■■■「ディアボロ 世界一呪われた事件」■■■
(60点/オカルト)
1981年の10月。
母子家庭で母と共に暮らすモンスター好きの15歳の少年・ティモシーは、父親が居ないせいでいじめられてもやり返せない内気な性格に育った自分に対して強いコンプレックスを抱いていた。
そんなハロウィンの夜、不良グループにいじめられた彼の元は、以前に屋根裏部屋で見た古文書に書かれていた『トリックスター』と名乗る道化師の姿をした悪魔が出現。
彼によって呼び出されたと告げるトリックスターは、彼に『悪魔の力』でいじめっ子たちに復讐をするようそそのかすが…
ハロウィンの夜に出現して復讐をそそのかす謎の悪魔『トリックスター』の恐怖を描いた、オカルトホラー映画。
一応は『実話をベースとしたストーリー』っぽい設定のお話ではあるのですが、あまり実話テイストは強くなくて(実際に過去にそういう感じの事件があったんだろうなという程度)、どちらかというとダークファンタジー的なテイストの強いオカルト作品ですね。
お話としては、『いじめられて自分にコンプレックスを抱いていた少年が、偶然にも屋根裏部屋で見た古文書に書かれていた悪魔「トリックスター」を呼び出してしまい、その甘言にそそのかされるがままに復讐を行おうとするが…』みたいな感じのストーリー。
なんとなくレトロテイストのある設定なのに加えて、お話の舞台が1980年台という事もあり、全体的に80年台風の雰囲気がただよう作品となっています。
B級ホラーでは低予算をごまかすために80年台テイストを漂わせているような作品もありますが、本作では映像そのものは意外とシッカリと作られていつつも、敢えて良い意味での『チープな雰囲気』を漂わせる内容にしているっぽいところがなかなかに好感触。
特に悪魔による犠牲者の襲撃方法が『デフォルメされた悪夢世界』のような不気味なテイストで非常に良い味を出しているのですが、ここで前述の『チープな雰囲気』によって『見世物小屋的な安っぽい不気味さ』を上手く出すことに成功しているのは非常に良い感じです。
悪魔のキャラクターが、いかにも見世物小屋的なキャラである『トリックスター(道化師)』なのも合わせて、なかなかも上手い演出だなと思いました。
また、この『トリックスター』のデザインも、異常に痩せてバランスの悪そうなボディとか貧弱そうな小さな体つきとか、人形劇の人形のようなバランスの悪そうな外見とかが、不自然に安っぽくてなかなか不気味で良い味を出しているんですよね。
ただ、良い部分も『安っぽい不気味さ』に集約されているのですが、逆に悪い部分もこの『安っぽさ』に起因している感じなのは困りもの。
80年台が舞台なので仕方ないのですが、不良グループなんかも『いまどきこんなコテコテな不良とかあんまり居ないだろ』って感じのキャラクターで、舞台の古臭さも加えていま一つ親近感が感じられずに盛り上がりに欠けます。
悪魔の呼び出された原因も『ハロウィンの工作をしてたらたまたま呼び出された』みたいな設定で、『そんな適当な原因でこんなヤバい奴が呼び出されて良いのか?』とツッコミを入れたくなるレベル。
主人公の家に何の理由であんな古文書があったのかも謎ですし、その辺はもうちょっとシッカリとしたバックボーンが描かれてても良かったんじゃないかなぁ?
ラストの落としどころも悪くはなかったのですが、もう一捻りあっても良かった気がしましたよ。
あと余談ですが、邦題は普通に「トリックスター」とかで良かったんじゃないかという気がしたのは自分だけ?
総評としましては、なかなかに『古臭くて不気味なテイストが良い味を出している良作オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
特に期待をせずに観たのですが、個人的には予想以上に楽しめた作品でした。
「パペットマスター」とか「ガバリン」とか、あの辺のコミカルなダークファンタジー系のホラー映画が好きな人なら、なかなかに楽しめる作品ではないかと思います。
強くオススメとまでは行かないものの、テイストやら雰囲気やらが気になっているのであればチェックしてみても良い感じの一本ではないでしょうか…