■■■「ゾンビタイガー 狂虎襲来」■■■
(55点/モンスター)
明朝37年(1400年代の初頭)の中国では、宦官たちの権力争いにより王朝の政治中枢は腐敗しきっていた。
皇帝直属の秘密警察・錦衣衛を辞めたチャン・リウチョンは、冷酷非道な組織のやり方に反発し、とある一族の少女を助けるために仲間を殺して組織から離反。
首都を離れたリウチョンは、少女と共に狩人である弟のリウピンの滞在する涼城の街の狩場を訪れる事となる。
しかし、その街では街の支配者によって不老不死の丸薬である『金丹』が研究されていたが、『金丹』の素材として魔術師の手によって作り出された『ゾンビタイガー』が研究所から逃亡。
ソンビウイルスを持った虎が狩場に大量発生し、折り悪くリウピンらの訪問に合わせて街を襲撃。
ソンビタイガーの群れの襲撃を受けた街が壊滅状態に陥ってしまうなか、リウピンらは生き延びた街の人々を救うためにゾンビタイガーの群れへと戦いを挑むこととなるが…
中世の中国で、魔術師の怪しげな研究によって生み出された『ゾンビタイガー』の群れが街を襲撃し、元秘密警察のエリートである主人公が虎の群れへと戦いを挑む事となる…という、モンスターパニック映画。
中国製の『ゾンビ虎』を題材としたパニック映画ですが、中世が舞台ですしノリとしては中国で人気のいわゆる『武侠もの』に近いテイストの作品といった感じですね。
尺も70分程度と短めな作品だけあって全体的に非常にテンポが良いのが特徴で、開幕からいきなりアクションシーンの連発ですし、序盤から『ゾンビタイガー』も大群で暴れまくり。
特に、メインとなる『ゾンビタイガー』の登場シーンは非常に多くて、本編のほぼ7割ぐらいのシーンはゾンビタイガーと戦っているんじゃないかってイキオイで、登場する数も総勢で100匹ぐらいという大盤振舞い。
おかげでアクションシーンやパニックシーンも豊富で、観ていて退屈しない作りなのは良い感じ。
ただアクションシーンがメインの構成故に、キャラやストーリーの描き込みが意外と大雑把なのは残念なところ。
主人公のキャラもそこまで掘り下げられてないですし、主人公の相方となるヒロインっぽいキャラも影が薄いですし、ソンビタイガーを作り出した魔術師やら主人公の弟やら何もしないうちに勝手に死んでるしで、全体的にストーリーが薄め。
主人公は秘密警察のエリートみたいな設定の割にはそこまで強くなくて(むしろゾンビタイガーが強すぎ?)、いま一つ活躍シーンが観られないのも残念なところですので、もっと武侠もののように超人的な運動神経でバトルを繰り広げて欲しかった…
あと、メインのモンスターであるソンビタイガーの誕生エビソードも妙にアッサリしてますし、ゾンビタイガーも『矢鱈と打たれ強い』という以外はあまり個性が感じられなかったので、この辺はもうちょっと丁寧に描かれても良かった気はしますよ。
総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルの中国を舞台とした武侠もの風味のパニック系アクション映画』って感じですね。
アクションシーンも多くテンポも良くて全体的に悪くはないのですが、どうにも薄味な部分が多くて物足りなさを感じる作品という印象でした。
強く推すには弱いですがサクッと楽しめる内容ではあるので、この手のノリが好きであればとりあえず観ておいても損は無い感じの一本だと思いますよ。