NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アントラーズ」(65点/モンスター:オススメ)

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■■■「アントラーズ」■■■
(65点/モンスター:オススメ)


 先住民の間で語り継がれる怪物『ウェンディゴ』の伝説が残るオレゴン州の片田舎の小さな町。


 教師のジュリアは生徒の一人であるルーカスの様子がおかしい事に気づく。


 少年が母と死別し、今はドラッグの密売人である父親の手で弟と共に育てられていると知った事から、父親から虐待を受けているのではないかと疑い、密かに彼の自宅へと向かうが、どこか普通ではない気配が漂っている事を確認。


 調査の許可を得るために校長のエレンに相談をするが、その頃、ルーカスの父親の相棒であるケニーの死体が、半分食い荒らされたような状態で炭鉱で発見された事を、警官で弟であるポールから聞かされ…

 


 生徒を虐待から保護しようとした女教師が、期せずして伝説の怪物『ウェンディゴ』に関する恐るべき秘密に触れることとなる…という、モンスターホラー映画。


 北米の先住民に伝わる悪霊『ウェンディゴ』の恐怖を描いた、オカルト風味のモンスター映画なのですが、先日も別の映画でウェンディゴが扱われていたりした辺り、最近ウェンディゴがちょっと流行ってるんでしょうか?


 本作は今のところ配信専用でリリースされているタイトルのようですが、割と久々に『いや、怖っ、これ怖っっわ!!』と観ながら思わずつぶやいてしまうぐらいにガチで怖いタイトルでしたよ。


 何が怖いって、ビジュアル、設定、ストーリーの三拍子そろって、全てにおいて不気味に感じる要素やら絶妙に不快に感じる要素が絶妙に盛り込まれているということ。


 序盤の雰囲気映画的なテイストや、『虐待なのか、もっと恐ろしいなにかなのか…』という謎をはらみつつも不安感をあおるような展開も上手いですし、学校で少年が描くスケッチブックのイラストとかも『いかにも』な感じの不気味さで良い感じ。


 ややネタバレになってしまいますが、虐待されていたと思われた少年が、実は『怪物になった父親』にエサをやって淡々と『お世話』しているという設定も抜群に気持ち悪いですし、主人公の女教師の『虐待されていた過去』の設定も合わせて視聴者の精神を良い感じに削り取りに来てくれます。


 とにかく、観ていて『不安になったり気分が悪くなったりするような要素』のテンコ盛り感が凄くて、これは良いトラウマ映画。


 お話の内容も、割と最後まで『誰が死んで誰が生き残るか』とかが読めないような構成で思った以上にハラハラさせてくれますし、ビジュアル的な『見せ場』はそこまで多くないものの、怪物の襲撃シーンやグロ描写もめちゃくちゃ痛そうだったりして、思わず目を背けたくなるような出来なのも好感触。


 怪物の造形やデザインもかなり良い感じで、ビジュアル的にも個性的にも魅力のあるキャラに仕上がっているのも悪くありません。


 ただ、雰囲気やストーリーともに非常に良い感じなのですが、序盤が特に『雰囲気重視』的な構成のためかストーリーの展開が遅くて、お話が動き出すまでがちょっと冗長に感じる部分があるのは残念なところ。


 また怪物は魅力的なのですが、いかんせん出番が少なくてやや物足りなさを感じてしまったのも残念なところかなぁ?
 (予算の問題かもしれませんが、怪物にはもうちょっと派手に暴れ回って欲しかったです。)


 あと、タイトルから映画の内容が全く想像できないので、そういったジャンルが好きな人の目に留まらずにスルーされてしまいそうなのは、ちょっと勿体ない部分かも?

 


 総評としましては、B級テイストはあるものの、全体的に『かなり良く出来た佳作レベルのモンスターホラー映画』って感じの作品です。


 やや低予算っぽさは感じるものの『ガチ系で怖いモンスターホラーやオカルトホラー映画』を求めているのであれば、間違いなくオススメできる内容だと思いますよ。


 つか、『なんでこんな面白い映画を配信専用にしてしまったのか?』と、ちょっと担当者のセンスを疑うレベルの良作なので、気になるようであれば間違いなくチェックしておいて損の無い一本だと思いますよ。