NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シン・ジョーズ 最強生物の誕生」(65点/モンスター:結構オススメ)

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■■■「シン・ジョーズ 最強生物の誕生」■■■
(65点/モンスター:結構オススメ)


 水深100mの深海に作られた海洋研究所である『海王深海ステーション』では、ガンの治療薬の開発のために、サメの遺伝子操作の研究が行われていた。


 研究は順調に進んでいたが遺伝子操作の組み替えによりサメは巨大化し、生物学者の叶はその危険性を指摘していたが、上層部により実験は強行。


 その結果としてサメは狂暴化して研究所を襲撃し、研究所の窓を破壊建物内に侵入して研究所員たちは半ば水没した施設に取り残されてしまう。


 サメハンターでサメの飼育員でもある宋の活躍によって、なんとか研究所から脱出に成功した彼らだったが、サメは遺伝子操作により恐ろしい程に巨大化したうえに地中や陸上での活動にも適応し、地上の人々を襲い始めるのだった…

 


 遺伝子操作によって突然変異したサメが研究所を破壊して逃げ出し、陸上での活動に適応して人間たちを襲う…というモンスターパニック映画。


 最近、やたらと大量に作られている中国製のモンスターパニック映画のうちの一本という感じの新作なのですが、このところの量産されている中国製のモンスター映画って割と微妙な作品が多い印象のなかで、本作は久々の当たりと呼べるレベルのなかなか良く出来たモンスターパニック映画です。


 お話としては、『海洋研究所が遺伝子操作で狂暴化したサメに襲われて脱出するまで』のパートと、『地上に出て地面の中を泳ぎ回って暴れ回るサメをなんとかして捕獲しようとする』というパートに分かれている感じなのですが、前半は思いっきり「ディープブルー」のオマージュっぽい雰囲気ですし、後半は思いっきりトレマーズを意識している印象。


 更に加えて『十数メートルぐらい超巨大化したサメが、ヒレで這いまわりながら街を破壊して暴れまわる』といったようなハチャメチャな展開もあったりして、色んなサメ映画やら怪獣映画から節操なく美味しいところどりをしたような内容という感じ。


 ただ節操のない内容の割には、それぞれのネタが割とシッカリとリスペクトされ盛り込まれていて普通に面白いB級モンスター映画になっているんですよね。


 とにかく矢鱈とテンポの速い作りが特徴で、モンスターの出現までもめちゃくちゃ早くて、序盤の『主人公たちが深海の研究所で変異ザメに襲われてから脱出する』までのシーンが30分ぐらいで完結してしまうという超高速展開。


 とにかくサクサクとお話が進んでいき、次々と新たなフィーチャーやら舞台へとお話が展開していくという作りのお陰で、観ていて全く退屈する暇がありません。


 加えてモンスターの出番も非常に多くて、CGはやや安っぽいものの出し惜しみなく大暴れしてくれるのが良い感じ。


 トレマーズ」のグラヴォイズのように地面の中を泳ぎ回ったり、胸ビレを足のようにして歩き回ったり、人間を口に咥えたままピチピチと跳ねって地上を走り回ったりと様々なアクションで楽しませてくれるうえに、完全武装した私設軍隊とバトルを繰り広げたりと見せ場も十分にあるのは良いところ。


 モンスターのデザインも、鎧のような鱗に覆われた『古代の甲冑魚』のような姿が無駄にカッコ良くて、B級モンスター映画好きならばこの巨大ザメを観ているだけでも満足できそうなレベル。


 主人公たちや悪役のキャラは紋切型すぎる印象はありますがキャラが良く立っていますし、モンスターとのバトルも意外と熱い展開で全体的になかなか良く出来ています。


 欲を言えば、ラストバトルは市街地辺りでもっとド派手にドンパチして欲しかった部分はありますが、流石にそこまでは予算が厳しかった感じかなぁ?


 ただ、タイトルに「シン・ジョーズ~~」と付いている割には、「シン」的な要素は全くないですし、シリーズものとして売るには以前に発売された「シン・ジョーズ」が微妙だったので、内容的にも「ランド・シャーク」とかのシリーズの冠を付けた方が良かった気がするのは自分だけですかね?
 (以前の「シン・ジョーズ」は、放射能の影響で突然変異してメルトダウン寸前のサメという設定だったけど、こっちは全く関係ないし…)

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのB級モンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 色んな映画の要素をごった煮にしたパク…リスペクト系の作品という雰囲気ではありますが、それぞれの要素が割と良くまとまっており普通に面白く仕上げているのは良い感じです。


 コテコテすぎる展開とか安っぽさとか気になる部分はあるものの、B級モンスター映画が好きな人であればとりあえずチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。

 

 

映画感想:「スカイハンガー」(45点/サスペンス)

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■■■「スカイハンガー」■■■
(45点/サスペンス)


 地中海のリゾート地に訪れたケイトは、バーで知り合ったミラとその知人の男性たちに誘われて、男女4人で気球に乗ることとなる。


 しかし操作ミスによって気球は風力発電用の巨大風車の羽に接触し、気球の操縦ができる男性の2人が死亡するという事故が発生。
 気球は風に流されるがままに地中海の上空は漂流しはじめてしまう。


 2人は気球が燃料切れで海の上に墜落してしまう前に、なんとかして海上の船や周囲の人間に助けを求めようとするが…

 


 事故により気球で海上を漂流することになってしまった2人の女性が、なんとかして危機を乗り越えようとする…という、パニック系サスペンス映画。


 いわゆる気球を題材としたワンシチュエーション系の閉鎖環境型パニック映画なのですが、なんでもキプロスで作られた作品のようです。


 まあキプロスと言われても、個人的にはギリシャの辺りにある地中海のリゾート地』という程度の印象しか無いのでいま一つピンと来ない訳ですが、欧州作品だけあってやや独特のノリや雰囲気を感じる内容になっている印象。


 お話としては、『とある女性2人がバーで知り合った男性と一緒に気球に乗りに出かけるんだけど、男性は実はそこまで気球に詳しくない整備士で操作のミスから気球が漂流を開始。風力発電の風車に接触して男性たちが死亡してしまった事から気球は操作不能となってしまい…』みたいな感じの展開。


 『漂流する気球のゴンドラの上』という特殊な環境を舞台にしているものの、基本的にはオーソドックスな閉鎖環境タイプのパニック映画といった感じで、『主人公たちが様々なトラブルに遭遇しつつもなんとかして生き延びようとする』というストーリーな訳ですが…

 サイドストーリー的に『バーで出会った女性が実は窃盗団の一味で主人公のホテルの部屋の金品の盗難を目論んでいる』という、本編の流れと関係があるようなそこまで関係が無いような微妙な設定があったりして、お話に変化や個性を持たせようとしている雰囲気は感じとれます。


 とはいっても、この手のワンシチュエーションスリラーにありがちな不満点は本作も抱えており、パニックシーンが始まってから終わりまで状況や環境にあまり変化が無いため、観ていてちょっと退屈さを感じてしまうんですよね。


 また、本作の山場となるであろう『足場の悪い高空での作業やサスペンスシーン』が、思いっきりグリーンバック(ブルーバック?)合成まる出して、全く緊迫感が感じられないのは困りもの。


 そこはもうちょっと、CGなり高所でのスタントを頑張るなりして欲しかったです。


 ただ主人公たちが割と賢くて、ピンチを創意工夫でなんとかして乗り切ろうとするようなシーンが多く、この手のパニック映画にありがちな『主人公がバカすぎてイラつく』みたいなシーンが殆ど無いのは悪くない印象。


 もう一人の主人公と言える『主人公の妹』が、行方不明の姉を救出するために奔走するという展開も、お話に変化を持たせようと工夫している感があって悪くありません。


 総じて、もうちょっとテンポが良くて見せ場となるシーンがシッカリと描かれてたら、割と良い感じの作品になったんじゃないかとは思うので、ちょっと残念な映画でしたよ。

 


 総評としましては、全体的に『いま一つ盛り上がりに欠ける低予算パニック映画』って感じの作品ですね。


 狙ってる方向は悪くないとは思ったのですが、退屈な部分も多いのでちょっとオススメするには辛い内容かなぁ?


 物足りなさが残るというだけで特に酷い出来の作品という訳でも無いので、設定やらシチュエーションやらが気になるようであれば、チェックしてみても良いかもしれませんよ。

 

映画感想:「コンティニュー」(65点/アクション:結構オススメ)

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■■■「コンティニュー」■■■
(65点/アクション:結構オススメ)


 元デルタフォースの特殊部隊員であるロイは、ある朝、目覚めた瞬間に殺し屋に襲撃され命を落とすが、その直後にまた同じ朝を迎えて延々と同じ時間を繰り返している事に気づく。


 時間をループする度に複数の殺し屋軍団から命を狙われつつも、100回以上も同じ時間をやり直すことで襲撃を逃れ続けられるようになった彼は、物理学者である元妻の遺した伝言から、彼女の行っていた研究であるコードネーム『オシリス』が、この現象に関係しているのではないかと考える。


 しかし事件の原因を探ろうとジェマに連絡したところ、彼女はループの当日に既に死亡している事が判明。


 ロイは彼女を救い時間のループを脱して、この現象を終わらせる方法は無いかと時間ループのなかで試行錯誤を繰り返すが…

 


 元特殊部隊の主人公が元妻の研究の影響でタイムループに巻き込まれたうえに、1日を繰り返すたびに殺し屋に延々と命を狙われ続ける事になる…という、サスペンス風味のタイムループものアクション映画。


 時間のループに巻き込まれて、延々と殺し屋軍団に命を狙われる時間をループし続けることとなった男の戦いを描いた、いわゆるイムループもののSFアクション映画。


 設定とかノリとしては、トム・クルーズの出演していたオール・ユー・ニード・イズ・キル」にちょっとテイストが似ている感じですが、あそこまでSFしている訳ではなくてアクションとかコメディ色が強めの内容です。


 演出的にも『レトロなTVゲーム』っぽい画面演出が多用されており、ゲームを延々とリセットしてリトライを続けているみたいな雰囲気をフィーチャーした作品という感じですね。


 ぶっちゃけ、お話の半分ぐらいの尺は『主人公が殺し屋軍団と戦い続けているだけ』という感じなのですが、100回以上も同じ時間を繰り返したせいで『朝食を準備しながら殺し屋の襲撃を悠々と回避して片手間に返り討ちにしていく』というアクションシーンなんかは、なかなかユーモアセンスがあって面白いです。


 また、銃撃や爆弾、刀や銛といった様々な武器を使って襲撃してくる殺し屋軍団もキャラが立っていて、イムループで延々と繰り返されるアクションシーンを観ているだけでも割と楽しめる印象。


 しかしアクション要素のみのバカ映画かと思いきや、ストーリーは意外と人間ドラマ的な要素が強めで、割とシッカリと家族ドラマやら親子ドラマやらが描かれている辺りのギャップも悪くありません。


 ただ逆にSF的な要素やら謎解き要素は割と適当で、主人公があまり真剣にタイムループの謎を解こうとしている雰囲気が無くて、なんか場当たり的にお話が進んでいる印象を受けてしまったのは残念なところ。


 元妻が量子論を研究留守物理学者だったり、都合よく主人公が特殊部隊員だったり、全体的にちょっと都合の良すぎる設定がすぎる部分が多いですし、敵の黒幕なんかも妙に影が薄くてラストの展開もちょっと盛り上がりに欠ける部分があった(ようやく真実にたどりついた感が薄い)ので、この辺はもうちょっとシッカリと作り込んでも良かったんじゃないかなぁ?


 ラストのオチも悪くない落としどころながらも、ちょっと投げっぱなし感があったので賛否両論別れそうな印象だったのも、ちょっと気になるところでしたよ。

 


 総評としましては、絶賛とまではいかないものの『そこそこ楽しめる内容のループものでTVゲーム風味のアクション映画』という感じの作品ですね。


 アクション映画としては間違いなくオススメできるのですが、ループものサスペンスとかSFサスペンスとかが好きなひとは、ちょっと物足りなさを感じてしまう内容かも?


 まあ普通に面白い作品ですし、お馬鹿系アクション映画とかが好きな人であれば間違いなく楽しめる映画だと思いますので、『殺し屋軍団とのタイムループバトル』という設定が気になっている人やそういうジャンルが好きな人であれば、観ておいて損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ドント・ブリーズ2」(60点/サスペンス)

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■■■「ドント・ブリーズ2」■■■
(60点/サスペンス)


 郊外に住む盲目の退役軍人の老人は、8年前に強盗に押し入られた際に彼らを惨殺して撃退するも強盗の被害者として無罪となり、その後、火事で記憶と身寄りを亡くした少女にフェニックスと名付け、自分の娘として育てていた。


 しかし、そんな老人の家を謎の武装集団が襲撃。
 武装集団の目的が少女をさらう事だと気づいた彼は、得意とする暗闇の中で賊たちと交戦するも、家に火をつけて燃やされたうえに少女を拉致されてしまう。


 果たして少女を狙う武装集団の目的と、記憶喪失の少女に隠された秘密とはいったい何なのか…

 


 実は元特殊部隊の『殺人マシーン』である盲目の老人と、老人宅を襲撃した謎の武装集団の戦いを描いた、サスペンススリラー映画。


 『強盗に入った家の主が、実は盲目でサイコパスの殺人マシーンでした』という前作の続編にあたる盲目最強ジジイシリーズの第2弾に当たる作品です。


 前作では狂気の殺人マシーンだった老人ですが、本作では身寄りのない少女を保護して人間が丸くなり、むしろ娘を狙われる善人的な立ち位置として描かれているようです。


 まあ、前作で狂気に走っていたのも『死んだ娘を取り戻すため』みたいなのが目的だったので、身寄りのない娘を保護している現状では人間が丸くなるのも当然と言えば当然かも?


 といっても、娘とか身内以外には相変わらずの殺人マシーンっぷりで、武装集団を相手に容赦のない戦いを展開してくれます。


 お話としては『盲目の老人が「身寄りと記憶の無い少女」とともに郊外の一軒家で暮らしてるんだけど、そんな老人の家を謎の武装集団が少女を拉致しようと襲撃。少女を守るために老人は徹底抗戦を行うが…』という感じのストーリー。


 『記憶の無い少女』を狙う武装集団と少女に隠された秘密とは…といった部分が中心にお話が進んでいくといった感じの展開ですね。


 今回も盲目の老人は『ジジイで盲目のクセに強すぎだろ!!』って感じのパワフルっぷりで、特に終盤は座頭市のような大暴れっぷりで楽しませてくれます。


 謎の武装集団と少女に隠された秘密もまあまあ納得のいく感じの設定で、『盲目の殺人マシーンの老人のキャラが良く立っていて人気が出たので主役に起用したかった』という理由で作られた、ややご都合主義的ストーリーといった印象を受ける部分もありますが、前作で殺人マシーンだった老人を主役に据える事にそこまで無理のない設定になっているのは、なかなか上手い作りだと思いました。


 ただ、どうしても前作と比較してしまうのですが、前作に比べると『地下室で音を出すことも出来ない』というヒリヒリとした緊張感のような物はなくなっており、サスペンスやらサイコスリラー的な怖さは殆ど感じられない内容。


 というか、作中の殆どの尺が『武装集団と老人との戦い』に割かれてしまっており、アクション映画の要素が圧倒的に強くなってしまっているんですよね。


 まあ、前作とはまるっきり別物の『新作のアクション映画』として楽しむ分には問題ないのですが、前作の個性的な設定やら緊張感が好きだった人には物足りなく感じてしまう内容かも?


 拉致される主人公の娘が割と『賢くてシッカリとしたキャラ』なのであまりイライラさせられる要素もないですし、盲目の老人と少女の関係性を上手くまとめたオチの落としどころもなかなか良い感じですので完全新作の続編としては悪くない内容なのですが、前作への思い入れ度や期待する内容によっては評価の割れるところかもしれません。

 


 総評としましては、『普通に楽しめるレベルのアクション寄りのサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 前作の『盲目の老人』のキャラが好きで、老人の大暴れっぷりを観たいというのであればなかなか楽しめる内容だと思いますので、そういう方面に期待してるのであれば、オススメできる一本と言えるでしょう。


 逆に前作のような緊張感全開のサスペンス映画を期待してるのであれば、ちょっと物足りなさを感じる続編かもしれませんので、その辺は要注意と言えるかも?

 

映画感想:「ウィドウ 怪物の森」(45点/オカルト)

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■■■「ウィドウ 怪物の森」■■■
(45点/オカルト)


 ロシアのレニングラードのとある森では、ここ数十年で300人以上の人間の失踪が続いている奇妙な森があるという。


 失踪した人間のうちわずかに死体で発見されてものは、すべて裸の状態で、拷問をうけたような跡が見られる場合もあれば無傷な場合もあり、原因は謎に包まれていたが、地元民の間では『未亡人』と呼ばれる悪霊の仕業であるとウワサされていた。


 そんなある日、近隣で新人のトレーニング中だったレスキュー部隊が、森で少年が行方不明者になったという通報を受ける。


 彼らは訓練を中断して少年の捜索を開始するが、森の中でなぜか全裸の老婆に遭遇。
 ひとまずは彼女を保護して病院へと搬送する事となるが、老婆を保護してから彼らの周りで奇妙な現象やトラブルがが相次いで発生するようになり、彼らは森から脱出できなくなってしまい…

 


 悪霊の徘徊するという噂のある森に捜索に訪れたレスキュー部隊が、奇妙な老婆に遭遇した事を契機に異様な現象へと巻き込まれていく…という、ロシア製のオカルトサスペンス映画。


 一応、レスキュー部隊の活動を撮影したTVチームの作ったモキュメンタリー映画といった設定になっていますが、モキュメンタリー要素は本編中で全く有効に利用されていないので『別にこの要素は入れる必要なかったんじゃ?』みたいな感じの作品です。


 お話としては、『過去にあったとある事件の影響で「未亡人」と呼ばれる悪霊が出現するとウワサされる森に行方不明者の捜索に入ることになったレスキューチームが、その場所で謎の老婆を救助した事を切っ掛けに奇妙な現象に巻き込まれていく』みたいな感じの展開。


 深夜の森が舞台でいわゆる『魔女』絡みのお話だったりと、設定的には割と「ブレアウィッチ」を意識したような感じなのですが、前述のとおり殆どモキュメンタリー映画的な要素は無いため、そこまで似ている雰囲気の作品でもありません。


 お話の流れとしては『深夜の森で迷ってしまい、離れ離れになったレスキューチームのメンバーが、様々な怪奇現象に遭遇するうちにパニックに陥っていく』みたいな感じなのですが、ぶっちゃけて言ってしまうとどうにもテンポの悪い作品というのが正直な印象。


 そこまで目だった怪奇現象が起こる訳でもなければ、謎の老女もそれほどお話に積極的に絡んでくる訳でも無く、レスキューチームの面々が深夜の森の中を延々と徘徊しているのを見せられるだけのシーンが多くて、オカルトとしてはどうにも盛り上がりません。


 確かに『深夜の森』の不気味な雰囲気は悪くないのですが、いかんせん舞台が深夜の森のせいで画面の殆どが真っ暗で何が起こっているのか判然としないシーンが多すぎるのは困りもの。


 オカルト要素を出すのであれば、「ブレアウィッチ」みたいにもうちょっと宗教的なシンボルとかを有効に活用した方が良かった気がしますよ。


 終盤の『未亡人』の秘密が判明する辺りからはそこそこ盛り上がってきて面白くなるのですが、そこまでの展開が全体的にスローテンポすぎて、画面も殆どのシーンが真っ暗なせいもあって自分は途中で2回ぐらい寝落ちしてしまいましたよ…


 オチも最初のモキュメンタリー設定を全く活かさない感じのオチだったので、全体的に何だか釈然としない気持ちばかりが残る作品でした。

 


 総評としましては、『いま一つ盛り上がりに欠けるモキュメンタリー風味のオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 映像や雰囲気は悪くないのですが、作品のテンポの悪さのせいでどうにも退屈に感じてしまう内容だったというのが正直なところ。


 深夜の森を徘徊する系の雰囲気映画とかが好きであれば、それなりに楽しめる内容ではあると思うので、そういうのが好きであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「パペット・キラー」(55点/スラッシャー)

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■■■「パペット・キラー」■■■
(55点/スラッシャー)


 ホラーマニアである母親に幼少期からホラー映画を見せられて育ったジェイミーは、病気で亡くなった母が遺した赤毛のパペット人形であるサイモンとホラービデオを大切にして過ごしていた。


 父と再婚した継母のジャネットは、毎日ホラー映画ばかり観て過ごす彼の事を気持ち悪がり虐待するようになるが、ある日、彼女が何者かに殺害されてしまうという事件が発生。
 事件と同時にサイモンが姿を消した事から、『継母を殺害したのはパペットであるサイモンではないか』と考えるようになる。


 それから10年後、継母の死に深いトラウマを抱えて過ごす彼は、友人たちと共に休暇を過ごすために事件のあった実家に訪れる事となるが、そこで無くなった筈のサイモンの人形を発見し…

 

 母の死によって心を病んだ主人公と殺人パペットにまつわる連続殺人の恐怖を描いた、スラッシャーホラー映画。


 少し前につくられたスラッシャーホラー映画のようなのですが、最近になってネット配信専用として配信開始されたようなので鑑賞してみました。


 お話としては、『ホラーマニアの母に育てられ、継母の死を母の形見である「呪いのパペット」のせいだと考えて心を病んでしまった青年が、友人たちと昔の実家に休暇に出かけたところ連続殺人事件が発生し…』といった感じの展開。


 メインのストーリーとしては、『本当に人形は呪われた殺人人形なのか、もしくは殺人人形が暴れているという妄想に囚われた主人公が殺人を犯しているのか?』みたいな感じのサイコサスペンス要素のあるスラッシャーホラーとして展開していくのですが、基本的には低能な若者たちが殺されまくるバカ映画的なノリの強い作品という印象です。


 殺人人形は、セサミストリートに出てくるエルモとクッキーモンスターを混ぜたようなデザインのハンドパペットなのですが、こいつのキャラがなかなか濃い目。


 ジェイソンっぽいホッケーマスクを被って人間を襲ったりする13日の金曜日」のパロディ(きちんと『シ・シ・シ・ハ・ハ・ハ』という効果音も流れる(笑))っぽいシーンがあったり、斧を持って扉を破る「シャイニング」のパロディっぽいシーンがあったりと、色々と小ネタが仕込まれていたりとハッチャけていて笑わせてくれます。


 また普通の低能な若者が殺されるだけのスラッシャーホラーかと思いきや、途中から殺人鬼姉妹が登場したりと先の読めない展開が仕込まれていたり、お話のノリとしても悪くありません。(まあ殺人鬼姉妹は、思わせぶりに登場するだけで何の活躍もしないんですが…)


 ただハッチャけた内容の割には、全体的にテンポが悪くてちょっと冗長な印象を受けるのは残念なところ。


 殺人人形の殺害方法が妙にアッサリしており、今ひとつ面白味が無くて見ごたえに乏しいですし、ゴア描写が強めな割には全体的に特撮が安っぽくてどうにも派手さに欠けます。


 どうせ頭の悪そうな内容なら、もっと激しいバカバカしいゴア描写を取り入れるか、血糊をドバドバの派手な展開にして欲しかったところですよ。(パペットが血糊で汚れないように、血糊を控え目にしたのかもしれませんが…)


 まあでも、ラストの展開も投げっぱなしながらも割と上手い落としどころだったので、全体的には悪くない印象だったかなぁ?


 あとどうでもいい事ですが、主人公が高校生の設定なのにどう見ても30過ぎ(下手したら40過ぎ)のオッサンにしか見えないのは、どうにかならなかったんですかね?(まあ欧米人は、若くても異常に老けて見える人も居るし…)

 


 総評としましては、『まあまあ楽しめるレベルの低知能・低予算系のスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。


 やや物足りなさは感じるものの、お馬鹿系のスラッシャーホラー映画が好きならば普通に観れる内容だと思うので、その手の作品に興味があるようであれば悪くない映画という印象。


 そのうちサブスクリプションに入りそうな雰囲気の作品ではありますが、気になるようであればチェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか?

映画感想:「呪われた老人の館」(55点/オカルト)

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■■■「呪われた老人の館」■■■
(55点/オカルト)


 70歳の誕生日に脳卒中で倒れたジュディスは、家族に迷惑をかけないためにゴールデン・サンマナー養護施設という由緒ある介護施設に入居する事となる。


 入居して間もなく、他の入居者の不自然な行動やルームメイトの『彼が私たちが眠るのを監視してる』という奇妙な言葉にはじまり、深夜に居ないはずの人物の人影を部屋の中で目撃したりといった事件が発生。


 彼女自身の周りでも、現実か幻覚か分からないような不気味な事件が続発するようになる。


 奇妙な行動を起こした老人が次々と亡くなっていることから、彼女はこの施設には『老人の寿命を吸い取る何者か』が存在しているのではないかと疑いを抱くようになるが、医者からはアルツハイマーにともなう認知症と診断されたうえに、家族にも見捨てられてしまい…

 


 介護施設に入居することとなった女性が『老人の命を狙う謎の存在』と対峙することになる…という、オカルト風味のサスペンスホラー映画。


 Amazonのプライムビデオで公開されている、アマゾンスタジオによる独占配信のオリジナルホラー映画なのですが、製作は佳作スリラーやホラー作品でおなじみの『ブラムハウス』によるものとなっており、そこらへんのB級ホラーよりもシッカリと作られた作品となっています。


 お話としては、主人公が養護施設に出現する『老人の命を吸い取る謎の存在』によって命を狙われることになり怪物の存在を周りに主張するのですが、周囲は『痴呆老人の妄想』だと考えられてとりあって貰えないというお話の展開は、なかなかに皮肉が効いた怖い設定という感じですね。


 実際にアルツハイマーで要介護状態となった方が周囲に居たり、自分自身がそういう『現実か妄想か区別がつかない』ような状態になった事があったりして身近な問題と感じるような人には、結構ゾッとするような設定という印象です。


 ただ設定やらプロットは面白いのですが、それがホラー映画としての怖さや本作の面白さに直結しているかと言われると微妙なところ。


 全体的に序盤の恐怖演出の雰囲気作りがイマイチで、主人公の疎外感や孤立感もそこまで上手く描かれておらず、恐怖演出が『矢鱈と大きな音で驚かせるショッカー演出』を連発するせいで、どうにも安っぽい印象で盛り上がりに欠けます。


 作品の方向性的には、もっと『ジットリとした感じの演出』の方が良かったんじゃないかなぁ?


 お話が本格的に動き出すまでも割と尺が長めで、どうにもテンポが悪く感じてしまう部分が多いのも残念なところ。


 謎解きが核心に迫ってからの展開は割と面白いのですが、謎が明らかになっていくプロセスがややアッサリしすぎてて盛り上がりに欠ける印象があったので、中盤の手がかりやヒントの出し方はもうちょっと丁寧でも良かったかも?


 あと、ちょっとネタバレになりますが、ラストで登場する怪物がいま一つパンチの弱い感じで残念だったので、お話の設定的にはもっと『異形』感のあるデザインの方が良かった気がしますよ。

 


 総評としましては、『普通に楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 手堅く作られた内容だとは思うのですが、『老人痴呆』という濃い目の題材ある設定の割には内容が普通すぎて、ちょっと作品自体の印象は弱くなってしまった感じかなぁ?


 まあAmazonプライムビデオの会員の方であれば無料で観られる作品ですし、ブラムハウスの製作という事で興味があるような方はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。