NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スクリーム (2022) 」(55点/スラッシャー)

■■■「スクリーム (2022) 」■■■
(55点/スラッシャー)


 25年前に幽霊マスクの殺人鬼『ゴーストフェイス』による連続殺人のあったウッズボローの町に住むティーンエイジャーのタラは、深夜にかかってきた謎の電話でゲームをする事を要求された後に、『ゴーストフェイス』の仮面を付けた何者かによって襲撃を受ける。


 タラは辛うじて一命をとりとめるが、タラの姉のサムは『何者かがかつての連続殺人事件を模倣してウッズボローの若者たちを狙っている』と考えた事から、妹の命を守るためにかつての事件の生き残りである元保安官のデューイに助けを求める事となる。


 事件の知らせを受けたデューイは、同じように過去の事件の生き残りであるシドニーとゲイルに町に来ないように告げ、過去の確執を断ち切るべく事件の調査へと向かうのだった…

 


 ゴーストフェイス』による連続殺人事件から25年後に同じ町でかつての事件を模倣した殺人事件が発生し、かつての当事者であるデューイやゲイルたちが犠牲者と共に事件の謎を追う…というスラッシャーホラー映画。


 ウェス・クレイヴンによる傑作サスペンス系スラッシャーホラーである、「スクリーム」シリーズの最新作に当たる作品で、最近流行っている過去の人気作の『リブートもの』のシリーズの一本ですね。


 お話的にも過去作と繋がった作品となっており、かつてのシリーズのヒロインやら生き残りやらが再び登場したりする辺りからし「ハロウィン」のリブート版に近いイメージの作品かも?


 作風的にも、割とシッカリと過去のシリーズのパターンやらお約束を踏襲した作りになっており、『果たして殺人鬼は誰なのか?』を主人公たちが調査しながらお話が進んでいくという構成に加えて、『ホラー映画のお約束』の解説なんかもシッカリと作中で語られる辺り、予想以上にキチンとした続編という印象。


 また『ホラー映画のお約束』の部分が、シッカリと『リブートものや長期シリーズホラー映画のお約束』になっていたのは、ちょっと笑ってしまいました。
 この辺は『「スクリーム」のシリーズの事を良く研究してるな』という印象。(旧シリーズの2や3でも、主人公たちはシッカリと『続編のお約束』に従って行動していた。)


 あとリブートらしく、ちょっと残虐描写なんかが強めになっている印象ですが、まあこの辺は時代の流れかな…という感じ。


 気になった部分としては、作中で過去シリーズの主人公たちの役割として占めるウェイトが非常に高くて、ほぼ主役のような扱いになっていた事。


 「ハロウィン」のリブートのように『過去の確執を断ち切るため』みたいな目的があるのなら良いのですが、そこまで強い動機がある訳でも無い割にはちょっと目立ちすぎな感じで、本作の主人公の影が薄くなってしまっているんですよね。


 過去シリーズのファンとしては嬉しいのですが、作中でも言われてたとおりに旧作の主人公たちが目立ちすぎているせいでちょっと『マンネリ』な部分を感じてしまったので、もうちょっと新しい主人公をシッカリと掘り下げて欲しかったところです。


 また犯人や事件の真相に関しても、ちょっと唐突で弱い印象があったので、もうちょっと伏線とか凝った設定があっても良かったかも?


 あと割とどうでも良い事ですが、今回の殺人鬼は妙にヘタレで『反撃されてピンチに陥る』ようなシーンが妙に多くて、見ていて『大丈夫かよ、もっと頑張れよ』と逆に心配になってしまったのは自分だけですかね?(笑)
 (まあ、新しい犯人の『未熟さ』を表現した演出なのかもしれませんが…)

 


 総評としましては、『そこそこ良く出来た過去の名作のリブート系のスラッシャーホラー映画』という感じの作品ですね。


 過去作のキャラがメインを張っていたりシリーズのオマージュ的なネタが多めだったりするあたり、基本的には『過去作のファンだった人向けの映画』という印象があるので、新規の人は過去作を観てからの方が楽しめる内容かも?


 でもまあ、シリーズを好きだった人であれば『お祭り企画』的なノリで普通に楽しめる映画だと思うので、気になっているのであればチェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか。

 

映画感想:「呪術召喚/カンディシャ」(55点/オカルト)

■■■「呪術召喚/カンディシャ」■■■
(55点/オカルト)


 フランスの下町に住む高校生のアメリは、幼なじみのビントゥ、モルジャナと遊んでいる時に、モロッコの伝説に伝わる『復讐の悪霊カンディシャ』の噂を聞かされる。


 DV気質でストーカーの元カレのファリドに暴力を奮われたアメリは、怒りからカンディシャの召喚の儀式を行うが、その翌日に元カレが事故で急死したとの知らせを受ける。


 更に彼らの周りで、身内の男性たちが立て続けに変死を遂げるという事件が発生。
 事件がカディンシャの仕業であると知った3人は、なんとかして悪霊の暴走を止めようとするが…

 


 少女がDVな元カレに復讐するために悪霊を召喚する儀式を行ったところ、悪霊が暴走して次々と人々を襲うようになってしまい…という感じの、オカルトサスペンス映画。


 パッケージとかタイトルロゴを見ると、どこか『某呪術アニメ』を連想させるような雰囲気ですが、特に関連するような要素もないフランス製のオカルト映画で、ノリとしては『都市伝説ホラー』にイメージが強い作品です。


 お話としては、『とある少女がDVな元カレに復讐するために伝説の「復讐の悪霊」を呼び出す儀式をするんだけど、その悪霊は実は「復讐のために6人の男性を殺す」まで暴走を止める事が出来ない事が判明し、なんとかしてその殺戮を阻止しようとするが…』みたいな感じのストーリー。


 悪霊召喚の儀式が矢鱈と簡単(血で魔法陣を書いて5回名前を呼ぶだけ)だったり、呼び出した悪霊をなんとかして止めるために伝説を調査したり…といった感じで、お話的には『都市伝説ホラー』のテンプレートに則った感じの作りになっています。


 暴走した悪霊が、その呪いのせいで『主人公たちの身内の男性を次々と殺害していく』という展開なのですが、序盤~中盤にかけては悪霊の姿が割と出し惜しみされており、殺し方もあまり工夫が無いせいでちょっと盛り上がりに欠ける印象。


 また、主人公たちが割と『悪ガキの不良グループ』的な描かれ方をしてるのも、感情移入の妨げになってしまっている感があるんですよね。(B級ホラーでは、『不良は多少ひどい目にあっても自業自得』みたいな空気があるので…)


 ただ、主人公たち3人のキャラの掘り下げは意外と丁寧に行われているので、終盤にはシッカリと感情移入できるようになっているのは良い感じです、


 序盤~中盤の地味な印象に反して、後半で悪霊が本格的に姿を現してからの展開はなかなか派手で面白いのは良い感じ。


 悪霊の姿は『上半身が美女で下半身が山羊(牧神のパンみたいなデザイン)』という姿なのですが、『上半身はめっちゃ美人の見た目なのに身長が3m弱ぐらいあって下半身が獣』というデザインのお陰で、ギャップによるインパクトが凄くてなかなか迫力があります。


 人間を襲う際の過剰なまでのパワープレイによる容赦ない残虐ファイトも良い感じで、モンスターとしてなかなか魅力的に仕上がっているんですよね。


 惜しむらくは暴れ回るシーンがほぼ終盤に集中しており、序盤の殺害シーンが淡泊すぎる感じになってしまっているので、出来れば序盤からもう少し残虐ファイトの片鱗を見せて欲しかったところ。


 あと終盤で盛り上がる割には、オチは矢鱈とアッサリしてて『えっ、今ので終わり?』みたいな感じだったので、最後はもうひと捻りぐらいあっても良かった気がしますよ。

 


 総評としましては、『まあまあ観れるレベルの都市伝説ホラー系オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 強く推す程では無いですが、都市伝説ホラーとかが好きであれば普通に観れるレベルの映画だと思います。


 モンスターのデザインやらがなかなか秀逸で観るべき部分もあるので、そういう部分が気になっているようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。

映画感想:「怨霊屋敷/シークレット・マツシタ」(55点/オカルト)

■■■「怨霊屋敷/シークレット・マツシタ」■■■
(55点/オカルト)


 2013年のペルーの首都リマ。
 ヒメナ、ファビアン、ルイスたちの撮影チームは、オカルトのドキュメンタリー映画を撮影するために、地元で幽霊屋敷とウワサされる『マツシタ邸』へと入り込んで、幽霊屋敷の調査の様子の撮影を行う事となる。


 その場所は、かつて日本人の一家が住んでいたが父親が発狂し妻と子供たちの家族全員を惨殺したという事件や、その他にも様々な言い伝えがあり、数々の、心霊現象の目撃が報告されている場所だった。


 彼らは霊媒師のオスカルと共に幽霊屋敷の調査を開始するが、屋敷へと侵入した彼らを想像を上回る様々な現象が襲い始め…

 


 南米のペルーにある幽霊屋敷『マツシタ邸』に調査に訪れた撮影チームが、屋敷の中で様々な恐るべき現象に遭遇する…という、ファウンドフッテージもののオカルトホラー映画。


 いわゆる『撮影者が行方不明になった後に発見されたフィルム』という設定のファウンドフッテージ』タイプのPOVホラー映画で、手っ取り早く説明するなら「グレイヴ・エンカウターズ」のペルー版みたいな感じの作品ですね。


 ファウンドフッテージもの』の作品自体は既に各所で大量に作られているので特に目新しさも無いのですが、ペルー製というのはちょっと珍しいのに加えて映画そのものは『意外とシッカリと作り込まれたオカルトホラー映画』という感じで、なかなか悪くない印象の作品です。


 舞台となる『マツシタ邸』の長年に渡って人が踏み入っていない廃墟という感じも良く出ていますし、人里離れた山中みたいな場所じゃなくて『街中にあるいわく付きの建物』みたいなロケーションも妙なリアリティを感じさせてくれます。

 

 オカルト演出や雰囲気作りも派手さは無いものの要所要所はシッカリと押さえている感じで、退屈しない程度にはお話を盛り上げてくれて悪くありません。


 序盤~中盤はあまり事件とかも起こらずにやや冗長な感じではありますが、終盤にかけての『怒涛の展開』みたいな流れはなかなか面白くて、予想以上に楽しませてくれるのは良い感じ。


 短い尺の中で幽霊屋敷のバックボーンとかも割とシッカリと語られており、ちょっとした謎解き要素なんかも仕込まれていたりと、お話の構成も上手くてなかなか良く出来ている印象。


 POV(主観カメラ映像)が中心の割には見せ方も工夫されており、画面酔いするような見辛い感じになっていないのも良く作られていますし、低予算ながらも全体的にシッカリと作られているのを感じさせてくれます。


 ただ、日本人屋敷が舞台になってる割には日本要素は意外と薄め。


 むしろ、ちょっと『勘違いした日本テイスト』がところどころに感じられて、日本人から見ると違和感がある…というか、ちょっと笑えるような要素になってしまっているのは困ったところ。


 オチの落としどころとかも上手かったのに、エンディングで唐突に『謎の日本語ソング』が流れてみたりとかヘンテコな部分もあったりするので、現地メンバーにもうちょっとJホラーに詳しい人とかは居れば良かったのになあ…と(笑)

 


 総評としましては、低予算ながらも『なかなか良く出来たファウンドフッテージもののオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 ファウンドフッテージ作品やPOV作品が好きな人であれば、そこそこ楽しめる内容だと思いますし、自分的にはペルー製のホラー映画自体があまり観た記憶が無いので、目新しさ的にもオススメできる部分はあるかと…


 まあ強くオススメするには弱いですが、気になるようであればチェックしておいても損は無いタイプのオカルトホラー映画だと思いますよ。

映画感想:「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」(60点/オカルト)

■■■「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」■■■
(60点/オカルト)


 デザイナーを目指してロンドンのデザイン学校に通うこととなったエロイーズは、寮のルームメイトの身勝手な態度に辟易し、寮を出てソーホー地区のアパートで一人暮らしをはじめる事となる。


 しかしアパートで見た夢の中で、自分が60年代のソーホーで、歌手を夢見てパブで働くサンディという少女になっている事に気付いた彼女は、意識と体験を彼女とシンクロさせていくうちにそれがただの夢ではなく、過去の出来事の追体験だと気付く。


 その鮮烈な体験は、やがて夢の彼女自身の生活にも影響を与えるようになっていくが、そんなある日、サンディが騙されて夢に破れたうえに彼女の住む部屋で殺害される現場を目撃。


 事件に衝撃を受けた彼女は、犯人がまだ生きているのでは無いかと考え、犯人を捕まえて事件の全貌を暴くことは出来ないかと行動を開始するが…

 


 ソーホー地区のとあるアパートで、かつてその場所で起こった殺人事件を追体験した少女が事件の全貌を暴こうとする…というファンタジー要素強めのオカルトサスペンス映画。


 60年代のロンドンの華やかな繁華街やショーパブを題材とした、ちょっとオシャレな雰囲気映画的なノリのオカルト作品ですね。


 一応、主人公が霊能力のようなものを持った少女で、『過去に起こった事件の記憶を被害者と意識をシンクロさせて追体験している』みたいな感じの設定で、ジャンル的にはオカルトサスペンスになるのですが、実際の中身の方はオカルト的な要素はほとんど無し。


 実際の中身の方は『レトロで華やかな世界観やら雰囲気』やらを重視した、ファンタジーテイスト強めの雰囲気映画的なノリのサスペンス映画という印象。


 60年代ロンドンのレトロできらびやかなテイストは良く出ており、その夢のような世界で夢に破れて絶望する少女の物語としては、なかなか良く描かれている印象。


 その体験を現代の少女が追体験することで、さまざまな影響を受けていくというプロットもファンタジー作品っぽくて面白いです。


 ただプロットとしては面白いのですが、作品として上手く描かれているかと言われると、ちょっと微妙な印象を受ける感じ。


 主人公が過去の少女と意識をシンクロさせて感情移入しているという部分がちょっと伝わり辛く、『過去の事件』に猛烈なショックを受けている理由やら、異常なまでに動揺して犯人捜しをはじめる動機やらがちょっと分かり辛いんですよね。


 正直に言って『過去の事件で、そこまで動揺する必要ある!?』みたいな印象を受けてしまい、いま一つお話に入り込めない部分がありましたよ。


 謎解きに関しても『ミスリード的な要素』はなんとなく予想ができるのですが、終盤の展開が唐突過ぎてちょっと釈然としない部分があったというのが正直なところ。


 ラストの怒涛の急展開的なノリは割と面白かったので、ミステリーとしてのストーリーテリング的な部分がもうちょっとシッカリと作られてれば悪くなかったんじゃないかなぁ…って感じで、ちょっと残念さを感じる作品でしたよ。

 


 総評としましては、独特のテイストや世界観が楽しい『雰囲気映画的なノリのオカルトサスペンス映画』って感じの作品です。


 60年代ソーホー地区の華やかな雰囲気やら、ファンタジーテイストのミステリーといった独特のノリ等と観るべき部分はそこそこあるので、そういったシャレオツな感じの要素が気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。


 逆に、独特のテイストを除けばちょっと粗削りな部分の目立つ作品という印象もあるので、予告等を観てタイムリープもの的なサスペンス要素』等に期待してるのであれば、ちょっと注意した方が良いかもしれません。

 

映画感想:「ダーク・アンド・ウィケッド」(55点/サスペンス)

■■■「ダーク・アンド・ウィケッド」■■■
(55点/サスペンス)


 実家から離れて暮らすルイーズとマイケルの姉弟は、療養中の父の病状が悪化したと知らせを受け、実家であるテキサスの農場へと帰る事となる。


 帰省した実家で父は寝たきり状態となっており、母に看護されながらひっそりと死を迎えようとしていた。
 しかし実家を訪れた彼らに母は『街に帰れ』と冷たく言い放つ。


 母の様子をどこかおかしい事を心配した彼らはしばらく農場にとどまる事となるが、その翌日に母親が首を吊って自殺しているのを発見し…

 


 父の危篤を聞き実家の農場に帰省した姉弟が、正体不明の何者かの恐怖に晒される事となる…という、オカルトホラー映画。


 「ダーク・アンド・ウィケッド」(闇と邪悪)というタイトルのとおり、いわゆる『悪魔的な何者か』を題材としたオカルトホラーですね。


 お話としては『父の危篤の知らせを受けて実家に帰省した姉弟が、死期の近い両親に忍び寄る邪悪な何者かの存在に気づくが…』という感じのストーリー。


 俗にいう雰囲気映画的なテイストの強めの内容で、お話の冒頭から不穏なテイストが全開の作品ですね。

 

 ほぼ全てのシーンが不安をあおるような演出となっており、観ているだけでどんどん『落ち着かない気分』になっていくような作りなのは良い感じで、なかなかに不気味な『ガチ系のオカルトホラー』という印象の内容です。


 また、割と要所要所にちょっとしたショッキングなシーンやら演出やらを挿入してくれるお陰で、見どころもそこそこ豊富。

 恐怖シーンも単純なショッカー演出とかではなくて、シッカリと『怖がらせたり生理的嫌悪を抱かせる』ような演出になっているのも、なかなかに良いセンスで好感触です。


 ただ雰囲気やら演出は非常に良いのですが、ストーリーとかに関しては若干グテグテ感がある感じなのは残念なところ。


 お話が進んでも着地点がなかなか見えてこないおかげで、ストーリーが前に進んでいる感じがしなくてどうにも冗長な印象を受けてしまうんですよね。


 『邪悪な何者か』に関しても作中であまり言及がなくてフワっとした説明のままですし…


 確かに、オカルト系の作品は怪異に対してあまり語り過ぎると怖さが半減してしまう部分はあるのですが、もうちょっとバックボーン的なものがあった方がお話に説得力が出て良かった気はします。


 ラストも、途中である程度はオチの予想がつくものの結構な投げっ放しっぷりですし、『雰囲気』が良く出てるのは良いのですがもうちょっと『雰囲気』以外の部分も分かりやすく作ってほしかったなぁ…というのが正直なところですよ。

 


 総評としましては、『悪くないテイストの雰囲気映画系のオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。


 無性に不安になるような『不気味なテイストのオカルトホラー映画』が好きな人であれば、なかなかハマれる作品だと思いますので、そういう映画が好きであればチェックしておいても損は無いと思います。


 逆に『良い意味でも悪い意味でもスッキリしない作品』が苦手な人だとモヤっとした気分になる内容かもしれませんので、そういう意味ではちょっと人を選ぶ一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ダンジョン・クエスト」(45点/アクション)

■■■「ダンジョン・クエスト」■■■
(45点/アクション)


 ゲームの開発者を目指しつつゲームショップでバイトをするマックスは、ある日、謎のスーツ男が店に置いていった返品用の段ボールのなかから「ネザー・ダンジョン」というソフトを発見する。


 それは、かつてゲーム史上に残る伝説のクリエイターによって製作されたものの、様々なトラブルから世に発売されないままに消滅したという幻のソフトであった。


 ゲームを持ち帰った彼は興奮冷めやらぬままゲームをプレイし、ロムを解析してそのソースコードをネットに公開するが、彼のアップロードしたゲームをプレイした人々が、闇の力によって操られ狂暴化。


 更には、彼のライバルがソースコードにウイルスを仕込んで拡散したせいで街はパニックに陥ってしまう。


 彼は、同じ職場で働くオンラインゲーム仲間のリズとレジーと共に、「ネザー・ダンジョン」に秘められた謎を解き、なんとかして街を元に戻そうと行動を開始するが…

 


 ゲーマーの青年が、奇妙な事故によって発売されないまま消滅した『幻のゲーム』を手に入れたところ、そのゲームには恐るべき『闇の力』が封印されていた…という感じの、ビデオゲームを題材としたコメディ風味のアクション映画。


 ジュマンジ」的な『魔力を込められたゲーム』を題材とした作品なのですが、「ジュマンジネクスト・レベル」のようにゲーム世界で戦うという感じじゃなくて『ゲームの呪いが現実に浸食してくて、収拾をつけるために奮闘する』みたいな感じのストーリーの作品です。


 本作の特徴は『ゲームマニアが作った映画なんだろうなあ』というのが如実に感じられる作品だというところ。


 主人公が『オンラインゲームのクランのメンバー』のうえに、『ゲームショップの店員という筋金入り』のオタクで、主人公たちと協力して事件を解決しようとするのも『往年の伝説ゲームプログラマーという設定だったりと、とにかくひたすらオタクたちが活躍するストーリー。


 作中のポスターやらゲーム画面やらの小道具やら、登場するゲームショップの名前やらも『どこかで見たことのあるもの』ばかりで、ストーリーから小ネタまで含めてゲーム好きならニヤリとさせてくれる部分が多いです。


 他にも、作中で主人公たちがニンテンドーの宮本氏を礼賛するようなシーンがあったり、まあとにかく製作者がゲームマニアでゲーム好きなのは良く伝わってきます。


 ただ、その要素が作品に上手く活かされているかというと、微妙なところなんですよね。


 『ゲーム世界の現実への浸食』と戦うという設定の割に、ゲーム的な戦闘シーンとかはあまりなくて、『謎解き的な考察シーン』やら『修正のためにプログラミングをする』みたいなシーンの方が多くて、ゲーム的な面白さが無くて観ていてどうにも地味です。


 更には、何故か主人公たちの人間ドラマ的な要素が矢鱈と長く、会話シーンばかりが多くて、どうにも冗長なんですよね。
 『街がゲーム世界化した』みたいな設定なんだかた、もっとゲーム的な楽しさを感じさせるような要素を多く盛り込んで欲しかったところです。


 最終決戦の辺りで、ちょっとだけ『ゲーム世界で戦う』みたいなシーンがあって割と盛り上がったりするのですが、流石にシーンが短いうえに盛り上がる要素が少なすぎて物足りない作品というのが正直なところ。


 オマケのNGシーンとかで、『よくこんな低予算で作れた!!』みたいな話をしているカットがあったりしたので、派手なシーンを作るには予算が厳しかったんだろうなぁ…とは察するのですが、ゲームが題材なんだからもうちょっと頑張って楽しい内容にして欲しかったですよ。(まあ流石に「レディプレイヤー1」みたいな完成度は要求しませんが…)

 


 総評としましては、どうにも『見せ場に乏しく盛り上がりに欠けるゲーム風アクション映画』というのが正直なところ。


 プロットやら美術デザインやらに『ゲーム好きの拘り』を感じさせる部分は多いので、昔のビデオゲームが好きな人であれば割と楽しめる要素はあるのですが、肝心の映画そのものが微妙な内容なのでオススメするには弱い感じ…


 設定やらを含めて気になるようであれば観るのを止めるほどではないですが、色々と物足りない部分も多いため『まあお好みで』って感じの一本でしょうか?

 

映画感想:「ザ・ビーチ」(55点/生物パニック)

■■■「ザ・ビーチ」■■■
(55点/生物パニック)


 オフシーズンに週末を海沿いの別荘で過ごすために訪れたエミリーとランドルのカップルは、同じように別荘を利用するための訪れた父親の友人夫妻であるジェーンとミッチらの老夫婦と鉢合わせになってしまう。


 期せずして4人で別荘を利用する事となった彼らだったが、その夜に奇妙な光と異臭を放つ霧が発生。
 不気味に感じつつ一夜を明かす彼らだったが、翌朝に海岸に訪れると不気味な粘液状の生物の死体が大量に落ちているのを発見。


 更には、夜間に外出して大量の霧を吸い込んだジェーンが身体に異常を来たし、エミリーとランドルも徐々に体調の不調を感じるようになっていくのだった…

 


 田舎町のビーチにある別荘を訪れた二組の男女が、海から現れた正体不明の寄生生物によって脅威に晒される…という生物パニック系サスペンスホラー映画。


 ザ・ビーチといってもブラピが主演のサスペンス映画ではなく、いわゆる『謎の寄生生物』を題材にした生物パニック映画なのですが、深夜の霧に覆われた町が舞台だったり寄生された人間がゾンビのようになったりと、なんとなく「ミスト」とかゾンビ映画とかの影響も受けているっぽい雰囲気の映画ですね。


 お話としては割とありがちなプロットの作品で、『田舎町の別荘で水や霧を経由して正体不明の生物に寄生された人々が徐々に肉体に変異を来していく…』みたいな感じの展開。


 目新しさはあまり無いものの、粘液状だったりワーム状だったりしてする謎の寄生生物への嫌悪感はなかなか良く出ており、身体に入り込まれた人間たちが徐々に体調に不調を起こしていく様子はなかなか不気味で怖いです。


 登場人物は少ないながらも、主人公たちのキャラの掘り下げも良く出来ており、人間ドラマが割とシッカリと描かれているのは好印象。
 また人間ドラマ部分を、ホラー映画としてギリギリ冗長にならないレベルでコンパクトにまとめているのも良く出来ています。


 ただ、ホラーとしての雰囲気作りやらドラマ要素はなかなか良く出来ているのですが、とにかく内容が地味なのは困りもの。


 登場人物がほぼ4人しか居ないため、パニック描写とかホラー描写がどうにも地味になりがちで、寄生生物に関しても『寄生された人間がゾンビのようになる』っていうありきたりな展開だけで、人間が『異形の存在』に変化したりパッケージのような『巨大な触手モンスター』が登場するようなシーンは無くてビジュアル的に盛り上がりに欠けます。


 オチも、何だか『分かったような分からないような投げっぱなしオチ』でしたし、どうにも物足りない印象。


 雰囲気は悪くなかったので、もっと山場となるシーンやら見せ場となるようなシーンがシッカリ作り込まれていればなあ…

 


 総評としましては、雰囲気やら方向性は悪くないものの『見せ場に欠ける地味な内容の生物パニック映画』って感じの作品ですね。


 生理的な嫌悪感を感じるような描写やテイスト等の良く出来た部分もあるのですが、やや冗長で物足りない部分も多いので、オススメするにはちょっと弱い映画という印象。


 息抜きに片手間程度に観るのであれば悪くないとは思いますので、気になるようであれば『お好みで』という感じでしょうか…