NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「FALL/フォール」(60点/パニック:結構オススメ)

■■■「FALL/フォール」■■■
(60点/パニック:結構オススメ)


 フリークライミングを趣味としていたが、断崖絶壁のクライミングの最中の事故で夫のダンを亡くしたベッキーは、それからほぼ1年が経過するもいまだに心の傷から立ち直られずに自堕落な日々を過ごしていた。


 そんなある日、動画配信者で同じ趣味を持つ親友のハンターが、彼女を立ち直らせるために新たなクライミングの計画を企画する。


 それは、砂漠の真ん中にぞ冷え立つ老朽化で解体寸前の600mの巨大なテレビ塔の頂上へと登り、その様子を動画へと収めるというものだった。


 最初は、いまだに心の傷から立ち直れない事から誘いを断ろうとした彼女だったが、トラウマを清算し周囲の気持ちに応えるために一緒に塔に登る事を決意するが…

 


 解体寸前の巨大なテレビ塔フリークライミングが趣味の女性二人が登るものの、ハシゴが壊れてしまった事から地上600mの上空に取り残されてしまう…という、パニック系のスリラー映画。


 『動画配信者の女性たちが老朽化した超絶高い塔のてっぺんに登ったところ、降りるためのハシゴが壊れて地上600mに取り残される事となってしまいました』という設定の、いわゆる分かりやすい感じの内容のワンシチュエーション系パニック映画ですね。


 ストーリーは前述のとおりに直球ストレートな内容で、『超高い塔の頂上に取り残されて助けを呼ぶ手段も持たない2人は、果たしてどうやってこの危機を脱するか?』という基本的にはそれだけの内容。


 登場人物も主人公たちのほぼ2人しか登場しないですが、人数が少ないだけあってキャラの掘り下げなんかはシッカリしていますし、キャラを掘り下げた割にはサクサクとお話が進んで冗長な雰囲気も無い構成なのは良い感じです。


 本作の最大の見どころは、やはり『不安定な足場の場所での超高所の映像』な訳ですが、割と序盤の塔を登るシーンから迫力があり不安を煽るような高所映像の連発で、高いところが苦手な人じゃ無くても思わず下腹のあたりがムズムズしてくるような映像のオンパレード。


 ただ、TVの小さい画面で観るとやはり迫力の乏しさは気になるところではあるので、これは劇場の大画面で観ておいた方が良かった作品かも?


 お話のノリ的にはいわゆる『閉鎖環境型のシチュエーションスリラー映画』そのものという感じで、『高所に取り残された二人がなんとかして危機を脱しようと試行錯誤してく』という感じでストーリーが進んでいくのですが、2m四方ぐらいしか無い足場の上がメインの舞台となっているため、どうしても会話劇が中心になりがち。


 退屈させないようにドラマ性を持たせるために、人間ドラマ要素やら愛憎劇やらがあったりするのはお約束の展開ではあるのですが、その辺の話はあまりクドくなりすぎない味付け程度に収めていて『アクマで主役は600mの塔』という感じの作りになっているのは好感触。


 また主人公たちの二人が、危機に直面しても妙にヒステリックにならずに割と冷静で、シッカリと考えて危機を脱するための行動を取るため、観ていて無駄にストレスが溜まらないのも良い感じ。


 あと、『主人公たちが危機を脱するための手がかり』が割と序盤からシッカリと伏線として提示されており、展開にあまり無理矢理感が無いのは良く出来ています。


 パニック要素やドラマ要素やサスペンス要素も含めて、全体的に非常に優れたバランス感覚で作られた作品と言う印象です。


 ただ気になる点があるとしたら、終盤のちょっとした『どんでん返し』っぽい展開にやや唐突な印象があったのと、『塔の頂上で行動するシーン』より『塔を登るシーン』の方が緊張感があったのに加えて、ラストも妙にアッサリしててやや尻すぼみ感があった点かなぁ…


 リアリティは薄くなるかもしれませんが、個人的にはもうちょっと派手で手に汗にぎるようなシーンがあって欲しかったかも?

 


 総評としましては、『低予算ながらもソツなくシッカリと作られたパニック系スリラー映画』って感じですね。


 この手のワンシチュエーション系のパニック映画としては、普通に良く出来た作品だと思うので、その手のジャンルが好きな人であればとりあえずチェックしておいても良い感じの一本かも?


 特に高いところに登るパルクール系の映像とかシチュエーションが好きな人ならば、高所映像ものとしても楽しめると思いますので、そういうのが好きであればオススメですよ。