■■■「ドリーム・クルーズ/鶴田法男」<13 thirteen ~マスターズ・オブ・ホラー2~>■■■
(60点/Jホラー)
法律事務所に勤めるジャックは、幼少の頃に遭った海難事故の際に弟のショーンを見殺しにしてしまった事がトラウマとなり未だに悪夢に悩まされていた。
そんなある日、資産家でジャックの旧友でもある斉藤英治と仕事の相談をする事となった彼は、英治の妻の百合と共にクルーザーで外洋へと航海する事となる。
しかし、英治には秘密で不倫を行っていたジャックと百合の二人は、この呼び出しに何か尋常では無い気配を感じて戦々恐々とするが…
そんな最中、クルーザーは突然のエンジントラブルを起こして、3人は海の真ん中で立ち往生する事となってしまうのだった…
遂に始まりました、世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」の2期シリーズ「マスターズ・オブ・ホラー2」ですが、1本目は今回の『日本代表監督』となる鶴田法男氏のサスペンス風味・幽霊オカルト映画って感じの作品です。
鶴田法男氏と言えば、ホラーファン以外ではあまりピンと来ない監督さんかもしれませんが、代表作としては「リング0 バースデイ」や「予言」を撮った監督さんですね。
他のビッグネームと比べると日本代表としては少々心もとない気もしますが、割と良い作品を撮る監督さんなので、位置付けとしては『新進気鋭のJホラー監督』といった感じなのでしょう。
お話の方は、原作が一応「リング」の鈴木光司氏となっていますが、確かにこんな感じ『妻を殺した男が妻の亡霊に付け狙われる』という内容の話がエピソードが「仄暗い水の底から」の1篇に含まれていたような気はするのですが、その話には少なくとも外人弁護士とかは出て来なかったと思うので、何本かの話を混ぜてるのか大幅にアレンジを効かせてるのか…といった感じでしょうか?
内容的には、最初は密室サスペンス風味の展開と思わせておいて、途中から急転直下型に幽霊物のホラーとなっていくという展開は、緊張感を維持させながら本格的に盛り上がる後半まで上手くお話を引っ張る事に成功しており、視聴者を飽きさせない作りになっていて非常にグッド!!
夢か現実かを混乱させるような幻惑的な展開もなかなか悪く無いですし、どことなく物悲しさ感じさせる結末も良い感じです。
ただ、お話の構成やストーリー展開は面白いと思うのですが、いかんせん見せ場となるシーンのインパクトが若干弱く幽霊も妙に『貞子とか伽椰子チックなイメージ』で、やや『Jホラーのテンプレートに乗っかりすぎかな?』って感じたのは残念な所。
せっかく「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズに参加するんだから、もうちょっと冒険するなり何らかの個性が欲しかった。
総評としましては、まあ『定番的なJホラーっぽいテイスト』ながらも、非常に手堅くまとまった内容で総じて出来は悪く無い作品だと思います。
いわゆる『怪談物』の映画が好きな人ならば、とりあえず観ておいて損は無い作品だと言えるでしょう。
ただ、前シリーズでの三池崇志監督の作品がインパクトがありすぎたので、それと比べるとどうしても印象が薄くなってしまうので、外国人が観た際のJホラー監督代表としての評価は少々気になる所ですね…