NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・ディセント 絶叫洞窟」(35点/モンスター)

■■■「ザ・ディセント 絶叫洞窟」■■■
(35点/モンスター)


 冒険家で芸術家でもあった男性が、洞窟探検中に重傷を負いそのまま死亡するという事件が発生。


 彼の日記に『洞窟の怪物』の事が書かれていたことから、その娘であるジェシーは、世間から変人扱いされていた父親の汚名を晴らすため、怪物の存在を確かめるためにその洞窟へと向かう事となる。


 弟のサムとその友人たちの4人で洞窟を調査する事となった彼らだったが、その洞窟で予想を越えた恐るべき事態へと遭遇するのだった…

 


 父の残した日記を元に洞窟へと『怪物』を探しに訪れた姉弟が、その場所で恐るべき事態へと遭遇する…という、モンスターホラー映画。


 邦題から分かるように、基本的には「ディセント」に影響を受けたパクリ的な内容のモンスター映画なのですが、当然ながらオリジナル版とは何の関係もない作品です。(ちなみに原題は「IT CAME FROM BELOW(深淵から来たるもの)」ですが、そっちの方が作品の内容にはあってるかも?)


 お話としては『怪物の謎を探るため4人の男女が洞窟探検に訪れるんだけど、そこで予想外の「何者か」と遭遇し…』みたいな感じのコテコテの展開。


 序盤の雰囲気作りなんかは悪くないのに加えて、中盤でいわゆる普通のモンスター映画とはちょっと違った感じの展開に突入して、なかなかに『先の読めないような構成』になっているのは悪くない印象。


 作品を単純なモンスターホラーにしていないのは、なかなかに捻りが利いていて方向性としては良いと思います。


 ただプロットは面白いのですが、本作の内容がモンスター映画として面白いかと言われると微妙なところなのは困りもの。


 なにが微妙かって、とにかく全体的に『画面が暗すぎて何が起こっているのか良く分からないシーン』が多すぎます。


 怪物の襲撃シーンやら、山場となるようなシーンもそこそこ準備されているのですが、とにかく画面が暗くて状況がイマイチ把握できないため盛り上がるシーンも盛り上がりようがないような状況。


 状況が分かり辛いシーンが多いせいで、全体的に非常にテンポが悪い印象になってしまっているんですよね。


 洞窟探検の場面も周りが全く見えないせいで迫力や雰囲気も出てないですし、そもそも『怪物の存在を証明する』のが目的なのに、主人公たちが撮影用の機材やら暗視カメラすら持ってこないのは意味不明です。


 怪物も出番がそこそこある割には、真っ暗なシーンが殆どのせいで最後まで姿が良く見えなくて迫力が感じられないですし、ぶっちゃけ『低予算を誤魔化すためにライティングをひたすら暗くした』事の弊害なのかなぁ…


 それに加えて、主人公たちのキャラに魅力が無くていま一つ感情移入できないのも辛いところ。
 特に主人公の女性が極度のコミュ障みたいなキャラで、父の汚名を晴らしたいのか仲間を助けたいのか何をやりたいのか判然としない行動が多くて、観ていてちょっとイライラしてしまいました。


 ラストのオチも、低予算ホラーにありがちな『分かったんだか分からないんだか判然としない投げっぱなしオチ』でしたり、とにかく物足りなさばかりが残るような作品でしたよ…

 


 総評としましては、『全体的に見どころに欠ける低予算モンスターホラー映画』というのが正直なところ。


 プロットとか凝っている部分もあるのですが、それ以外の要素が面白味に欠けすぎて、正直に言ってあまりオススメできるようなレベルでは無い印象。


 モンスター映画としても洞窟探検ものとしても物足りない内容ですし、よほど気になっているとかで無ければ普通にスルーしてしまっても問題のない一本ではないかと…

 

映画感想:「ワーニング その映画を観るな」(55点/オカルト)

■■■「ワーニング その映画を観るな」■■■
(55点/オカルト)


 新人映画監督のミジョンは、新作ホラー映画のシナリオのアイデアがなかなか決まらず行き詰っていたところ、あと2週間以内に映画のシナリオを提出するようにプロデューサーから厳命される。


 そんな矢先に、彼女は『恐怖のあまり観客の半分は途中で逃げ出し、心臓発作を起こして死人まで出して、二度と上映されないように封印された』という呪われたホラー映画のウワサを聞き興味を抱く。


 その映画が、かつてとある大学の卒業制作で作られたものだという情報を得た彼女は、その大学へと赴くが、そこで学生たちからその作品が「暗転」というタイトルで10年前に作られたものだという情報を得る。


 更に、なんとか映像を手に入れられないかと更に調査を続ける彼女の元に、「暗転」を撮影した監督だと言うキムと名乗る男性から連絡があり…

 


 イデアに行き詰った若手映画監督が封印された『呪いの映画』の秘密を探るうちに、自分自身も恐ろしい事態へと巻き込まれていく…という韓国製のオカルトホラー映画。


 『呪いの映画』を題材とした作品というと、最近では「アントラム 史上最も呪われた映画」なんてのも製作されていましたが、あちらは『なんちゃって実話』であるファウンデッド・フッテージ的なノリの内容だったのに対して、本作は割とシッカリとストーリーのあるJホラー的なノリの強いお話となっており、韓国版の「女優霊」みたいな映画と言えばテイストが伝わりやすい作品かも?


 実際の映画のストーリーの方も、『とある若手監督が、かつて上映中止になった「呪いの映画」の謎を追ううちに、その映画に関わる恐るべき秘密を知ることとなっていく…』みたいな感じで、設定的にも展開的にも『「女優霊」にインスパイアされて作られたのかな?』と思うような部分がある作品という印象。


 序盤の『呪いの映画の秘密』を探るパートがなかなかに秀逸で、徐々に謎を解き明かしながらテンポ良くお話が進んでいく構成も良い感じですし、ところどころで発見される『呪いの映画のダイジェスト映像』的なカットも不気味な雰囲気を盛り上げてくれる感じで良く出来ています。


 映画の謎解きと並行して語られる主人公のキャラの掘り下げも良く出来ており、主人公が『何故、呪いの映画に惹きつけられるのか』といった部分のバックグラウンドとしてシッカリと機能しているのも非常に上手い構成という印象。


 ただ中盤の謎解きパート辺りまでは抜群に面白いのに、終盤の展開でちょっとグダる雰囲気があるのが残念なところ。


 方向性として『これは現実なのか主人公の観ている幻覚なのか…』的なノリを出したかったのは良いと思うのですが、変に過去の時間軸とかまでお話の要素に取り込んでしまったせいで、ゴチャゴチャしすぎて何だか分かりにくい展開になってしまっているんですよね。


 雰囲気は良いんだから、もっと普通に『分かりやすい謎解き』と『恐怖演出のイキオイ』で乗り切るような展開にしておいた方が盛り上がったんじゃないかという気がします。


 ラストも『不吉な雰囲気を漂わせる』みたいな終わり方としてはちょっと中途半端な印象ですし、本作ならではの個性を出したかったのかもしれませんが、もうちょっと王道的な作りでも良かったんじゃないかなぁ?

 


 総評としましては、『なかなか楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 強く推すにはやや弱い部分がありますが、雰囲気作りやら世界観やキャラの描き込みの上手さ等、観るべき要素はそこそこある印象。


 Jホラー的なテイストのオカルト作品が好きな人や『呪いの映画』みたいな設定が気になっているような場合は、チェックしてみても損は無い一本ではないでしょうか?

 

映画感想:「牛首村」(55点/オカルト)

■■■「牛首村」■■■
(55点/オカルト)


 父と二人で暮らす女子高生の奏音は、ある日、ボーイフレンドの蓮に教えられて、自分にそっくりの少女が写っている心霊動画を観る事となる


 その動画は、都市伝説である「牛の首」という怪談を検証するために心霊スポットの廃墟に訪れた少女たちの内、彼女と同じ顔をした少女が『牛のマスク』を被せられてエレベーターに閉じ込められたのちに、どこかへと姿を消してしまうという不気味なものだった。


 動画に運命のようなものを感じた奏音は、その謎を探るために蓮と共に動画の撮影場所である『坪野鉱泉』へと向かうが、その場所で彼女は自分自身の過去にまつわる恐るべき秘密を知る事となるのだった…

 


 「牛の首」という都市伝説を題材として日本の寒村に伝わる恐ろしい風習を描いた、伝奇もの風味のオカルトホラー映画。


 清水崇監督による都市伝説を題材とした「犬鳴村」、「樹海村」等に続く「〇〇村」シリーズの最新作にあたる作品ですね。


 題材となった都市伝説の「牛の首」というと『恐ろしさのあまりに、聞いたものがみんな死んでしまう』というウワサだけがある『タイトルだけで中身の無い都市伝説』として有名な怪談ですね。
 ネットミームとかに詳しい人だと、いわゆる「鮫島事件」と同じような系列の怪談と言えば分かりやすいかも?


 シリーズ三作目という事で、清水監督もだいぶ『都市伝説ホラー』という題材を撮り慣れてきたのか、1~2作目と比べるとサクサクと観やすい軽めのテイストの作品になってきた印象。


 とにかく非常にテンポが速いのが特徴で、序盤から心霊現象やら画面に映り込みまくる幽霊やらのつるべ打ちで、矢鱈と大量に心霊描写が描かれまくるために観ていてとにかく退屈しないのは良い感じです。


 いっそこのシリーズは、こういうサクサク観れるライトなタイプのホラーに舵を切った方が良いのかも?


 中盤あたりから予想外の展開に突入していく構成もなかなか良く出来ており、この辺はサスペンスホラーを撮りなれてる清水監督らしい構成という印象。


 ただ、『日本の辺境の封印された恐ろしい風習』みたいなのを題材としているせいもあり、お話のプロットが「犬鳴村」とか「樹海村」と似ている要素が強く『またこういうノリの話か…』と思ってしまう部分があったのは残念なところ。


 終盤で『トンデモ系の展開』に突入するのもシリーズのお約束的なノリになっているのですが、今回はちょっとグテグテ感が強くて『どういうこと?』みたいに思ってしまうシーンが多かったのも、ちょっと気になるところかなぁ?


 ただ見せ場なんかもシッカリと作られており、怖いシーンは割とシッカリと怖いので、全体的には悪くない印象のシリーズの新作という感じでしたよ。

 


 総評としましては、『まあまあ楽しめるレベルの伝奇もの風味のオカルトサスペンス映画』って感じですね。


 個人的には「〇〇村」シリーズの中では一番面白かったと感じたので、今までのシリーズが楽しめた人であれば普通に楽しめる内容ではないかと思います。


 シリーズを続けて観てる人であれば普通にオススメですし、サクッと観れる系の伝記ホラー的な作品を観てみたいというのであれば、チェックしておいても良いレベルの一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「マザーズ」(45点/オカルト)

■■■「マザーズ」■■■
(45点/オカルト)


 シングルマザーのエレナは、幼い息子を実家に預けて、郊外で暮らすルイスとカスパー夫妻の元で住み込みの家政婦として働くこととなる。


 夫妻は裕福な資産家でありながらも、水道も電気も通わない場所で質素な暮らしを志しているという彼らの生活に、最初は戸惑いを感じるエレナだったが、夫妻と一緒に暮らすうちの徐々に彼らの生活に馴染み夫妻と仲良くなっていく。


 そんな矢先にエレナは、カスパーから『病気で子供を産めない自分に変わって、自分の子供を代理出産して欲しい』という相談を受ける。


 報酬として『息子と一緒に暮らすためのアパートを貰える』と聞いた彼女は、エレナへの同情心もあり代理出産を引き受ける事となるが、妊娠後から奇妙な体調不良や悪夢に悩まされるようになり、やがて『お腹の子供が自分を殺そうとしているのではないか』という妄想に取り憑かれるようになっていくのだった…

 


 子供を産めない富裕層の夫婦の代わりに彼らの子供を代理出産する事となった女性が、奇妙な妄想に取り憑かれて精神的に追い詰められていく…という、オカルト風味のサイコサスペンス映画。


 『身ごもった子供が実は悪魔の子供だった?』みたいな感じの、なんとなくローズマリーの赤ちゃんを想起させるような設定のデンマーク/スウェーデン製のオカルトサスペンス映画ですね。


 欧州製の作品だけあって全体的に雰囲気映画のテイストが強めで、独特の異様で不気味な空気感やらは良く出ているのですが、雰囲気重視の作品だけあって全体的なテンポは遅め。


 アーミッシュのような禁欲的な生活をする夫妻や、寂れた郊外の一軒家の孤立した感じやらの不気味な空気感は良く出ていますし、全体的な雰囲気作りは非常に良い感じ。


 徐々に精神を病んでいく主人公の様子も良く描かれており、テンポはスローテンポながらもお話の盛り上げ方は悪くない印象。


 特に終盤の一番の山場となるシーンはかなり怖くて、その場面のためだけにでも見る価値はあるかも?


 ただ、作品を通して『雰囲気映画のテイストが強すぎる』のはちょっと困りもの。


 全体的にとにかく説明不足で、主人公が身ごもった『赤ちゃん』の秘密も何だか良く分からないですし、自然主義者っぽい生活をする富豪の夫妻も何か秘密があるのかと思いきや特に何が語られる訳でも無くて、なんのためのキャラ付けなのか最後まで良く分かりません。


 山場となるようなシーンも一部を除いて殆ど無くて、ラストも特に何のオチも無いような『投げっぱなしエンド』みたいな終わり方ですし、流石にもうちょっとバックボーンや設定的なものを作中で語ってくれないと、想像で補うにしても限度があります。


 悪くない部分もあるのですが、良い意味でも悪い意味でもあまりにも中途半端でスッキリしない気分になってしまう映画でしたよ…

 


 総評としましては、どうにも『物足りなさの残るオカルトサスペンス映画』というのが正直なところ。


 雰囲気やら一部のシーンやらに見どころが無くはないのですが、全体的にスローテンポですしあまりにも説明不足な部分が多いので、スッキリとした説明が欲しいような人には全くオススメできません。


 ただまあ、雰囲気映画大好きで『ただただ不気味なテイストだけを楽しみたい』ようなタイプの人であれば、まあまあ楽しめる内容かもしれませんので、そういうのが好みであればチェックしておいても良いかもしれませんよ。

 

映画感想:「シン・アナコンダ」(35点/モンスター)

■■■「シン・アナコンダ」■■■
(35点/モンスター)


 大学教授のマローンと助手の学生たちは、遺跡調査のために南米のコロンビア沖合にある無人島であるエスカパダ島へと古代遺跡の調査のために訪れる。


 しかし調査開始の前夜、無人島だと思われていた島で遭難中のハンターであるホアキンと遭遇。
 『船が壊れたうえに相棒が蛇に噛み殺されたので助けて欲しい』という不穏な話を聞かされる。


 不気味に思いつつも彼を帰りのヘリの搭乗させる事とした教授たちだったが、翌朝の遺跡調査の前に教授が毒グモに噛まれるという事故が発生。


 解毒剤となる薬草を手に入れるために、ホアキンと共にジャングルへと踏み入った彼らは、そこでホアキンの相棒を噛み殺したという全長20mを超える巨大な大蛇に遭遇するのだった…

 


 遺跡の調査のために南米の無人島を訪れた大学の調査チームが、想像を超えるようなサイズの巨大な大蛇に襲われる…という、モンスターパニック映画。


 最近の巨大生物もののB級モンスター映画市場は、『巨大生物だったらとりあえず邦題にシンと付けとけば良いかな』みたいな適当な風潮があっていかがなものかと思う事が多いのですが…


 本作に関しては、実際の中身の方も低予算のB級モンスター映画でお馴染みのASYLUMによって作られた『適当な作りのモンスター映画』なので、まあ『適当なタイトルでも仕方ないか』と納得するような内容の作品でしたよ。
 ちなみに原題は「MEGABOA」なので、どちらかというと同社の「メガシャーク」とかに続く「メガ~~」シリーズの新作として作られた作品なのかも?(というか『アナコンダ』ってタイトルに付いてるのに、その実はアナコンダですらないんかい…)


 お話としては『とある大学の調査チームが南米の無人島のジャングルに遺跡の調査に訪れたところ、信じられないようなクソデカい大蛇が棲息していました』という、まあそれだけの内容。


 全長20mという無茶苦茶なサイズの割には大蛇の存在に何らかの存在理由(太古からの生き残り)やバックボーン(突然変異等)とかがある訳でもないので、唐突感がありまくりでリアリティもクソも無い設定なのですが、作中で教授が『ティタノボア(恐竜時代に生息していた全長15mの大蛇)よりも巨大なメガボアだ!!』みたいに語るシーンがあったりするので、作中で語られないだけでティタノボアの仲間の末裔みたいな設定なのかも?


 物語に関しては、先述のとおりストーリーらしいストーリーのようなものは無く、『学生たちがジャングルで大蛇に遭遇してなんとかして逃げ延びようとする』という殆どそれだけのお話。


 一応は『毒グモに噛まれた教授を救うため』みたいなお話を盛り上げようとする背景はあるのですが、どちらかというとハンターも主人公たちも状況に流されてるだけみたいなシーンが多くて、どうにもグテグテ感が強いです。


 むしろ大蛇の登場しない『仲間同士で口論しながらダラダラとジャングルの中を歩いているだけ』みたいなシーンが非常に多くて、観ていてとにかく退屈でダレてしまいます。


 ちなみに大蛇は当然ながらCGで描かれているのですが、予算の都合もあってか出番があまり多くなくて人間との絡みも少ないため、20mという巨大感があまり感じられないのも困りもの。


 ラストの対決シーンは少しだけ見どころがあるのですが、それ以外のシーンでは迫力が感じられないうえに襲撃場面の見せ方とかにもあまり工夫がないためどうにも面白味に欠けるんですよね。


 また登場人物たちのキャラの描写も微妙で、大蛇に復讐しようとするハンターとかヒロインっぽいキャラとかも居るのですが、この人たちのキャラの掘り下げも殆ど無いため登場人物の全員の影が薄いんですよね。


 途中で出てきた『暴風のため救助のヘリが来れない』みたいな設定もうやむやのうちに解決されてた感じでしたし、どうにも設定にもストーリーにも適当な要素が多すぎて、スッキリしない気分になる作品でしたよ…

 


 総評としましては、『グテグテな部分ばかりが目に付く低予算モンスター映画』って感じですかね。


 特に推すべきような要素も無いですし、B級というのもおこがましい『D級ぐらいの微妙さのモンスター映画』ですので、正直言ってあまりオススメは出来ない作品です。


 ネタ映画としても弱い内容ですので、よほど『ASYLUMの巨大生物ものは全部チェックするんだ』というような使命に燃えているのでもなければ、普通にスルーしてしまっても良いような一本ではないかと…

 

映画感想:「サイコ・ゴアマン」(55点/コメディ)

■■■「サイコ・ゴアマン」■■■
(55点/コメディ)


 遥か太古の時代。
 銀河を恐怖に陥れた「悪夢の公爵」と呼ばれる最強のパワーを持つ残虐な宇宙人が、銀河の平和を守るテンプル騎士団と惑星同盟によって倒され、はるか遠くの惑星へと封印される。


 8歳のわんぱくな少女ミミは、ある日、兄のルークと共に遊んでいる最中に偶然にも封印された残虐宇宙人を発見し、その封印を解いてしまう。


 蘇った残虐宇宙人は、再び全銀河を破壊し混乱の渦に陥れようと画策するが、自分の力の源であり彼を自由にコントロールする事が出来るパワーストーンをミミによって奪われている事に気づく。


 残虐宇宙人を自在に操れることに気づいたミミは、彼に『サイコ・ゴアマン』と名付け、彼に命令してわがまま放題の行動を開始するが、そんな最中、残虐宇宙人が復活した事を察知したテンプル騎士団は最強の戦士であるパンドラを地球へと派遣するのだった…

 


 銀河の最強の破壊者である残虐宇宙人の封印を偶然にも解いてしまった8歳の少女が、宇宙人をコントロールしてわがまま放題の行動を取り始めてしまう…という、ゴアホラー風味のSFコメディ映画。


 タイトルからもなんとなく予想できるとおりに、いわゆるブラックユーモア系のコメディホラーという感じの作品ですね。


 「サイコ・ゴアマン」は、その名前の通り超能力を駆使して残虐な行為を行う怪人な訳で、ブラックな設定に準じる形で全体的にゴア描写は強めの内容。


 ただ戦う相手や残虐行為を行う相手は、殆どが彼を追ってきた宇宙人たちなのでそこまで痛々しかったりグロい感じではなく、スプラッタとかが苦手でも観るのが辛いようなレベルでは無い印象です。


 『宇宙最強の破壊者』である残虐宇宙人8歳の少女に好き勝手にコントロールされて、彼女のわがままを叶えるためだけにくだらない遊びやらゲームやらに付き合わされている姿はバカバカしくてなかなか笑わせてくれます。


 この残虐宇宙人が『物凄い壮大な過去』を背負っていそうで、ところどころで武勇伝を語ろうとするんだけど、主人公が聞く耳を持たなくて全く過去について語らせて貰えないのも笑わせてくれますし、シーン毎で変なコスプレをさせられていたりとか全体的にクスっと笑えるような小ネタが効いてるのも良い感じ。


 残虐宇宙人を狙って攻めて来る宇宙人たちも個性豊かですし、宇宙の守護者のテンプル騎士団がいまいちやる気が無さそうなのもちょっと面白いです。


 ただ小ネタ系のパロディとかは面白いのですが、基本は『グロ描写ありのブラックユーモア系の作品』なので、ところどころで『笑えない描写』が含まれる辺りは割と人を選びそうなところ。


 またグロ描写以上に気になったのは、主人公の少女があまりにもワガママで傍若無人すぎる性格だという事。


 ヤンチャとかってレベルを通りすぎてもはや独裁者のような我儘っぷりで、その行動があまりにも可愛げが無い(無邪気さ故の残酷さとかってレベルではない)ため正直なところ観ていてイライラさせられましたよ。


 ラストの展開も、改心してるんだかしてないんだか良く分からないようなオチですし、いくらブラックユーモア系の作品だからといってももうちょっとマトモな性格でも良かった気がします。
 (流石に『残虐宇宙人よりも主人公の少女の方がタチが悪いレベル』なのはいかがな物かと…)


 あと、低予算で派手なアクションシーンがあまり作れなかったせいもあるのでしょうが、残虐宇宙人の超パワーの見せ場があまりなくて、いま一つ最強っぷりが実感できなかったのも残念なところかな?


 宇宙人とのバトルとかで大暴れするシーンは、もっと沢山見せて欲しかったですよ…

 


 総評としましては、低予算ながらも『まあまあ楽しめるレベルのブラックユーモア系のアクションホラー映画』って感じの作品ですね。


 ややブラックな要素が強めで、いまひとつ笑えないシーンも多い(主に主人公の少女に腹が立つせい)ため、ちょっと人を選ぶ系の作品という印象。


 その手の捻くれたブラックなノリやゴア描写やらが好きな人であれば、割と観れる内容ではあると思いますので、そういうのが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。

 

映画感想:「フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所」(25点/モンスター)

■■■「フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所」■■■
(25点/モンスター)


 カナダの森林地帯の湖岸。
 友人らと3人でキャンプをしていたエイプリルは、カヌーで川下りに訪れていた人気ロックバンドのバンドマンであるミッチと出会う。


 バンドの曲作り担当であるエリックがスランプに陥り、気分転換とインスピレーションを得るためにバンドの巡ってで『先住民の伝説の地』を巡っている事を知った彼女は、3人に同行して森の奥へと向かう事となる。


 しかし、キャンプでドラッグを楽しんでいたところ、メンバーの一人が頭から血を噴き出して倒れるという謎の事態が発生。
 携帯も通じず警察や救急を呼ぶ手段も無く途方にくれていたところ、森の奥からあきらかに人間ではない『異形』の影が彼らを監視している事に気づくが…

 


 スランプに陥ったバンドメンバーがインスピレーションを得るために『先住民の伝説の地』を訪れたところ、その場所で予想だにしない恐怖に遭遇する…という、オカルト要素強めのモンスターホラー映画。


 プロットとしては『先住民の伝説の地に冒険に訪れた若者たちが、正体不明のモンスターに襲われる』という割とありがちな感じのお話ではあるのですが、『自分の才能の限界を感じたバンドのメンバーがスピリチュアル的なものに頼るために先祖の伝説の場所を目指す』というのは、ちょっと捻りの効いた設定という印象。


 ただ設定は凝ってはいるのですが、それが本編に活かされているかと言われると、ちょっと微妙なところなのは困りもの。


 まず、お話の前半は『バンドのメンバーがドラッグをキメながら森の中でグダグダやってるだけ』で、モンスターも全然登場しないですし、『先住民の伝説の地』も特に墓地とか遺跡とか遺構のようなものがある訳でもなく、単純に『何もない森の中』なのでビジュアル的にも全く面白味がありません。


 ダラダラと珍道中を繰り広げつつも、中盤で同行者の一人が死んだ辺りからようやくお話が前に進み始めるのですが、その後も主人公たちはやはりダラダラと『先住民の伝説の地』巡りをするだけで、ラスト辺りまで特に見せ場のようなものは無し。


 またその辺りからモンスターも出現するようにはなるものの、モンスターも単に森の中でウロウロしてるだけで殆ど何もしてこないため、とにかく盛り上がるような要素がありません。


 ラスト近くでお話の謎解き的なものが行われたあとは、ようやく少しだけ盛り上がる展開になるのですが、盛り上がるシーンがホントに一瞬だけなのでとにかく物足りない印象。


 モンスターはプレデターもどき』みたいなアーマーっぽい装束の怪人で、ビジュアル的にはなかなかカッコ良いだけに、活躍するシーンが全くないのは残念過ぎです。


 全体的にダラダラしたストーリーに加えて、ラストも何か分かったような分からないようなスッキリしないオチでしたし(儀式をしたら『怪物の姿がずっと見えるようになる』みたいな設定は何か意味があったのか?)、何か全体的にモヤっとした気持ちばかりが残る映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『退屈で物足りない内容の低予算モンスターホラー映画』という感じです。


 プロットとかに少し個性的な部分はあるものの、それ以外に見どころとなるような要素も無くて退屈な部分ばかりが目に付く内容なので、あまりオススメできるような要素もありません。


 ネタ映画としても弱いので、特別な理由でも無ければ普通にスルーしてしまって問題のない一本ではないかと思いますよ。