■■■「シン・オクトパス」■■■
(45点/モンスター)
海辺で食堂を経営するフォンは、ある日、海で珍しいタコの捕獲に成功する。
この『謎のタコ』を、元恋人で海洋生物学者であるズーモーとよりを戻すのに利用しようと画策する彼だったが、沿岸で『海水浴客が謎の巨大生物に襲われて行方不明になる』という事件が発生していた事から、『謎のタコ』が関連しているのではないかと考えたズーモーはタコを海に帰す事を提案。
しかし、そんな矢先に彼の食堂を全長20メートルを越えるような巨大なタコが襲撃。
タコによって店を破壊されたフォンは、店を建て直す費用を手に入れるために、ズーモーの勤めるグリード社の変異遺伝子研究の急進派であるリンへと『謎のタコ』を売り払ってしまうのだった…
人間によって子供を奪われた巨大な母タコが、子供を取り戻すために人間を襲撃する…という、巨大タコもののモンスターパニック映画。
最近流行っている中国製の巨大生物映画の新作の一つで、ありそうで意外と少ない『巨大タコ』を題材としたモンスター映画ですね。
基本的なプロットとしては、『人間に子供を捕らえられた巨大タコが、人間に復讐しようとする』みたいなお話がメインとなっているのですが、巨大タコという設定やらストーリーからして「ザ・ビースト 巨大イカの逆襲」辺りに着想を得た作品なのかも?
ただ、お話の中心は『巨大タコ』ではあるものの、実際の作品の中身の方は『とにかく色々と詰め込みまくったお話』という印象。
巨大タコを捕獲した主人公と科学者のヒロインを中心とした恋愛やら人間模様のアレコレに加えて、巨大タコを巡っての遺伝子操作に関する陰謀やら、旧ナチスの実験やら秘密基地やら…とにかく色んな要素がテンコ盛り。
そのお陰でお話の展開が物凄く早くて、退屈しない作りになっているのは良い感じなのですが…
いかんせん『詰め込み過ぎ』な印象もあり、ぼんやり見ているとキャラクターどうしの人間関係とかがゴチャゴチャしすぎてて訳が分からなくなって来ます。
ぶっちゃけ、『悪役の祖父のナチス絡みのエピソードとか、無理に必要なかったやろ?』というのが正直なところ。
また、ストーリーをゴチャゴチャと詰め込みすぎた弊害なのか、肝心の『巨大タコ』の出番がやや少な目なのは残念なところ。(『巨大タコ』のCGにお金をかけれなかったので、ストーリーを詰め込みまくったという説もありますが…)
肝心の巨大タコの出番も、ほとんどが『水中から触手が伸びて来るだけ』というシーンの連発で、観ていてもビジュアル的にあまり面白味が無いんですよね。
せっかく『船を沈める程の巨大なタコ』を登場させてるんだから、もうちょっと暴れまくって見せ場を作って欲しかった。
ラストのオチもなんか『いい感じの話』にまとめてるけど微妙にスッキリしない終わり方で特に捻りも無くそれほど爽快感も無いですし、どうにも全体的に面白味に欠ける映画でしたよ。
総評としましては、ゴチャゴチャと詰め込まれてる割には『物足りなさの残るモンスターパニック映画』って感じの作品です。
主人公を含めた『矢鱈と濃いキャラたちの掘り下げ』とか悪くない部分もあるのですが、それがモンスター映画としての魅力に繋がっているのかと言われると微妙なところ。
とはいえ『巨大タコもの』というのは多そうで意外と少ないジャンルの作品ですし、全体的に退屈しないレベルには仕上がっていますので、どうしても気になるようであればチェックしてみても良い作品かもしれませんよ。