NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「テルマエ・ロマエ」を観てまいりました。

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劇場にて「テルマエ・ロマエ」を観てまいりました。

 正直に言うと『えっ、このマンガを実写映画化!?』ってのと『主役の古代ローマ人役が阿部寛!?』という2点からして、『大丈夫かよ、この映画!?』という不安しか無いような状態で全く期待せずに観に行ったのですが…

 いやはや良い意味で予想を裏切るような、なかなかに良く出来た作品でしたよ!!

 ストーリーに関しては、マンガと同様に『『お風呂場』を経由してタイムスリップする事が出来るようになった浴場技師の古代ローマ人が、日本の最先端のお風呂技術を学んで過去のローマで大成していく』という、お馬鹿な内容ですが…

 原作どおりに、どこかとぼけた演出やらフルーツ牛乳』や『ウオッシュレット』に感動して涙を流すクソマジメな主人公であるルシウスのキャラクターを、これまた阿部寛がクソマジメに演じるというギャップがなかなかツボにハマっていて、物凄く下らないながらも非常に笑える作りになっています。

 映画本編の方は、アニメでも放映された辺りの『1~2巻ぐらいのお話をかいつまんで進めていく』ような展開ですが、この抽出の仕方や端折り方がなかなか良く出来ていて『説明不足にならない程度』でありながら、『面白い要素をテンポ良く見せる』という描き方に成功しているのはなかなか上手いですね。

 また映画化に際してストーリーを盛り上げるために、少しだけ『映画版オリジナルの要素』も付け加えられて居るのですが、これが『原作ストーリーの邪魔にならない程度』で且つ『お話にキレイにオチをつける為の設定』として上手く働いているのは非常に感心しました。

 いや、コレはホントにマンガを映画化する際の『成功例』として挙げても良いレベルの上手い改変だと思います。
 この展開であれば原作が好きな人でもそこまで不満を感じる事も無い(多少の違和感は感じるとは思うけど)でしょうし、原作を知らない人は一本の映画としてスッキリ観れる形でまとまっている事から素直に楽しむ事が出来るでしょう。
 (お話が完結してしまってるので、続編とかが作れないという欠点はありますが…)

 あと、思った以上に撮影とかにもお金がかかっている感じで、古代ローマ帝国の映像とかがあまりショボい感じになってないのも、なかなか好印象ですね。
 (とは言っても『邦画レベル』なので、ハリウッド映画とかに比べると思いっきり低予算ではありますけど…)

 ただ誉める部分も多かったのですが不満点も少なくない感じで、やはり一番の不満点は古代ローマ人阿部寛がやるのは無理があるだろ…』という点でしょうか?

 チョイ役のエキストラなんかは実際に外国人がやっている(セリフのみ吹き替え)事もあって、特に序盤はいくら阿部寛の顔立ちが濃いと言っても思いっきり違和感MAX状態。

 まあメインキャストは殆ど日本人がやっているため、中盤辺りになると『演劇の舞台を見せられている』みたいな気分になって違和感もあまり感じなくなるのですが…
 やっぱ、どれだけ濃くても日本人の顔は日本人にしか見えないですよ。(笑)

 この『無理のあるビジュアル』のせいで、予告編とかの映像から『イロモノ作品』という印象しか受けられなくなっているのが、ちょっと勿体無いところです。(まあ、実際にイロモノではあるんですけど…)

 あと、マンガに元々居ないキャラというせいもありますが、ヒロインの扱いがちょっとぞんざいな印象『イマイチ感情移入しきれなかった』のは辛いところかなぁ?
 それとヒロインがマンガのネタにする為とはいえ、独学で『ラテン語の勉強をする』って設定は流石に無理があったんじゃないかと…(今のイタリアの公用語じゃないので、勉強してもあんまり意味が無いですし…)


 とまれ総評としましては、『人気マンガの映画化作品』としても『純粋な娯楽映画』としても、そこそこに満足のいく『佳作レベルのコメディ映画』になっていると思います。

 なんでも本作は海外の映画祭とかで上映されて高評価されたそうですが、『文化のギャップ』を笑いネタにしているという性質からも確かに海外でもウケが良さそうな感じです。
 (主人公を日本人が演じてるのも、日本人が海外の映画での『間違った感じの日本人』を観るような感覚で逆に違和感が無いのかも?)

 この『お馬鹿な設定』に心を惹かれる人や『原作が好きで映画版にも興味がある』という人は、間違いなく劇場で観ておいても損は無い一本だとは思いますよ。
 (まあ『迫力のある映像』とかそんなのは無いので、ビデオまで待っても困らない作品でもありますけどね…)