■■■その13『目指せ闘技場チャンプ』■■■
*
自宅を購入した後、そういえば『皇子』を騎士団長の元に送り届けてなかった事を思い出した。
そんな訳で、『騎士団長の部屋に預けてある自分の荷物』を回収しに行くついでに皇子を送り届けたり…
騎士団長の装備している日本刀(アカヴィリ刀)欲しさに伝説の『ブレイズ騎士団』に加入したりする経緯があったのだが…
その辺の話は大して面白い話でもないので、今回は割愛させて貰う。
*
さて、戦闘における打撃力不足を補う為に武者修行の旅とかを繰り返していた俺様だったが…
武者修行で出会う敵はどうにも強敵が多く、結局は召還魔法に頼って戦う事となってしまい、無闇に召還スキルばかりが上昇し今では筋力より知力の方が高いという、スッカリ『召還魔法士』となってしまった。
どうやら、この世界の理(ことわり)として、『自分のレベルに合わせて強い敵が現れる』という法則が存在するらしく、自分が強くなれば敵も強くなるため、戦闘において貧弱な格闘スキルなんかを使っている余裕は無く、弱いスキルは永遠に弱いままなのだ…
クソッ、なんてこったい! 俺より弱い奴に会いに行きたいぜ…
*
そんなこんなで戦いで生き残る為に、連日『召還スキル』を鍛えていた俺様だったが…
そんなある日、自分で呼び出した「スケルトン」を見ながら、『コイツを背後から殴ったらどうなるんだろう?』という疑問が脳裏を掠めた。
なんと、この世界では自分で呼び出したモンスターを倒しても経験値が貰えるのか?
しかも『武者修行の旅』に出るのなんかより、よっぽど効率が良いじゃ無いか!!
しかも『武者修行の旅』に出るのなんかより、よっぽど効率が良いじゃ無いか!!
すると、街の住人や衛兵たちが乱闘騒ぎに何事かと驚いて、俺様に加勢してくれたりもした。
しかし『これも俺様の人望のなせる業だな…』とか思いながら暴れていたところ、スケルトンを殴るつもりがうっかり通りすがりの街の住民を殴ってしまい、街の住民との大乱闘に発展。
乱闘騒ぎに駆けつけた衛兵にしょっぴかれて、罰金を払わされるハメになってしまった。
*
この教訓から『やはり、街中で暴れるのは良くない…』という事を学んだ俺様は自宅の部屋に引きこもり、ひたすらモンスターを呼び出して大乱闘。
格闘や殴打といった戦闘系のマイナースキルと腕力等の能力のパワーアップを実現。
魔物の召還ばっかり行なっていたお陰で、ついでに召還魔法のスキルも大幅に上昇し、魔界で遭遇した戦士「ドレモラ」の召還できるようになった俺様は、戦闘にちょっとした自信を身につけていた。
*
さて、腕前が上がると『自分の実力を試してみたくなる』というのがトカゲ人情である。
俺様は以前に実力不足から諦めた闘技場に再び参加し、自分の今の実力を見極める事とした。
*
闘技場に出てくる連中は、そこそこの実力を持った闘士だが、所詮は「オブリビオンゲート」で実戦を潜り抜けてきた俺様の敵では無かった。
俺様は『試合開始と同時に闘技場の入場通路を後退、追いかけてきた敵の背後にドレモラを召還して、前後から挟み撃ちにして袋叩きにする』という戦法で、次々と屍を築き上げていく。
この戦法では自分ひとりの実力では厳しい相手も2対1では負ける気がせず、まさに『ドレモラ先生様々』といった所だ。
逆に厳しかったのが『3人の相手』と闘うという試合だ。
特に、途中でカードが組まれた『3人のアルゴニアンの囚人』との闘いは非常に厳しい物だった。
特に、途中でカードが組まれた『3人のアルゴニアンの囚人』との闘いは非常に厳しい物だった。
召還を含めても2対3という数の不利があるのに加えて、俺も含めてアルゴニアン(トカゲ人間)は『毒が効かない』という体質を持って居るため、得意の『剣に毒を塗っての毒殺戦法』も通用しない…
この試合ばかりは特に打開策を見出せなかった為、回復薬を大量に消費して力でゴリ押しするしかなかった。
*
そんなこんなで快調に闘技場での闘いを勝ち上がった俺様は、瞬く間に闘技場のチャンピオンへと君臨した。
チャンピオンになると『通り名』が貰えるという事で、闘技場の支配人のオバハンの提示した名前のうちから『マン・オブ・ウォー』を選択。
クヴァッチで『たった一人の軍隊』のような戦いを繰り広げた俺様には、この名前が相応しいだろう。
クヴァッチで『たった一人の軍隊』のような戦いを繰り広げた俺様には、この名前が相応しいだろう。
グランドチャンピオンの「グレイ・プリンス」との対決では、ちょっとした『ひと波乱』があったのだが…
コレに関しては、これから闘技場に挑戦する諸兄も多いであろうから敢えて触れないで置こう。
*
かくして闘技場のグランドチャンピオンになった俺様だったが、再び闘技場の支配人のオバハンに話しかけると…
今度は『ミノタウロス・ロード 3匹』と闘ってみないか?と言う。
ちょっ、おまっ!!
と内心で動揺するが、『ここで逃げてはトカゲ男が廃る(すたる)』ってなものだ。
まあ、今までの相手もなんとかなったんだから、コイツらもなんとかなるだろう…
まあ、今までの相手もなんとかなったんだから、コイツらもなんとかなるだろう…
*
なかばヤケクソで闘技場に上がった俺は、とりあえずいつもの戦法でコロシアムの中央には出ずに入場路を後退。
『さあ戦闘だ…』と思いきや、どういう訳か「ミノタウロス・ロード」どもは入場路までは追って来ない
『何をやってるんだ?』と思いつつ慎重に奴らに近づいて見てみると…
何と「ミノタウロス・ロード」は図体がデカすぎて、入場路のゲートに自分の角が引っかかって、ここまで入って来れなくなっているではないか!!
このカードを組んだ奴は、どう考えてもアホである!!
とりあえず、その「ミノタウロス・ロード」のていたらくを見た瞬間に勝利を確信した俺様は、黒い微笑みと共に弓矢を装備し魔物どもを遠距離からチクチクと狙撃。
半日(ゲーム内時間)ぐらいかけて3匹の魔物を倒し、闘技場の大歓声に包まれたのだった。
…っていうか、観客のお前らはホントにこんな試合を観て面白いのか?
…っていうか、観客のお前らはホントにこんな試合を観て面白いのか?
*
そんなこんなで、グランドチャンピオンとなって多額の賞金を手にした俺様は、ひとまず闘技場を後にする事とした。
次の試合はモンスターが補充される1週間後という事らしい。
次は何のモンスターと闘わされるのかは知らんが、もし次も「ミノタウロス・ロード」が出てくるようなら、俺様が負ける事は有りえないだろう。
まあ、また気が向いたら小遣い稼ぎに来てやろう。
*
闘技場を出ると、俺の大ファンだというタマネギ頭の青年に出会った。
何でも、『尊敬する俺様に付いて行きたい』という話だ。
何でも、『尊敬する俺様に付いて行きたい』という話だ。
喋り方から何から妙にウザい奴だが、戦闘の際にモンスターの気を逸らすぐらいの役には立ちそうだ。
タマネギ頭に付いて来る事を快諾し、とりあえずの闘技場での目的を果たした俺は、帝都の周辺にも飽きたので再び『放浪の旅に出発しよう…』と考え始めるのだった。
(その14に続く…?)