NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ヘルボーイ」(65点/アメコミ系アクション)

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■■■「ヘルボーイ」■■■
(65点/アメコミ系アクション)

 1944年にナチスドイツはイギリスのストーンサークルにて、極秘裏に「ラグナロク作戦」を決行し地獄と現世との扉を開こうとするが、アメリカのコマンド部隊の奇襲によって作戦は阻止される。
 実験は失敗に終わったかに思えたが、しかし、その場には一人の真っ赤な体をした悪魔の少年が召還されていたのだった。

 そして60年後。
 アメリカ軍の手によって保護され、その容姿からヘルボーイと名付けられた彼は、ナチの残党と戦いオカルト現象を食い止めるために新設された「超常現象捜査局」の隊員として、世界各地の出没する魔物達を退治し続ける任務についていた。


 同名のアメリカン・コミックスのタイトルを実写化した、ダークヒーローもののアクション映画。

 劇場で公開された時から観ようと思ってたタイトルだったんだけど、原作コミックを買ったまま読まずに積みっ放しになっていたので、『原作を読んだら観よう』とかって、思っているうちについつい先延ばしになってしまい、今更ながらに鑑賞しました。

 監督はミミックブレイド2」で頭角を表し、今やメジャー監督の仲間入りを果たしたギレルモ・デル・トロ監督。

 この監督は、割とウェットなジメジメとした絵作りは得意なんだけど、スカッと痛快って印象は薄くなる感があるので、正直な所、ヒロイックなアクション色の強いブレイド2」では『イマイチだなぁ…』と感じたのですが…
 今回は、原作からしもともとダークな印象の絵作りで、軽快というよりは重量感のあるヘルボーイのアクションには絶妙にマッチしており、非常に良い仕上がりを見せております。

 このヘルボーイという作品、原作コミックでは割とマンガ調で線が少なく原色が強いというスタイリッシュな感じの絵柄なのですが、映画版は主人公がオッソろしくリアルなオッサン顔になっており、観る前には『正味の話、コレはどうだろう?』と思っていたのですが、実際に動いてる画面を見るとコレが意外に違和感が無くて、10分ぐらいで慣れました。

 映画の内容は、なんともアメコミらしいというか割とベタベタのご都合主義的な展開なのですが、キャラの描き方が上手く非常に良く描き込まれているのが特徴で…
 特に、主人公のヘルボーイどう見てもゴツい悪そうなオッサンにしか見えないのに、好きな相手がデートするのをこっそり跡を付けて石を投げて邪魔をしたりとか、妙に子供っぽくて可愛い所なんかが相当笑いを誘います。

 最大の見所であるアクションシーンに関しては非常に良く出来ておりヘルボーイの重量級という表現が相応しいパワフルな戦いは非常に見ごたえがあります。
 敵モンスターのデザインなんかもグロくて不気味なんだけど、どこかカッコ良いというテイストを上手く出しておりデザインセンスが非常に秀逸で、ホラー的なカッチョ良い映像で魅せる事が得意な、デル=トロ監督の面目躍如といった所。

 ただし尺が2時間強という長丁場の割には、ストーリー自体が有って無いも同然みたいな内容なので、途中で少々中だるみする感があるのは辛いところ。

 しかも、無駄に長い割にはキャラクターの描き込みに対して世界背景の設定等についてはあまり語られてない部分が多く、オチも非常にご都合主義的で良く分からない部分が多くて、何だか『うやむやのウチに無理矢理大団円にしちゃいました』みたいな感が強いですが…。
 (結局、『ヘルボーイの角が伸びたから何やねん?』とか『最後に出てきたクトゥルフの「黒い小山羊」みたいのは何者なの?』とか…ツッコミだすとキリが無い。)

 まあ恐らくは、監督的にも『そういう部分はあまり気にしないで、素直にアクションと映像を楽んで下さい』というノリを狙った映画なのでしょう。

 総評としましては、あまり深い事を考えずに、ヘルボーイというキャラクターとアクションを思う存分楽しもう、というようなスタンスで観れば結構面白い映画だと思います。

 とりあえず単純に絵的に観てて面白い作品なので、何も考えずに観れるタイプのアクション映画が好きなら、十分に観る価値はあるでしょう。
 アメコミヒーロー物とか好きなら文句無くチェキの方向です。

 逆にホントに内容の無い話なので、そういう映画が苦手ならスルーの方向でOKでしょうか?