■■■「ジンジャーデッドマンvsパペット・モンスター」■■■
(35点/スラッシャー)
有名なB級映画監督の息子で親の七光りで映画監督となったケルヴィンは、父の後を継いで低予算のB級映画を撮り続けていたが、あまりに酷い映画ばかり連発するために資金繰りが厳しくなりつつあった。
しかしそんなある日、ポリーというケータリングスタッフ差し入れによって持ち込まれた巨大な『ジンジャーブレッド』が唐突に暴れだしてスタッフを次々と殺害し始めるという事件が発生。
そのジンジャーブレッドこそは、恐るべき殺人鬼の霊の取り憑いた『殺人ジンジャーブレッド』である「ジンジャーデッドマン」だったのだ。
ジンジャーデッドマンの正体を知ったケルヴィンは、スタッフたちを撮影スタジオから逃がそうとするが、たまたまその日に見学に来ていた『車椅子の青年』であるトミーが行方不明になっている事に気付き、彼を救おうとスタジオに残る事となるが…
死刑になった殺人鬼の霊が『ジンジャーブレッド』に乗り移り「ジンジャーデッドマン」となって次々に人間を殺すという、オカルト風味のスラッシャーホラーシリーズの第2弾。
前作も『割とどうしようもない話』でしたが、前作が地味に人気があったのか何故か続編まで製作されていたようです。
一応、シリーズ2作目という事で、冒頭で前作の『いかにしてジンジャーデッドマンが誕生したか』を解説する前作のハイライトシーンみたいなのが入ったりするのですが、ぶっちゃけそんな事どうでも良いぐらいに『前作との繋がり』とかは全く無いようなレベル。
全編を通してとにかくアバウトで『イキオイだけで撮った』ような感じの映画ですね。
序盤で元女優でケータリング(仕出し)スタッフに身をやつしたお姉ちゃんが、『どこからか「ジンジャーデッドマン」を撮影スタジオに連れてくる』事でお話が始まるのですが、このお姉ちゃんと主役の映画監督とジンジャーデッドマンの関係とかが描かれてお話が進んでいくのかと思いきや、そういった背景にまつわるような設定の解説は一切無し。
というかジンジャーデッドマンを連れてきたお姉ちゃんは、序盤に速攻でジンジャーデッドマンに殺されてしまいます。
いやいや、お前ら仲間じゃ無かったのかよ!?
他の部分のストーリーもとにかくグテグテで、ジャンジャーデッドマンが『たまたま映画の小道具置き場に置かれてた魔術書』に書かれていた『転生の秘術』を用いて、6人の人間を殺害する事によってこの世に復活を遂げようと企む…って展開なのですが、まずその設定に無理が有りすぎるだろう。(何でそんな場所に『本物の魔術書』が置かれてるんだよ…)
ストーリーは更に超展開の連続で、主人公が助けようとしていた『車椅子の少年』が、実は撮影現場を爆破しようと侵入したテロリストだったりと、とにかく脈絡の無い超展開が多くて『もうちょっとマジメにシナリオを書けよ』とツッコミを入れたくなるレベル。
まあ、もともと『超低予算のZ級映画のパロディ』を目指して作られた作品のようですので、その辺の細かい部分を気にしちゃダメな映画なんでしょうけどね。
主人公である映画監督の父親って、どう考えてもロジャー・コーマンのパロディですし、タイトルにもなっている『ペペット・モンスター』ってのも有名なB級ホラーシリーズである「パペットマスター」のパロディですし…
ただその辺を割り切って観たとしても、本作が『パロディとして面白いか』と言われると微妙なところ。
別に『超低予算映画』に対するオマージュみたいな物もあまり感じられないですし、元ネタを知ってたら『ああ、あのネタね』とちょっとニヤリと出来る程度で、別に笑えるって程のネタも無いですしね。
というかネタに関してもB級ホラーのパロディだけかと思いきや、唐突に「市民ケーン」のネタが出てきたり「パッション」(キリストの奴ね)のネタだ出てきたりと節操が無さすぎ。
(まあ「パッション」に関しては、原題が「GINGERDEADMAN: PASSION OF CRUST」ってモロにパロディなんですけど…)
また、「パペットモンスター」の1匹に『バイブ男爵』という、見たまんま男性器の姿をした怪物が居たりとその手の下ネタも多すぎて、何か『安易な方向』で笑いを取りに行ってる部分が感じられたのは、個人的には『求めてるものと何か違うなぁ』って感じ…
ただ、前作で人気がそこそこ出たおかげで予算が多く取れたのか、特撮や映像のレベルとかは割と上がっており、ジンジャーデッドマンの出番が増えて『色んなバリエーションの殺害シーン』が多く準備されていた事や、ジンジャーデッドマンが『殺人ロボット』に乗って戦うシーンとか『アホ臭いネタ』がそこそこあった辺りは、まあまあ良かったかな?
惜しむらくは、タイトルにもなってる『パペット・モンスターとジンジャーデッドマンの対決シーン』が殆ど無い事かなぁ?
パペット・モンスターの出番自体も物凄く少なくて殆ど空気みたいな扱いだったので、この辺はもうちょっと気合を入れて作って欲しかったなぁ…
総評としましては、まあ基本的には前作と同様に『割とどうでも良い映画』というか『どうしようもない映画』ですね。
逆に、その辺の『どうしようも無さ』を楽しみたい人や『下らないネタ』が大好きな人ならば、まあそこそこ観れる作品かなぁ?
まあ『前作が楽しめた人』であれば本作も同様に『それなりに楽しめる』とは思いますので、シリーズとしてチェックしたいという人ならば観ておいても良いんじゃないでしょうか?
ビックリする程くだらない映画ですので、基本的に余程のZ級映画が好きな奇特な人以外には、とてもじゃないけそオススメ出来ないレベルの作品ではありますけどね…