■■■その5『アミュレット配達完了』■■■
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牢獄から脱出して以来、目的も無く辺境をうろついていた俺様だったが…
流石に装備している武器の攻撃力不足を感じた事と、売却したい荷物も多くなってきた事から、とりあえず帝都を目指そうと思った。
が、慣れない手つきで地図を見ると、どうやら以前に預かった『皇帝の証』であるアミュレットの届け先も帝都の少し先の場所にあるらしい。
いつまでも『皇帝の証』やらの物騒な物を持ち歩いてて、刺客とかに狙われても嫌なので、まずは目的を変更して先にブレイズ騎士団の団長とやらにアミュレットを渡しに行く事としよう。
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騎士団長の隠遁する修道院は、街道沿いに進むと割と簡単に発見できた。
妙にショボくれたハゲのオッサンが騎士団長(身分を偽る為に敢えてショボくれた変装をしているという話だが、怪しいものだ!!)だと言うので、とりあえず約束どおりにオッサンにアミュレットを渡したところ、今度は俺に皇帝の忘れ形見である皇子(要は『隠し子』だ)を探し出して欲しいと言う。
なんとも厚かましいお願いだが、協力したら武器や装備をタダで貰えるというのは、まあ悪くない話だ。
メンド臭いので余り気が進まないが、旅の途中で皇子とやらが居そうな場所に立ち寄ったら、ついでに探してやるもの良いだろう。
騎士団長のオッサンからとりあえず使えそうな武器を貰うと、荷物の重量が重くなりすぎたので、自分でもいつの間に拾ってたのか分からない『頭蓋骨』とか『人骨』とかを団長の部屋の机の上に大量に廃棄。
団長は『何をやってるんだ?』と言わんばかり目つきで見ている気がするが、まあ修道院だから丁度良いだろう…
ついでに、部屋の中に良さげな『錬金術のキット』が有ったので、ちょっと拝借しようかと思い手に取ってみたところ、オッサンは『このコソ泥め!!』と大騒ぎ。
『泥棒だ、誰か助けて!!』とか仲間を呼ぼうとする始末…
いやいやオッサン、あんた皇帝直属の精鋭部隊である『ブレイズ騎士団の団長』って事は、帝国で屈指の最強クラスの達人じゃ無いのかよ?
『誰か助けて!!』も無いもんだろう…
『誰か助けて!!』も無いもんだろう…
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オッサンからそこそこの装備を貰った俺は、今度こそ帝都を目指して移動を開始。
移動の途中で追いはぎに襲われたり、立ち寄った農場にあったジャガイモやニンジンを根こそぎ掘り返したりと紆余曲折あったものの、まあなんとか無事に当初の目的地である帝都へとようやく辿りついたのだった…
(その6に続く…?)