NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ゼイカム-到来-」(40点/サスペンス)

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■■■「ゼイカム-到来-」■■■
(40点/サスペンス)
 
 とあるクリスマスの夜。
 ニックは恋人のアンジを紹介するために、疎遠になっていた実家を訪れる事となる。
 両親や姉夫婦と共にクリスマスを過ごす彼らだったが、もともと家族との仲が良くない事から、よそよそしいギスギスとした空気になってしまう。

 いたたまれない空気に耐えれなくなったニックたちは、早朝の家族が目を覚ます前に密かに帰ろうとするが、いつの間にか家の外の全てが奇妙な金属のシャッターのようなもので囲まれており、家から出れなくなっている事に気づく。
 
 テレビに「外出せずに屋内にとどまるように」という緊急放送らしきメッセージが表示されていた事から、大規模なテロか何かが発生したせいで隔離されているのではないかと考えた彼ら一家は、外部との連絡が取れないままなんとかして事件の原因を突き止めようとするが、そんななか家族の一人の体調に変調が生じはじめ…
 

 謎の存在によって隔離され支配されてしまったとある一家が味わう恐怖を描いた、SF風味のサイコサスペンス映画。
 
 なんとなく、タイトルや雰囲気やらがJ・カーペンター監督の「ゼイリブを連想させますが、当然ながら実際の中身の方は何の関係もないですし、類似点もあまり見当たらないような作品です。
 
 お話としては『とある一家が正体不明の何者かによって、黒いシャッターのようなもので家ごと隔離されてしまうんだけど、もともと家族で確執を抱えていた彼らは、次々と襲うトラブルと極限の閉鎖環境から疑心暗鬼に陥り対立しあうようになっていき…』みたいな感じのストーリー。
 
 一応、パッケージやらタイトルから分かるとおり『侵略ものSF』的なノリの作品になっているのですが、実際の中身の方はSFというよりもサイコスリラー的な要素が強い内容ですね。
 (というか本編ではSF要素は割と終盤まで隠されているので、パッケージがネタバレになってるって言う…)
 
 閉鎖環境の置かれた彼らに『政府の人間』と思しき何者かがTVを通して指示を出してくるんだけど、『彼らを隔離した目的は何なのか?』とか『彼らに指示を出しているのは何者なのか?』という謎解きを中心にお話が進んでいく感じ。
 
 ただ、本作は単なる閉鎖環境型のSFサスペンスではなく、とにかくこの家族が最初から確執を抱えてて物凄く仲が悪いんですよ…
 ことあるごとにいがみ合って対立しあうのが、極限環境のせいで更に仲が悪くなって狂気に駆られていくというような展開がメインとなっており、とにかく重苦しくて良い意味でも悪い意味でも非常にストレスが溜まります。
 
 特に主人公の父親な偏狭っぷりと狂気っぷりは良い味を出しており、ぶっちゃけ本作のメイン要素と言っても良いレベルで、なかなか怖いです。
 
 ただ逆に侵略SF要素はかなり薄めで、お話の核心に近づくのがかなり終盤に入ってからなのに加えて、侵略者の正体も分かったような分からないようなフワっとした感じのオチなんですよね。
 
 またSF要素の部分が地味で、ビジュアル的にもあまり面白味が無い事もあって、どうにもいま一つ盛り上がらないんですよね。
 家族の諍い(いさかい)の要素も重苦しいうえに矢鱈と長すぎで、ちょっとダレ気味なのも難点かなぁ…もう少しSFとか謎解き要素の比率が高かった方が良かったんじゃないかという気がしますよ。
 

 総評としましては、『いま一つパッとしない印象の侵略SF映画』って感じの作品です。
 
 確執を抱えた家族を描いた『サイコサスペンス映画』として観るのであれば、まあまあ観れる内容ではあるとは思うのですが、SFホラーとしては微妙というのが正直なところ。
 せめて、もうちょっとSFらしいビジュアル的な面白さとかがあれば、良かったかなぁ?
 
 観ていて非常に疲れる映画なのであまりオススメはしませんが、気になるのであれば止めるほど酷い出来でもないので、まあお好みで…