NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドント・ストップ」(55点/サスペンス)

■■■「ドント・ストップ」■■■
(55点/サスペンス)


 ベルギーのブリュッセルの高校で、イスラム原理主義者による無差別テロが発生。
 犯人は学生たちを銃撃した末に自爆し、多くの負傷者が出る事態となる。


 救急隊員のイザベルとアダモは救急車で現場へと急行し、首に傷を負った重傷の青年を搬送する事となるが、治療中に青年が自爆ベストを着用しており、テロリストの一味である事が判明。


 意識を取り戻した青年は、彼らに救急車を走らせ続けることを要求する。


 同じ頃、テロ対策センターは犯人のグループを特定し、自爆した犯人の仲間たちを逮捕しようと非常線を展開するが…

 


 自爆テロの青年を救急車に載せてしまった救急隊員とテロリストの戦いを描いた、サスペンススリラー映画。


 いわゆるテロリストによる『ハイジャック』系のワンシチュエーションスリラーですね。


 なんか以前にもどこかで同じような設定の作品を聞いたことがあるような気がするのですが、プロット自体はそこまで珍しいものでもないので、特にリメイク作品とかって訳でも無さそうかな?


 お話としては『とある救急隊員が自爆テロの現場で一人の青年を救助したところ、実は青年がテロリストの仲間で救急車をハイジャックされてしまいました』みたいな感じのストーリー。


 ワンシチュエーションスリラーらしく、殆どが救急車の内部でのシーンとなっており、救急隊員と青年のやり取りがお話の中心となっています。


 青年の行動に特に裏がある(実は救急車を乗っ取って別の計画を実行する予定だった等)とかって訳でも無く、割と淡々とした感じでお話が進んでいく感じのストーリーです。


 主人公たちの行動の裏でテロ対策チームが動いていてテロリストの黒幕を逮捕しようとしていたり、救急車が別の救急搬送の呼び出しを喰らってみたり、『テロリストの青年の家族』が登場して家族ドラマ的なものがあったりと、メインがワンシチュエーション系の作品の割には色々とシチュエーションを凝らして退屈しないように工夫しているのは悪くない印象。


 ただ色々とやってはいるものの、原則的には『救急車の中での救急隊員とテロリスト青年の会話劇』がお話の中心となっており、やはりちょっと冗長さは感じます。


 またシチュエーションが豊富な割には、最初のテロの爆破シーン以外は派手なシーンが無くて、やや盛り上がりに欠けるのも辛いところ。


 ラストは割と盛り上がって良い感じになるのですが、オチがちょっとアッサリしすぎで物足りなさがあるのも難点かなぁ?


 人間ドラマ部分もサスペンス部分もちょっと掘り下げ不足な感があって全体的にもうひと捻り何かがあれば割と良い作品になった気がするので、ちょっと惜しい感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、『悪くは無いけど見どころに欠けるサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 ストーリーとかはそこそこ凝ってて割と良く出来ているのに、見せ場に乏しくて物足りなさが残る内容で、オススメするにはちょっと弱い印象。


 予告とかを観て、気になるのであればチェックしてみても良い作品だとは思いますが、急がないのであればレンタルで安くなるかサブスクリプション系のサービスに来るのを待っても良い感じの一本だと思いますよ。

 

映画感想:「TUBE チューブ 死の脱出」(55点/サスペンス)

■■■「TUBE チューブ 死の脱出」■■■
(55点/サスペンス)


 バーの店員であるリザは、幼い娘を亡くして人生に絶望して郊外をさまよっていたところ、近くを車で通りかかったアダムという男性に拾われるが、車内で意識を失い目をさました彼女は、自分がチューブ状の通路で繋がれた狭い小部屋の中に閉じ込められて居る事に気付く。


 腕にはカウントダウンのような数字が表示された光る腕輪が装着されており、状況の理解できないままにチューブ内を進む事となるが、チューブは迷路のように入り組んだうえに水攻めや火責めといった様々なトラップに加え、制限時間内に安全地帯に辿りつかないと殺されてしまうという、恐るべき死の罠が仕掛けられた迷宮となっていたのだった…

 


 チューブ状の通路で作られた死の罠の仕掛けられた迷路に閉じ込められた女性が、なんとかして迷路からの脱出を図る…という、サスペンススリラー映画。


 いわゆる「CUBE」とかにインスパイアされて作られた感じの『謎の死の罠の迷宮』を題材とした、割とありがちなタイプのワンシチュエーションもののサスペンススリラーですね。


 まあ「CUBE」のインスパイア作品というか、ぶっちゃけて言うと『低予算でショボくなった「CUBE」』とでも言うような感じの作品です。


 作品のタイトルやあらすじでは迷宮の説明は『チューブ』となっていますが、実際の内容の方『チューブ』というより『ダクト』という感じで、『様々なトラップの仕掛けられたダクト状の通路をヒロインが延々と進み続けるだけの映画』というような感じ。


 「CUBE」とか他の死のトラップ系の映画のように、ひらけた部屋のような場所が殆ど無くて、シーンの大半が延々とダクト状の通路な上に登場人物も殆どお姉ちゃん一人なので、なんというかとにかく絵面が地味です。


 また、序盤ではトラップも回避が困難な感じのものはあまり無く、謎解き的な要素も無くてお姉ちゃんが延々と通路を這っている姿を見せられるだけなので、ビジュアルの地味さも含めてどうにも冗長。


 ただ、寄りの映像で延々とクソ狭いダクトの中を進んでいくうえに、途中で天井が降りてきて通路が狭くなる仕掛けがあったりするため、閉塞感が物凄く強く感じられるのはちょっと良い感じですね。


 自分は特に閉所恐怖症ではないのですが、そんな自分でも割と圧迫感によるストレスを感じる作りだったので、狭い場所が苦手な人にはちょっと辛い映画かも?


 また中盤あたりまでは結構退屈なのですが、中盤からはちょっとした謎解き要素なんかも出てきたりトラップも嫌らしい感じのものが増えてきて、意外と盛り上がる展開になるのは悪くない印象。


 ストーリーも予想外の超展開に突入するのに加えて、先が全く読めない感じの構成になっており、前半の冗長さに反して個人的には意外と楽しめました。


 オチにちょっと投げっぱなしな雰囲気はあるものの、話の落としどころも割と悪くなかったです。


 全体的に低予算故に同じセットの使いまわしが多かったり、ビジュアル的な派手さに欠ける部分が多かったのは残念なところかなぁ?


 あと、ヒロインがやたらとピチピチの全身タイツを着ており狭い通路でお尻側から撮影する妙にフェティッシュなアングルやらが多いのは、監督の趣味か何かなんですかね?(笑)

 


 総評としましては、『いまひとつ地味で派手さに欠ける「CUBE」風味のワンシチュエーションスリラー映画』って感じの作品ですね。


 ただ、地味ながらも設定とか世界観とかに面白いところもあったりして、思ったよりも楽しめた低予算B級映画という印象。


 「CUBE」系の作品が好きで気になるようであればチェックしても良いかもしれませんが、基本的に地味な内容なので急がなければどこかのサブスクリプション系のサービスに入るのを待っても良いかもしれません。

 

映画感想:「ブラック・アイズ 奴らに襲われたら、終わり。」(30点/サスペンス)

■■■「ブラック・アイズ 奴らに襲われたら、終わり。」■■■
(30点/サスペンス)


 アメリカの郊外の小さな街で、ティーンの男女が次々と行方不明となるという事件が発生していた。


 女子中学生のエイミーは、ある日、フードを被って瞳の全てが黒目の不気味な男たちの襲撃を受けるも、すんでのところを警察によって救われるが、事故で友人を死なせてしまった過去を持つせいでイジメを受けていた事から、証言を信じて貰えず悪戯として処理されてしまう。


 しかし、事件の詳細を新聞記者のハロルドという男性にインタビューを受けた彼女は、同じような事件が過去からこの街で多発しており、その事件に『フードを被った黒目の男たち』が関わっている事を知らされ、更には彼女の友人の姉が行方不明になるという事件が発生した事から、仲間たちを取り戻すために独自に犯人の調査を開始するが…

 


 ティーンの少年少女をさらう、謎の『フードを被った黒目の男たち』の恐怖を描いた、都市伝説もののサスペンスホラー映画。


 自分は元ネタを良く知らないのですが、一応は『黒目の男』という存在を題材とした都市伝説もののホラー映画のようなのですが、なんというか正直に言ってしまうと題材も内容も含めて微妙な作品ですね。


 12歳の少女が主人公という時点でなんとなく想像が付くかもしれませんが、いわゆる『子供向け』に作られたホラー映画という感じの作品で、ストーリーもホラー描写もアクションシーンも全てにおいてショボい感じのクオリティで、悪い意味で『子供だまし』な映画という印象。


 お話としては『とある街で、正体不明の『黒目の男』によるティーンを狙った連続誘拐事件が発生。事件に巻き込まれた一人の天才少女が友人たちを救うために独自に行動を開始する』みたいな感じの展開。


 なんというかプロットやストーリーが全体的に大雑把でやっつけな感じで、都市伝説うんぬんの以前に『主人公が天才少女で、独自に開発した装置で宇宙人とのコンタクトを試みている』というあまりにも唐突な設定があってみたり、その設定のお陰で最初から犯人の『黒目の男』の正体が容易に予想できてしまったりと、とにかく色んな意味で作りが雑です。


 お話そのものが致命的にツマんない訳ではないものの、子供向けだけあってホラー描写も全然怖くなくて、緊張感が無いためサスペンス部分もスリル感がなく、先述のとおりストーリーも割と適当。


 アクションシーンもマイルドでたいして山場となるようなシーンも無いため、とにかく盛り上がる要素がありません。


 主人公が『宇宙人と交信しようとしている』事に対しても動機付けみたいなものが全く描かれておらず、加えて『過去に事故で友人を死なせてしまった』という設定も作中でほとんど活かされていないですし、キャラの掘り下げが薄いせいて『トラウマの克服』みたいなシーンもあるもののこれまた矢鱈と唐突。


 ラストの最大の見せ場となるべきシーンも殆ど盛り上がらないままでサクっと終わってしまう感じで、なんか色んな意味で作りこみが足りずに雑な部分ばかりが目立ってしまうような内容の映画でしたよ。

 


 総評としましては、『悪い意味で「子供向け」というか「子供だまし」な感じのSFサスペンス映画』って感じの作品でした。


 別に子供向けでも面白い作品はあるのですが、本作は色々と雑な部分が多すぎて正直言って微妙なので、大人も子供もあまり楽しめる要素は薄そうな雰囲気。


 特にオススメできるような要素も無いので、よほど気になる部分でもない限りは普通にスルーしてしまっても問題ない一本だと思いますよ。

 

映画感想:「プラネット・オブ・ピッグ / 豚の惑星」(60点/アクション:結構オススメ)

■■■「プラネット・オブ・ピッグ / 豚の惑星」■■■
(60点/アクション:結構オススメ)


 近未来、第三次世界大戦が勃発し人類の多くが死亡し文明が崩壊したうえに、自らの作り出した人間と豚のハイブリッドである生物兵器『マズル』の反乱によって、豚人間の食料として狩られる存在となっていた。


 人類のレジスタンスに所属するの賞金稼ぎのロブは、リーダーからの情報によりマズルのボスである『マザー』の隠れ家の場所を知る手掛かりが、マズルたちの『人間工場』にある事を知ったことから姉のラクシャと共に侵入を計画するが…

 


 文明が崩壊し人類が『ブタ人間(マズル)』に家畜として狩られている世界で、レジスタンスの主人公が人類存亡を賭けた戦いに挑む…という感じのSFアクション映画。


 なんとなく猿の惑星っぽいロゴに加えて、『豚は生きろ!人は死ね!』という「白昼の死角」のキャッチコピーのパロディ(正確には戯曲のタイトルのパロディらしいけど)とか、いまどき元ネタが分かる人が居るのか…って感じで色々とツッコミどころが多いタイトルですが、実際の中身の方も色々とブッ飛んだ設定のSFアクション映画となっています。


 お話に関しては第三次世界大戦のために自らの作り出した生物兵器「豚人間」に支配された人類が、支配から脱するために反撃を試みる』みたいな内容で、割と普通にSFアクション映画している作品という印象。


 ただプロットは普通なんだけど、世界観とか映像センスとかがとにかく独特。


 ヒロイン的な扱いの主人公の姉は何故か立派な鼻ヒゲを生やしてるし、主人公のライバルは『矢鱈とお尻のキレイなヌードモデル(男性)』常にパンツ一丁で登場するし、主人公は特に説明もなく過去にタイムリープするし…その他の要素も含めてあまりにも『特異なセンスの塊』でカルト映画的なノリの作品になっています。


 「マッドマックス」っぽい世紀末的な敵のセンスも光っており、ジェットパックで空を飛んだり丸ノコの歯を射出するボウガンとかを使ってみたり、敵がブタのクセに矢鱈とカッコ良いのもなかなか良いところ。


 とにかく『センスの塊』のような世界観とテイストが面白くて、それだけでも一見の価値のある映画という印象。


 また、過剰なバイオレンス描写やらブラックユーモア的な描写も楽しくて、色々な意味で濃いノリが楽しめる内容でまさに『正しいカルト映画』という雰囲気の作品です。


 ただ、ノリやらセンスやらは抜群に良い感じなのですが、ところどころでたいした説明も無いままに超展開に突入したり、世界観が独特すぎて常人には付いていけない部分があったりと、センスが個性的過ぎてちょっと厳しい部分も…


 またセンスは突き抜けてる点は良いものの、基本的にかなり低予算な作りでCGとか特撮にショボい部分も多くて、その辺もちょっと残念なところ。


 ラストも超展開すぎて『なんじゃそりゃ?』って感じでしたし、ホントに製作者のセンスと趣味が独特すぎて良くも悪く『観る人を選ぶ作品』という感じでしたよ。


 あと無駄にセックスシーンが多くて、ちょっとテンポが悪くなってた感があったのも個人的には気になったところかなぁ?

 


 総評としましては、『なかなか個性的で独特のセンスと世界観を持つカルト映画風味のSFアクション映画』って感じの作品ですね。


 タランティーノとかR・ロドリゲスとかのバカ映画(というかグラインドハウス)系列作品が好きな人であれば、割と刺さるところのある作品だと思うので、そういう方面の映画が好きであればチェックしておいても損は無いかと思います。


 個人的には結構好きな映画ですが、バイオレンス描写や下品な描写が強めですしノリもちょっとブラックなので、そういうのが苦手な人はスルーした方が良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ゾンビ・プレジデント」(55点/モンスター)

■■■「ゾンビ・プレジデント」■■■
(55点/モンスター)


 新型狂犬病ウイルスを拡散させるという黒い噂のある化学工場の建設を巡って、台湾の立法院では今日も賛成派と反対派の討論(という名の乱闘が行われていた。)


 格闘技の達人だが暴力問題で議員を辞任したインインは、新米議員で彼女への想いを抱くヨウウェイと協力して、化学工場の建設に反対を表明するが、そんな討論の最中に最中に唐突に大統領がゾンビ化。


 他の議員たちを襲ってソンビウイルスは瞬く間に感染を広げ、立法院は阿鼻叫喚の地獄絵図と貸してしまう。


 なんとかゾンビの襲撃を耐え抜いたインインたちは、緊急事態によって保全システムで閉鎖された立法府から、なんとかして脱出しようとするが…

 


 新型狂犬病によってゾンビ化した人々の溢れかえる立法府から、生き残った議員たちがなんとかして脱出をしようとする…という、コメディタッチのモンスターホラー映画。


 いわゆる台湾の立法院(国会)を舞台としたゾンビ映画で、タイトルだけ聞くと、プレジデント(総統)がソンビに絡んだ政治的なドラマでも繰り広げられそうな雰囲気ですが、『最初の感染者がプレジデント』という以外は特にプレジデント要素は無くて、コミカルな要素の強いネタ系のコメディホラーという印象の作品です。


 作品としては、お話の冒頭から相当にネタ要素が強めで、女性ながらにルチャ・リブレの達人(得意技はウラカンラナ)の主人公を初めとして、異常に濃い政治家やその取り巻きのキャラクターの面々に加え、マンガを意識したような無駄に派手な演出とか、トンチンカンで荒唐無稽なストーリーとか、バカ映画テイストがかなり強めの内容。


 立法院『討論』といいつつ常に議題をよそに大乱闘していたり、チンピラとか変人にしか見えない議員だらけだったりと、ブラックユーモア要素がかなり強めの内容となっているのですが、台湾の立法院の雰囲気とか政治的の事情とかが良く分からないため、いまひとつ笑いどころが良く分からないのはちょっと厳しいところ…


 まあ政治ネタ的なパロディを抜きにしても、やたらと下品でアクの強いネタが多すぎて、個人的にはギャグに関してはちょっとセンスやノリに付いていけない感がありましたよ。


 ちなみに、本編の7割ぐらいは異常にハイテンションなギャグ要素で占められているので、ノリに付いていけない時点で個人的にはちょっと厳しい映画という印象。


 ただ濃すぎるネタは抜きにしても、アクション系のゾンビ映画として観る分にはそれなりに楽しめるのは悪くないところ。


 ゾンビ相手にド派手なプロレス技を決めまくる主人公たちの乱闘っぷりは楽しいですし、それに過剰で派手な血みどろ演出なんかで、アクションシーンは予想以上に楽しませてくれます。


 主人公やそのライバルたちの無駄に濃いキャラも悪くないですし、中盤以降のテンポの速さとテンションの高さなんかも、なかなかに観るべきものがあって悪くありません。


 ただテンションが高いだけでストーリーは全般的にグテグテですし、ゾンビが暴れだす中盤までは『ひたすらクドくて寒いギャグ』の連発をダラダラと見せられてる感じの構成なのがちょっと辛かったかなぁ…


 ネタ映画に振り切るのは良いのですが、胸やけを起こすレベルの濃さだったので、もうちょっと観やすい感じにバランス調整して欲しかった作品でしたよ。

 


 総評としましては、『異常に濃い味付けのゾンビものネタ系コメディホラー映画』って感じの作品ですね。


 演出やストーリー含めて異常に濃くてクドい内容なので、そういうノリが好きであれば楽しめるかもしれませんが、個人的にはちょっと濃すぎて置いてきぼり感が酷かったです。


 設定やテイスト等を含めて、気になっているようであれば観るのを止める事はしませんが、独特のテイストがちょっと人を選ぶ作品ですので『まあお好みで』という感じでしょう。

 

映画感想:「シン・感染恐竜」(5点/モンスター)

■■■「シン・感染恐竜」■■■
(5点/モンスター)


 近未来、人類は最新の科学技術でティラノサウルス・レックスを復活させることに成功するが、過激な生物愛護団体が建物に侵入し施設を破壊してしまった事からロサンゼルスの街にティラノサウルスが解き放たれてしまう。


 更にこのティラノサウルスは、エボラ出血熱の治療薬の開発のためエボラに感染していた事から、恐竜&感染症の脅威に晒された街は『ジュラシック・ロックダウン』が発令され、厳戒態勢が敷かれる事となる。


 米軍と賞金稼ぎはエボラレックスを何とか退治しようとして行動を開始するが、そんな最中、営業マンのエリックはエボラを警戒する陰謀論者の同居人のマイクによって地下室に監禁されてしまい…

 


 遺伝子操作で現代に蘇ったうえに研究のためにエボラ出血熱に感染させられたティラノサウルスが、研究所から脱走しロサンゼルスの街をパニックに陥れる…という、モンスターパニック映画。


 Z級映画の配給でお馴染みのコンマビジョンによる新作で、クソ映画である「サメデター」のダスティン・ファーガソン監督の最新作という事で色々とお察しな感じの映画なのですが…


 覚悟完了して鑑賞したのに、下がり切ったハードルの更に斜め下の地面をえぐっていくような怪作でしたよ。


 自分はクソ映画は割と好きな方なのですが、流石にこれはちょっと限度を超えています。


 同じ監督でも、「サメデター」はまだストーリーの意味が分かったので観れる内容だったのですが、こちらはグテグテすぎて意味とか何を描きたいのかがサッパリ分からない内容で、観ていてひたすら苦痛というか虚無感しか味わえないような作品という印象。


 ティラノサウルスのCGが恐ろしくショボくて『取って付けたような合成映像』なんてのは序の口で、そもそもタイトルにもなってるティラノサウルスの出番が物凄く少ないのに加えて、ティラノサウルス関連のエピソードに関しても『まったく恐竜と戦わない米軍』とか『自撮りカメラに向かって延々と喋り続けているだけの賞金稼ぎ』とかの映像を延々と見せられているだけで、ビックリするほど退屈です。


 更に加えて、お話の半分ぐらいはティラノサウルスとか関係なくて陰謀論者でサイコパスの男が同居人を地下室に監禁してるシーン』が描かれるだけという有様で、その内容も『小汚いオッサン同士が顔を突き合わせて会話しているだけ』のシーンが大半。


 このシーンの絵面が物凄い見苦しくて、とにかく見続ける事が苦痛以外の何物でも無いのが困りもの。(監禁シーンをダラダラ見せるなら、せめて水着とか下着のお姉ちゃんでも監禁してくれれば…)


 加えて意味が分からないのは、監禁された主人公の恋人が『恐竜学者』という設定があるのですが、この設定が何かお話に活かされるのかと思いきや、事件の解決に全く活かされないという謎の構成。


 ラストもティラノサウルスは倒される事なく野放しのままですし、監禁された主人公の側も何の解決もしないままの唐突な投げっぱなしエンドで、マジで何が描きたいのか全く意味が分かりませんでしたよ。


 ちなみにティラノサウルスがエボラに感染している』という設定はあるものの、その設定に関しても作中では活かされる事は殆ど無くて(一応『エボラの影響で環境が破壊されてる』みたいなセリフがちょっとだけ出てくる)、そもそもティラノサウルスに噛まれた人はエボラとか関係なく死ぬだろ』っていう意味で、相性の悪すぎる組み合わせとしか言いようが無いのではないかと…


 ちなみに唯一の救いは、作品の長さが70分しかないうえにスタッフロールが10分ぐらいあるので『我慢の限界が来る前に映画が終わってくれる』という事かなぁ?
 (そういや「サメデター」の時もスタッフロールが10分ぐらいあったけど、この製作会社の特徴なのかしらん?)


■映画感想:「サメデター」(10点/生物パニック)
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2022/01/16/024554

 


 総評としましては、『とてつもなく退屈なうえに何が言いたいのか意味が分からない恐竜ものモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 ツマンないとかそういうレベルを超えて、『自分の我慢の限界を試したい』という物好き以外は観ない事をオススメしておきます。


 流石にクソ映画にも限度があって、サブスクリプション系のサイトで配信されて実質無料で観れたとしてもオススメできないレベルですので、『ネタ映画』として我慢大会に利用する等の目的でなければ、普通にスルーしてしまった方が心穏やかに過ごせる一本だと思いますよ。
 (とりあえず自分は『この監督の作品はもうチェックしない!!』という脳内リストに加える事としました…)

 

映画感想:「キラー・ジーンズ」(55点/モンスター)

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■■■「キラー・ジーンズ」■■■
(55点/モンスター)


 人気アパレルメーカーであるCCCは、遺伝子組み換えの最新素材を用いた『誰の身体にでもフィットするジーンズ』を開発。
 新入社員のリビーを含めた店員たちは、翌日の商品の発表と発売を控えてその準備に追われていた。


 しかし作業中に従業員の2名が姿を消したことからリビーが探しに向かったところ、無残に殺害された姿で発見されるという事件が発生。


 明日発売される新商品の情報を隠すためにオーナーは事件を隠蔽しようとするが、実は事件は遺伝子操作によって生まれた『殺人ジーンズ』によるもので、『殺人ジーンズ』は新たな犠牲者を求めて次々と人間に襲い掛かっていくのだった…

 


 自分で動き回って人間を喰らう『殺人ジーンズ』の恐怖を描いた、ブラックユーモア系のモンスターホラー映画。


 「キラー・トマト」とか「キラー・コンドーム」とか、今までも色々な『キラー・〇〇』というネタの映画が作られてきたB級映画業界ですが、今回は新たに『殺人ジーンズ』が登場したようです。


 お話としては『とあるアパレルメーカーが遺伝子操作による新素材でジーンズを開発したところ、自分で動き回って人間を襲う「殺人ジーンズ」が誕生してしまいました』という、一発ネタ的な設定のモンスターホラー映画で新商品の発売準備に追われる店員たちが次々と殺人ジーンズに襲われていく』という、ホントにそれだけのストーリーという感じ。


 この殺人ジーンズが意外と芸達者で、単純にジーンズを履いた人間を食い殺す』だけじゃなくて、両足で人間を絞め殺したり、ジッパーで人間の身体を切断したり様々な殺害パターンで楽しませてくれるのは良い感じ。


 また、『下半身だけの透明人間』みたいな状態で歩き回ったりする姿もなんだかシュールで可愛くて、モンスターとして良い感じにキャラが立っているのも良く出来ています。


 ストーリー的には『殺人ジーンズ』というワンアイデアのみで作られた映画という感じであまり凝った部分とかは無いのですが、殺人ジーンズを開発したアパレルブランドが、社員を熱狂的な演説で洗脳していたり、労働基準法を無視して下請けをコキ使ってたりと、いかにもブラック企業っぽい描かれ方をしており、ブラック企業を題材としたブラックユーモア的なノリが随所に感じられるのは、風刺が効いていてなかなか面白いですね。
 (ファストファッション業界って、何かとブラックなウワサの絶えない感じの業界ですし…)


 ただ、殺人ジーンズのアイデアやらそういった小ネタやらは良い感じなのですが、映画そのものはやや冗長な感じの内容なのは残念なところ。


 序盤はブラックな小ネタやら殺人ジーンズの襲撃やらでテンポ良く楽しませてくれるのですが、中盤の『殺人ジーンズの秘密』みたいなのが明かされるあたりから、いまひとつテンポが悪い感じになってしまい、どうにもダラダラして中だるみしてる感があるんですよね。


 映画の設定やら内容がお馬鹿系&ブラックなネタがメインなだけに、全体的にもうちょっとハイテンションなノリで突っ走って欲しかったです。


 あとラストのオチも悪くない落としどころなのですが、ブラックなノリの作品にするのであればもうひと捻りあっても良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、設定の突飛さの割には『意外と良く出来た「殺人〇〇」を題材とした一発ネタ系のモンスターホラー映画』という感じですね。

 

 やや物足りなさを感じる部分もありますが、モンスター映画としてもネタ映画としても普通に楽しめるレベルのB級ホラーという印象の作品でしたよ。


 ですので、もし『殺人ジーンズ』という題材が気になるようであれば、とりあえずチェックしておいても損の無い一本だと思いますよ。