■■■「STAG スタッグ」■■■
(45点/モンスターパニック)
登山ガイドのジョンは、ある日『閉鎖されたスイスの岩塩鉱山を案内して欲しい』との依頼を受ける。
その依頼の場所は、60年前に崩落事故が起こり工員が殆ど全員死亡したと言われる鉱山で、実は鉱山が閉鎖されたのは怪物のせいで『怪物と財宝が眠る場所』との噂のある曰くつきの場所であった。
ジョンは登山家らしくない依頼人や依頼の内容に何処か符に落ちない所を感じながらも、高額の報酬に釣られて、その鉱山の案内を引き受ける事とする。
しかし彼らの訪れたその場所には、噂どおりに恐るべき怪物の群れが潜んでいたのだった…
「STAG BEETLE」というと日本語でクワガタムシの事ですが、本作はそのタイトルの通りに、『巨大なクワガタムシのような怪物の群れ』が登場するモンスターパニック映画です。
(といっても「STAG」は邦題で、原題では「CAVED IN」。)
ちなみにパッケージには、思いっきり『巨大なクワガタムシ』のイラストが描かれてますが、本編に登場するのは『クワガタムシ』というよりは巨大な『肉食性ゴミムシ』みたいな甲虫です。
まあ確かに、ホントのクワガタムシが巨大化した所で樹液をなめたり最悪でも『スイカが食い荒らされる』程度なので、たいして怖くも無いですしね…
でもどうせ生物学とか無視して作ってるんだし、いっその事「ムシキング・バトル」状態に巨大なクワガタムシを大暴れさせて欲しかった気もしますね。
まあ、それはさておき…
本編の方は、良くも悪くも割とフツーのモンスターパニックホラーといった感じです。
コレといった特徴のある作品ではありませんが、怪物があまり登場しない物語の前半を『洞窟探検物』風のテイストでまとめ、後半を『モンスターパニック』風のテイストでまとめる事で視聴者に飽きさせないようにする配慮が見られたり…
物語の登場人物を二手に分けて洞窟の中と外で同時に物語が進行する事で、作品の閉塞感を無くし途中でダレてしまうのを防ごうとしているのは、なかなかに上手い所でしょう。
こういう丁寧な作りは、他のB級作品にも見習って欲しい所ですね。
ただ本作の場合は、ストーリーにつけ設定につけ『あまりにもキレイにまとまり過ぎている』ため作品の個性が感じられずに、それが欠点になってしまっている部分もあるのが惜しい所。
ラストとかに関しても非常にキレイなオチの付け方なのですが、あまりにもテンプレートに乗っ取りすぎており、正直言ってちょっと退屈です。
丁寧に作って視聴者を楽しませようとするのは悪く無いんですが、やっぱ所詮はB級ホラーなんだから、もうちょっと悪趣味な所やケレン味があってもよかったかも?
特撮等は、CGはいわゆるTV映画レベルといった所でたいした事はありませんが、人間の体がチョン切られるシーンとかが結構何度も出てきて、内容の割に残虐描写は強めです。
まあ、でもどちらもB級作品としては許容範囲といったレベルかと…。
巨大昆虫の顔付きがどことなくサイのように見えてしまう『どことなくもっさりとしたデザイン』なので、個人的にはもっと『いかにも昆虫です』って感じのシャープなデザインの方が良かったかな?
総評としましては、基本的に非常に丁寧に作られたモンスターパニック映画で、特にコレといった特徴も無いながらも普通に楽しめるレベルの作品ではあると思います。
良くも悪くも『平均点』な感じの映画で、期待以上でもなく以下でもなくといった所なので、まあこの手のジャンルが好きならば『観ておいても後悔はしない』でしょうが、逆に『観なくても後悔はしない』でしょう。
まあ、時間に余裕があれば趣味に合わせてお好みで…といった感じの作品ですね。