■■■「サタンクロース」■■■
(45点/コメディホラー)
アメリカのヘルタウンという小さな町に住む16歳の少年ニックは、クリスマス嫌いの偏屈な祖父と一緒につつましいながらも幸せな暮らしを送っていた。
しかしある年のクリスマスイブに、祖父にクリスマス嫌いの理由を問ったニックは、祖父から一家に伝わるとある古文書を見せられる。
そして、その古文書には『サンタクロースとは本来は悪魔の化身で、自分の誕生日であるクリスマスを「虐殺の日」として過ごしていたが、1000年前の天使との勝負に敗れた為に1000年間に渡り人々にプレゼントを配る作業に従事していた。』という驚くべき内容が書かれていおり、今年こそがその1000年目に当たると言うのだった。
その頃、彼のバイト先のサンドイッチショップに強盗が入り店長が殺されたという話を聞いた彼は大急ぎでバイト先に向かうが、店長は瀕死の淵でニックに『サンタは実在した!』という謎のメッセージを残して事切れる。
そう、古文書の言い伝えどおりに1000年の従事期間を過ごした『サンタ』が、再び『サタン』として町に帰ってきたのだった…
私が子供の頃に、サンタクロースが主人公の冒険ファンタジー映画で、そのものズバリ「サンタクローズ」という映画がありましたが、別にその映画のタイトルの誤植じゃありません。
また「サタンクロス」というと、「キン肉マン」に出てくる悪魔超人の名前ですが、もちろんそんな物に関係のある映画でもある訳が無く…とかって、もはやボケるのもツッコムのも難しいようなネタは置いとくとして…
『サンタは実はサタンだった!!』というアホな設定で殺人サンタクロースが大暴れする、いわゆるお馬鹿ホラー映画です
『殺人サンタ』という時点でネタ映画の気配がプンプンする本作ですが、主役のサンタ(サタン)役はWWE(アメリカのプロレス団体)の人気レスラーであるビル・ゴールドバーグが勤めるという、紛れも無いばかりの馬鹿ネタっぷり。
トナカイならぬ『空飛ぶバッファロー』の引くソリに乗った超マッチョでワイルドなサンタが、口から火の玉を吐いたり、『プレゼント爆弾』を空から投下したりする姿は、もはやシュールすぎて笑うしかありません。
ただ、殺人サンタというネタ的にはいい線を行ってると思うのですが、この殺人サンタが『強力すぎる』のが逆にちょっと困り者。
とにかく会う相手を片っ端から殺しまくるのですが、あまりにも強力で全く危なげなくサクサクと人を殺しまくるので、逆に『誰が殺されるんだろう』とかって緊張感が全く無くて途中でダレてくるんですよね…
殺し方のバリエーションとかは結構工夫が見られるのですが、もうちょっと『殺しの観せ方』にひと工夫が欲しかった所。
オチに関してもこの強力すぎる殺人サンタのせいで、どうにも収拾が付かなくなって投げっぱなし的な終わり方になってしまってるのがなぁ…
ネタ映画ならネタ映画で、最後まで『ありえねぇ!!』みたいな弱点やオチを準備して欲しかったですよ…
総評としましては、とりあえず『馬鹿ホラーとしては及第点』と言った感じではありますが、惜しむらくは『もう一歩ハジけきれてない微妙な馬鹿ホラー』といったレベルの作品です。
ネタやインパクトは十分なので、全体的にもうちょっと丁寧な演出や作り込みが欲しかった所ですねぇ。
ホントに『イキオイだけで作っちゃいました』みたいな作品なので、ちょっとネタが消化不良気味なのが気になりました。
その辺がシッカリしてれば、馬鹿ホラーとしては傑作になったかもしれないのに…
あと余談ながら、主人公達のエピローグが『オマケ映像』の方に入っているのも、ちょっとだけ謎な感じの構成ですね。(劇場公開映画っぽいのに、この映像はどこで公開されたんだろう?)
まあ、『だから何だ?』って程度のエピローグではありますが、本作を借りた人は見忘れないように注意しましょう。