■■■「DOOM」■■■
(SFホラー/40点)
2026年、アメリカのネバダ砂漠の古代遺跡で火星の古代都市「アーク」へつ通じる通路が発見される。
そして、通路の発見から20年後のある日、火星にある「アーク」を研究する民間企業である『ユニオン宇宙社』の研究所から非常事態発生のSOS信号が発せられる。
通信を受けたアメリカ海兵隊は、特殊部隊である『RRTS』のリーダーであるサージ(軍曹)に事件への対処を依頼する。
特殊部隊のチームを率いたサージは、ネバダ砂漠から通路を通じて火星の研究基地へと赴き、研究所内に戒厳令を敷いて事故のあった研究施設の調査へと乗り出すが、その場所は古代遺跡から発見された『ある物』に関する極秘の研究の影響により、得体の知れない怪物の徘徊する恐るべき地獄と化していたのだった…
IDソフトウェア製作で全世界で爆発的なヒットを飛ばしたPCゲームである「DOOM」(正確には「DOOM3」かな?)をモチーフとしたSFホラー映画。
この「DOOM」というタイトルは、日本では一部ユーザ以外にはあまり有名では無いタイトルなのですが、欧米では発売されればミリオンヒットを確実に叩き出すという押しも押されぬ大人気シリーズの一つで、ジャンル的にはFPSというジャンルになります。
FPSは『ファースト・パーソン・シューティング』の略で、『主観視点シューティングゲーム』というその言葉の表すとおりに、プレイヤーは『主人公の主観視点(アイカメラのような状態)となって銃や武器を使って敵を倒して』いくといった感じの内容のゲームで、日本でもそれなりにヒットしたXboxの「HALO」なんかがこのジャンルになります。
本作はザ・ロック様の主演に加えて、ゲームの画面のような『主観視点』による演出を取り入れたという事が、ゲーマーの間で話題を呼んだ作品でもありました。
映画の完成度はというと、流石にユニバーサル・ピクチャーズがミリオンヒットのゲームを映画化するという事もあって、セットやCGといった美術の部分も良く作りこまれており、また出演者達が実際に『2ヶ月以上も特殊部隊ばりの訓練をしてから撮った』というアクションシーンの完成度もなかなかのもの。
…が、肝心の映画の内容が……なんというか、あんまり面白くないんですよ。
アクションゲームの映画化作品という事で、ユーザとしては当然ながら『展開が速くでバリバリとモンスターとバトルしまくるような内容』を期待する訳ですが、この映画、とにかくモンスターがなかなか出てこない。
ストーリーそのものはツマんないって訳でもないのですが、怪物の登場までをたいした盛り上がりもなく延々と引っ張るため、観ててストレスが溜まりまくりでハッキリ途中で言ってダレます。
っていうか、2時間弱しか無い映画本編で1時間経ってもマトモに怪物が登場しないってのは『どこの低予算映画だよ!?』とか思ってしまいますよ。
怪物を出す予算が足りなかったって訳でも無さそうですし、大体にしてゲームを好きな人は最初から怪物の存在を知ってるんだから、ひっぱって出し惜しみされても何の意味も無い訳で…
例えるならば『「バイオハザード」の映画なのにゾンビがいつまで経っても出てこない』って演出をしてるのと同じような状況(無論、実際の「バイオハザード」の映画ではそんな演出は無かったですが)な訳で、全く持って演出の意図が不明です。
話題になったFPS(主観視点)風演出のシーンとかは確かに良く出来ているのですが、全部で本編中の5分程度のみってのは流石に物足りません。
まあ、全編FPSで作られても途中で酔いそうなのでアレですが、もうちょっと要所要所にそういうシーンがあっても良かったかと…
ザ・ロック様の格闘シーンも、ラスト付近にちょっとだけ…って感じの配分ですし、なんというか何処を取っても物足りなさの残る映画ですなぁ。
総評としましては、何と言うか話題先行だった割には、とにかくコレといった見所の無い凡庸なB級SFホラーになってしまってる感じの映画です。
最初から、『どうでもいいB級ホラー』を観るつもりで鑑賞すれば普通に楽しめるレベルかと思いますが、ザ・ロック様にせよ「DOOM」というミリオンヒットゲームのタイトルにせよ、とにかく素材の使い方が勿体無くて、少なくとも「DOOM」のタイトルを冠するには余りにも物足りない感じの映画でしたよ。
個人的に期待ハズレも良い所でしたので、ある意味『期待している人であればあるほど観なくてもよい映画』かも?