■■■「ボア VS パイソン」■■■
(55点/生物パニック)
アメリカの大富豪であるブロディックが、狩りを楽しむ為に極秘で密輸した遺伝子操作された巨大なパイソン(ニシキヘビ)が、輸送中の事故で逃亡。
浄水場へと潜み、人間を次々と襲い始める。
FBIはパイソンを発見し退治する為に、研究所で飼育されていた巨大なボアに追跡装置を付け、ヘビ同士の縄張り争いの本能を利用する事でパイソンの追跡を行うという作戦を立案する。
かくして、本能に導かれた2匹の巨大な怪物の壮絶な争いが繰り広げられるのだった。
タイトルを観てのそのまんまな感じの、2匹の大蛇が激突する生物パニック映画。
タイトルやパッケージのいかがわしさから、「アナコンダ2」の便乗のB級映画かと思いきや、配給元はCOLUMBIA TRISTARと極めて普通のメーカーだし、映画の内容もそこまでイロモノっぽい雰囲気も無い、割と普通のB級ホラーだったりします。(普通のB級ってのも変な表現だけど)
ん?パイソン? 「パイソン」って?
そういえば、以前に「アナコンダ」のパクリ映画で「パイソン」(と、続編の「パイソン2」)ってタイトルの映画があったんですが、もしかしてこのシリーズの続編?
>http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail?ty=mv&id=160203
そういえば、本編中にも『軍の遺伝子操作の実験で作られた大蛇』とかって設定がチラっと語られたり、前作からの繋がりを臭わせるような台詞が結構出てきますし、このシリーズの続編なのかなぁ?
それにしちゃ配給元の会社も違うし、前作で使ってた『尻尾の先が剣のように硬化してて得物を寸断する』って技も使わなくなってるし…ちょっと謎な感じです。
「パイソン」も「ボア VS パイソン」どうやら、向こうではTV映画向けに作られた作品らしいので、その辺で何か大人の事情があったのやも?
まあそれはさておき、映画本編の方の特徴としては、とにかく生物パニック映画としては、やたらとスケールがデカい。
「アナコンダ」に登場するアナコンダが自然にデカくなった範囲を超えていないのに対して、パイソンとボアは両方とも遺伝子操作実験で巨大化したという設定なので、コレがまあとにかくデカくてゆうに20m以上はあるし、当然のように拳銃の弾丸なんかバンバン弾いちゃうというムチャクチャな怪物っぷり。
パイソンと対決するハンターのチームも、狙撃の名手とかクロスボウの達人とか個性的な連中が多くて面白いですし、武器もライフルや拳銃にはじまって、バズーカや火炎放射のような重火器からあげくに装甲車まで登場するという、ほとんど怪獣映画のようなノリを呈しています。
…が、惜しむらくは、その辺のキャラクターや小道具が全く活かされていない事。
キャラクターも重火器も殆ど見せ場がなく、単に出てくるだけって感じなんですよね。
特に、パイソンと軍隊との絡みのシーンが意外と少ないのは最大の不満点。
せっかく、ここまで凝った設定を作ったりセットにお金をかけたんなら、ちゃんとその辺を本編に活かして欲しかった…。
序盤の襲撃シーンで、パイソンがなかなか画面に登場しない『襲われてる人の一人芝居』のシーンの長すぎもマイナス要素。
CGも予算が回らなかったのか最近の映画としてはちょっとショボ目で、あからさまに作り物だと分かってしまうのは辛い所です。
でも、ラストの巨大なボアとパイソンが対峙するシーンは、『怪獣大決戦』という感じでなかなかに迫力があり、この手の映画が好きな人ならば一見の価値はアリです。
総評としましては、イロモノかと思いきや意外に堅調なB級ホラー映画で、思いの外普通に楽しめる内容でした。
特にオススメという程ではないですが、この手のモンスター物が好きならば、とりあえず観ておいても後悔はしないレベルかな?
過剰な期待をしなければ、バカバカしいながらもそこそこに楽しめる映画だと言えるでしょう。
旧シリーズの「パイソン」程のハデさは無いけど、「アナコンダ2」よりはモンスター映画らしいモンスター映画でした。