NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」(60点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)


 『雨の切り裂き魔』と呼ばれた連続殺人鬼ジェイムズの恋人だったメアリーは、彼の自宅の地下室で殺人現場を何度も目撃しつつも、彼に脅されて恐怖のために被害者を救えないでいた。


 ある日、恐怖に耐えかねたメアリーは彼の家に放火して逃げ出すが、それが原因でジェイムズは逮捕され彼女自身も放火の罪で刑務所に収監される事となってしまう。


 刑期を経てなんとか出所した彼女は、過去のトラウマから『助けることのできなかった被害者たち』の幻覚に悩まされつつも、なんとか24時間営業のガソリンスタンドの深夜勤務で働く事となる。


 しかしガソリンスタンドでの深夜勤務中に、誰も居ないはずのスタンドで奇妙な人影を見たり「殺人を見るのは好き?」という奇妙な電話を受けたりした彼女は徐々に妄想と現実の区別がつかなくなっていくが、そんな彼女の前に刑務所に居るはずのジェイムズが姿を現し…

 


 連続殺人鬼の元恋人のせいで幻覚に悩まされる少女が、ガソリンスタンドでの深夜勤務中に妄想と現実の狭間で恐怖に晒される…という、サイコホラー風味のサスペンススリラー映画。


 なんかキングのディザスターパニック映画(「ザ・スタンド」)をパクったようなタイトルだったり、妙に頭の悪そうなサブタイトルがついている作品ですが、意外な事になかなか良く出来た良作スリラー映画でしたよ。(というか、タイトルの「スタンド」ってガソリンスタンドのスタンドかよ…(笑))


 お話としては『連続殺人鬼の元恋人が、何度も殺人現場を見せられたトラウマから幻覚と妄想に悩まされるようなりつつも深夜勤務のガソリンスタンドで働くようになるんだけど、一人で店番を続けるうちに妄想と現実の区別がつかなくなっていき…』みたいな感じの展開。


 ヒロインが過去に割と複雑な事情を抱えており、『過去に恋人が連続殺人鬼と知らずに付き合っていたうえに、正体を知った後も脅されて殺人現場を見せ続けられていた』みたいな『そりゃ、トラウマを抱えて精神も病むわ』というような設定で…


 序盤はこのヒロインの過去のエピソードがメインでお話が進んでいく印象なのですが、サスペンスとしての盛り上げをしつつも主人公のキャラの掘り下げもシッカリと行われており、世界観やキャラクターが非常に分かりやすい作りになっているのは好感触。


 こういう割とダレがちなキャラの掘り下げの部分でも、定期的に主人公が『妄想』や『回想』でグロシーンや恐怖シーンを観る事で盛り上げてくれるため、とにかく観ていて退屈しない作りになっています。


 主人公の『妄想』もバラエティに富んでおり、壁やトイレから手が生えてきたり、火だるまの人影を目撃したりといった具合にビジュアル的にも面白いものが多いですし、『妄想と現実の境目があいまいになる』というのが上手く表現されています。


 また、いわゆる『サイコホラー系の展開かな?』と思わせておいて、中盤から二転三転していくという先の読めない流れの構成も面白いですし、残虐シーンやらグロ描写も割と強めでスプラッタ系ホラーとしてもそこそこ見ごたえのある内容になっているのも良い感じ。


 終盤の展開も割とコテコテながらも緊張感のある作りで良く出来ていますし、オチの落としどころも悪くないですし、色んな意味でコンパクトに良くまとまった作品でしたよ。


 惜しむらくは、終盤はもうちょっとだけ見せ場があっても良かったかも…って部分が不満点という感じかなぁ?

 


 総評としましては、『サクっと楽しむのに丁度いい具合のB級サスペンスホラー映画』って感じの作品ですね。


 あまり強く推す要素や派手さは無いものの、無駄のない作りでテンポ良く観れる佳作レベルのB級ホラー映画という印象。


 『連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私』なんていう妙なサブタイトルで損をしている部分はありそうですが、Amazonプライム会員だと無料で観れますし、その手のジャンルが好きならばチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

映画感想:「殺人バグズ ~大量発生~」(50点/生物パニック)

■■■「殺人バグズ ~大量発生~」■■■
(50点/生物パニック)


 全世界で増え続けるゴミの問題を解決するために、PDRテクノロジー社は全てのゴミを分解してコンピューターで制御可能な『ケプリ』という新型のゴキブリを開発する。


 社長で科学者であるチェ博士は、各国に売り込むために何十万匹もの『ケプリ』を海上を輸送する事となるが、航海中の事故で貯蔵タンクから『ケプリ』が逃げ出してしまったうえに、何故かコンピューターでの制御が不能となり、次々と人間を襲い始めてしまう。


 ケプリの襲撃を生き延びた航海士のチャオ・ジャンホーと娘のスーハンは、他の生存者たちと共に脱出の術を探るなか、チェ博士じゃ事件を隠蔽するためになんとかしてゴキブリの制御を取り戻して極秘裏に事態を解決しようとするが…

 


 遺伝子操作によって作り出された何でも食べてしまう『殺人ゴキブリ』の大群が制御不能となり人間に襲い掛かる…という、生物パニック系ホラー映画。


 最近大量生産されている中国製のモンスター映画やらパニックホラー映画の一本で、良く使われてそうなシチュエーションなんだけど意外と少ない『殺人ゴキブリ』が人間を襲う系のホラー映画ですね。


 プロット的には『ゴキブリの群れが軍隊アリのように集団で人間に襲い掛かってくる』というようなシチュエーションの映画なのですが、ゴキブリが基本的にCGで描かれているせいか、そこまでリアル感の無い『小型ロボットのような雰囲気』になってしまっており、ゴキブリが苦手な人にもそこまで嫌悪感は無さそうな印象


 襲撃シーンに関しても、犠牲者が『ゴキブリ津波に飲み込まれる』みたいなシーンが殆どで、虫系の大群もの作品としてはいま一つ気持ち悪さやら迫力が薄くて、ちょっと物足りなさがあるのは気になるところです。


 ただ、襲撃シーンのワンパターンな感じを避けてビジュアル的な面白さを出すためか、襲った人間を『ゴキブリ人間』に変化させてコントロールするという「ザ・ネスト」のハイブリッドゴキブリみたいな技を使ってきたり、終盤では更に『別の形態』での攻撃方法を見せてくれたりするのはなかなか面白いです。


 また襲撃シーンはちょっと迫力不足なのもの、ストーリーそのものはテンポも非常に良いうえに割と凝った構成になっており、終盤にかけては意外性のある先の読めない作りで面白いですし、ラストにかけての展開も無駄に熱くて良い感じ。


 メインの登場人物のキャラの掘り下げもシッカリとしてて、それぞれのメインキャラにキチンと見せ場がある作りなのは悪くないのですが、『ここは俺に任せてお前は先に行け!!』的な自己犠牲っぽいシーンが作中で7~8回ぐらい繰り返されるのは、流石にワンパターンすぎていかがなものかと…(笑)


 あとゴキブリに襲撃された際に、ゴキブリたちが毒を持っている訳でも無いのに、みんな『ゴキブリにちょっと噛まれたぐらいで異常にうろたえすぎだろ』とツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね?(まあ、心理的に嫌な気分なのは分かるけど…(笑))

 


 総評としましては、まあ『そこそこ見れるレベルの生物パニックホラー映画』って感じの作品ですね。


 強く推すほどではないものの、息抜き程度に片手間にサクッと見る程度には楽しめる一本だと思います。


 ただ『殺人ゴキブリ』というシチュエーションを期待して観ると、ちょっと気持ち悪さやら迫力からが不足しているので、そういう『昆虫群体もの』的な方面に期待している場合は物足りなさを感じる作品かもしれないので要注意ですよ。

 

映画感想:「ダーク・プロトコル」(55点/モンスター)

■■■「ダーク・プロトコル」■■■
(55点/モンスター)


 山奥の地下壕に作られら極秘のバイオ研究所が、何者かの襲撃を受けロックダウンされる。


 研究所から救援の依頼を受けた傭兵のベケットたちは、研究所に閉じ込められている女性科学者のクロエを救出するために、襲撃者である謎の部隊をかわして施設へと侵入するが、その施設は氷河で発見された『謎の生命体』と人間の遺伝子を融合させるという秘密の研究が行われている驚くべき場所だった。


 『謎の生命体』の遺伝子に感染する事で怪物と化した科学者と、謎の襲撃者たちの攻撃を避けながら、なんとか科学者と合流した彼らは科学者から『謎の生命体と人間の融合体である『アダム』を襲撃者の手に渡してはならない』という話を聞かされるが…

 


 謎の生命体と人間の遺伝子を融合させる実験を行っている秘密の研究所に科学者の救助に訪れた傭兵部隊が、謎の敵部隊と正体不明の怪物たちの襲撃を受ける…という、モンスターパニック映画。


 『傭兵部隊の面々が謎の地下施設で正体不明の怪物と戦う』という、なんとなくバイオハザード」っぽいテイストのある作品です。


 お話の方も設定どおりに割と直球ストレートな内容と言う感じで、『傭兵部隊が地下施設で怪物や敵部隊の襲撃をかわしながらなんとか施設からの脱出を図る』という、ほぼそれだけのストーリー。


 そこまで捻りは無い設定ながらも、お話の大半の部分が戦闘シーンと怪物から逃げているシーンで構成されているため、テンポが良くて退屈しない作りになっているのは悪くありません。


 戦闘シーンに関しては無駄に気合が入っており、思った以上にシッカリと作られている印象で、特に『地下施設に入る前の敵部隊との戦闘』が妙に本格的で、むしろ地下に入ってからの怪物との戦闘よりも迫力がある内容になっており、もはや『何の映画なんだ』とツッコミを入れたくなるような部分も…(笑)
 (もしかしたら、監督は本当は『特殊部隊による戦争もの』を作りたかったんじゃ?)


 地下施設に侵入してからは、人間(感染した科学者)が変異した『怪物』との戦闘がメインとなるのですが、この怪物がバイオハザード」の『リッカー』みたいなデザインなのものの、特にデザイン的に面白味が無くて怪物としてもあまり魅力的に描かれていないのは残念なところ。


 地上での敵部隊との戦闘が矢鱈と気合が入っていたんだから、怪物との戦闘ももっとアクションシーンとかに気合を入れて作って欲しかったです。(怪物の着ぐるみが、あまりアクションに向いてない作りなのかもしれませんが…)


 あと、割とオーソドックスな閉鎖環境からの脱出を描いた『サバイバルもの』的な展開ではあるのですが、後半でちょっとした捻りっぽい設定があって、ラストは割と先の読めない展開になっているのも、なかなか悪くないところ。


 ただ普通に良い感じに終わらせておけば良いのに、『あのオチはちょっと蛇足じゃない?』という気がしたのは自分だけですかね?

 


 総評としましては、割とキチンと作られた『アクション要素強めのサバイバルホラー映画』って感じですね。


 ちょっと推すには弱い内容ではあるものの、バイオハザード」とかそういった系列の作品が好きであれば、それなりに楽しめる内容ではないかと…


 気になるようであればチェックしてみても良いかもしれませんが、特に急ぐ理由が無いようであれば、レンタルが安くなるかどこかの配信サイトのサブスク入りを待っても良い程度の一本かもしれませんよ。

映画感想:「トジコメ」(45点/サスペンス)

■■■「トジコメ」■■■
(45点/サスペンス)


 2人の幼い子供を持つジェシカは、薬物依存症でDV夫であるロブと決別すべく、祖母の残してくれた家から引っ越しの準備をしていた。


 そんな彼女の元へ、夫のロブが同居人のサミーを伴って来訪。
 自分を捨てて逃げようとするジェシカに激昂した彼は、彼女をドアが壊れて内側からは開ける事が出来ない貯蔵庫に閉じ込めてしまう。


 幼い娘たちと離れ離れにされた彼女は、どうにか倉庫から脱出できないかと試行錯誤するが、そんな彼女の元に夫の同居人のサミーのみが再び訪問。


 サミーが小児性愛者(ペドフィリア)の犯罪者だという噂を聞いていた彼女は、なんとかして娘たちを彼から守ろうと画策するが…

 


 DV夫によって内側からは開ける事が出来ない倉庫に閉じ込められ幼い娘たちと離れ離れにされてしまった女性が、子供たちを守るためになんとかして倉庫からの脱出を図る…という、サスペンススリラー映画。


 「アオラレ」等に続く、カタカナ四文字系スリラー映画の最新作…って、実際にそんなジャンルがあるのかは不明ですが、なんとなくそういった方向性を意識した新作という感じのタイトルですね。


 ちなみに現代は「SHUT IN」(閉じ込める)というタイトルなので、ネタではなく割と英語タイトルに忠実な邦題だったりします。


 お話としては、『DV夫によって倉庫に閉じ込められた女性が、幼い娘と赤ちゃんを守るためになんとかして倉庫から脱出しようとする』という基本的にはそれだけの、いわゆるワンシチュエーション系のスリラー映画という感じ。


 流石に『倉庫に閉じ込められただけ』では危機感が無さすぎるので、古びた建物と寒気のせいで赤ちゃんの身が心配だったり、ペドフィリアで犯罪者の夫の友人が訪ねてきたり…といった風に、危機的状況を作りだすような作りにはなっています。


 ただぶっちゃけて言ってしまうと、危機感が演出されてはいるものの『どうにもダルい映画』という感想を抱いてしまうような内容というのが正直なところ。


 主人公が閉じ込められてから本格的にお話が動き出すまでの尺が妙に長くて、それまでは『倉庫に閉じ込められた主人公が自分語りをしつつダラダラと過ごしているだけ』みたいなシーンが続くため、観ていても差し迫った緊張感が感じられ無くてどうにも冗長。


 『薬物中毒から立ち直った主人公が、なんとかして更生して新たな人生の道を歩み出すまで』みたいなのがメインテーマとなっているため、お話の構成としては正しいのでしょうが、ただでさえ『狭い倉庫の中』が舞台で絵的な変化の少ないワンシチュエーションスリラー映画である事を考えると、もうちょっとテンポの良さや緊張感が無いと観ていて厳しいです。


 またペドフィリアの友人』も、そこまで悪い事をしていない割には矢鱈と酷い目にあわされて、正直なところちょっと気の毒に感じてしまいますし、むしろ『子供たちを守るため』とはいえ、割ととんでもない事を平気で仕出かす主人公の方がちょっと恐怖を感じるレベルなのは、スリラー映画としていかがなものかと…


 ただ、ラスト付近までは割とダラダラした展開が続きつつも終盤付近は結構盛り上がりますし、オチの落とし方もなかなかキレイでテーマ性も分かりやすいですので、まあ要所をキチンと押さえているという意味ではその辺は悪くなかったかなぁ…という感じでしょうか?

 


 総評としましては、『いまひとつテンポが悪く盛り上がりに欠けるワンシチュエーションスリラー映画』という感じの作品ですね。


 アイデアとしては悪くないと思うのですが、もうちょっと見せ方なりストーリーなりに工夫をして、緊張感やら恐怖感を演出できていればなぁ?


 ストーリーやらシチュエーションやらが気になるようであれば、観てみてもそこまで悪くない映画だとは思いますが、個人的には『オススメするにはちょっと弱い作品かな…』というのが正直な感想でしたよ。

 

映画感想:「シャーキュラ 吸血鮫」(30点/モンスター)

■■■「シャーキュラ 吸血鮫」■■■
(30点/モンスター)


 数百年前、村人たちによって海へと追い詰められて心臓にナイフを突きさされたドラキュラ伯爵は、海に落下してホオジロザメに食われそうになったところで、ホオジロザメと契約して彼に自分の力を分け与える事で生き延びることに成功する。


 そして現在、アーカムと言う海辺の田舎町に出稼ぎにやってきたアーサーとジョンは、町の支配者であるコンスタンティンと名乗る人物の元で働くこととなる。


 しかし、『村人との交流の禁止』や『夜間外出禁止』という奇妙なルールや、夜になると砂浜に集まって謎の儀式を行う住人達に不信感を抱くようになる。


 更に海で『目が赤く光る巨大なサメ』を目撃したうえに、町で知り合ったミーナという女性から『町からすぐに脱出するように』という警告を受けるが…

 


 瀕死の重傷を負ったところを『ホオジロザメと契約』する事で生き延びたドラキュラ伯爵の支配する町へと訪れた二人の男性が、吸血鬼と吸血鮫との恐怖にさらされる…というモンスターホラー映画。


 Z級のクソモンスター映画を乱発する事でお馴染みのマーク・ポロニア監督による新作ですが、今回は吸血鬼とサメが合体した『シャーキュラ』を題材としたお話のようです。


 以前に、サメとフランケンシュタインが合体した「シャーケンシュタイン(旧タイトル:フランケンジョーズ)」という映画を撮っていた同氏なので、ある意味で自然な流れと言えるかもしれませんし、この調子で行くと次回は狼男と合体した「シャークルフ」辺りが撮られる可能性があるという事でしょうか?


 今回は『サメと吸血鬼』の合体という事ですが、人食いザメに噛まれたら大概の人は吸血鬼だろうがなんだろうが関係なく死ぬので、シチュエーション敵に『あまり意味が無いんじゃ…』とか思いながら観てみたのですが、意外にもシッカリと設定が活かされたストーリーになっていて、逆に驚かされましたよ。(笑)


 お話としては『殺されかけてサメに食われそうになったドラキュラ伯爵が、サメと契約する事で力を共有して生き延びるんだけど、ドラキュラ伯爵は「吸血ザメ(シャーキュラ)」に忠誠を誓う奴隷のような存在になってしまっており…』とかっていう、なかなか個性的な設定。


 奇抜な設定だけあってか割と本気で先の展開が全く読めないようなお話になっており、破天荒なストーリーという部分では予想以上に楽しませてくれます。


 ただ先が予想出来ないというだけで、お話そのものにグテグテな部分は多いですし、映像や演出が相変わらずとんでもなくお粗末で酷い出来なのは通常運転という感じでご愛敬。


 主人公たちが泊まる事になる宿屋がどうみても普通の民家(というかスタッフの関係者の家?)だったり、ドラキュラ伯爵が『村の支配者』という設定の割には教団員が3人ぐらいしか居なかったりと、設定と不釣り合いなショボさが笑わせてくれます。


 シャーキュラのCG(というか単なるハメ込み合成?)の出来も相変わらず酷く、同じポロニア監督の「シャーケンシュタイン」や「ランドシャーク」に比べても低レベルで、殆どのシーンが『2~3枚の写真を使いまわして映像に重ねてるだけ』という体たらく。


 また、ドラキュラ伯爵は割とキャラが立っていて悪くないものの、タイトルにもなっているシャーキュラの出番が物凄い少ないのは困りもの。
 『たまに海から上陸してきて生贄にささげられた人間を食べる』程度しか出番が無くて、あまりにも存在感がなくて影が薄すぎます。


 せっかく面白い設定なんだから、もうちょっと個性を活かして活躍するシーンを見せて欲しかったかなぁ…


 オチとかもちょっとアッサリし過ぎで物足りないですし、プロットそのものが割と面白かっただけに、色々と余計に残念な気持ちになる作品でしたよ。


 あと、どうでもいいけど『砂浜でひたすらファイヤーダンスを踊っているお姉ちゃん』は、最後まで正体が明かされませんでしたがいったい何者だったんでしょうか?(笑)

 


 総評としましては、ポロニア監督らしい『相変わらず酷い出来の超低予算Z級モンスター映画』って感じの作品です。


 それでも、マーク・ポロニア監督の作品の中ではまだ『観れるレベル』ではあるのですが、逆にダメさ加減が減ってしまってバカ映画好きの人にオススメし難くなってしまっているのは難点かなぁ?


 まあ、クソ映画やネタ映画が好きな人であれば割と楽しめる作品にはなっていますので、そういう方向で気になっているのであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「インクレディブル・バルク」(8点/アクション:ある意味オススメ)

■■■「インクレディブル・バルク」■■■
(8点/アクション:ある意味オススメ)


 軍からの依頼で、生物の身体能力を大幅に強化して人間を超人化するための血清の研究を続けていた科学者のハンクは、実験の研究の成果が出ないせいで研究が打ち切られると告げられた事への焦りから、自分自身に血清を打ち研究を強行。


 しかし薬の副作用によって、怒りを感じると『紫色の巨人』に変身してしまうようになった彼は、街で大暴れした後に刑務所へ入れられる事になってしまう。


 その後、米軍によって刑務所から極秘に身柄を引き取られた彼は、『血清の解毒剤』を渡す事と引き換えに、その能力を用いて全世界に無差別にミサイル攻撃をしかけるマッドサイエンティストの『カントラブ博士』の暗殺を命じられるが…

 


 人間を超人化する血清の副作用で『紫色の巨人』に変身するようになってしまった科学者が、軍の命令で悪のマッドサイエンティストと戦う…という、ヒーローもの風味のアクション映画。


 超低予算映画を配給する事でお馴染みの、コンマビジョンさんによる超低予算Z級アクション映画の新作ですね。


 相変わらずの物凄い低品質のとんでもないレベルのクソ映画なのですが、今回はなんと『最初からアマゾンプライムで提供される』という事で、アマゾンプライムの会員であれば『なんでこんな映画を金を払って観てるんだろう…』という疑問を持たずに鑑賞できるという、素晴らしい仕様となっています。
 (いやクソ映画と把握して観ているとはいえ、「デス・トイレ」とかにお金を払って鑑賞するのは正直辛かった。(笑))


 とまあお金の話はさておくとして、設定やらタイトルからして色々とヤバい空気の漂っている本作(『ハルク』ではなくて『バルク(筋肉量)』ですからアクマで別物です!!)ですが、実際の中身の方もとにかく『酷い出来の作品』という以外の言葉が出てこないような凄まじい完成度。


 映画の全編がCG合成で作られている…というと、なんとなく聞こえが良いですが、全てのシーンが『取って付けたようなビックリするほどショボいCG合成』で作られているという謎の仕様で製作されているんですよね。

 

 合成映像がアクションシーンとか怪物の出るシーンのみであれば、まだ『単に特撮がショボい映画』という事で意味が分かるのですが、『街中を普通に歩くようなシーン』やら『研究室で会話しているだけのシーン』とかまでも、何故か矢鱈とチャチなCG合成で作られているという良く分からない状態。


 シーンによっては『いや、もうそれ普通に現地で撮った方が早いやろ!!』とツッコミを入れたくざるを得ません。


 もしかしたら『アメコミ風の背景と実写の合成』みたいな表現をやりたかったのかもしれませんが、それにしては合成される背景の映像がショボすぎ(シーンによっては『PC標準のペイントツールで描いたような背景』になる)ですし、更には歩くシーンやら走るシーンが『その場で足踏みして背景だけがスクロールする』という超低予算のコントのような描写で表現されていたりと、全てのカットにおいて『こいつら何やってるねん!?』と言いたくなるようなシーンの連発。


 この辺は、口で説明するよりも予告編とか抜粋されたシーンを観ていただいた方が分かりやすいかと…


【予告】インクレディブルバルク
https://youtu.be/Imkv9NKaHvo
https://twitter.com/Munenori20/status/1535190878490226688?s=20&t=BzxUQwryDZndFvBr_q3NmA


 映像のインパクトだけでもう既にお腹いっぱいな感じなのですが、ストーリーも基本的に本家(インパクト・ハルク)を10倍ぐらいに希釈して、しょうもないパロディやコメディの要素を混ぜ込んだようなグテグテっぷり。


 それでもまだパロディ要素が面白ければ耐えられるのですが、宇宙船のドッキングシーンのピストン運動を延々と見せられたり、安っぽいソーシャルゲームのキャラみたいなのが唐突に画面に登場したりと、理解不能のノリのシーンが多すぎてどこで笑っていいのか良く分からないレベルなのは困りものです。


 アクションシーンの見せ場なんて当然ながら皆無ですし、ラストのオチも酷すぎる終わり方ですし、なんというか『掛け値なしのクソ映画』と評価するのに相応しい作品という感じでしたよ。

 


 総評としましては、これ以下の底辺は探すのが困難なレベルの『超低予算低レベルZ級アクション映画』って感じの内容です。


 ただ、あまりに酷すぎてツッコミを入れずに観れるシーンがワンカットたりとも存在しないような完成度ですので、一周まわって逆の意味で楽しめてしまうのは本作の最大の利点かと…(笑)


 アマゾンプライムとかその他のサブスク系配信でも無料で観れるようですし、ネタ枠としてチェックしておくのであれば十分にオススメできる一本と言えるので、暇な人やら興味の湧いた人はチェックしてみても良いかもしれませんよ。
 (どこかの動画配信者とかが『同時視聴企画』でもやれば結構人気になりそうな作品の気がしますが、どうですかね?(笑))

映画感想:「モンスターハント 弩弓の戦い」(60点/モンスター)

■■■「モンスターハント 弩弓の戦い」■■■
(60点/モンスター)


 村に害をなす蛇を狩る『蛇王』の息子である裴元(ペイユエン)は、父と共に身の丈3丈(9m)の大蛇の退治に赴くが、寸でのところで狩りは失敗。
 目の前で大蛇に父を殺された事がトラウマとなり、蛇恐怖症になってしまう。


 そして十数年後。
 村では新たな『蛇王』を決める選手戦が開催される事となり、その狩りの腕前と幼なじみで村長の娘である小秋(シャオチウ)の推薦で『蛇王』に立候補する事となったペイユエンだったが、シャオチウに横恋慕する鉄男(ティエナン)が対立候補として出馬する事となり評議は難航。


 そんな矢先に、村に税金を取り立てるために都から大隊長の息子が訪問。
 大隊長の息子は、高い税率と横暴な態度から村人とトラブルを起こしたうえに、乱闘中の事故で命を落としてしまう。


 息子の死を知った大隊長の追及を避けるために、『村を襲う大蛇に殺された』と嘘をついた彼らだったが、大隊長は村人たちに『三日以内に息子を殺した大蛇を狩って来なければ村人の全員を殺す』という恐るべき宣告を突きつけるのだった…

 


 中世の中国の『蛇狩り』の一族の村の住人が、とある事情から怪物のように巨大な大蛇と戦う事となる…という、ファンタジー風味のモンスターアクション映画。


 最近流行っている中国製の巨大生物映画の新作の一つ…って、最近、同じようなフレーズを連投しまくってる気がしますが、今回は巨大生物ものといっても『モンスター映画』というよりも『ファンタジー映画』というテイストが強い感じの作品ですね。


 『何故か蛇に異常なぐらい襲われる村の住人が、大蛇から身を守るためにハンターとなって狩りをする』という、なんとなくゲームのモンスターハンター」を髣髴(ほうふつ)とさせるような設定のお話ですが、美術デザインやら世界観からもモンスターハンターから影響を受けている雰囲気が感じ取れるような作りで、『ゲーム系のインスパイア作品』という印象の内容です。
 (そう考えると「モンスターハンター」っぽい本作の邦題は、割と的を射ているタイトルと言えるかも?)


 ゲームっぽい世界観のファンタジー作品ですが、ファンタジー系のアクション映画としては意外とシッカリと作られた良作という印象。


 『大蛇狩り』がメインとなっているものの、虎や狼の群れと戦うシーンがあったり、軍隊との乱闘シーンがあったりと、お話が単調になって退屈しないように色々と工夫して見せ場を準備しているのは良い感じ。


 主人公やその周辺のキャラクターたちもステレオタイプではあるものの非常に魅力的で、キャラの掘り下げもシッカリと行われていますし、ヒロインがなかなか可愛いのも好感触。


 メインである『主人公がトラウマを克服する流れ』も非常に丁寧に描かれているものの、過剰に人間ドラマに尺を割く事もなく冗長な作りになっていないのも良く出来ています。


 全体的に非常にバランスよく作られた作品という印象ですね。


 ただ不満点を挙げるとしたら、メインとなる大蛇の登場シーンが意外と少なくて、ちょっと物足りなさがあるところ。


 大蛇の怖さや巨大なサイズ感もいまひとつ表現しきれていない雰囲気だったので、大蛇を目的て観るにはちょっと弱いかなぁ…

 もうちょっと大蛇の活躍シーンを増やして大暴れさせて欲しかったところですよ。

 


 総評としましては、『意外と良く出来た良作レベルの中華ファンタジー系アクション映画』って感じの作品ですね。


 強く推すほどではないものの、見どころもそこそこあって普通に楽しめるレベルのアクション映画という印象でした。


 モンスターハンター」的な世界観やノリが好きであれば、予告等を観て気になるようであればチェックしてみるのも悪くないかもしれませんよ。