■■■「519号室」■■■
(60点/オカルトサスペンス)
刑務所から仮釈放となり、服役中に死亡した母親の暮らしていた古びたアパートで暮らすこととなったボビーは、旧友達とも連絡が取れずに孤独な生活を送っていた。
しかし、死ぬ直前に母親が酷い精神衰弱に陥っていた事を知った彼は、近隣住民の奇妙な態度や、壁の向こうから聞こえる不気味な物音に不審なものを感るようになっていくのだった…
母親の死去した後の安アパートで暮らす事となった男が奇妙な現象に巻き込まれて行くという、オカルトサスペンス映画。
タイトルだけ見ると「1408号室」のパクリっぽいですが、単に主人公の住んでる部屋が「519号室」ってだけで内容的にはジャンルからして全く関係ありません。
パッケージを見ればオカルト作品というのはバレでしまう事ですし、ネタバレを承知で言ってしまうならばアメリカ版「呪怨」みたいな感じのお話ですね。
ストーリーの構成がなかなか秀逸で、本編にお話の謎の提示部分の仕方が上手くて、ストーリーの進行に従って謎解きの要素も上手く組み込まれているため、途中で退屈しない程度にサスペンス要素があって、先の読めない面白さがあるのはあるのは良いところですね。
また序盤での『音のみ』を聞かせて画面では『敢えて何も見せない』という演出手法は、なかなか怖くて面白いです。
ただ、その手法が効果的に使われているのは序盤のみで、物語の後半に向かって行くに従って『ごく普通のオカルト映画』になっていくのは残念なところ。
お話そのものは面白いのですが、『謎の音』の正体が画面に登場してからの展開は少々残念な感じ…
なんというか、心霊現象の『絵的な怖さ』がイマイチなため、ちょっと盛り上がりに欠けてしまうんですよね。
そういう意味では、やはりJホラーの『絵的な怖さ』は世界でも群を抜いているレベルなんだなぁ…と再認識させられました。
演出やらではJホラーを超えている部分も沢山あるので、逆にこの内容で絵的にも高レベルの物が作れたら、かなり良い作品になったんじゃないかと思うと、ちょっと残念なところですね。
あと、個人的にオチがちょっとアッサリしすぎじゃないかなぁ…とも感じましたが、まあまあ上手い落とし方だとは思いました。
(Jホラーは、逆にオチがグテグテになってしまう作品が多いですので…)
総評としましては、なかなかに『普通に良く出来たオカルトサスペンス映画』という評価が相応しい感じの作品ではないかと思います。
絶賛するレベルでは無いものの、演出の上手さや怖さは及第点レベルですので、オカルトサスペンスが好きであれば、とりあえず観ておいて損をするようなタイトルではありません。
Jホラー的なノリの作品が好きな人ならごく普通に楽しめる内容だと思いますので、その手の映画が好きならばチェックしておいても良いのではないでしょうか?