NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エイリアンズ」(45点/Z級SFホラー)

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■■■「エイリアンズ」■■■
(Z級SFホラー/45点)

 マイナーでB級のミステリードキュメンタリー番組のレポーターであるミシェルは、次回の番組のネタを探すうちに、『エイリアンに妊娠させられた』と言うキャットという女性の新聞記事を発見する。

 これをネタに番組を制作しようとしたミシェルは、適当なスタッフや専門家を集めてイギリスの片田舎であるウェールズ地方へと赴き、キャットへのインタビューと再現フィルムの製作を行おうとするが…
 彼らの訪れたその場所には、なんと、地球生物を狩りする為にやってきた、3人の凶悪エイリアンが本当に訪れていたのだった!!

 宇宙から訪れた凶悪エイリアン達によって次々と虐殺されていく家畜や人間達…
 しかし、エイリアン達にとって誤算だった事…それは、『怒った地球人達は『凶悪エイリアンよりも更に極悪な存在』だと言う事であった…


 プレデター風の凶悪エイリアン軍団と、更に凶暴な人間達とが対決するという、おバカ系のZ級スプラッタSFホラー映画。

 「エイリアンズ」というまんまタイトルと、イマイチ印象に残らない地味なジャケットのせいでちょっと店頭での印象が薄いですが、内容はいわゆる『やり過ぎ』系のバカ映画です。
 ちなみに原題は「EVIL ALIENS」なので、いっそ「宇宙から来た極悪エイリアンX」とか「農夫VS極悪エイリアン」とかにすれば良かったのに…

 とまあ、映画の内容はそんな風にタイトルを揶揄したくなるような感じの内容で、宇宙人たちは仮面を付けたプレデター風の概観で、特殊な形状のナイフや手裏剣みたいないわゆるプレデター風の武器』で獲物たちを無闇に切り刻みまくるのですが、ボディスーツが妙に安っぽくて単なる『Tシャツを着た貧相な体つきの人たち』にしか見えないのが妙に笑えます。

 これに対して人間たちは、宇宙人にレイプされた女性の兄弟3人が、いかにも未開の野蛮人といった感じの「クライモリ」に登場する『マウンテンマン』のような風貌(というか、まんま「クライモリ」のパロディ)で、戦う前から既にムチャクチャ強そうで、ショットガンや弓矢で宇宙人をぶっ飛ばしまくったり、チェーンソーで宇宙人をバラバラに切り刻んだりと獅子奮迅の大活躍。

 他の登場人物たちも、芝刈り機で宇宙人を切り刻みまくったり、トラクターで大量の宇宙人を蹂躙しまくったりと、とにかく残酷で下品でハチャメチャなシーンのオンパレードです。

 これだけ聞いてると、『どんなグロい残酷映画だよ?』と思いそうになりますが、特撮のレベルはショボくて、ハッキリ言って作り物ってのがまる分かりなので普通に笑って済ませてしまうようなレベル。
 むしろ、特撮がショボすぎて盛り上がりに欠ける感があったので『もうちょっとリアリティがあった方が良いんじゃない?』というレベルかも?

 他にも、やたらとセクシーでエロエロな宇宙人の女王が出てセックスしてみたり、誘拐した女性のお腹に宇宙人の胎児を埋め込むシーンがあったりと、どっかのホラー映画で観たようなパロディシーン『これでもかっ!?』って感じの下品なネタの連発で…
 いわゆるピーター・ジャクソン監督の『やりすぎ残酷ホラー』の傑作であるブレインデッドのSF版とでも言うか、実際にブレインデッド」を相当意識して作られた内容の作品だと思います。

 ただ、ネタ的にはかなり突き抜けてイッちゃってる感じの映画なんだけど、惜しむらくは作品全体のテンポがイマイチで、ブレインデッドほどの突き抜けたセンスやブラックユーモアは感じられず、特にストーリーの序盤の部分とかは少々冗長。

 またギャグのセンスが微妙で、ときおりブラックでクスりと笑えるネタもあるものの、全体的にネタが滑りがちで、笑わせようとしてる意図は分かるんだけど『何処で笑ったらいいのか分からない』ようなネタが多いのも辛い所。
 舞台がイギリスだしイギリスコメディなのかな?…ハッキリ言って日本人のセンスにはちょっと合い難いかも?
 ラストのオチなんかは、なかなか捻りが効いてて笑わせてくれるのですが…

 正直なところ、作品のテンポさえもうちょっとどうにかなれば『相当イケる映画』になったと思うのですが、どうにもイマイチのり切れないシーンが多く『微妙なバカ映画』に留まってしまっているのが非常に惜しい所です。
 あと一歩、あと一歩、ブレインデッド『カンフー神父』や『赤ちゃんゾンビ』並に突き抜けた何かがあれば…

 総評としましては、ハッキリ言ってこれ以上は無いぐらいの『まごうことなきZ級のクズ映画』で、一般的な評価では観る価値なんて1mmも無いような作品なんですが、逆に『クズ映画マニアの人ならば観る価値がある作品』だとも言えるでしょう。

 個人的にはややパワー不足は感じて物足りない部分はある作品ながらも、ここまで『クズ映画然としたクズ映画』は久々だったので、別の意味で楽しむ事は出来ました。

 ちなみに本作は、アメリカかどっかのファンタスティック映画祭で大賞を受賞した作品らしいですが、正直言ってこのバカ映画が大賞を受賞するのは色んな意味で『どうだろう?』と思ってしまいます。

 まあ、作品のイキオイだけは認めますが…ソレで良いのかアメリカ人?って感じの一本でしたよ…