■■■「ヘッケルの死霊/ジョン・マクノートン」<マスターズ・オブ・ホラー>■■■
(40点/ゴシック風ホラー)
妻を病気で失ったエドワード・ラルストンは、妻の死を諦めきれずにネクロマンサーとして知られる老女・カーネイションの元を訪れる。
彼は老女にネクロマンサーの秘術で妻を復活させて欲しいと依頼するが、老女は『アーンスト・ヘッケルの話を最期まで聞き、まだそれでも妻を復活させたいと願うなら願いをかなえよう』と言って、とある医学生にまつわる奇妙な物語を語りはじめたのだった…。
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズよりジョン・マクノートン監督によるゴシック風ホラー映画。
ちなみに本作は、先述の「ダンス・オブ・ザ・デッド/トビー・フーパー」と同じ巻に収録されている作品です。
ジョン・マクノートンという監督は、今回の「マスターズ・オブ・ホラー」の監督の中でも、私が唯一かすりもしないぐらいに聞いた事が無い監督なのですが、それもその筈で、どうやらこの監督は元々はマイナーなサスペンス映画とかをメインに撮っている監督のようです。
他のメンツを考えると、何故にこの人が今回の「マスターズ・オブ・ホラー」の監督の一人として選ばれたのか、ちょっとだけ不思議かも…
本作は、現代や近未来を舞台としたモダンホラー的な作品が多い今回のシリーズの中では、近代化以前のアメリカを舞台とした唯一のゴシックホラー風テイストの溢れる作品で、美しい美術デザインはなかなかに目をひきます。
またその美しい映像に、敢えて『チープなカメラワーク』や『手書き風のCG』を合成する事で、レトロチックな雰囲気をかもし出している映像センスの良さはなかなかの見所でしょう。
物語の方も「フランケンシュタインの怪物」やらが題材となった死体蘇生のお話を中心に展開していくので、ストーリーの方もてっきりゴシックホラーなのかと思いきや、なんでも「ヘルレイザー」の原作者として知られるモダンホラーの雄であるクライヴ・バーカー原作の短編小説がベースとなっているそうで、ゴシック風に見せておいて後半は結構エログロな展開に…
強烈なインパクトを見せる終盤の展開は決して悪くは無いのですが、個人的にはこのストーリーのゴシック風のテイストの部分から、エログロな部分への展開がやたらと唐突で展開に付いて行けずに…
『えっ、何それ?』とか思ってるウチに話が終わってしまったような感があり、衝撃を受けるというよりも、むしろ『キツネに摘まれたような気分』になってしまったのは残念な所。
中盤~終盤への繋ぎ部分の処理の仕方をもうちょっと上手くやれば、結構面白い作品になったのでは?とも思うので、ちょっと惜しさを感じましたよ…。
総評としましては、雰囲気は悪く無いのですが、全体を通して見ると何とも散漫な印象が残ってしまう『微妙』な作品です。
部分部分の完成度は低くないものの、オススメするにはちょっと弱いかなぁ?
美術デザインやらゴシックホラー風のテイストが嫌いじゃなければ、まあお好みで…