NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「LAMB/ラム」(55点/ファンタジー)

■■■「LAMB/ラム」■■■
(55点/ファンタジー


 人里離れた山間の一軒家に住む羊飼いの夫婦が、ある日、羊の出産の世話をしていたところ、羊から『頭は羊だが身体は人間のような得体のしれない何か』が誕生する。


 その生き物に驚きつつも、過去に子供を亡くしていた夫妻はそれに『アダ』と名前を付けて、自分たちの子供として育てる事を決意。


 夫妻は、アダを過去に亡くした子供の生まれ変わりであるかのように愛情を注いで育てるが、やがてアダは彼らの生活を恐るべき破滅へと導いていくのだった…

 


 羊から生まれた人間でも羊でもない『何か』を育てる事になった夫婦が、それによって恐るべきトラブルへと巻き込まれてしまう…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。


 劇場での上映当時の予告とかが公開された際に、なかなかに異様な雰囲気だったため気になりつつも未鑑賞だったのですが、この度1月からAmazonプライムで配信開始されたという事ですので新年早々に鑑賞してみましたよ。


 映画の内容は、割と予告からの予想通りというか『雰囲気映画』系のサスペンス映画という感じの作品ですね。


 もっとオカルトっぽい怖い作品かと思っていたのですが、ノリとしてはオカルトというよりもダークファンタジーのテイストが強い内容で、童話に良くあるタイプの『異種族の子供を育てる話』だったり『異種族婚姻譚』的な作品がベースとなっている印象。


 雰囲気映画としてのテイストはなかなかに良い感じで、美しい自然に囲まれた『牧歌的だけど寂しい感じの山間の一軒家』映像も美しくてロケーションとしても良い感じですし、作中で常に付きまとう『何か良くない事が起こりそうな予感』も不気味で良い味を出しています。


 ただ序盤は結構怖そうな雰囲気で進むのですが、中盤辺りからは主人公たちの家族の他に『旦那の弟』が登場したりして、ホラーテイストはなりを潜めて『家族ドラマ』とか『人間ドラマ』が中心になっていく印象。


 まあ人間ドラマとしての掘り下げは良く出来ていて、退屈させないように工夫はされているのですが、『主人公(奥さん)と旦那の弟の浮気の話』とかに尺を取られても『そんなんどうでもいいわ、羊人間の方がよほど気になるんや!!』という気分になってしまう部分もあって、ちょっと微妙な印象。


 ちなみに羊から生まれてきた『羊人間』は、予告でも殆ど画面に映らずに、作中の序盤ではかなり出し惜しみをされるので『もしかして最後(もしくはラストギリギリ)まで出し惜しみしたまま終わるのか?』と思っていると、中盤辺りからは割と普通に画面に登場するようになるので、予告でモヤモヤしてた人は安心しても大丈夫です。(笑)

 (『羊人間』のデザインは割とシュールで不気味な感じなのですが、ずっと観ているとだんだん可愛く思えてくるから不思議。)


 なお、お話そのものは基本的には『雰囲気映画』という部分を考慮すると、狙ったとおりの『雰囲気』は良く出せていますし、人間ドラマ部分が意外とシッカリしているので、割と普通に楽しめる内容になっているのは好印象。

 ただ、いかんせん『雰囲気映画』だけあってお話の展開が遅くて、特に中盤辺りは話が前に進まなくてちょっと冗長さを感じてしまうのは残念なところ。


 また、先述のとおり思った以上にホラー的な要素は薄くて、全体的には『ファンタジーテイストの強い家族ドラマ』みたいな内容ですので、予告での『怖そうな印象』に期待してた場合は肩透かしを喰らわされてしまうかも?

 

 あとラストの展開がなかなかに唐突過ぎて、『えっ、なんじゃそりゃ?』みたいな終わり方なので、その辺も評価の割れる部分かも…

 


 総評としましては、全体的な雰囲気やテイストは悪くない『割と観れるレベルの雰囲気要素強めのダークファンタジー映画』みたいな感じですね。


 強く推すほどではないものの、独特な世界観やテイストは面白い作品ですので、予告を観て気になっているのであれば観ておいても良いかもしれません。


 とりあえずAmazonプライムに入っている人であれば、特に追加料金も無しで鑑賞が可能ですので、加入していてその手のジャンルが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

映画感想:「デウス/侵略」(30点/サスペンス)

■■■「デウス/侵略」■■■
(30点/サスペンス)


 近未来。
 火星の軌道に突如出現した正体不明の巨大な黒い球体が出現する。


 謎の球体の正体を探るため、天体物理学者のカーラを含む6人の調査チームが結成され、宇宙船アキリーズ号へと乗り込み調査に向かう事となる。


 出発から8ヶ月後、謎の球体の軌道へと到着した彼らは、球体へと接近し分析を開始するも、正体は一切不明のまま。


 そんな矢先に接近する彼らに球体から謎のメッセージが発信され、解析の結果それは「DEUS(神)」という単語であると判明する。


 果たして、球体上に存在すると思われる地球外生命体の正体と謎のメッセージの目的は何なのかを探るために、彼らは謎の球体へと乗り込む事となるが…

 


 火星の軌道上に突如出現した異星人の構造物と思われる『謎の球体』の正体を探るために、調査チームが現地への調査へと赴く…という、SFサスペンス映画。


 設定だけ聞くと、なんとなく『ファーストコンタクトもの』っぽくて面白そうな設定なのですが、実際の中身の方はぶっちゃけて言うと微妙な出来のSFサスペンスみたいな感じのお話でした。


 何が微妙って、とにかくお話のテンポが悪い作品なんですよね。


 『雰囲気映画』的なスローテンポな演出のシーンが非常に多いのですが、雰囲気映画ってほど雰囲気や映像演出にこだわりがある訳でもなく、センスもそこまで良くなくて、宇宙船も謎の球体も全体像やら設定やらに妙に分かり辛いシーンが多いせいで、『テンポが遅いうえに何をやってるのか良く分からない』という、非常にグデグデ感の強い内容という感じ。


 序盤は、設定からし『ファーストコンタクトもの』の定番的に異星人とのコンタクトを試みる部分が描かれるのかと思いきや、何故だかなんとなくホラーっぽいノリの展開。

 もしかして『イベントホライズンのリスペクト系の作品か?』みたいに思って観ていたのですが、ホラーっぽいのは序盤のちょっとだけで、それとは別に終盤にかけて単なるファーストコンタクトものではなくて『意外な真実』みたいなのが発覚して予想外の展開に突入していく…みたいな構成。


 一応はサスペンスなので(そこまで大層なサスペンスでもないけど)、あまり本質的な部分のネタバレには触れないように感想を書きますが、最初の『ホラーっぽい展開』がミスリードにしても作品の全体的な雰囲気にあっておらず意味不明すぎですし、その後にお話がマトモに動き出すまでが無駄に長くてダラダラしすぎ…


 お話が動き出してからの、謎の球体に関する『衝撃の真実』みたいなのも矢鱈と唐突で『何のこっちゃ』って感じですし、終盤の展開が『地球外生命体とのファーストコンタクトもの』的な設定と親和性の無さすぎなのが困りもの。


 また、SF作品としても見せ場となるようなシーンも派手な展開も殆ど無いせいで、終盤とか割と危機的状況なのに緊張感らしきものが全く感じられない作りなのも困りもの。


 あと『地球から火星への調査旅行に8ヶ月かかる』という割とリアル寄りの設定のわりには、他の部分では結構トンデモ系な設定が出てきたりして、エンタメ寄りにしたいのかリアル寄りにしたいのか釈然としない部分も多いですし、どうにも中途半端で微妙な印象しか残らないような映画でしたよ。

 


 総評としましては、『微妙でグテグテな出来のB級SFサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 なんとなく設定だけ読むと面白そうなSF映画にも見えるのですが、面白そうな要素の部分は作中に殆ど活かされていませんので、設定だけ観て期待してるような人は要注意。


 正直に言って特に推すような要素も無いですので、特別な理由も無いようでしたら普通にスルーしてしまっても問題のない一本ではないかと思いますよ…

 

映画感想:「トロール」(55点/モンスター)

■■■「トロール」■■■
(55点/モンスター)


 ノルウェーの山間部のドブレ山脈の地中奥深く。


 鉄道会社がトンネルを作るために爆破工事を行ったところ、地中の奥深くから正体不明の何者かが出現。
 工事現場を壊滅させて、そのまま姿を消してしまう。


 現場のカメラから回収された映像から『正体不明の巨大な生物』であることが判明した事から、政府から専門家として招集された古生物学者のノラは、首相補佐官であるアンドレアスと共に調査のために現地へと赴く事となる。


 現地での状況から、謎の生物が伝説の怪物である『トロール』ではないかと考えた彼女は、人文学者でトロールの伝承の研究者である父親へと助言を求めるが…

 


 ノルウェーの山間部で爆破工事によって復活した『トロール』が街を襲撃し、政府と古生物学者の女性が怪物の侵攻を食い止めようと戦いを挑む…という、モンスターパニック映画。


 ネットフリックスで配信されているオリジナルの巨大生物もののモンスター映画で、予告編を観た際にメチャクチャ面白そうだったので期待して鑑賞してみたのですが…


 実際の中身の方は『やや物足りない作品』というか、ぶっちゃけて言ってしまうと『予告編がピークの作品』という感じの内容でしたよ。


 と言っても予告編とかからも分かるように、『かなりの予算をかけて作られた作品』という感じで、映像の迫力や身長50m近くあるトロールの巨大感なんかはなかなかのもの。


 軍隊との戦闘シーンやらも割と派手で迫力がありますし、映像的には結構観るべきところは多いです。


 ただ映像が派手で迫力がある割には、ストーリーがコテコテの低予算映画のようなチープさで、どうにもアンバランスで盛り上がりに欠けるんですよね。


 お話の流れ的には『政府主導で軍隊を出動させて怪物への対策に当たる』という展開なのですが、政府や軍隊の面々がイマドキの映画ではあり得ないレベルの無能の集団みたいな感じで、役に立たないどころか被害を拡大させるような行動しか取ってないのは、流石にちょっとイライラさせられます。


 B級映画でありがちな『主人公を活躍させるために無能に描かれる周囲の人間』みたいな扱いなのですが、流石に政府の首脳陣や専門家が雁首揃えて無能ぞろいな扱いなのはいかがなものかと…
 (軍隊を出動させるにしても、相手は『巨人』とはいえ地上戦力なのが分かってるんだから、確実に優位に立てる戦闘ヘリとか戦闘機を最初から出撃させろよ…っていう。)


 また、主人公の父親がトロールの研究に没頭しすぎて、変人扱いされて学会を追放された学者』みたいな設定なのですが、流石に『映画のために作られた都合の良すぎる人員配置』という感じで、ちょっと無理がありすぎ。


 それに加えて、中盤で父親と娘の人間ドラマみたいなのも語られるものの、父親も重要人物なのかと思いきやあんまり出番が多くなくて、ドラマ要素もパニック要素もなんか中途半端で盛り上がりに欠けるんですよね。


 トロールの秘密』に関する謎解きも矢鱈と唐突な感じがありますし、全体的にもうちょっとストーリーを上手くまとめられなかったもんかなぁ…という印象。


 終盤のトロール撃退作戦の部分は割と盛り上がって良い感じなのですが、全体を通して見せ場であるトロールの出番があまり多くなくて、モンスターとしての魅力があまり感じられないのが一番の不満点かなぁ?


 せっかく『巨大生物』としての迫力のある映像を作っているんだから、もっと圧倒的なパワーや恐怖を感じさせて欲しかったですよ。
 (ぶっちゃけ、低予算で作られてると思われる「トロール・ハンター」の方が怖さも迫力も上だったかなぁ?)

 


 総評としましては、期待してた割には『どうにも物足りなさの残るモンスターパニック映画』という感じの作品です。


 予告映像での期待値は高かったのですが、正直なところ予告の期待値を越える部分があまり感じられず、むしろグテグテでいま一つテンポの良くないストーリーとかにモヤっとさせられる部分が多かった感じ…


 とはいえ、物足りないと言いつつも映像の迫力とか普通に観るべき部分はそこそこあるので、ネトフリのユーザーでモンスター映画とかが好きであれば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本ではあると思いますよ。

 

映画感想:「未来戦記」(70点/アクション:オススメ)

■■■「未来戦記」■■■
(70点/アクション:オススメ)


 2055年、戦争と環境破壊により壊滅の危機に瀕した未来世界。


 人類は汚染されきった大気を浄化するプロジェクトを進行しつつ、巨大シェルターの中に避難して過ごしていた。


 しかし、そんな矢先に宇宙から謎の植物生命体『パンドラ』が飛来。
 『パンドラ』は、猛烈な勢いで増殖しつつ都市を破壊し人々を攻撃する危険な存在であったが、その一方で汚染された地球の大気を浄化する力を持っている事が判明する。


 香港軍は『パンドラ』から市民を守りつつ人類の資産として活用するために、『パンドラ』のコロニーに遺伝子変異をもたらすための特殊弾を撃ち込むという、前代未聞の危険な任務へ赴く事となるが…

 


 環境汚染と宇宙から飛来した謎の生物群によって滅亡に瀕した人類が、宇宙生物を排除して地球の環境を回復するために危険なミッションに挑む…という、SFアクション映画。


 ネットフリックスで製作された中国製というか香港製のSFアクション映画なのですが、なんとなく地味そうなタイトルに反してメチャクチャ良く出来たアクション映画だったりします。


 どうやら本国の方では劇場公開された作品のようですが劇場用作品なのも納得の完成度なので、ネトフリ独占配信にしておくのはもったいない作品ですね。


 何が良く出来ているって、全てにおいて『とにかくセンスが良い』のが特徴という印象。


 お話としては『軍の特殊部隊の主人公が、人類を救うために時間制限ありの危険なミッションに挑む』みたいなコテコテの展開なのですが、このコテコテの中にカッコ良い要素がひたすら詰め込まれているんですよ。


 主人公たちの特殊部隊の「エイリアン2」に登場する宇宙海兵隊っぽい装備や武器もカッコ良いですし、主人公たちのパワードスーツやら多脚戦車やら戦闘ロボットの無骨な感じのデザインも、いかにも近未来SF的でイカしてます。


 戦闘シーンも物凄い気合が入っており、銃撃シーンや格闘シーンの妙にゲームっぽい派手なカメラアングルもカッコ良いですし、敵のミサイルをキチンとフレアで回避してみたりとか、妙に凝った演出マニア心をくすぐります。


 宇宙から来た植物は、いわゆる触手系で目新しさは無いものの植物に寄生するアリ人間というかゴキブリ人間っぽい異星生物の不気味なデザインの、ちょっと悪趣味でB級っぽさを感じさせる雰囲気も個人的には結構好きな感じ。


 ただ良くまとまっているとは言いつつも、ぶっちゃけ登場する兵器やロボットやモンスターのデザインにしても、ポストアポカリプスやディストピアっぽい世界観にしても、ゲームやアニメっぽい派手なアクションシーンにしても、全てにおいて『どこかで観たようなもの』の寄せ集めっぽい部分があるのは気になるところ…
 ただ『寄せ集めっぽい』とは言いつつも、監督が趣味のままに予算をふんだんに使って『男の子ってみんなこういうの大好きでしょ?』みたいな要素をひたすら詰め込みまくった感があって、そういう世界観とかノリのアクション映画が好きであれば、観ていてテンションの上がること請け合いです。


 お話自体のテンポも非常に良いですし、『植物の造影剤を撃って遺伝子操作弾を撃ち込む場所を探す』とかって、微妙にリアルっぽい設定を入れる事で、割とツッコミどころ満載な設定にリアリティを持たせていたりする辺りもセンスの良さを感じさせます。


 主人公たちのキャラも良く立っていて良い感じなのですが、ただ主人公たちが割とオッサン顔でいま一つ精悍さに欠けるところがあるのは難点ではあるものの、このオッサンたちも観ていると割とカッコ良く見えてくるから不思議。(笑)


 ただ全体的に非常に満足度の高い内容ではあったのですが、欲を言えば宇宙生物』に関してはもうちょっと出番を増やして、もっと『人類に対する脅威』であると感じさせるような演出があっても良かったかなぁ…というのは不満点かも?

 (宇宙生物の設定だけ妙にリアリティが薄いので、普通に戦時中に作られた生物兵器とかじゃダメだったんか…)


 あと、ラストの妙に『続編に続くっぽいオチ』はいま一つ意味が良く分からなかったのですが、単純に続編への仕込み的なネタなんでしょうか?
 (もしくは、何かのオマージュとか他に意味があるのかな?)

 


 総評としましては、『非常に良く出来た良作SFアクション映画』って感じの作品です。


 『近未来もののSFアクション映画』が好きな人であれば、間違いなく楽しめる要素が満載された作品だと思いますので、そういうジャンルに興味があればチェックしておいて損は無い一本でしょう。


 ただネトフリオリジナル作品という事で、現時点ではネトフリに入ってない人には観る手段が無いのは最大の欠点ではあるのですが…
 (ネトフリオリジナル作品は『当たり外れが大きい』ものの、『当たった時には大当たりが来る場合が多い』のが侮れないですね。)

 

映画感想:「ソードリベンジャーズ 復讐剣 」(40点/アクション)

■■■「ソードリベンジャーズ 復讐剣 」■■■
(40点/アクション)


 中世の平和な小村であるグリットルトンマーシュ村を、ある日、突然に『人狼』の群れが襲撃。


 村人の大半の者が殺され、村の若者であるトルウィンも恋人のインガと弟のオスカーを殺害されてしまう。


 村の領主のマグナス男爵は、王へとこの危機を伝えるために三人の騎士たちを招集。


 トルウィンは騎士たちを案内するために、騎士と他の村人たち2人と共に王城へと向かう事となるが、城へ向かうためには人狼たちの潜むと言われる森を抜けていく必要があった…

 


 人狼の群れに仲間を虐殺された村の青年が、騎士たちと力を合わせて人狼に立ち向かう…という、ファンタジーアクション映画。


 いちおう、中世っぽい世界で人狼と騎士の戦いを題材としたファンタジーアクション映画なのですが、なんというか低予算で物凄い安っぽいB級…というかD級ぐらいのファンタジー映画という感じの作品です。


 お話としては、『村を人狼の群れに襲われた地方領主が、国の危機を知らせるために騎士と道案内のための村人を城へ向けて派遣するが、その道中の森は人狼たちの潜む危険な場所だった…』みたいな感じの展開。


 一応『戦士と村人のパーティによる危険な冒険の旅』を描いた、ロード・オブ・ザ・リング」的なオーソドックス設定のファンタジー作品ではあるのですが、まあ何というか恐ろしく安っぽくてスケールの小さい作品というのが正直な感想ですね。


 そもそも『冒険の旅』といいつつも、作中の旅の期間が3日ぐらいしか無いので、あんまり冒険してる感はありません。(笑)


 ただ、お話のスケールは小さいながらも、主人公たちが休憩とかをしてると人狼の襲撃を受けたり、行く手に人狼が罠を仕掛けて待ち伏せしていたりと、次々と見せ場を描くことで退屈しないように考えて作られてるっぽいのは悪くない印象。


 とはいえ見せ場を準備するのは良いのですが、その見せ場がことごとく『物凄くショボい』のが困りものです。


 人狼はいわゆる『狼の着ぐるみ』なのですが、この着ぐるみが妙にチャチな感じの物凄く『着ぐるみ然とした着ぐるみ』で、どうにも見た目が安っぽい。


 そのせいで、襲撃シーンが『モフモフの狼さんが駄々っ子パンチを連打そながら暴れてる』みたいにしか見えずに、迫力があるというよりもむしろ微笑ましい気分になってしまいます。


 ストーリー的には『旅の途中で仲間が次々と倒れていく』という逆境百連発みたいな展開なのですが、お話のシリアスさとアクションシーンのショボさのアンバランスさに、思わず変な笑いが出てしまいそうになるレベル。


 また逆境を次々と描くのは良いのですがその割にはキャラの掘り下げはイマイチで、本作ではもう一人の主人公的な『ならずもの騎士』みたいなのが登場して、最終的に彼の意志を継ぐ形で主人公が戦う事になるのですが、この騎士と主人公の関係性とか『人狼に立ち向かうための主人公の心境変化』みたいなのも、いまいち良く分かりません。


 終盤で、ちょっとしたドンデン返し的な展開があるものの唐突過ぎて『なんじゃそりゃ?』って感じですし、ラストもなんだかスッキリしない終わり方ですし、全体的に『もうちょっとどうにかならなかったもんかなぁ』と思う部分の多い作品でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『いま一つな出来な低予算ファンタジーアクション映画』って感じです。


 ファンタジーとしてもアクションとしても、映像が安っぽすぎて雰囲気が出ておらず盛り上がる要素が薄いですし、そういった方面に期待してると肩透かしを喰らうかも?


 ツッコミどころは多いので『ネタ映画』としてはそこそこ楽しめるかもしれませんが、どちらにしてもパンチの弱い作品なので、よほど気になるとかでも無ければ普通にスルーしておいても問題の無い一本ではないかと…

 

映画感想:「ノットジラ」(60点/モンスター:結構オススメ)

■■■「ノットジラ」■■■
(60点/モンスター:結構オススメ)


 1962年、日本に出現した怪獣ママジラは、危険な生物ではないという古生物学者のホンダ・イチヒロの説得もむなしく軍隊の攻撃によって撃破される。


 怪獣の卵を極秘裏に回収したホンダは、怪獣を保護するために卵をアメリカへと運ぼうとするが、誤って飛行機から落としてしまったところを、核物理学者のブロウハート博士と助手のシャーリーによって保護される。


 ホンダは卵から産まれてきた怪獣『ノットジラ』は、アルコールを与えない限りは小型の大人しい生物であると彼らに説明するが、博士が誤って怪獣にビールを飲ませてしまった事から怪獣は巨大化。


 更なる酒を求めて町へと逃げ出してしまい…

 


 アルコールを飲むことによって巨大化する怪獣『ノットジラ』と、怪獣を退治して名声を上げようとする人々と保護しようとする人々との戦いを描いた、モンスターパニック映画。


 割ととどうしようもないレベルのZ級映画を大量に買い付けて来る事で一部マニアの間で有名な『コンマビジョン』による配給作品という事で、正直なところ全く期待していなかったのですが、なかなかどうして意外と良く出来た作品です。


 タイトルから分かる通りに、いわゆるゴジラ」を題材としたパロディ作品で、実際の中身の方もコメディ要素が強め…というか、むしろそのまんま『怪獣を題材にしたコメディ映画』という雰囲気の内容。


 超低予算のZ級映画で、特撮も滅茶苦茶ショボくてストーリーもグテグテなのですが、ショボい部分を『メタ的なギャグ』として昇華しており、それが自虐ネタとしてあまりうるさくないレベルにまとまっている辺り、製作スタッフのバランス感覚の良さを感じさせます。


 また、コメディ映画らしく要所要所に唐突に『一発ギャグ』みたいなネタが大量に挿入される構成なのですが、このギャグもツマんないと思いながらも『クスッ』と笑えてしまうようなネタが多くて、バタ臭い海外ノリの作品ながら意外と楽しめてしまいます。(唐突な『ピカチュウ』ネタとか不覚にも笑ってしまった。)


 ちなみにアメリカ映画らしく下ネタやブラックなネタも多いのですが、下品すぎて引くほどのノリになっていないのも良い感じです。

 ただ、ギャグとして異常なぐらいに『ダジャレ』ネタが多くて、それをいちいち日本語に翻訳する翻訳の方の苦労が偲ばれるような内容だったのは、別の意味で笑ってしまいました。


 メインである怪獣『ノットジラ』の着ぐるみも、安っぽい作りながらも意外と愛嬌のある可愛いデザインですし、普通に70年代の特撮ドラマぐらいのレベルで完成されていて、怪獣としてもキャラが良く立っているのも悪くないですね。


 ストーリーはグテグテながらも意外にキチンと起承転結がありますし、こんなグテグテな内容の映画なのに、舞台の時代背景やら美術デザイン、登場する小物や兵器なんかがキチンと当時の時代に合わせてデザインされている辺りは、スタッフの変な真面目さを感じさせられましたよ。(笑)
 (まあ、1965年はキューバ危機も解決してるしビデオデッキなんて市販されてないだろ…とか色々とツッコミどころはありますが。(笑))


 ちなみに作中でもネタにされていましたが、普通に『続編が観てみたい』と思うような作品でしたので、是非とも調子に乗って続編を製作していただきたいところですよ。

 


 総評としましては、超低予算ながらも『意外と良く出来た怪獣コメディ映画』という感じの作品ですね。


 ショボい内容ながらも、不快さも少なくて笑える部分も多いですので、この手の怪獣映画のパロディとかコメディとかが好きな人であれば、普通に楽しめる一本だと思います。


 超低予算でショボいですが、超低予算故にツッコミどころも多くてネタ映画としては優れた内容だと思いますので、そういう方向で観る作品を探している場合は、割とオススメできる映画だと思いますよ。

 

 

 

映画感想:「バーバリアン」(60点/サスペンス)

■■■「バーバリアン」■■■
(60点/サスペンス)


 仕事でデトロイトを訪れたテスは、ショートステイのために郊外のバーバリー通りにある空き家を借りる事となる。


 嵐の中、宿泊のため深夜に空き家に訪れた彼女は、業者の手違いによるダブルブッキングで、既にキースと名乗る見知らぬ男性が屋敷に滞在している事を知らされる。


 新たな宿泊場所を探すも見つからず行く当てもない彼女は、キースの提案で彼と共にその屋敷に滞在する事を決意。


 その日の深夜に、勝手にドアが開いたり奇妙な物音を聞いた彼女は不審に思いつつも一夜を過ごすが、その翌日にトイレットペーパーを補充するために地下室に降りたところ、誤って地下室に閉じ込められてしまう。


 途方に暮れた彼女が、地下室から他の出口が無いか探していたところ、地下室に奇妙な隠し扉と謎の『監禁部屋』のような場所を発見し…

 


 ショートステイのために空き家を利用する事になった女性が、その地下室の『隠し扉』の奥に恐るべきものを発見してしまう…という、サスペンススリラー映画。


 ネット配信のみで特に話題にもなっていなかった作品で、自分もDisney+でたまたま見かけて、あらすじとかが気になったのでとりあえずチェックしてみたのですが、なかなかどうして予想以上に良く出来たスリラー映画でしたよ。


 というか『Disney+ってこんな映画も配信してるの?』ってぐらいにエグい作品でした。(笑)(まあ、スターチャンネル側のコンテンツなのかも?)


 お話としては『とある女性が、業者の手配ミスによって見知らぬ男性と同じ空き家でショートステイをする事になるんだけど、偶然にもそこの地下室に謎の隠し扉と「監禁部屋」のような異様な空間を発見してしまい…』という感じの展開。


 サスペンスとしての組み立てが非常に良く出来ており、特に主人公が『謎の隠し扉』を発見してからの流れが非常に秀逸。


 地下室の『隠し扉』の内部の不穏な空気やら、『何か悪い事が起こりそうな予感』やらを感じさせるの雰囲気作りもメチャクチャ良く出来ていますし、シナリオに関しても『ダブルブッキングの男性には何か秘密があるのか?』とか『地下室の先に何が隠されているのか?』といった感じで次々と謎が提示されていき、先の展開が全く読めないのも良い感じ。


 また、こういった地下室がメインの部隊という『閉鎖環境スリラー』的なテイストの作品にありがちな冗長な展開になるのかと思いきや…ちょっとネタバレになってしまうのですが、途中から『もう一人の主人公』が登場してお話を引っ掻き回すことで退屈させないような構成になっているのも面白いです。


 『主人公』と『もう一人の主人公』のキャラもなかなかに個性的で、キャラの立て方も悪くない印象。


 ラストも『良い感じの後味の悪さ』といった感じで、オチの付け方も個人的には好みでした。

 ただ、『地下室の謎』の解明が妙にアッサリしてて物足りない部分があったので、その辺はもう少し掘り下げがあっても良かったかなぁ?


 あと、『もう一人の主人公』が結構イラっとするキャラなうえに、登場してしばらくはなかなか話が進まなくなるので、人によっては見ててちょっとイライラしてしまうかも…

 


 総評としましては、『なかなか個性的で良く出来たサスペンススリラー映画』という感じの作品ですね。


 ストーリーのプロットや設定も面白いですし、雰囲気作りなんかも非常に良く出来ているので、予告編とかを観て気になっているようであれば観ておいて損は無い一本という印象。


 Disney+の会員であれば無料で観れますので、会員でホラー好きの方であればとりあえずチェックしておいても良い作品では無いでしょうか?
 (まあ、敢えてホラー映画を観るためにDisney+に入ってる人はあんまり居ないと思うけど…(笑))