■■■「ダイナクロコ vs スーパーゲイター」■■■
(55点/モンスター)
ハワイのカウアイ島にある生物工学の秘密研究所で事故が発生。
研究所で生み出された『巨大ワニ』と『巨大トカゲ』が脱走し、観光客を次々と襲い始める。
研究所のオーナーは自体を秘密裏に処理するために傭兵部隊を派遣するが、傭兵部隊も規格外の怪物たちには全く歯が立たずに一瞬にして全滅。
研究所を極秘に調査していたエージェントのポールは地元警察やハンターのケイジャンの協力を得て、銃や爆弾すら全く通じない怪物を倒すために2匹の怪物を同じ場所に誘導して戦わせ、生き残った方の怪物を退治しようとする作戦を立てるが…
遺伝子操作によって作られた巨大ワニと巨大トカゲの二匹が研究所から脱走して大暴れするという、モンスターパニック映画。
何と言いますか『説明の必要すらないぐらいに直球ストレートな設定』のモンスターパニック映画ですね。
登場する怪物は『全長10mぐらいの巨大ワニ』と『2本足で歩くスピノサウルスみたいなワニ面の巨大トカゲ』の2匹なのですが、2003年に『2本足で歩くスピノサウルスみたいな巨大ワニ』が登場するロジャー・コーマン製作の「ディノクロコ」って映画があり、こちらの作品にもロジャー・コーマンが製作に加わっている事から、どうやらその作品と製作スタッフ(製作会社?)辺りにでも繋がりがあるようです。
映画の内容の方は、いかにもロジャー・コーマンらしくとにかく単純明快で分かりやすい作品ですねぇ。
本編開始の直後がいきなり『研究所で警報が鳴り響くシーン』で、その30秒後にはモンスターが出現して研究所員を食いまくるという、『物凄く分かりやすい上に超特急クラスの速い展開』はあまりの直球っぷりに思わず笑ってしまうレベル。
その後も、シーンの繋ぎ毎に観光客が食われまくったり、派遣された特殊部隊が一瞬で壊滅したり、研究所のオーナーが隠蔽工作のために悪役然とした悪役っぷりを発揮してくれたり、教科書どおりの思いっきりベタベタの展開はモンスター映画好きならばちょっと嬉しくなってしまいます。
ただ直球ストレートなのは良いのですが、『本作ならではの個性』というのは殆ど皆無の状態。
ストーリーとかもテンプレートすぎて先が読めまくりですし、キャラクターも紋切り型すぎて面白みに欠けるのは残念なところですね。
特撮のレベルはB級映画としてはそれなりに頑張っているレベルかな?
CGは低予算なので違和感はあるものの、人間との絡みが意外と多くてモンスターの暴れるシーンはそれなりに見応えがあります。
ただ、シーンによって『いやいや、そんなデカい生物が隠れてたら気づくだろ!』ってシーンとか『いくらなんでも、その襲撃方法は無理があるだろ!』ってシーンがあったりするのは、まあご愛嬌って感じ。
全体的にテンポも良くコテコテながらもサービスシーンもありますし『そこそこ悪くない出来』ではあるのですが、全体的に襲撃シーンに捻りが乏しい事や、ラストの2匹の怪物の対決シーンがちょっと地味なのは残念な部分ですねぇ。
もうちょっと映画全体を通しての『最大の見せ場』と呼べるようなシーンが、何かひとつぐらいは欲しかったところですよ。
総評としましては、コレという程の強く推す要素は無いものの、モンスター映画のテンプレートに非常に忠実に作られた『絵に描いたようなB級モンスター映画』って感じの作品ですね。
全体に漂うチープささえ我慢できれば、普通にモンスター映画が好きな人であれば『ごく普通のレベルで楽しめる作品』だと思います。
頭を空っぽにしてベタベタの『非常に下らないモンスター映画』(←誉め言葉)を楽しみたいという人には、そこそこにオススメ出来る作品だと思いますので、その手の『木曜洋画劇場的なB級モンスター映画』を求めている人はチェックしてみても損はない作品と言えるでしょう。
まあ、良くも悪くもB級映画の帝王『ロジャー・コーマンの作品』ですので、その程度の内容を期待しておけば間違いないレベルではないかと…