■■■「極道恐怖大劇場 牛頭GOZU」■■■
(90点:超オススメだけど超カルト)
ある日、ヤクザ者のミナミはアニキ分の尾崎と共に、名古屋までヤクザの集会に赴く事となった。
…が、しかしそれは建前で、本当の目的はボスの命令で尾崎を名古屋にある『ヤクザの処分場』に連れて行き、密かに処分する事にあった。
しかし名古屋へ向かう途中で車は突然道を外れて、見たことも無い奇妙な土地へと迷い込んでしまい、オマケに尾崎まで失踪してしまう。
弱り果てたミナミは、尾崎の姿を求めて名古屋(のような場所)をさ迷い歩くが、そこで想像も出来ないような奇妙な出来事に次々と遭遇していく…
B級ホラーを重点的にチェックしていると、数年に一度ぐらいの割合で脳天を金属バットで殴られるような衝撃を受ける『とんでもない映画』に遭遇する事があります。
この映画も、そんな映画の一本。
この映画の何がそんなに凄いのか?と言うと、とにかく何もかもが凄い!!
ストーリーを聞いただけでは分からないかも知れませんが、喫茶店に入るとスキンヘッドのオカマが店主でコーヒーを頼んだのにイキナリ『茶碗蒸し』が出てくるわ、名古屋のヤクザのボスは何故か『なぞなぞマニア』だわ、旅館に泊まれば女主人(オバサン)がやたらと自分の母乳を飲ませたがるわ…
とにもかくにも不条理、不条理、ひたすらシュールで不条理なシーンの連発で、逆に不条理じゃないシーンなんて1フレームたりともありゃしません。
もう、シュールレアリズムもここに極まれりって感じで、ここまで来たらシュールも立派なエンターテイメントと言えるでしょう。
そういった『不条理シーンの連続』といった雰囲気の作品と聞いて、つげ義春氏の代表作である「ねじ式」という漫画を連想した人も居るかもしれませんが、それが大正解。
ちょうど、あの漫画がそのまま映画になった様な作品を想像すれば、この映画のイメージとピタリと当てはまる事でしょう。
実際に監督もつげ義春の影響を受けてる部分が多いみたいで、台詞回しやオチからもつげ作品のテイストがプンプンしてます。
「ねじ式」の映画版はダメでしたが、つげ作品的なノリが好きで「ねじ式」にガッカリしたような人には、本作はまさに天啓と言えるような映画でしょう。
総評としましては…
とりあえず、色んな意味で今年一番の『凄い映画』である事は間違い無いです。
万人にお薦めとは言いませんが、少しでも興味がわいた場合は一見の価値はある作品…とにかく『つべこべ言わずに一回観ておけ!!』とだけ言っておきましょう。
「マトリックス」のような超大作が高級ディナーだとすれば、この作品はヤバい薬の入った電波系のドラッグのような映画です。
変な映画が好きな人にはとにかくお薦めで、特につげ義春のマンガのテイストが好きな人は必見ですぞ。
ちなみにタイトルに『恐怖大劇場』とか付いてますが、全然ホラーじゃありません(ある意味『怖い映画』ではあるが…)ので、ホラーと思って観てガッカリしないように、そこだけは注意が必要かも?