■■■「キャプティビティ 特別編」■■■
(60点/サスペンス)
ニューヨーク在住の人気モデルであるジェニファーは、ある日、クラブで何者かの襲撃を受け廃倉庫の一室のような奇妙な場所に拉致されてしまう。
その場所で彼女は、犯人の正体も目的も理由も一切分からないまま、理不尽な監禁と拷問を受け続ける。
やがて、彼女は隣室で囚われているゲリーという男性の存在に気付き、なんとか協力して脱出しようと試みるが…
「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズでもお馴染みのラリー・コーエン製作&脚本によるサスペンスホラー映画。
いわゆる『密室監禁もの』のスリラー映画で、題材的には「ソウ」みたいなソリッドシチュエーションスリラーと雰囲気が近い感じかな?
ただ、スリラーと言ってもストーリーは有って無いも同然なので、そちらに期待してはいけません。
わずかながらにあるストーリーも、ぶっちゃけ中盤で先が読めてしまいますしね…
殆ど90分間いっぱいかけて、ひたすら『お姉ちゃんが拷問と虐待を受けつづける映画』と認識しておいた方が間違いは無いかも?
拷問の手段に関しては、肉体的な拷問の他に、グロ攻め、砂攻め…と『よくもまあこんなに色んなシチュエーションが思いつくなぁ』と感心するぐらい。
主演のお姉ちゃんがかなり美人なので、フェティッシュな印象もあって拷問のシーンはなかなか良い塩梅です。
ただ『18禁指定』を食らってる割には、残虐表現の内容はそこまで過激でも無く、「ソウ」のような残酷ショーとまでは行かないような雰囲気。
ぶっちゃけ、『18禁にする程のもんでも無かったんじゃないかなぁ…』と思わなくも無いですな。
中身が拷問シーンばっかりの割には、お話のほうは割とテンポよく進んで、途中でダレる事の無いような作りになっているのはなかなか上手いですね。
メイキングの未公開映像とかを観れば分かりますが、無駄な説明のシーンを一切カットして贅肉を削ぎ落とした作りにしたのは正解だったんじゃないかな…と思います。(本作のノリだと『犯人のプロファイリング』のシーンとか全く不要ですしね。)
全体的に良く出来ているとは思うのですが、ただ緊張感を持たせる為にも『もうちょっと過激なシーンが有っても良かったんじゃ無いか…』とか思う部分もあります。
なんというか過激なシーンも含めて全体的にアッサリしすぎていて、いま一つ印象に残らないシーンが多いので、『もうちょっとコッテリ濃厚なインパクトのあるシーンがあっても良かったんじゃないかなぁ…』って感じたのは、若干の不満点かも?
あと細かいツッコミを入れさせて貰うとしたら、中盤で『犯人の幼少期のホームビデオ』が流れるシーンがあるのですが、思わず『このビデオは、いったい誰が撮影してたんだよ!?』とかってツッコミを入れたくなったのは私だけですか?
(ホームビデオなのにカット割りや編集までされてるし。(笑))
総評としましては、若干の物足りなさはあるものの『コンパクトにまとまったソリッドシチュエーションスリラーの良作』だと思います。
いわゆる監禁ものの残虐ホラーとかのジャンルが好きな人ならば、ごく普通に楽しめると思いますので、その手のノリが好きならば観ておいて損は無いでしょう。
ただし、普通にサスペンスっぽい展開を期待すると、逆に肩透かしを食らう恐れもあるので要注意。
アクマで『ホラー映画』として観る分にはそこそこ楽しめる内容ですので、その辺は覚悟しておいてから鑑賞しましょう。