NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「プリースト」(55点/アクション)

イメージ 1

■■■「プリースト」■■■
(55点/アクション)

 人類とヴァンパイアの長期に渡る戦争によって文明が崩壊した世界。
 人類はヴァンパイアと対決するために肉体強化した究極の戦士『プリースト』を生み出す事によって戦争に勝利し、ヴァンパイアたちを『居留区』と呼ばれる地域へ封じ込める事に成功。

 わずかに戦争を生き伸びた人類は教会の築いた壁の中の『シティ』に撤退し、ヴァンパイアの脅威の無くなった世界では、プリーストたちは解散させられヴァンパイアの存在もも忘れられつつあった。

 そんなある日、荒廃地域で環境の復旧作業を行うオーウェンたちの一家がヴァンパイアの群れに襲われ、娘のルーシーがさらわれるという事件が発生する。

 オーウェンの兄である『プリースト』は、姪の救出任務を行うためにプリーストの権限を復旧することを教会に申し出るが、教会は市民を混乱させないために救助に行くことを禁じてしまう。

 しかし彼は破門になる事を覚悟で、事件の目撃者である保安官のヒックスと共に荒廃地域へと姪の救助へと赴くが…



 ヴァンパイアと人間との戦争によって荒廃した世界で、肉体強化された戦士が姪を救うためにヴァンパイアと戦うというアクションホラー映画。

 何かいかにもアメコミ風の設定のお話ですが、実際にそのとおりで同名のグラフィックノベル(いわゆるアメコミ)を原作とした映画化作品のようです。

 流石にアメコミがベースだけにビジュアルとかはカッコ良いんですが、なんと言いますか全体的に微妙というか『物足りなさ』を感じる作品ですねぇ。

 文明が荒廃し『教会』を中心に再構成された世界や、高い壁に囲まれた都市、地下に隔離されたヴァンパイアたち…といった感じの世界観はかなり独特で面白いです。

 またビジュアルもなかなかカッコ良くて、十字架をベースとした短剣や十字架が変形する手裏剣といった武器やら、なかなか見るべき要素もあるのですが…

 映画として見ると、全体的にどのシーンもボリュームが少なすぎて見せ場としてのインパクトが弱いんですよね。

 何が辛いって、世界観がかなり独特なため『世界観の描写』に結構な尺を割いているんですが、それでも尚かつ説明不足な感があって、全体的にちょっと難解で分かり辛い。

 更に、その尺のシワ寄せを受けてか主人公たちの『キャラクターの描写』がアッサリとした感じになってしまっており、今ひとつお話に入り込めない事や、敵のボス的なキャラが出てきても『誰だよお前?』って感じで盛り上がらないといった弊害が…

 またアクションは割と良く出来ているんですが、これまたアクションシーンがあまり多くなくて全体で見ると冗長な感じになってしまっていのも困りもの。

 世界観をシッカリと描きたいなら全体的にもう少し尺がある作品にするか、あるいはアメコミベースという事で割り切って世界観は雰囲気のみで『アクションシーン重視』で派手にお話を描いた方が痛快で面白い作品になっていたんじゃないかと…

 最後の敵陣に乗り込むシーンとか、敵のボスとの対決とかも『えっ、それで終わりなの?』って感じでやけにアッサリしてるし…もうちょっとその辺はシッカリと丁寧に描いても良かったんじゃないかなぁ?


 総評としましては、何と言いますか『個々の素材は悪くないんだけど今ひとつ盛り上がりに欠ける映画』といった感じでしょうか?

 見せ方しだいでは、もっとトンガった作品に仕上げる事も出来てたと思うので、どうにも惜しい印象を受ける一本といった感じですねぇ。

 とは言ってもB級アクション映画としての完成度は低くは無いので、その手の作品が好きな人や、原作のアメコミを知ってて『どんな風に映画化されてるか観てみたい』というような人であれば、とりあえずチェックしておいても損は無い作品だと思いますよ。