、ラプトル2匹とティラノサウルス1匹の計3匹のみ。


 登場シーンはそこまで少なくないものの、CGは割と低レベルで映像が浮いていますし、低予算CG故に人間との絡みのシーンが少なくて襲撃シーンの半分ぐらいは『襲われている雰囲気』を描いたイメージ映像みたいな感じ。


 恐竜の数が少ないうえに襲撃シーンの見せ方もいま一つ緊張感が無くて、どうにも盛り上がりに欠けます。


 人間側の登場人物も魅力が感じられないキャラばかりで、途中で家族を救出するために軍隊の面々が登場したりするのですが、この軍隊の連中がたいして役に立たないクセに主人公たちに対して異常に高圧的で、観ていてイライラさせられます。


 というか、民間人からの『恐竜に襲われた』という与太話のような通報をアッサリ信じて、軍のチームと科学者を森の奥まで派遣してくるとか『イギリスの軍隊は暇人の集団かよ?』とツッコミを入れたくなるぐらいに設定がグテグテなのはいかがなものかと…


 科学者の恐竜復活の研究の動機が『死んだ息子を蘇らせるため』というのは面白い設定だと思うのですが、『息子を蘇らせたあとについでにヤバい肉食恐竜を蘇らせる』という科学者の研究方針も意味不明ですし、研究のために蘇らせるにしても何でもっとおとなしくて無難な生物にしなかったのかと…
 (まあ本作に限らず、この手の恐竜復活系の映画は全部に同じようなツッコミが入れれてしまうんですが…(笑))


 ストーリーも全体的にダラダラした展開が多いうえに、矢鱈と説明的なセリフが多くて無理矢理感がありまくりですし、ラストのオチも何の解決もしていない投げっぱなしっぷりですし、とにかく観ていてストレスの溜まる映画でした。

 


 総評としましては、『全体的にグテグテでどうにも面白味に欠ける低予算モンスターパニック映画』という感じですね。


 特にコレと言った見どころも無いうえに観ていてストレスの溜まるシーンが多いので、正直言ってあまりオススメできるような要素は無い作品という印象。


 よほど『恐竜映画は全部チェックするんだ』という情熱に燃えているとかでも無ければ、普通にスルーしてしまって問題のない一本だと思いますよ。