■■■「HUNT/餌 ハント・エサ」■■■
(70点/生物パニック:オススメ)
オランダのアムステルダムの郊外で、牧場を営む一家が何ものかに惨殺されるという事件が発生。
死体の状況から動物の仕業ではないかと判断した警察は、動物園に勤める獣医のリジーに鑑定を依頼するが、死体の状況から犠牲者を襲ったのは大型のライオンであると特定される。
あまりの異常な事態に彼女の発言に疑問を抱く警察だったが、その後、街中のあちこちで同様の事件が発生した事から、彼女の発言を信じて異常事態と判断しハンターにライオンの駆除を依頼する事となる。
しかし経験の浅いハンターでは獰猛なライオンに対処する事ができず、ハンターも犠牲となって更に被害は拡大。
事態に対処するために、リジーはかつてアフリカで住んでいた頃に付き合っていた、ベテランハンターのジャックに連絡を入れるが…
アムステルダムの街にどこからともなく獰猛な人食いライオンが出現し、次々と犠牲者を出すなかで警察やハンターたちが協力してライオンと戦うという、生物パニックホラー映画。
なんかタイトルやパッケージだけ観ると、ちょっとイロモノのB級サスペンスっぽい印象を受けますが、今どきにしては珍しい『物凄くマジメに作られた生物パニック映画』って感じの作品です。
最近は『普通の生物パニック映画』って、派手さに欠ける印象もあってあまり作られなくなった感じで、作られたとしても『閉鎖環境型の低予算パニック映画』が多めな印象ですが、そんな中でここまでオーソドックスに『普通の生物パニック映画』が作られたのは逆に貴重な印象ですよ。
お話としては『アムステルダムの郊外でとある一家がライオンに襲われて殺害されるんだけど、警察が事件の内容を信じず発表にマゴついているうちに次々と犠牲者が発生、ようやく対策に乗り出すものの警察の雇ったハンターは役に立たずに、更に事件が拡大していく』というような、なんともコテコテの展開です。
パニックシーンの描き方やら、対応が後手後手の警察の動きなんかが妙にリアルで、背景の設定がリアルなせいか襲撃シーンにも妙なリアリティがあって、人喰いライオンがシッカリと怖く映画かれているのは良い感じですね。
主要登場人物たちのキャラクターも良く立っており、特にライオンと対決するのが『かつてライオンに片足を食われた車椅子のハンター』という設定もなかなか個性的で面白くて良い感じ。
肝心のライオンの襲撃シーンもシッカリと多めで、退屈や中だるみしない程度にはキチンと見せ場がありますし、特に終盤の主人公たちとライオンの対決のシーンは非常に迫力があって良かったです。
ライオンの特撮はCGがメインだと思うのですが、映像もモーションもかなりシッカリと作り込まれており、人間との絡みのシーンがあまり違和感の無い感じに仕上がっているのもなかなか良く出来ていますね。
ただ全体的に良く出来ているのですが、せっかく街中を舞台にしているんだから『派手なパニックシーンや見せ場となるシーンが、もうちょっと多めでも良かったかな?』というのは、ちょっと残念なところでしたよ。
特に、『特殊部隊とライオンの戦いのシーン』とかはもうよっとシッカリと描かれてても良かったかも?
総評としましては、今どきにしては珍しい『お手本のように良く出来た生物パニック映画』という感じの作品です。
奇抜なモンスターの登場するモンスター映画も面白いですが、こういう『リアルな怖さ』のある生物パニック映画もやはり捨てがたいですねぇ…
最近はこういうタイプの映画って減ってる感じなので、今回の作品は個人的にはうれしい限りでした。
ともあれ、意外と良く出来てる割には特に話題にもなってなかった『掘り出し物的なB級作品』という感じなので、生物パニック映画が好きな人であれば普通に観ておいて損は無い一本だと思いますよ。