■■■「ザ・フィクション」■■■
(35点/サスペンス)
出版社で働く作家志望の女性エイブリーは、隠遁中の尊敬するホラー作家であるケイレブからの依頼で、新作のアイデアとして『恐怖に対する反応を見るための実験』に参加する事となる。
ケイレブの依頼で人里離れた雪山のロッジに訪れた彼女は、奇妙な契約内容に不安を抱きながらも彼の『実験』へと参画する事となるが、奇妙な質問を切り返されされたり不気味なビデオを繰り返し見せられるうちに、彼女の周りでも異様な現象が起こるようになっていき、徐々に妄想に取り憑かれていく。
そして、地下室で女性が監禁されているのを目撃した彼女は、どこまでが虚構や妄想でどこからが現実なのかが分からなくなって行くのだった…
ホラー作家の『心理実験』に参加した女性が、妄想に取り憑かれて徐々に正気を失っていく…というサスペンススリラー映画。
なんとなくS・キングの小説とかをオマージュしたっぽい感じのテイストの作品で、作中で実験を行う作家の男性もキングをモデルとしたキャラっぽいですね。
ただ、その割にはストーリーとか雰囲気に関してはキングっぽさがあまり感じられないという、ちょっと中途半端な作品という印象。
お話としては『作家に怪しげな実験をされたり怪しげなビデオを見せられた女性が、徐々に正気を失っていく』みたいな感じの割とオーソドックスな展開なんだけど、全体的になんというか薄味な映画というのが正直な感想です。
作家の行う実験の内容も地味ですし、怪しげなビデオ(洗脳ビデオ?)のビジュアルもイマイチだし、絵的にもお話的にもちょっと退屈でテンポがあまり良くありません。
本編には殆ど主人公と作家の2人しか登場しないのですが、2人のキャラの掘り下げもイマイチでどちらのキャラからも狂気のようなものが感じられない事もあって、サイコスリラーの割にはいまひとつ迫力不足。
全体的に、とにかく退屈で冗長な印象ばかりが目に付いてしまいます。
中盤からはそこそこ盛り上がる展開になっていくのですが、ぶっちゃけ『その程度でそこまで正気を失うか?』ってツッコミを入れたくなるようなヌルい展開のせいで、どうにもリアリティが感じられない話というのが正直な印象。
終盤も真相に辿り着くまでが無駄にゴチャゴチャしすぎてて、緊迫したシーンというよりはダラダラとしたシーンばかりが続く感じ…
ラストも『それでいいんか?』みたいな感じの終わり方でしたし、とにかく色んな意味で観ていてスッキリしない映画でしたよ。
総評としましては、どうにも『退屈で盛り上がりに欠けるサイコホラー風味のサスペンススリラー映画』という感じですね。
S・キングっぽいシチュエーションやらキャラクターは悪くないのですが、どうにもそれを本編に上手く活かしきれていない作品という印象でしたよ。
特にコレといって推すべきような要素も無いので、よほど気になっているとかでも無ければ普通にスルーしてしまっても問題の無い一本だと思いますよ。