NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

【ホラー映画の基礎知識(2-1)】ホラーのジャンル

 前回書いたとおり、今回は「ホラー映画のジャンル」について書いてみたいと思います。

 といっても、ホラーマニアの間で比較的良く使われているジャンルを並べてみただけですので、『このジャンルの呼び方がオフィシャル!!』とかって訳では無いですし、この呼び方をすれば万人に(一般の方にも)理解していただけるかと言われると、全然さっぱり決してそんな訳ではありませんので、ご注意下さい。(←何を?(笑))


■■■スラッシャームービー■■■
 その言葉どおりに、切り裂き魔(スラッシャー)の殺人鬼が登場して、人を殺しまくるといったタイプのホラー映画。

 現在のホラー界で最も多く作られている作品ジャンルで、「スクリーム」の大ヒット以来、非常に人気の高いホラージャンルの一つです。
 「13日の金曜日」や「ハロウィン」等も基本的にはこのジャンルに属します。
(といっても、既に殺人鬼が既にモンスター化しており、モンスター映画になってしまっている物も多いですが…)

 また、主人公が学生(高校生や大学生)といった設定の物が非常に多く、そうしたジャンルを総じて『青春スラッシャー映画』なんて呼ぶ事もあるようです。
(作品例:「スクリーム」、「ラストサマー」、「13日の金曜日」等)


■■■モンスター映画■■■
 吸血鬼や狼男等、割と名前の知れた有名な怪物が登場するタイプのホラー映画。

 他にも、未知の怪物や宇宙生物が登場する場合もこのジャンルに含められ、殆どの場合において、怪物が極めて高い生命力・耐久力と、環境適応能力を(場合によっては攻撃力と繁殖力も)持ち合わせているのが特徴。
 登場する人物よりも怪物のインパクトの方が強く、むしろ怪物の方が主役的な扱いを受けているような映画が多いです。

 シリーズを追う毎に怪物がメジャーになったり、殺人鬼が怪物化してきたりして、何時の間にかモンスター映画になってしまった作品も多く、少々切り分けが難しい部分もありますが、不死性の高い怪物が登場する映画は殆どコレに含めてしまって良いと思います。
(作品例:「吸血鬼ドラキュラ」、「キングコング」、「遊星からの物体X」等)


■■■生物パニック映画■■■
 既知の生物が、突然変異・巨大化等を起こしたり、群れて人間を襲ったりする事によって引き起こされるパニックを描くタイプのホラー映画。

 未知の怪物の襲撃を描いた作品もこのジャンルに含まれる場合もありますが、主にパニックを主体として描いているかどうかによって区分される場合が多くて、またモンスター映画に比べると怪物の個性や自己主張は少な目です。

 基本的に怪物は常識的な範囲内の手段で倒される場合が多いですが、モンスター映画と違って怪物が1匹で終わらないケースが多いのも特徴です。
 逆に、1匹の怪物が余りにも強力な場合はモンスター映画に分類されるべきかも?

 恐らくウチのブログサイトで一番沢山の感想を扱っている、家主の大好きなジャンルです。(笑)
(作品例:「ジョーズ」、「黒い絨毯」、「U.M.A. レイク・プラシッド」等)


■■■ゾンビ映画■■■
 元々はモンスター映画のジャンルの一つなのですが、余りにも人気が有りすぎて既に完全に独立した1ジャンルといっても良いでしょう。
 (最もメジャーで格式ある怪物である筈の吸血鬼とかよりも映画の本数が多そうですし…)

 殆どのゾンビ映画において、ゾンビは「生ける屍」として描かれており、人肉を食料とするために生者を求めてさ迷っています。
 映画によって強さや知能レベルはまちまちで、人間と同じ方法で倒されてしまう物も居ればバラバラにされても生きている物も居たり、「バタリアン」の様に喋るゾンビも居れば「ゾンビコップ」の様に生前の記憶を引き継いでいるものも居ます。

 『ゾンビに襲われた人間はゾンビになる』という感染力を持ったタイプも少なくないですが、これはいわゆるロメロの「ゾンビ」シリーズ(~~of the Dead)において、ゾンビに噛まれた人間がゾンビになるプロセス…
  ・死者が宇宙からの謎の放射線によってゾンビとして復活。
  ・腐敗したゾンビに噛まれた人間が感染症を発症する。
  ・感染症により噛まれた人間が死亡する。
  ・死亡した人間が、宇宙からの謎の放射線によって復活しゾンビとなる。
 が誤認されて継承されたものではないでしょうか?。
 (或いは、後に作られた「デモンズ」の爪による感染から引き継がれた設定か?)

 ちなみに「サンゲリア」に代表される、イタリア製のグログロな表現が特徴のゾンビ映画は『マカロニ・ゾンビ』(エグい表現が売り西部劇である『マカロニウェスタン』にあやかったのと、「サンゲリア」のルチオ・フルチ監督が元々ウェスタン映画の出である事が由来らしい)と呼ばれており、最近ではグロい表現のゾンビ映画を形容する言葉として使われる場合もあります。
(作品例:「ゾンビ」、「死霊のはらわた」、「ブレインデッド」等)


■■■オカルト映画■■■
 いわゆる、神秘学や宗教といったオカルト学をテーマとしたタイプのホラー映画。

 大別すると超自然的な存在(悪魔等)が登場するパターンと、邪教(原始宗教等)の崇拝者が出てきて被害者を襲う場合の2パターンが存在し、両方とも出てくるという複合型も存在します。

 でも、悪魔が出てくるといっても、実体を持ったグレーターデーモンみたいなのが攻めて来た場合は、モンスター映画と認識される場合も…。

 無宗教国家の日本には一番馴染みが薄そうですが、意外な程に人気の高いジャンルです。
 ちなみに、タイトルに「悪魔の~~」とかって枕詞が付いているからといって、別に必ずオカルト映画って訳では無いので要注意です。
(作品例:「オーメン」、「エクソシスト」、「ローズマリーの赤ちゃん」等)


■■■心霊映画■■■
 生々しい怪物ではなく、幽霊とか実体を持たない霊体なんかが登場するタイプのホラー映画。

 いわゆる怪談系の作品と、超自然現象そのものを題材とした幽霊屋敷物や幽霊船物なんかが、このジャンルに属します。
 幽霊や心霊現象自体が恐怖の対象として描かれているため、『全く死人が出なくてもホラーとして成立する』といった、他の映画ジャンルには無い特徴を持ちます。

 日本で有名な「リング」等のホラー映画もこのジャンルに属しますが、貞子とか伽椰子なんか、どう見ても実体あるじゃん!?って感じなので、Jホラーはちょっとだけ特殊なのでしょうか?
(作品例:「エンティティー/霊体」、「ヘルハウス」、「ポルターガイスト」等)


■■■サイコスリラー■■■
 文字通りに、頭のおかしいサイコな殺人鬼が登場するタイプのホラー映画。

 最初から頭がおかしい人物が殺人を犯しまくるような内容のものと、健常な精神の持ち主が徐々に狂気に駆り立てていく様を描いたものの2パターンがあり、このジャンルも、後者の場合は『誰も死ななくてもホラーとして成り立つ』といった特徴を持っています。

 また、犯人が連続殺人を犯す物が多い為に、『サイコキラー』や『シリアルキラー(連続殺人鬼)』物といった呼ばれ方をする場合もあります。

 ちなみに殺人鬼があまりにも堂々としてる場合や、残虐表現が行き過ぎている場合はスラッシャームービーに分類される事も…
(作品例:「サイコ」、「殺しのドレス」、「ソウ」等)


■■■サイキックホラー■■■
 サイコスリラーと響きが何となく似ているけど、こちらは精神的な話ではなく超能力(サイキック)を題材としたホラー映画。
 主人公が超能力を使う場合や主人公に敵対する超能力者が登場し、超能力に関連する事で何らかの事件が発生する。
 主人公が超能力を暴走させて、そのせいで大パニックや悲劇が起こるようなパターンの話が多いですが、予知能力を持った主人公が事件を事前に阻止しようとする(或いは能力を逆に悪事に利用しようとする)…といった様なパターンも少なくないです。

 最近は、超能力というと「X-MEN」みたいなミュータントヒーロー物が流行りで、ホラージャンルでも派手な超能力バトルを見せるような展開の作品もちらほら…
(作品例:「キャリー」、「スキャナーズ」、「デッドゾーン」等)


■■■ゴア映画■■■
 残虐表現が売りとなっているグロ系映画の総称。
 海外ではスプラッター映画という表現はあまり使われず、こちらの表現を使う事が多いそうで、日本でもホラーマニアの間ではこの呼称が良く使われます。
 スプラッタ映画は『ストーリーの展開上、残酷なシーンや多量の出血シーンを含む』といった作品も含みますが、ゴア映画はどっちかと言うと『監督がグロいシーンを見せたいが為に話を作ってる』みたいな作品が多かったりします。

 単に残酷な表現が多く含まれるホラーだけではなく、もっとストーリーの無い残虐描写だけのナンチャッテ実録系の映画や集団から暴行を受けるような表現を含む物も指す事が多く、ホラーファンの間でも好みの分かれるジャンルの映画が多いのが特徴です。
(作品例:「サンゲリア」、「血の祝祭日」、「食人族」等)

 ちなみに、実写の殺人映像や死体の映像等を利用した映画は「モンド映画」と表現され、これまた「ゴア映画」とは別ジャンルとされますが、その手の映画も『実写映像が半分で、残りは作り物』みたいなパターンも多いので、切り分けが難しいジャンルですね。