■■■「クリスマス・ブラッディ・クリスマス」■■■
(50点/スラッシャー)
クリスマスイブの夜、レコード店で働くトリは従業員のロビーに誘われて、二人でバーに飲みに行くことになる。
トリの友人のラーナとジェイの務める玩具屋でプレゼントを彼らへの渡してからバーに向かった彼らは、バンドや映画談義で盛り上がるが、一方その頃、玩具屋ではプログラムの異常で故障していたサンタロボットが暴走。
ラーナたちを殺害して街中へと解き放たれてしまう。
そんな事はつゆ知らず、トリと妹の暮らす家で飲みなおす事となった彼らは自宅へと向かうが、街中で彼らの姿を目撃したサンタロボは、近くの住民を殺害しながら彼らの家まで襲撃に訪れ…
クリスマスの夜にサンタロボットが暴走して人々を次々と殺害しはじめる…という、殺人サンタ系スラッシャーホラー映画。
『ターミネーターっぽいサンタロボットが人間を殺しまくる』という設定の、クリスマスには定番のいわゆる『殺人サンタ』系のホラー作品ですね。
とりあえず『なんで宣伝用のサンタロボットが、人間を殺害してまわれる程の攻撃力やら運動性能を備えてるんだ?』ってツッコミを入れたくなるようなお話ですが、一応『政府の方針で町の警備ロボットを兼ねたサンタロボットを町中に配備している』みたいな設定が最初に語られて、キチンとその辺の矛盾を解消しているのはB級作品ながらも悪くない印象。
お話としては『何故か執拗に殺人サンタロボットに追い回される事になった女性が、サンタロボットと死闘を繰り広げる』という、ホントにそれだけのお話。
低予算映画故に登場人物も少なく『全体的に小ぢんまりとした作品』といった感は受けますが、女子供だろうと容赦なく殺しまくるサンタロボットの暴走っぷりはなかなかに楽しいです。
本作の最大の見どころは、なんといっても『無茶苦茶なレベルのサンタロボットのタフさ加減』。
銃で撃たれようが車で轢かれようが潰されようが、次のシーンでは普通に起き上がって何事も無かったかのように主人公たちを追跡してくる執念深さは、まるでターミネーターもかくやと言う感じで楽しませてくれます。
ただサンタロボットのタフさは良いのですが、このサンタロボットがタフな以外にほとんど芸がないのは残念なところ。
犠牲者の殺害方法も、ほとんどが『斧で突き刺す』か『馬鹿力でぶん殴る』といった程度で、殺害方法に面白味がなくてどうにも単調。
『主人公を黙々と追跡してくるだけ』でキャラクター性も感じられない(まあ知性のない殺人マシーンなので当然と言えば当然なのですが)ですし、そもそも何でそんなに執拗に主人公を追跡してくるのかも釈然としません。(別に『未来に生まれるレジスタンスのリーダーの母親』って訳でも無いだろうに、『たまたま姿を目撃しただけ』という割には執念深すぎる…)
また、お話自体はサクサクと良く進むのですが、サンタロボットの襲撃シーンやインターバルのシーンの『貯め』が妙に長くて、観ていて妙なテンポの悪さを感じたのも気になるところです。
あと、お話の派手さに対して登場人物が少なすぎることも気になる部分で、そこらじゅうで車とかが爆発しまくってるのに、消防車やら警察の応援やら近所の野次馬さえも誰も集まってこないのは流石に違和感かなぁ?(低予算故にキャストが少ないのは分かるんですが…)
ラストも矢鱈と唐突で微妙にスッキリしない感じでしたし、コンセプトや方向性は悪くないので、ちょっと勿体なさと残念な印象を抱いてしまう作品でしたよ…
総評としましては、『いま一つ盛り上がりに欠ける、殺人サンタ系低予算スラッシャーホラー映画』って感じですね。
個人的に設定やらは嫌いじゃないのですが、内容的には可も不可もない感じで『オススメするにはちょっと弱いかな…』という印象。
まあ、『殺人サンタ』という題材に心惹かれる人や『クリスマスと言えば殺人サンタ映画だろう!!』という殺人サンタマニアの人であれば、せっかくの『季節ネタ作品』ですのでとりあえずチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。