■■■「ホネツギマン」■■■
(40点/アクションコメディ??)
過去に、整体師としての勉強をするために、厳格な性格の薬剤師である父親と対立し家を飛び出していたエディは、下積みの修業の後に念願である整体師の資格を得る。
整体師として起業出来るだけの実力を得た彼は、生活を支える為に副業として行っていた地方プロレスでの「ホネツギマン」としての興行を引退し新婚の妻と共に故郷の街へと凱旋。
彼の実力を認めた父とも和解し、故郷の街で家族と共に整体師として診療所を開き、全てが順調に幸せに向かっていくかに思えた…
しかしそんな矢先、彼が家族の下を留守にして居る間に、父の薬局にマフィアの地上げ屋が訪れ、銃を乱射して彼の両親と妻を撃ち殺してしまう。
ショックのあまり心神喪失状態に陥った彼は、再び「ホネツギマン」のコスチュームを身に纏ってリングに上がり、並み居る他のレスラー達を薙ぎ倒して『この世から悪と背骨の歪みを無くす為に戦う』と声高らかに宣言するのだった。
えーと、何と言いますか…タイトルやパッケージからして、てっきりヒーロー物のコメディか何かかと思っていたのですが、その実体は何が言いたいんだか良く分からない超絶微妙な謎映画。
敢えて言うならカルト映画みたいな気もするんだけど、カルトって程は妙なノリでも無いんだよなぁ…
何か、もう感想書くのに困るような内容なので、完璧ネタバレですが粗筋をザっと書いてみます。
映画が始まって、いっとう最初に主人公が整体師を目指すようになった理由とか、「ホネツギマン」になるまでの経緯とか、父親と対立するようになった理由とかが語られるのですが…
そんなもん5分ぐらいに纏めろよとか思うのですが…何を思ったのか、主人公の小学生の頃から今までに到る半生が延々と語られ、このシーンだけで無意味に30分ぐらいの尺があります。
そして主人公の半生が語られた後に、対立していた父との感動の和解のシーンへと繋がるのですが…
この感動の再開の5分後ぐらいに、通りすがりのマフィアの地上げ屋によって両親と奥さんが一瞬で殺されます。
まったくもって、情け容赦どころか血も涙も無い世界残酷物語・オブ・ジ・イヤーな展開です!!
しかも、この地上げ屋ってのが松葉杖をショットガンに改造した下半身不随の障害者マフィアと、エルヴィスもどきの格好をして『サンキュー』を繰り返すマフィアの部下。
その変なキャラクターは、もしかして俺に笑って欲しいのですか?
この事件にショックを受けて(そらショックも受けるわ)心神喪失状態になった主人公は、何故か再びホネツギマンのコスチュームを着てリングに上がり、意味も無くレスリング会場に居る顔馴染みのレスラー達をボコボコにするのですが、ここで整体師らしく相手の足首を360度回転させてみたり、関節をあらぬ方向に曲げたりといった痛そうな技を連発します。
しかもリング上でマイクパフォーマンスで宣言するセリフが、
『この世の悪は、全て人間の体の背骨の歪みから来る物だ。
だから自分は社会の悪と背骨の歪みを無くす為に戦う。』
みたいな突拍子も無い事を語りだします。
なんつーか、全編に渡ってそんなノリで『ここって、もしかして笑うべき所なの!?』って言うような中途半端なネタの連発です。
その後も、街のゴロツキ達の関節を外しまくってボコボコにしてみたりと、終始笑わせようとしてるみたいなんだけど、乾いた笑いしか出てこないようなシーンの連続。
このまま暴走してヒーローとしてマフィア達と戦うのかと思いきや、途中で主人公はマフィア達に捕まって、ドラッグを打たれて操り人形にされ、ドラッグの密輸を手伝わされてみたりとヘタレっぷりを発揮。
いろいろあって、最終的には奥さんが実は生きていた事を知り正気を取り戻した主人公が、マフィア達をやっつけて両親の仇を討って終わりとなる訳ですが…
意味も無く散々ボコボコにしたレスラー達やゴロツキ共の数十人への傷害罪は『心神喪失状態だった事が認められた』として、何のお咎めも無しに無罪放免となり、晴れ晴れとした顔の主人公が奥さんと幸せそうに暮らすシーンでエンドクレジットへと突入。
いやいや、あんなに罪も無い通りすがりの人をボコボコにしといて、幾らなんでもソレはあんまりだろう…
しかも、奥さんは生きてても両親は死んだままだし…
本当にそれで良いのか、ホネツギマン!?
とまあ何と言いますか、笑わせたいんだか何だか分からないシーンが余りにも多く、終始微妙なネタが連発されるお陰で90分間半笑いみたいな顔になってしまうという、とても困った映画です。
面白かったかどうか?と聞かれると…もっと正義のヒーロー「ホネツギマン」が整体の技を駆使して、この世の悪と背骨の歪みを直しまくるような痛快なアクションコメディを期待してたのですが…
なんか期待してたのと全然違ってて、正直なところイマイチ。
同じブラックな描写があるにしても、「悪魔の毒々モンスター」みたいになんとか笑えるレベルなら良いのですが、中途半端に不謹慎なネタが多くて、笑って良いのかどうか迷うようなシーンがムチャクチャ多いのですよ…
総評としましては、なんといいますか超絶微妙ノリの変な映画です。
物凄くツマんないという訳でも無いですが、痛快って程に面白い訳でも無く、ネタ映画として観るにも微妙なレベル。
自ら進んで微妙な気分に浸りたいって人ならば観るのを止めはしませんが、少なくとも友達や恋人と一緒には観ない方が良いでしょう。
きっと、映画を観終わった後の会話に困って、気まずさ200%みたいな気分になりますから…。