■■■「ゾンビアーミー 死者の軍隊」■■■
(30点/モンスター)
歴史学者のブライアン・ロックは、映像作家のマーカスたちとともに、ドキュメンタリー番組として1915年にフランス北部で起こった、史上最悪の塹壕戦と言われる『ソンムの戦い』を題材とした歴史ドキュメンタリー番組を撮影することとなる。
道に迷ったりとトラブルを起こしつつも、なんとかかつての戦場後へとたどりついた彼らは撮影を開始するが、現場で箱に詰められた状態で池の中に沈められた奇妙な兵士の遺体を発見。
彼らは遺体が護符(アミュレット)を身に着けていたことから、亡くなったアフリカ兵が復活の呪いをほどこしたものだと推測するが、その死体を掘り出した行為は、100年前に戦争で亡くなった兵士たちを眠りから呼び覚ますこととなってしまい…
第一次世界大戦の塹壕戦跡でドキュメンタリー映画を撮影しようとしたスタッフたちが、奇妙な死体を掘り出したことを切っ掛けに蘇ったゾンビ兵士の群れに襲われる…という、モンスターホラー映画。
『行方不明となったドキュメンタリー番組のスタッフが最後に残したフィルム』という設定の、いわゆるモキュメンタリー形式の作品なのですが、なんというか色々と微妙な出来の作品です。
何が微妙って、まずモキュメンタリー作品の割にはリアリティが全く感じられないという点。
『カメラテスト』とか『番組の裏側映像』という名目で、番組と関係のない会話シーンを撮影していたりするのですが、このシーンが矢鱈と長いうえに妙にギスギスした内容で、『こんなシーン、舞台裏映像としても使えんやろ?』って感じでゾンビが出てくる前から設定に違和感がありまくりです。
他にも、リアリティとか臨場感とか『モキュメンタリーの特徴が活かされているような要素』が全くないので、ぶっちゃけ『モキュメンタリー形式にしない方が良かったんじゃないの?』というのが素直な感想。
本編のストーリーに関しても『ソンムの戦い』と『兵士がゾンビ化すること』の関連性が薄すぎて展開が強引すぎ…(第二次大戦ものでお約束の『ナチスのオカルト研究』みたいなバックボーンになるような要素も全くないですし…)
オカルト風味の前半からゾンビの登場する中盤以降への流れの変化も唐突すぎて意味が分かりませんし、構成に色々と無理がありすぎです。
また戦場跡の森や塹壕を舞台としてる割には、映像が雑過ぎてドキュメンタリー的な雰囲気や臨場感も出ていないですし、モキュメンタリーを標ぼうするのであれば『もう少し現場の戦場跡らしい空気感を感じさせて欲しかった』というのが正直なところ。
また中盤以降は、主人公たちがゾンビに追いかけられて塹壕跡に逃げ込むみたいな展開なのですが、映像が『主観視点』なうえに『矢鱈と真っ暗な塹壕』が舞台となっているため、画面がゴチャゴチャしすぎて何が起こっているのかサッパリ分からないのも困りもの。
誰が襲われて殺されたのか等も良く分からない始末なうえに、そもそも主人公たちのキャラもイマイチ立っていないので、『誰それが襲われた』という説明をされても『その人って誰だっけ?』みたいな感じになってしまい恐ろしく盛り上がりに欠けます。
無駄にダラダラとしたシーンも多くて展開も全体的に冗長ですし、ラストのオチも唐突で『だから何だよ?』みたいな終わり方でスッキリしないですし(結局ゾンビ兵士の軍団はどうなったんだよ?)、なんというか『モキュメンタリーの悪い部分』を寄せ集めたような感じの作品という印象でしたよ…
総評としましては、『どうにも面白味に欠けるゾンビものモキュメンタリーホラー映画』って感じの作品ですね。
臨場感やスピード感も薄くて、モキュメンタリーとしての良さが感じられないので、普通にホラー映画として撮影してた方が良かったんじゃないかなぁ?
正直、オススメ出来る要素が全く感じられなかったので、普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ…