■■■「新トレマーズ モンゴリアン・デス・ワームの巣窟」■■■
(55点/モンスター)
モンゴルでで伝説の秘宝を探すトレジャーハンターのダニエルは、探し求めていた手がかりを遂に手に入れ秘宝まで後一歩のところまで近づく。
そんな矢先、中央モンゴルのセペガルという村に向かう途中で車が故障して立ち往生していた、ボランティア医師のアリシアを偶然にも助けたダニエルだったが、村へと向かう途中で同じ秘宝を狙う地元のマフィアのカオランによって、彼女ともども捕らえられてしまう。
彼らはカオランのアジトへと連れて行かれるが、奇しくも大企業の掘削作業の影響によって目覚めた『モンゴリアン・デスワーム』の群れが彼らのアジトを襲撃。
混乱に乗じて脱出した彼らだったが、更にはデスワームの群れはセペガルの村へと接近しつつあったのだった…
チンギス・ハーンの財宝を探す主人公が墓の守り主であるモンゴリアン・デスワームの群れと戦うという、モンスターパニック映画。
「新トレマーズ」とかタイトルに付いていますが、もちろん「トレマーズ」とは何の関係もないお話ですな。
原題はズバリ「MONGORIAN DEATH WORM」というタイトルですが、このモンゴリアン・デスワームというのはゴビ砂漠辺りに生息すると言われている実際のUMA(未確認生物)で、巨大な芋虫のような姿をしており毒を吐いて人間を殺すと言われています。
ちなみに、本作に登場するモンゴリアン・デスワームは「トレマーズ」ぐらいのサイズがあって人間を丸呑みにしますが、実際(?)のデスワームは1.5mぐらいと言われており、ここまでデカくはないようです。
とまあデスワームの話はさておき本作の内容に関してですが、パッケージを見ると何となく「ハムナプトラ」っぽい印象を受けるデザインですが、実際の内容の方も「ハムナプトラ」+「トレマーズ」といった感じの作品ですね。
ただ低予算な作品のため、当然ながら「ハムナプトラ」のような迫力やスケールは無く、全体的にちょっとショボ目。
まあモンスターのCGとかは割と頑張っており、襲撃シーンもそこそこ多くて見せ方とかも上手いため、モンスター映画としてはそこまで低予算さは感じさせない印象ですが…
ただ襲撃の方法にあまり芸が無い事と、モンスターが体のサイズの割に物凄く打たれ弱くて拳銃の2~3発で死んでしまう事から、何だか『ショボいモンスター』という印象を受けてしまうのが残念なところです。
ストーリーの組み立てとかもちょっと難があり、序盤のデスワームと関係のないマフィアとのイザコザが意外と長かったり、そのクセにマフィアは速攻でデスワームに食われるだけの噛ませ犬だったり、序盤はお話にどう絡んでいるのか分からない『密輸を働く掘削プラントの所長』の話が矢鱈と尺を取ってたりと微妙に無駄の多い作り。
つか、この配役なら最初からプラントの所長を悪役にして、地元のマフィアとか出す必要は無かったような…
また、テーマとして『チンギス・ハーンの財宝』とかを取り扱ってる割には、低予算のせいで作品自体のスケールが小さすぎて思いっきり『設定負け』している感じなので、そこまで欲張らずに『身の丈にあったスケールで作品を描いておいた方が、全体的な完成度は上がったんじゃないか?』と言う気がするのは悩ましいところですね。
あと、どうでも良いですが本作は主人公のキャラクターとかも良く立っており、何となく「ハムナプトラ」風のシリーズとして『続編を作る事を見込んだっぽい内容』なのですが、タイトルに「新トレマーズ」とか付けちゃって、もし『地底生物』とは関係のない続編が製作されたらどうするつもりなんだろうか…
まあ、そこまで人気が出る作品とも思えないので、あまり気にする必要も無いのかもしれませんけどね。
総評としましては、全体的な完成度はそこまで低くは無いのですが『派手な設定の割には小ぢんまりとして物足りなさを感じる映画』ってのが正直なところですね。
全体的にもう一歩突き抜けた部分があれば、もっと良い作品になったんじゃ無いかと思うので、予算の問題にせよセンスの問題にせよちょっと残念な部分を感じる一本ですね。
ただ、純粋に『B級モンスター映画』として観るとそれなりに良く出来ては居る作品ではあるので、そちらを目当てで観るのであればそこまでガッカリする内容ではなく、そこそこ楽しめる作品なのではないかと…