NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「チャイルド・プレイ(2019年版)」(60点/サスペンス結構オススメ)

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■■■「チャイルド・プレイ(2019年版)」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)

 引っ越したばかりで友達がおらず、周りに打ち解ける事の出来ない少年・アンディは、誕生日プレゼントとして高性能な音声認識機能、カメラセンサー、AIを搭載し、各種のスマート家電に接続し自立行動が可能な高性能ロボットであるバディ人形を『チャッキー』を母親からプレゼントされる。

 最初は子供っぽいプレゼントに辟易としていた彼だったが、そのバディ人形は機能に規制がかけられておらず、他の人形には出来ない様々な『悪い事』が出来る事を発見。

 近所の悪ガキたちとともにチャッキーを使ってイタズラを繰り返し、徐々に仲間たちに受け入れられていく彼だったが、その人形には実は自殺したプログラマーによって『悪意を持ったプログラム』が仕込まれており、人間の悪意を学習したチャッキーは徐々にその狂暴さをむき出しにしていくのだった…
 

 AIを搭載した高度な自立行動型の『バディ人形』が、人間の悪意を学習して殺人鬼へと進化していく…という、サスペンスホラー映画。

 『殺人鬼の魂が乗り移った人形が殺人を繰り返す』という設定のチャイルド・プレイ」のリメイクに当たる作品なのですが、ぶっちゃけ『殺人人形のチャッキーが登場する』という以外は、設定からして何から何まで違うという『全く別のお話』ですね。

 まず何が一番違うって、今回のチャッキーは『高性能なAIを搭載した人形型ロボット』殺人鬼の霊が取り付いている訳ではなく『湖畔の絞殺魔チャールズ・レイ』も全く登場しません。

 またバディ人形も、ランダムで決められたセリフをしゃべる事しか出来ないオリジナル版と違って、もともとが自立行動が可能な高性能ロボットなのでデフォルトで歩き回ったり他人と会話する事が可能です。

 ここまで設定が違うと最早『リメイク』と呼んで良いのか微妙なところですが、リメイクとしての是非はさておくとしてサスペンスホラー映画としては意外と良く出来ていたりするんですよね。

 高性能AIを備えたロボットのチャッキーが、人間の『悪意』を学習する事で殺人人形に進化していく様子も丁寧に描かれていますし、『主人公を他人に奪われる事に嫉妬心を抱いて殺人を犯すようになっていく』というチャッキーの無邪気で邪悪なキャラクターも非常に魅力的に描かれています。

 『主人公のために殺人を繰り返すチャッキー』と主人公との関係性もドラマとして面白いですし、ネット家電を自在に操る』という新たな能力を得たチャッキーの殺人の方法も色々と凝っていて、とにかく『観客を退屈させずに楽しませよう』としている事が感じられるのも良い感じ。

 終盤の無駄に派手でハチャメチャな展開もなかなか楽しかったですし、オチの落としどころなんかも悪くない感じ。

 若干ハチャメチャな方向に寄りすぎてるせいで、ちょっと『怖さ』が薄い印象を受けたのは残念な感じでしたが、全体的に予想以上に良く出来た作品でしたよ。

 ただ、ぶっちゃけここまでお話が違うなら、完全にオリジナルの新作にして「チャイルド・プレイ」のリメイクという体裁を取る必要性は無かったんじゃないかな…というのも正直なところ。

 リメイク(というかリブート?)という体裁を取ったせいで、どうしてもオリジナル版と比べてしまいますし、そうなるとオリジナルの『殺人鬼チャッキー』が非常に魅力的なキャラなせいで、やや物足りなさを感じてしまう部分があるのは残念なところかなぁ…
 (というか、オリジナルの「チャイルド・プレイ」シリーズって、未だにシリーズ完結せずに新作が出続けていますしね…(笑))
 
 あと、どうでもいい事ですが、バディ人形の『ちょっとパラメーターをイジるだけで殺人人形が作れる設計』は、『工業製品として問題があるんじゃないか…』とかツッコミを入れたくなったのはじぶんだけですかね?
 

 総評としましては、意外に良く出来た『暴走AIものサスペンスホラー』という感じの作品です。

 チャイルド・プレイ」のリメイクと言われると、ちょっと疑問を感じる部分が多いですが、それを抜きに考えるなら普通に面白い作品だと思います。

 リメイクというのを気にせずに楽しむぶんには十分に楽しめる内容ですので、前作が好きだった人もそうでない人も、気になっているようであればチェックしておいて損は無い一本でしょう。