NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「グリーンランド-地球最後の2日間-」(65点/パニック:結構オススメ)

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■■■「グリーンランド-地球最後の2日間-」■■■
(65点/パニック:結構オススメ)


 近未来、地球近傍に突如として現れた彗星『クラーク』が、バラバラになりながら隕石群となって地球を直撃する事が判明。


 巨大隕石の直撃が迫るなか、米政府は極秘裏に有用な人材を選出してシェルターへと非難させる計画を実行する。


 建築技師としての技術を見込まれ避難民に選出されたジョンは、妻のアリソン、息子のネイサンと共に避難先へと向かう飛行場へと赴くが、息子の持病が原因で飛行機への搭乗を拒否されてしまう。


 更には小型の隕石が次々と地上に落下し、街が大パニックに陥り無法地帯となっていくなかで息子と妻とはぐれてしまったネイサンは、独自に避難しようとしている人たちから『政府の極秘の避難先のシェルターがグリーンランドにあるらしい』という噂を聞き、妻や息子と合流してなんとかしてグリーンランドまで向かおうとするが…

 


 彗星の接近にともなう巨大隕石の落下による地上崩壊とパニックのなか、なんとかして災害から生き残ろうとする家族の姿を描いた、ディザスターパニック映画。


 特に話題にもなっていなかった作品ですが、物凄く骨太な内容でなかなかに良く出来た災害もののパニック映画となっています。


 お話としては、『巨大隕石群の落下が迫る世界で、それに伴う暴動とパニックによって離れ離れになってしまった家族が、なんとかして再会して避難先であるグリーンランドのシェルターへと向かおうとする』みたいな感じのお話。


 いわゆる『隕石落下系のディザスターパニックもの』なのですが、結構予算をかけて作られており、災害描写やパニック描写、人間ドラマの描き込みが非常にリアルなのが特徴の作品という印象。


 特に人間関係の描き込み描写に非常にリアリティがあって、人類滅亡級の災害の襲来を知って、パニックによって身勝手に暴れだす民衆、逆にこういう時だからこそ他人を気遣って助けてくれようとする人たち…と様々な形で関わりながら、最後まで希望を捨てないでなんとかして生き延びようと奮戦する主人公たちの姿が物凄くリアルに描かれており、人間心理の怖さを感じさせつつも感動させるようなシーンもあったりして、ドラマ部分に関しては非常に良く出来ています。


 ディザスターパニック要素に関してもなかなか良く出来ており、小型の隕石の落下で各都市が崩壊する様子がTVで中継されたり、それに伴って避難民によるパニックやら街で暴動や略奪行為が発生したりといった具合に、一気に文明が崩壊するのではなく段階的にパニックが広がっていく様子がリアルで『現実に地球に隕石群が落下するような事があれば、こんな感じで被害が拡大していくんだろうな』という雰囲気が感じられるのが面白いです。


 ただ、そこそこ予算をかけて作られているものの、ハリウッドの超大作のような莫大な予算をかけられている訳ではないので、スペクタクルのシーンはちょっと控え目な印象。


 前述のTVのニュース映像やら小規模なパニックシーンでストーリー的には補完はされているものの、主人公たちが直接的に災害に巻き込まれるようなシーンはあまり無くて、大規模ディザスターパニック映画のような『迫力のある映像』を求めていると、ちょっと肩透かしを食らってしまうかも?


 ただ、『大げさすぎないところ』が逆にリアリティを感じさせる要素にもなっていますし、ややご都合主義的な部分もあるもののオチの落とし方なんかもなかなか上手いですし、限られた予算内でバランスよく作られた作品だと思います。


 全体的にやや物足りない部分はありますが、『赦し』と『再生』をテーマとした作品のテーマ性も分かりやすく、見どころもハッキリしていてサクっと観れるのは良いところだと言えるでしょう。


 出来ればTVドラマシリーズ化とかして、この設定で何本かのオムニバス的なストーリー(他の家族や人々のドラマ等)を観てみたいと思わせられるような作品でしたよ。

 


 総評としましては、『なかなか良く出来た人間ドラマ要素強めのディザスターパニック映画』って感じの作品です。


 ちょっと地味な内容ではありますがそれなりに見ごたえもありますし、ストーリーとかは普通に面白いですので、気になるようであればチェックしておいても損はない一本だと思います。


 特にパニック映画の人間ドラマ的な要素が好きな人であれば楽しめる内容だと思いますので、そういうのが好きな人であれば割とオススメできる作品ですよ。

 

映画感想:「ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染」(20点/パニック)

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■■■「ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染」■■■
(20点/パニック)


 新型のインフルエンザが猛威を振るうアメリカ。
 夫と幼い娘と共にホテルのホテルに泊まる事となったヴァルは、同じホテルに宿泊する、出産を間近に控えたナオミと出会う。


 恋人と別れて一人で子育てをする事になったというナオミの境遇に共感する彼女だったが、一方でヴァルも夫のDVから逃れるために、隙を見つけてホテルから逃げ出そうと画策していた。


 しかしそんな矢先に、ホテルで感染した人間の精神に異常を起こすという謎のウイルスのパンデミックが発生。


 ヴァルは感染から逃れるために、娘と共にホテルから逃げ出そうとするが…

 


 とあるホテルで発生した正体不明の感染症によって引き起こされる恐怖を描いた、ウィルスパンデミックもののパニックホラー映画。


 いわゆる『謎のウイルスによるパンデミックの恐怖』を描いた感染症パニック映画という感じなのですが、なんというか恐ろしく地味な内容の低予算パニック映画という感じの作品ですね。


 お話としては、『とある女性が夫と娘と共にホテルに泊まった際に、DV夫から逃れるために逃げ出そうとするんだけど、そんな矢先にホテルで正体不明の殺人ウイルスによるパンデミックが発生してしまい…』みたいな感じの展開。


 予告やら作品の解説文を見ると、いかにも『ゾンビものとかオカルトもののハイブリット作品』のような雰囲気を漂わせているのですが、実際の作中ではそういった要素は殆ど無し。


 『謎のウイルスによるパンデミック』が発生するまでの展開も無駄に長くて全体的にダラダラしたシーンが多くて、どうにも退屈な作品という印象です。


 パンデミックが発生した後も、感染した人たちが廊下に倒れて血を流したり痙攣したりしてるだけでマトモなパニックホラー的な要素は殆ど無く、その状況に勝手にビビり散らかして脱出できなくなる主人公の行動もちょっと意味不明。


 というか、感染した人たちは特に主人公たちの行く手を阻むような行動を取ってる訳でも無いので、普通に脱出してれば5分ぐらいで片が付くような内容ですし、そもそもホテルの廊下に感染者がバタバタ倒れてるんだから、主人公も脱出するよりも先にホテルのロビーなり救急なりに連絡しろよ…としか言いようがありません。


 ちなみにタイトルの『死霊感染』的な要素としては、ウイルスに触れた主人公が幻覚のようなものを観るシーンがあるのですが、その辺もあまり掘り下げて解説される訳ではないので、何が死霊なのかいまひとつ良く分かりませんし、ラストで一応は謎解きとして『主人公たちが巻き込まれた事件の全容』がニュース映像みたいなので解説されるのですが、ぶっちゃけ『だから何だよ?』みたいな感じの内容です。


 ただ、メインの登場人物の2人が『DV夫から逃れようとする妻』と『恋人から逃げて一人で子育てをしようとする女性』のな辺りからして、なんとなくそういったもの(抑圧された女性の解放?)のメタファー的な内容になっているのではないかとは思うのですが、ぶっちゃけ説明不足すぎてどういうメタファーになっているのか全く分かりませんでしたよ…

 


 総評としましては、『物凄く地味なうえに何が言いたいのか良く分からないパンデミックものパニックホラー映画』という感じですね。


 どうにも退屈で盛り上がりに欠ける内容なので、正直言ってオススメできるような要素は全くありません。


 ちなみに、釈由美子さんが助演(主人公が出会う日本人女性)として出演しているのですが、正直なところ『なんでこんな映画に出演しちゃったの?』としか言いようが無いような扱いなので、ファンでもスルーしてしまって良いレベルの作品だと思いますよ。

 

映画感想:「ジャングル・ツアーズ」(35点/モンスター)

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■■■「ジャングル・ツアーズ」■■■
(35点/モンスター)


 ブラジルのアマゾン奥地で、森林開発を行っていたオルテク産業の従業員たちと、開発に帯同していた考古学者のキーリン教授が行方不明になるという事件が発生。


 教授の娘であるアマンダは、弟のスコット、開発事業者のベラと共に行方不明となった開発チームの捜索に赴く事となる。


 開発チームのキャンプでキーリン教授の日誌を発見した彼らは、チームがセム・サイーダと呼ばれる場所に向かった事と、彼らの行方不明に『ジャングルの心臓』と呼ばれる巨大なエメラルドとそれにまつわる伝説が関わっている事を知るが、アマゾンの奥地に向かう彼らの行く手を様々なジャングルの脅威が阻むのだった…

 


 ジャングルの奥地で行方不明になった考古学者たちを探す捜索チームが、様々なジャングルの脅威や伝説の怪物に遭遇する…という、パニックもの風味のモンスターホラー映画。


 パクリ・便乗映画でお馴染みのASYLUMによる新作で、同時期にビデオリリースされた「ジャングル・クルーズ」の便乗作品だと思われますが、生憎ながら自分はオリジナルの「ジャングル・クルーズ」の方を見ていないので、どの程度の便乗した内容なのかは良くわかりません。


 ちなみに本作は、ブラジルに棲息すると言われているUMAである『クルピラ』を題材とした作品なのですが、オリジナルの「ジャングル・クルーズ」の方ではクルピラは登場しないっぽいので、あまりパクリというような内容でもないかも?
 (というか『クルピラ』なんて名前、藤岡弘探検隊ぶりに久しぶりに聞いたよ…)


 お話としては『アマゾンの奥地で行方不明になった考古学者の父親の救助に向かった娘たちが、危険な生物やら原住民やらアマゾンの脅威に次々と遭遇する』という、ホントにそれだけのストーリー。


 というか、『ストーリーと呼べるほどの内容が存在すると言って良いのか?』と疑問を呈したくなるぐらいの支離滅裂な内容です。


 主人公たちが行方不明の開発チームと父親を追ううちに、事件には伝説の怪物『クルピラ』と『ジャングルの心臓』と呼ばれる巨大なエメラルドが関わっているという事が判明していく…みたいな流れなのですが、この『クルピラ』たちがお話にどう関わっているのかが、説明不足すぎて全く判然としません。


 良く分からないまま父たちの足跡を追う主人公が、良く分からないままに様々な自然の脅威やら原住民やらに襲われるみたいな流れで、観ていてとにかく釈然としないままにお話が進んでいくという印象です。


 主人公を襲う脅威も『ヤドクガエルの集団』が噛みついて人間を襲ってきたり(カエルなのに牙に毒があるらしい…)、異常に狂暴な『ピラニアの群れ』が船を沈没させたり、クロコダイルにしか見えない『巨大なカイマンの群れ』が襲撃してきたり、特に何の説明もなく『人間ほどもある巨大グモ』が襲ってきたりと、アマゾンの生態系を良く知らない人が見ても『そんな訳あるかい!!』と言いたくなるような、かなりハチャメチャな展開。


 しかも、次々と怪物やらの脅威が登場してテンポは良い筈なのに、怪物の襲撃に脈絡が無くお話も支離滅裂すぎるせいで、物凄く冗長で長い映画に感じてしまうのは困りもの。


 襲撃に関しても、てっきり『クルピラの影響で生物が狂暴化している』みたいな設定でもあるのかと思いきや特にそういう訳でも無さそうで、『とりあえず怪物に人間を襲わせておこう』みたいなノリで次々と怪物が襲撃してきているっぽくて、『いやいや、どこの異世界のアマゾンの奥地だよヤバすぎるだろ!!』という感想しか出て来ません。(というか父親や開発チームは、こんなヤバい場所でよく今まで無事だったよな…)


 父の行方不明と『クルピラ』と『ジャングルの心臓』の関連性も、思わせぶりに何度も出てくる割にはラストまで何の説明もなくて、結局なにが原因だったのか意味不明。


 滅茶苦茶ネタバレになりますが、ラストも『クルピラを封印するためにジャングルの心臓を破壊する』みたいな流れになるものの、『実はジャングルの心臓はクルピラの力を封印したものでクルピラは力を取り戻しました』みたいな『オチてるんだかオチてないんだか良く分からないような投げっぱなしな終わり方』で、本気で何が言いたいんだか判然としないお話でしたよ…
 (というか、教授も原住民たちも結局なにがしたかったの?)


 ちなみに余談ですが、『クルピラ』というと確か『小人のようなUMA』という設定だったと思うのですが、本作でのクルピラは『身の丈3m程度のアメコミに登場しそうなガチムチの怪物』だったので、もし『クルピラ』要素に期待してる人が居ても、なんかイメージと違い過ぎてガッカリするかもしれませんので要注意です。(そんな人が居るのかは不明ですが…)

 


 総評としましては、ジャングルを舞台とした『微妙で支離滅裂な内容のモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 あまり推すような要素もありませんし、無駄に冗長に感じてしまう内容なので正直オススメは出来かねる作品かなぁ?


 いつもの『ダメな方のASYLUM映画』という感じの内容ですので、よほどのクソ映画好きの好事家でもなければ普通にスルーしてしまって問題の無い一本ではないかと…

映画感想:「パラサイティック」(50点/モンスター)

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■■■「パラサイティック」■■■
(50点/モンスター)


 違法に移民の国外への脱出を手助けする移民ブローカーを父に持つJCは、ある日、父の仕事を正式に引き継ぐ事となる。


 彼は父の指示のもと、一時的な隠れ場所として移民たちを人里離れたモーテルに案内するが、宗教施設のような奇妙な外観を持つそのモーテルの地下で有機的なベッドに移民が飲み込まれる現場を目撃。


 彼らの真の『仕事』は、『身寄りのない移民たちを怪物の身体と一体化した施設に生贄として食わせる事』だという驚くべき事実を知らされる。


 そんな矢先に、雪道の運転中の事故で父親を失い吹雪の中に6人の移民者たちと閉じ込められる事となった彼は、『施設』の暴走をなんとかして食い止めようとするが…

 


 『人食い施設』の管理人となった青年が、なんとかして施設の暴走を食い止めて施設と一体化した怪物を倒そうとする…という、モンスターホラー映画。


 うーん、いわゆる雰囲気系が系の作品なのですが、何というか『何だか良く分からないお話』というのが正直な感想のお話ですね。
 独特の世界観とかから欧州系ホラーっぽいノリの作品のような印象を受けますが、製作国的にはフィリピンかどこかで作られた映画のようです。


 設定としては、人里離れた山中に『原始宗教(ドルイド教?)か何かの神様と一体化した施設』みたいなのがあって、何者たちかがその施設のベッドに移民を騙してエサ(生贄)として与えているみたいな感じなのですが、その辺の設定があまり明確に語られていないため、世界観や世界設定はやや分かり辛い印象。


 お話的には、『父親の死を契機にその怪物施設の管理を任されることとなった主人公が、なんとかして怪物の暴走を食い止めようとする』みたいなのがメインの流れになっている感じです。


 『犠牲者が地下室の白いシーツの貼られたベッドの上に寝転がると、ベッドから触手みたいなのが出てきて飲み込まれてしまう』という怪物による捕食の描写はなかなか不気味ですし、独特の世界観は悪くない印象。


 ただ、建物はどちらかというと近代的な監獄っぽいデザインで、あまり生物感が無くて『怪物の体内』と言われてもいま一つピンと来ない感じなんですよね。
 ストーリー的には、もうちょっと全体的に有機的なデザインでも良かった気がしますよ。


 あと、お話が全体的に冗長でテンポが良くないのも気になるところ。


 特に序盤の展開がダラダラしているせいげストーリーがなかなか核心に近づきませんし、主人公の行動が何か信念を持っているわけでもなくて、基本的に『状況に流されているだけ』みたいな行動しか取らないせいで、観ていて少しイライラさせられてしまいます。


 なんとなく『不法移民問題』とか『抑圧からの解法』みたいなのの暗喩っぽいネタを仕込みたかったのかな?という雰囲気は漂ってはいるのですが、ラストも何が言いたいのか釈然としないような終わり方ですし、自分的には最後まで何が言いたいのか釈然としませんでしたよ…

 (そういう問題を抱えている国の人たちから見ると、もっと共感できるような内容なのかしらん?)

 


 総評としましては、なんだか良く分からない『冗長な印象のモンスターホラー映画』というのが正直なところですね。


 予告とかを観て『独特の世界観』とかが気になるようであれば観るのは止めませんが、個人的にはあまり強くオススメするような要素は感じられないかなぁ?


 ノリ的になんとなく、サブスクリプション系のサービスに入りそうな作品のような気がするので、急がないのであればそういうサイトで観れるようになってからチェックする程度でも良いかもしれませんよ。

映画感想:「メガ・クロコダイル」(45点/モンスター)

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■■■「メガ・クロコダイル」■■■
(45点/モンスター)


 引退した生物学者で探検家でもあるルオ・ハンは、ある日、とある大企業の会長から『ある島で行方不明になった弟を探してほしい』という依頼を受ける。


 その島はかつて彼の調査チームと婚約者が命を落とし、彼が引退する原因となった事故の起こった場所で、島の半分が毒ガスの瘴気に覆われて大量の人食いワニの群れが生息する、地元民から『地獄島』と呼ばれている場所であった。


 島へと到着した彼らは、人食いワニや吸血ヒルや殺人植物といった島の奇妙な生物たちに悩まされながらも捜索を開始するが、そんな矢先に銃弾や武器が通用しないような超巨大ワニに遭遇し…

 


 行方不明になった調査チームを探すために人食いワニの群れの生息する『地獄島』と呼ばれる島へと上陸した捜索隊が、奇妙な生物や超巨大ワニの襲撃を受ける…という、中国製のモンスターパニック映画。


 最近の中国映画界でにわかに流行している、巨大生物ものパニック映画の新作ですね。


 アメリカや日本もそうでしたが、高度成長の時代には『巨大生物もの』の映画が流行する法則のようなものがあるようで、実際の映画の内容も70~80年代に流行った『トンデモ系巨大生物もの冒険映画』そのものみたいな感じの内容です。


 お話としては、『とある捜索隊が人食いワニの群れの生息する無人島に調査チームの生き残りを探すために上陸するんだけど、そこでワニの群れや肉食昆虫をはじめとする危険な生物たちに襲われ、更には島に隠された恐るべき秘密を知ることになる…』みたいな感じの展開。


 基本的には『様々な危険な生物に続けざまに襲われる捜索隊』の活動がメインとなっており、捜索隊の面々が巨大ワニをはじめとして、『人間の身体に入り込んで内側から食い荒らす吸血ヒルやら『どうみても巨大なハエトリソウにしかみえない人食いラフレシアやら『寄生した人間をコントロールして他人を襲う寄生昆虫』といったヤバすぎる生物の群れに襲われるといった内容。


 ちなみに、なんで名も無いアジアの無人島にそんなヤバい生物が大量に居るのかというと、『実はとある企業の研究施設が島で違法な遺伝子操作実験を行っており…』みたいな設定があるのですが、どうみても『作りたい作品の内容にあわせて設定を考えた』という感じの後付け感がハンパなくて、ストーリーは割とどうでも良い印象。(笑)


 とりあえず、この辺の『ひと昔前のZ級生物パニックホラー』にありがちなトンデモ系の設定に魅力を感じるなら、観てみても良いかもしれません。


 ただトンデモ系の設定は楽しいのですが、本作が生物パニックホラー映画として面白いかと言われると微妙なところなのは残念な感じ。


 色んな怪物が登場する割には個々の怪物の出番が少な目で、怪物の出てこないシーンが長めなせいで全体的にダラダラしていてどうにもテンポが悪いんですよね。
 これだけ色々な怪物を出すなら、もうちょっとハッチャけた暴れっぷりでそれぞれの見せ場が欲しかったところです。


 主人公もいま一つキャラが立っておらず、過去の『調査チームと恋人が殺されたエピソード』もあまり効果的に使われていませんし、ヒロイン的な扱いである『大企業の会長』もいま一つ影が薄くて、そもそもいくら『行方不明の弟を探すため』とはいえ、出資者の大企業の会長がこんな危険な島に直接上陸してくるのも意味不明。


 違法な生物実験をしていた企業も『巨大ワニの血清から超耐性菌の治療薬を作ろうとしていた』という割には、何のために人食い植物やら寄生生物を持ち込んでいた(作り出していた?)のかが謎過ぎですし、色々と設定に無理がありすぎです。


 最大の見せ場であるはずの『超巨大ワニ』も、20mもあるという設定の割にはあまり巨大感や迫力が無いのに加えて、CGも粗めで浮きまくりなせいでどうにも存在感が感じられないんですよね。


 巨大生物やらヤバい生物たちをメインで描くのであれば、『もうちょっと気合を入れてモンスターたちが魅力的に描かれてたら、良さげな映画になったんじゃないかなあ?

 


 総評としましては、『いまひとつ盛り上がりに欠ける生物パニックものホラー映画』っていうのが正直な感想です。


 『古き良き時代のトンデモ系の生物パニックホラー映画』のノリが好きであれば、それなりに楽しめる内容だとは思いますが、全体的にモンスターに魅力が薄いのでオススメするには弱いかなぁ?


 壊滅的にツマんない訳でも無いので、気になるようであればチェックしてみても良いかもしれませんが、最近の中国映画は同じような系統の作品がたくさん作られてるので、観るならば他の類似作品でも良いかもしれませんよ。

映画感想:「ブラック・クローラー -殺戮領域-」(8点/生物パニック)

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■■■「ブラック・クローラー -殺戮領域-」■■■
(8点/生物パニック)


 1945年、ビルマ沖のラムリー島。
 イギリス軍の偵察部隊であるハリスたち4人は、島に隠蔽された日本軍の補給基地を発見するために偵察任務に訪れる。


 沿岸沿いに偵察を行う彼らだったが隠密行動の途中で日本兵に遭遇。
 敵兵を殺してしまった彼らは、本格的な交戦を避けて敵兵から逃れるために島の中央の湿地帯を横断する事となる。


 しかしその場所は獰猛なイリエワニの生息地域で、彼らの仲間は一人また一人とワニの犠牲になっていき…

 


 日本軍基地を探してビルマ沖の無人島に偵察に訪れたイギリス軍の兵士たちが、湿地帯で狂暴なワニの群れに遭遇する…という、戦争物風味の生物パニック映画。


 タイトルに「ブラック・クローラーという「ブラック・ウオーター」シリーズの続編っぽいタイトルが付いていますが、部隊がオーストラリアでも無いですし設定も似ても似つかないような話なので、当然のように全く関係のない(というか共通点すらほとんどない)作品です。

 (一応は『湿地帯が舞台のクロコダイル映画』という一点のみの共通点はありますが…)


 ちなみに、この手のB級映画を大量に観ていると『イマイチな映画』にはしょっちゅう遭遇するものの、本作はその中でも滅多に遭遇しない『ビックリするほどツマんない映画』に該当する作品でしたよ。


 お話としては、ビルマ沖の無人島に日本軍の基地を探すために偵察に訪れたイギリス軍の偵察部隊が、敵との交戦を避けるために湿地帯に入り込んだところ狂暴なワニの群れに襲われる』という感じのお話。


 一応は『戦争映画』兼『生物パニック映画』という設定ではあるものの、戦争映画らしいアクション要素なんかは殆どありません。(交戦シーンはあるものの全編中で2分ぐらい…)


 かといって『生物パニック映画』の要素が強いかと言われるとそちらも殆ど見せ場が無くて、全体を通してとにかく恐ろしいほど退屈な映画です。


 肝心のお話の中身の方としては『イギリス軍の偵察部隊が、日本軍の目を逃れるためにジャングルの中を逃亡しつつ日本軍の補給基地を探す』みたいな展開なのですが、交戦シーンもワニの出現シーンも殆ど無くて、大半のシーンは『兵士たちが無駄口を叩きながらジャングルの中をダラダラと移動している』というただそれだけの内容。


 ワニの出現シーンは『実際のワニの実写映像』となっているのですが、この映像が『湿地帯で適当に撮影されたワニの映像が本編中に切り貼りされているだけ』だと思われるため本編との親和性とか殆どなくて臨場感とかは全くありません。


 更に数少ないワニの襲撃シーンは『複数のカットを組み合わせた襲撃のイメージ映像』みたいな感じになっており、人間との絡みも無くて迫力は一切なし…
 というか、そもそも偵察チームのメンバーが4人しか居ないので、ワニの襲撃シーンも数える程度しかないという体たらくです。


 生物パニックの部分がツマんなくてもドラマ部分が面白ければ救いがあるのですが、先述のとおり戦争映画要素も極薄なうえ、登場するキャラクターにも全く魅力が感じられないんですよね。


 特に主人公は主人公とは思えないぐらいに自己中心的で性格が悪くて、観ていて『腹が立つレベルで嫌な奴』なのは困りもの。


 あまりに性格の悪いキャラなので、最初は『減らず口を叩いて一番最初にワニに食われる要員』なのかと真剣に思っていたレベル。
 (ラスト付近でちょっとだけ『キャラクターの素性』が語られるものの、それを加味しても嫌な奴度はほぼ変わらないので、もうちょっとマシな性格には出来なかったのかと…)


 また盛大なネタバレになるものの、この映画をネタバレされて困る人が居るとも思えないので書いてしまいますが、ラストも殆ど何の盛り上がりも無いままに主人公たちがワニに食われて終わりという、『なんのこっちゃ?』というような酷い終わり方。
 (一応は『主人公たちの行動が後に戦局を左右した』みたいなオチなので、全く救いが無くはないんですが…)


 割とガチに誉めるところも楽しめる部分も全く見当たらないような内容で、久々に『途中で再生停止ボタンを押す』のを我慢する事に鉄の意志が必要な、自分の我慢の限界を試されているのかと思うような映画でしたよ…

 


 総評としましては、冒頭でも書いたとおり『ビックリするほどツマんない戦争風味の生物パニック映画』って感じの作品です。


 戦争映画好きの人にも生物パニック映画好きの人にも、微塵たりともオススメするような要素がありませんし、ガチでツマらなさすぎて笑えるような部分も無く『ネタ映画としても楽しむ事ができない』のでクソ映画好きにもオススメできません。


 世の中には80分をもっと有意義に過ごす方法はいくらでもあるので、時間を無駄にしたくないなら他を当たってください…としか言いようが無いような一本でしたよ。

映画感想:「シン・宇宙戦争」(40点/アクション)

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■■■「シン・宇宙戦争」■■■
(40点/アクション)


 ある日、天文学者のアリソンは、火星で火山活動の無いはずの火星で火山の噴火らしき現象を観測。
 火山の噴火と思われた現象は実は何らかの物体で、謎の飛行物体が編隊を組んで地球を目指している事を知る。


 軍からの協力の要請を受けた彼女は、観測データを元に火星からの謎の飛行物体の動向を探るが、謎の飛行物体は実は火星人のUFOで、10機のUFOは地球へと飛来の直後にレーザーで地上を攻撃。
 それぞれが「トライポッド」と呼ばれる3本足の侵略兵器を投下し、地上への侵攻を開始する。


 トライポッドが『地球の環境を火星と同じ環境に作り変えるための兵器』で、このままでは地球の生物が壊滅してしまうと気づいたアリソンは、なんとかして火星人の侵攻を止めるための手段を探るが…

 


 火星人による地球侵略を描いた古典SFである「宇宙戦争」の現代を舞台とした焼き直し版となる、SFパニック映画。


 B級ホラー・パニック映画でお馴染みのASYLUMによる作品で、原題もそのまんま「2021 WAR OF THE WORLD」となっており、まさにH・G・ウェルズの「宇宙戦争」の現代版みたいな感じのお話ですね。

 (邦題の『シン』要素はどこにあるのかと思いきや、主人公たちが天文台のレーザーを使って『ヤシマ作戦』みたいな事をするので、確かにその辺りはエヴァのリスペクトっぽい?)


 作品自体はいままで何度も映画化やドラマ化されており2005年にはトム・クルーズ主演での映画化もされているので、映画化タイトルとしては今さら感はありまくりですが、『現代版』としてのリメイクの脚本自体は意外にもSFらしく良く出来ている印象。


 主人公たちが録画映像から割り出した敵のシールドの周波数から『攻撃に有効なレーザーの周波数』を推測してトライポッドを攻撃してみたり、火星人の弱点はオリジナル版どおりに『病原菌』なんだけど、『火星人の生物学的な特徴から推測して生物兵器を作り出す』みたいな展開になっていたりと、意外なほどに設定自体は良く練られています。
 (とは言っても本格SFじゃないので、科学考証にはハチャメチャな部分も多いですが…(笑))


 ただ実際の中身の方は、その『良く練られた設定』がASYLUMらしい『低予算』と『ショボい作り』で、『ことごとくダメダメになっている映画』というのが非常に残念なところ。


 序盤の『火星人が飛来するまでのプロセス』とかは、いかにも侵略SFの導入っぽくて良い感じなのですが、中盤辺りから予算不足が顕著に感じられる作りになってくるんですよね。


 人類存亡に関わる事態の筈なのに、作戦に関わっている軍人が2人ぐらいしか居なかったり、キャストの人員や予算の節約のためか『登場人物がアップで喋る』だけのシーンが異常に多かったり…


 宇宙人による侵略の状況(街が攻撃されて壊滅した…みたいなの)もセリフだけでの説明だったりと、状況や設定に対する説明の殆ど全部がセリフのみで行われる(映像を作る予算が無かったのね)ため、異常なぐらいに状況説明のセリフが多かったりするのも困りもの。


 また登場人物の人数を節約するためなのでしょうが、主人公が天文学者の割には生物学に異常に詳しかったり、軍人が電気工学に矢鱈と詳しかったりして、『こいつらは何にでも知識を持ってる完璧超人ばかりかよ?』とツッコミを入れたくなるような設定なのも違和感がありすぎです。(笑)


 また、火星人のトライポッドやUFOのデザインは、いかにも『ゲームのボスキャラっぽい有機的なメカ』って感じで割とカッコいいのですが、軍隊の映像とかに他の作品や実写映像の使いまわしっぽさが溢れているのも、いかにも低予算映画という感じ。
 (もしかしたらトライポッドとかも他の作品の使いまわしかも?)


 設定が割とシッカリと練られてる割には、低予算すぎるのとキャストが少なすぎるせいで、どうにも退屈でグテグテな映画になった感が強くて、『もうちょっとシッカリと予算をかけて作られていれば、そこそこ面白い作品になったかも?』と感じる部分もあったので、なんとも残念さの溢れる感じの映画でしたよ…

 


 総評としましては、『低予算すぎて微妙な出来のSFパニック映画』って感じの作品ですね。


 内容がショボすぎて、基本的には『退屈なだけの低予算SF映画』という感じですので、あまりオススメはしないかなぁ?


 宇宙戦争を現代風にアレンジするためのアイデア』としては割と面白い部分もあるので、そういう要素が気になるようであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。